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映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。映画・演劇を横断し活躍する「俳優養成講座 」 2016年9月2日(金)開講決定!

『Movie Sick』稽古見学日記(第3回)/井川耕一郎さんより

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
今回は映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」主任講師である井川耕一郎による稽古見学日記(第3回)をお送りします!

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フィクション・コースの講師として長年映画美学校に携わって来た井川さん(写真中央)。
その井川さんが今期からアクターズ・コースの主任講師として、新鮮な目でアクターズのみんなを見守っていた記録——
それではどうぞ!


『Movie Sick』稽古見学日記(第3回)

2月6日。稽古3日目。
12時に地下スタジオに行くと、鈴木睦海さん、仁田直人くん、米川幸リオンくんがいた。睦海さんと仁田くんはScene1を、リオンくんはScene5を自主練習
その後、三人は早口言葉に何度も挑戦。睦海さん、仁田くん、リオンくん、外崎桃子さん、太田エイスケくんには、佐々木透さんから早口言葉の宿題が出たとのこと。
アクターズ・コース生は全員が演技経験者ではない。
外崎さんはまったくの初心者だし、仁田くんは関西ジャニーズJrの一員として活動していてはいたが、本格的な演技経験はないようだ。そして、太田くんも大学時代に少しだけ演劇をやっていたくらい(ちなみに太田くんはフィクション・コース、脚本コースにも通っていたのだが、アクターズ・コースが一番合っているのではないか)
やはり、未経験者には早口言葉のような基礎練習が必要なのだろうなと思っている間に、次々とアクターズ・コース生がやって来て、それぞれが自分の気になるところを自主練習。さまざまなセリフや早口言葉で地下スタジオがあふれかえったところで、佐々木さんが来る。
13時に稽古スタート。佐々木さんから台本を改訂しましたとの説明あり。新たな台本が配られる。6ページ増えて52ページになっている。
加筆が多いScene4、Scene6、Scene7を読む。
14:10から前回のおさらい。2回目(2月3日)の稽古でラストのScene12までやったと聞き、その速さに驚く。
Scene1からScene5までは初日の稽古で見ているけれども、Scene6以後は初めて見ることになる。
Scene6の大西美香さんと睦海さんの芝居は、初日にワークショップふうにやってみた動きを応用したものになっている。
Scene7。新たな台本には、鈴木幸重くんが大西さんに向けて専門知識を次々とくりだす長いセリフがある(分量は半ページ)。アクターズ・コース生の中で一番、演劇や映画に詳しい幸重くんを見て、佐々木さんが加筆したことがよく分かる。
と同時に、幸重くんのやたら長い説明をついつい聞いてしまう大西さんの姿にも、どこか普段の彼女に通じるものがあった。
Scene7後半の金岡秀樹くんと塗塀一海くんのやりとりは漫才のようだった。
Scene11とScene12については、ネタバレになるので具体的なことは書けないけれども、台本からは想像できないような動きになっていた。
15:20終了。Scene1からScene12まで70分。アトリエ春風舎での本番は「もうちょっと長くなります」と佐々木さん。
15分の休憩後、佐々木さんが全員に言う。「大事にしてほしいのは、誰に向けて何を言っているのかということです」
それから、シーンごとに検討が始まる。

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Scene1。「(睦海さんも仁田くんも舞台への)出方で迷っている。まちがえたとしても自信をもって」「直人は次のことを気にしすぎ。次にやることを目で説明している。イスを見てからイスに座ると、座るのが予期できてしまう」
Scene2。事件当時の混乱が突然、舞台上に出現するシーン。「まだ演出の指示をなぞっている段階。ここは白昼夢のように見せたい。みんなの呼吸が合うことが大事」
Scene3。浅田麻衣さんと睦海さんの芝居は、セリフのやりとりだけを聞けば、室内を動きまわる浅田さんを睦海さんが目で追っている感じだ。だが、舞台上で睦海さんは浅田さんに背を向けて、客席の方を見ている。映画で言うと、切り返しに近いものが演技に求められていると言ったらいいだろうか。「二人の間で関係の糸を切らさないように注意して」と佐々木さん。
Scene4。睦海さんが被害者10人に事件を再現してほしいと求めるシーン。「ここはむー(睦海さん)と10人。1対10という感じ。コール・アンド・レスポンス。音楽のようにしたい」
Scene5はリオンくんの長い独白(1ページある)。「リオン、がんばっている。でも、切り換えがまだ遅い。長いセリフを成立させるには、自分をどんどん変化させないと」
Scene6とScene7。「面白くなっていくと思う」
Scene8では、何気なくやってしまう癖を意識することがアクターズ・コース生に求められた。「エイスケ(太田エイスケくん)はよくなっていると思うけれど、セリフを言うときに手などが動く。自分の癖を自覚すること」「との(外崎桃子さん)は座るのに頼り過ぎている」
15:55。Scene1からScene3までをやってみる。
「直人、前よりよくなった。さっきのイスに座るタイミングをおぼえておいてほしい」
もう一度、Scene1から今度はScene4まで。
Scene4について佐々木さんが言う。「全員の居方がまだまだ。1対10。むー(睦海さん)の立場が弱いのに対して、10人は強い。それぞれが自分のストーリーを作ってほしい」
その後、Scene3の途中からScene4までを5回。
被害者10人の立ち位置が変更され、コール・アンド・レスポンスが全員に求められる。「セリフがぽんぽん出てくる感じが聞きたい」
佐々木さんはScene3からScene4に移っていく部分にもこだわった。ここは映画ふうに言うと、睦海さんの顔のアップから回想に入っていく感じだろうか。16mmカメラのそばに立って客席を向いていた睦海さんが、10人と対峙するため、くるりと動く。彼女には映画のカット割りに近い効果の動きが求められているようだった。
また、Scene4の後半、睦海さんは舞台中央から16mmカメラのそばに戻った。このあとの睦海さんと四柳智惟くんたちのやりとりは、Scene3のときと同じく映画の切り返しに近いものとなった。
17時、Scene1からScene4までをもう一度。17:45終了。
稽古のあと、佐々木さんは舞台監督の若旦那家康さんたちと打ち合わせ。舞台空間を真っ白にして、壁に映像を映写したいとのこと。
19時、アクターズ・コースの講師、近藤強さんが来て、ビューポイントという基礎練習が始まった。21時までやるのだという。
アクターズ・コース生を見ていて、いいなと思ったことがある。演技経験者と未経験者の間に上下関係がないのだ。演技を学ぶ者として対等だという共通認識が自然とできている。
そして今は修了公演をいいものにしようということで団結している。みんな、一生懸命だ。

(第4回に続く)

井川耕一郎
1962年生まれ。93年からVシネマの脚本を書きはじめる。主な脚本作品に、鎮西尚一監督『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(94)、常本琢招監督『黒い下着の女教師』(96)、大工原正樹監督『のぞき屋稼業 恥辱の盗撮』(96)、山岡隆資監督『痴漢白書10』(98)、渡辺護監督『片目だけの恋』(04)『喪服の未亡人 ほしいの…』(08)やテレビシリーズ「ダムド・ファイル」など。最新作は監督も務めた『色道四十八手 たからぶね』(14)。本年度より映画美学校アクターズ・コース主任講師。


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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
→ 映画美学校アクターズ・コース2016年度公演『Movie Sick』 予約フォーム

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【本番直前スペシャル対談!】佐々木透 × 松井周【前編】

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
本番に向けて数々の豪華記事をアップして来ましたが、今回も特別対談企画をお届け!
今回の修了公演を担当する佐々木透さんと、劇団「サンプル」主宰・松井周さんのスペシャル対談の前編です!

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全演劇人必見!演劇ファンも刮目!激烈必読メガMAX!
それではどうぞ!


「通し稽古を見学したのちに」 佐々木透 × 松井周

佐々木透
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

松井周 1972年、東京都生まれ。1996年に平田オリザ率いる劇団「青年団」に俳優として入団。その後、作家・演出家としても活動を開始、2007年に劇団「サンプル」を旗揚げ、青年団から独立する。2011年『自慢の息子』で第55回岸田國士戯曲賞を受賞。2011年『聖地』(演出:蜷川幸雄)、2014年『十九歳のジェイコブ』(演出:松本雄吉)、2016年『ルーツ』(演出:杉原邦生)など脚本提供も多数行う。


:::::以下対談本文(前編):::::


—本日は松井さんも通し稽古をご覧になりましたが、いかがでしたか?

松井周(以下松) 実は映像で事前に通し稽古は観ていて。今日実際に観て改めて思ったのは、作品の世界に関しては凄いチャレンジングだし、最初はちょっと訳分からないんですけど、途中から海にまつわるあれこれが入って来るので、僕はあの韓国の船が沈む事故(2014年韓国フェリー転覆事故)を…

佐々木透(以下佐) ああそうそう。あれはかなり参考にはしていますけど、まるっきり同じというわけではない。

松 そうですよね。だから色々な、捕鯨に関してもそうだし、いくつかの船が沈没していくというようなイメージが重ねられていくというところ、それと、ここで演技というものを勉強している人たちが「演技と演技じゃないことの境目」を行ったり来たりするみたいな感じ、その世界も多分含まれていて、そこは凄く面白かったですね。 一方で、彼らの「演技」のことについては通し稽古が終わってからつい口出しをしてしまったんですけど(笑)。

佐 (笑)

松 まだまだだなぁという感じはして(笑)。それは彼らがやっぱりまだこの台本に、いい意味で翻弄されているというよりは追いつけていないというか、そういう感じがちょっとまだしていて。でもなんとか食らいつこうとしている感じはあった。

佐 そう、へこたれないんですよ、あの人たち。

松 そこがアクターズ6期生の好きなところなんですけど。

佐 「なんだったらもうへこたれろ!」くらいに思ってやっているんですけど意外にへこたれない(笑)。演技の部分も、松井さんが仰ったところは本当に重々分かっているのですけど「とりあえず身体で馴らす」と。もちろん理屈でも本当は追いつかないといけない。身体で覚えることなんて、本当はもっと時間が掛かることじゃないですか。ただ、両方同時にやらなければいけないという中で、まぁどちらかというと今はひとまず身体の方を重視して。だから結構様式的なアプローチでやっているのですけれども、それも「こういうアプローチだってあるし、形だけで入っても演技の本質は変わらないから、それは生かしてね」って、演技的なことは割と彼らに任せているんですよ。

松 そんな感じはしましたね。

佐 で、結構ね、分かってないなりにも彼らの中からどんどん出て来るんですよ。

松 うんうん。

佐 それがやっぱり良くて。特にシーン5なんてリオン(米川幸リオン)が長ゼリフを言っていますが、僕はほとんど何もしていないんです(笑)。何もしないでも彼らが何かを立ち上げて来るのがあったので、もうそのまま。もちろん今のままでいいというわけではなくて「もっと探ってね」と。「探ってね」というところぐらいで留めているんですけど。

松 そうですよね。いくら「こうしてほしい」と細かく注文しても、俳優自身が気付いていかないと視野が狭くなって身体が固くなっちゃうみたいな感じになると思うのでね。だから「開きそうでまだ開いていないという状態」がもどかしくて。

佐 あと何日だ…あと何日なんだ…

二人 (笑)

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松 でもね、彼らは積極的だし、講義をしていても分からないことはしっかり聞いて来るし、「今どう考えているの?」と聞いたら自分で説明する。だからそういうところがもっともっと演技に出てくればなぁという感じはしていますけどね。今回の舞台は、世界が入れ子状態だったりするじゃないですか。それは最初から意図していたのですか?

佐 いや、僕が最初にキーワードとして「クジラ」とか言っちゃったから「クジラかぁ…」って途中からなっちゃって(笑)。

松 そうなんだ(笑)。

佐 「クジラ、要らねぇなぁ」と途中から思っちゃって。でも、クジラで他の方々が「クジラ!?」と考えているのを裏切るわけにはいかないと思って「じゃあクジラは残そう。クジラを残して「映画美学校で演劇をやること」「演技ということ」にどう言及が出来るのかなぁ」と。
で、「映画」に関して最初に出て来たモチーフがドキュメンタリー。演劇で扱えそうな性質とかを考えたら「ドキュメンタリーはちょっと扱えそうかな」ということで、ギミックとして持ち込んだんです。それを成立させようかなぁと思うと、「精神病」という本当によくあるレトリックを持ち込んで、お話として最終的に完結させるため・納得させるために今みたいな形になった。

松 なるほどねぇ。ドキュメンタリーというのは「演技しているのか、演技していないのか」という部分の「演技していない」側のことですよね。

佐 そうです。「メタのメタのメタ」くらいな感じで(笑)。それが「今僕たちはアクターズ・コース6期生です」みたいなことにまで及べば、観客が観ている今のこの芝居自体がそのままドキュメントになるのかなぁと。

松 それがもの凄くチャレンジング。その意図を俳優が分かってやるとしたら、一回忘れた方がいいと思うんですね。回想の部分とか。

佐 ああ(笑)。

松 いくつかのメタのレベルのことを単純に…(突然スマホを取り出し)ごめんなさい。あ、もしもし?

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佐 ?

松 とかって。

佐 (気付き)ああ。

松 例えばウソだけどこういうことをやっている時間とかってあるじゃないですか。

佐 本当に着信があったのかと思いましたよ。

二人 (笑)

佐 さすがだなぁ。僕は俳優時代から松井周のフアンですからね(笑)。

松 (笑)。夜道を歩く女の人が電話を取り出して「あ、もしもし」とウソでやっていることもあるじゃないですか。

佐 夜道が怖かったり色々な状況でね。

松 そうそう。あれって演技なのか本当なのか分かんないじゃないですか。だからそういうふうに見えたらいいと思うし、そういうふうに見せたいのかなと。

佐 見せたいですけどね(笑)。

松 そのためには自分が「ウソでもこうやって電話で話しているんだ」って信じている俳優がいないと、次のレベルが設定出来ないと思って。

佐 ただそれだと「鶏が先か卵が先か」みたいな話になってしまって。例えば、仏像をこれから彫ろうとなった時に、僕はいきなりガンガン眼からディテールを作っていく・彫っていくっていうのはちょっと出来ないなと。どちらかというと「じゃあこれくらいの仏像を彫りましょう」となんとなく大きさを決める、みたいな順序でやりたいなって思っちゃうタイプなので。「眼から彫っちゃったからこんな変な仏像になりました」っていう出来上がり方もあると思うんですけどね。僕はやっぱり大きいものから順々に細かくなっていくっていう、割とベタなタイプなので。

松 作品世界のこと・メタレベルのことを演出家は絶対知っている方が良いのだけど、俳優は自分の演技を考えていく時に、どっちも知りながら、でも演じるとなったら自分がいる世界をもっと信じていいのになぁと思うんでよすね。だから俳優はもうちょい自分のいるところを信じてやんないと(笑)。観ていて最初からメタレベルのことをちょっと予測しちゃうんですよ。

佐 はあはあ。

松 今はいいと思うんですよ。演出家がそういうふうにするということと、俳優がいまウソを信じていること、それは両立するというか。だから「ミスリードしてくれよ」っていうか。そういう感じというのはどうしても起こるし、全体像が見えるから面白いと思えるんだけど「でもまだ粗いよね」っていう(笑)。「彫っている仏像の眼は眼の形、なのかな?」くらいの感じというか。もっとその解像度が上がって来た時にどうなるのかなぁというのが凄く楽しみですよね。

佐 松井さんだったら作品を作る時って何から入るんですか? 作る過程というか。

松 僕はそこが…佐々木さんも俳優をやっていたでしょ?

佐 はい。

松 僕は完全に俳優の目線なんですよ。全体像が見えなくて(笑)。

佐 でもそれは「初めから台本がある・ない」ということにもよりますよね?

松 僕はないですね(笑)。

佐 そういうことか。

松 後から「ああ、こういうふうになってきたら、じゃあこうするか」みたいな感じで。

佐 それって台本を書く時に「俳優に当てる」とかそういうことですか? 

松 そういう場合もありますけど、そうじゃないことも多いですね。

佐 そう、松井さんの作品を拝見していても当てている感じはしないんですよ。進行具合でこういうふうなことが起こったらいいなっていうことをまた起していって、仮縫いと言ったら変ですけど、行っては戻ってちょっとずつ、という…

松 そうですね。ちょっとずつ進める。で、どう行くか、最終的には分からないんですけど、僕の場合まとめる時に困るんですよ。

佐 (笑)

松 「やべぇ、まとまんねぇ」ってなって(笑)。

佐 僕は今回、大人の事情で「この日までになんとか通してくれ」って言われて、稽古2日目で通しましたから(笑)。

松 すげぇな!(笑)

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佐 だから台本を渡して、稽古の初日までに時間があったから「覚えられるよね? 覚えてね。そんなのはもう、プロだったら全員出来ますから」って(笑)。

松 そう言ったんだ(笑)。

佐 そこから10日くらい時間があったんですけど、そこそこセリフをしっかり入れて来ていたんですよね。絶対覚えていないと思っていたんですけど「あ、こいつらやってきたな」みたいな(笑)。意外とやるんだと思って、何かちょっと安心しちゃって。「大丈夫だ。時間あるし」と思っていたら、何でしょうね、演劇あるあるで、あると思っていたらなくなっていって。

松 割と迫ってくる、みたいなね。

佐 そうですね。考える時間もたくさんあったと思うんですけど、考えれば考えるほど悩んじゃう劇構造ではあるから(笑)。本当は「いまのこれ、芝居なの? ドキュメントなの? どっち?」みたいなことももっと面白くなるはずで、ある程度演出効果で補助は出来ますけど、それを純粋に俳優の演技だけで出来たらスリリングというか。

松 そうそう。凄く矛盾するんだけど、俳優がまだ使える魔法を使えていないというか「ちゃんとウソをつけばいいのに!」というか、もうちょい行けるなという感じがする。それが出来たら、この戯曲の構造ならもっと「あれ、いま、自分こそどこにいるんだっけ?」っていう状態になっていくと思うんですよね。

佐 そうなんです。で、どっちかはっきりさせたくなくて。だから観ている側も「これどっちなの?」と。観客も出演者も「どっち?」みたいな状態になって最後に向かう、というのが理想と言えば理想なんです。

松 そうですね。僕は6期の人たちに講義をして、そのポテンシャルみたいなものは割とあると思っていて。まだ「どうこの舞台の世界に入っていいのか」というのを悩んでいる時期で、これからグッと変わる可能性は感じる。
「虚構なのか現実なのか、本当に自分たちがそこまでちゃんと追い込まれているのか?」というか、俳優が今そういう「問い」を自分で持っていればね。「自分たちが虚構か現実かが分からない」くらいの状態になってないと、観客だってその疑問に乗っていけない、みたいな(笑)。

——後編に続く(構成:スズキシンスケ)

 

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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

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【応援コメント!】映画監督・横浜聡子さんより!

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
今回は映画監督で映画美学校フィクション・コース講師の横浜聡子さんより応援コメントを頂きましたので掲載致します!

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映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督である講師4名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ」。

今回は横浜さんの作品に出演した3名について「それぞれの印象と今後に期待すること」を寄稿頂きました!ありがとうございます!

 

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大西さんは、彼女に接した人は皆優しい気持ちになれるような、本当に柔らかい女性だなあと。その独特の柔和さが、原田(劇中の大西さんの役)が持つ揺らぎや不安というものに良い具合に反映された気がします。原田という人物はシナリオを読む限りでは
ネガティブな感情を常に抱えている人なので、この通りに撮ったら「終始しかめっ面の女」になってしまう、それは嫌だ、どうしようかなあと撮影前、思ってました。それで、所々、大西さんには「笑って」もらったのでした。難しい役だったと思います。この短編のラストシーンは撮影の一番最後に撮ったのですが、大西さんが持ってるだろう強さを垣間見ました。すごく性根の悪い役を演じても、大西さんなら観る側に嫌悪感を持たせることはないと思うので、そんな役の大西さんが見てみたいです。大西さんの少し鼻にかかった声も好きです(今回サイレントなので生かせてないですが)。

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米川さんは芝居のことを深く考えていて、それを言葉で他者に伝えようとする意志があり伝えられる人です。撮影中はもちろん、本打ちや編集のときに出してくれるアイディアや意見に、なるほど、と何度か思いました。言い方がよろしくないかもしれないのですが、「演技論のようなものをペラペラ語れる俳優ほど演技が面白くないことが多い」と思い込んでいる節が私にはあり、米川さんに対しても最初はちょっと構えていました。ですが米川さんの出してくる芝居は、全然無理がないというか、全然嫌な感じがしないというか……内で考えてることと、外に出すものと、多分本人は無意識かもしれないけど、すごくバランスが取れている人だな、と感じました。劇中で、米川さんが彼女の前でひとりコントをするシーン、イメージするのが難しい不安なシーンだったのですが、現場でテストで米川さんの芝居を見て、すごく腑に落ちたのを覚えてます。
とろんとした目がとても良いです。

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四柳さんは私にとってとても良い意味で「何を考えてるかわからない人」です。
こちらが勝手にイメージしてしまう四柳像を毎回裏切ってくれる、というような。
逞しい体つき、含みを持った笑顔、姿勢が良くていつもどっしり構えていて、発話にも動きにも独自のリズムがあって、また年齢の割にすごく落ち着いていて、逆に「この人は腹に一物抱えているんだろうな」と思えました。何も考えていなようにも見えるし何か深く考えているようにも見える。それが面白くて、四柳さんの何かを掘り当てたかったのですが、出演シーンが多くなかったこともあり、辿り着けなかった!
それが悔しいです。掘り出す機会がまた欲しいです。

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三人が三人とも、ちゃんと「謎」を抱えている、それが良いところだと思います。


横浜聡子 Yokohama Satoko
1978年生まれ。2001年横浜市立大学卒業後、東京で1年程OLをするも、映画を撮りたいと一念発起し、02年に映画美学校フィクション・コース第6期初等科に入学。高等科修了制作として監督した『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』が、第2回CO2オープンコンペ部門最優秀賞受賞を受賞。その後、長編1作目となる『ジャーマン+雨』で第3回CO2シネアスト大阪市長賞を受賞。自主制作映画としては異例となる全国劇場公開された。同作で第48回日本映画監督協会新人賞を受賞。09年6月、商業映画デビュー作となる長編『ウルトラミラクルラブストーリー』が全国公開。16年には最新作となる『俳優 亀岡拓次』が全国公開された。

 

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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
→ 映画美学校アクターズ・コース2016年度公演『Movie Sick』 予約フォーム

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【応援コメント!】俳優のブライアリー・ロングさんより!

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
もうすぐ本番ですよ!こっちも気が気じゃありません!早く観たい!
さて今回は、俳優のブライアリー・ロングさんに今回の公演への応援コメントを頂きましたので、そのコメントを全文掲載致します!
ブライアリーさん、誠にありがとうございます!

 

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映画美学校アクターズコースの皆様、大好きな演出家の佐々木さん、公演のご成功を願っています。
私は演劇や映画を、学校では勉強していないけど、映画美学校のコースはとても面白そう、私も受けてみたいと思ったことがあります。
自分を映画に出会わせてくれた深田晃司監督を始め、素晴らしい映画監督が沢山出ている学校なので、皆さんも今後スクリーンで沢山見れると思います。
佐々木さんの作品に出演したことは私にとって勉強にもなったし、とても楽しい時間だったので、皆さんも精一杯楽しんでください。
劇場でも、映画のセットでも、皆さんに会える日を楽しみにしています。

ブライアリー・ロング(俳優)


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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
→ 映画美学校アクターズ・コース2016年度公演『Movie Sick』 予約フォーム

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【応援コメント!】脚本家・映画監督の保坂大輔さんより!

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
今回は脚本家・映画監督で映画美学校フィクション・コース講師の保坂大輔さんより応援コメントを頂きましたので掲載致します!

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映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督である講師4名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ」。

今回は保坂さんの作品に出演した3名について「それぞれの印象と今後に期待すること」を寄稿頂きました!ありがとうございます!


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アクターズ応援コメント 保坂大輔

 

仁田直人

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仁田君にはアイドルの役を演じて貰いました。「純粋」で「一生懸命」なアイドルを必死に演じてくれたと思っています。そんなに長い時間を共有していないけど、仁田君本人もまさに「純粋」で「一生懸命」な人だという印象を僕は持っています。まだ滑舌が悪かったり、芝居がテイク毎にバラバラだったりするけど、そのひたむきさを持って、自分の信じた道を進んで行って欲しいです。いつか「黒い仁田」も見せて下さい(笑)。

 

外崎桃子

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外崎さんにはアイドルのストーカー役を演じて貰いました。アイドルの自宅マンションのゴミ捨て場に忍び込み、使用済みのパンツを手に入れるというシーンがあります。「嗅いで下さい」という僕の指示に対し、外崎さんは思いっきり嗅いだ後に咳き込んでむせるという芝居を足してくれました。良い芝居でした。単なるストーカーではなく、あの瞬間に彼女の「生」が一気に立ち上がったのだと思います。これからもアイデアを持って、色々な役に立ち向かってほしいと思います。

 

塗塀一海

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塗塀君にはアイドルの生き別れのお兄さんの役を演じて貰いました。難しい役だったと思います。ほぼ全編、寡黙にアイドルの弟を見守り、唯一のセリフが「頑張れよ!」の一言でした。セリフがない故に、間の取り方、立ち振る舞い、一つ一つの動作に神経を尖らせ演じてくれましたよね。その甲斐あり、お兄さんはどの役以上に葛藤を感じ、想いが伝わる人物になったと思います。塗塀君の力です。


保坂大輔 Hosaka Daisuke
1977年生まれ。立教大学映画研究会で8ミリ映画を作り始め、その後映画美学校フィクション・コース第5期に入学。監督・脚本した修了作品『世界は彼女のためにある』が2005年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞を受賞。その後の監督作に『くりいむレモン いけないマコちゃん』(07)、TVドラマ『ケータイ刑事シリーズ』、『東京少女シリーズ』など多数。近年は脚本家として活動。清水崇監督『戦慄迷宮』 (09)、『ラビットホラー』(11)は 世界50カ国で配給公開され、ヴェネチア国際映画祭出品を始め、国内外で大いに話題を巻き起こした。その他の脚本作品に江川達也監督『King Game』(10)、英勉監督『貞子3D 2』(13)など。監督最新作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016やニッポンコネクション2016にて上映された、第17期高等科コラボレーション作品『お母さん、ありがとう』(15)。


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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
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【応援コメント!】映画監督・大工原正樹さんより!

@『Movie Sick ムービーシック』

【応援コメント!】映画監督の大工原正樹さんより!

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
今回は映画監督で映画美学校フィクション・コース講師の大工原正樹さんより応援コメントを頂きましたので掲載致します!

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映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督である講師4名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ」。

今回は大工原さんの作品に出演した3名について「それぞれの印象と今後に期待すること」を寄稿頂きました!ありがとうございます!

 

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『やす焦がし』の鈴木睦海さんと金岡秀樹くんについて

 

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鈴木睦海さんは「オンナは黙ってサッポロビール」のような人でした。ミニコラボ実習では、アクターズコースから配属された二人が「どんなシナリオで、どういう役をやったらその個性が輝くか」をフィクションコース生の班員が模索するところから始まります。僕が採用した設定は、フィクション生の志和樹果さんが書いてきた〈雑貨屋を営む若い夫婦の浮気騒動〉でした。いつもニコニコ楽しそうにしているけれど芯が強そうな鈴木さんのキャラクターが、この『やす焦がし』の若妻・きょん役と合わされば、僕らの想像を少し超える人物を生みだしてくれるのではないかと思ったのです。結果、とても不思議なヒロイン像を一緒に作ることが出来ました。短い映画ですが鈴木さんの役は劇中にやることが多く、舞踏、読経、歌、ミシン掛けにアクセサリーの細工、そしてもちろんドラマ上の役作りと、かなり忙しかったはずです。けれど彼女は、どの課題もコツコツと寡黙にやり遂げていきました。やる前にあれこれ質問はせず、まずは自分で納得いくまでやってみるという姿勢に「潔いなー、根性あるなー」と感心しました。映画作りのプロセスも楽しかったようで、ロケハンや美術の手伝い、仕上げでも編集から整音まで、ほとんど皆勤賞で作業に付き合い、好奇心に目を輝かせながらフィクション生より映画作りを楽しんでいるように見えました。彼女のこの「なんでも楽しむ才能」と持ち前の愛嬌は、これからも役者として必ず活きてくると思います。でも、たぶんまだ何か隠している……。

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今風の若者でも熱を感じる人が多い役者志望の中で、金岡秀樹くんは珍しい宇宙人でした。現場を通じても控え目な優男の貌を崩さず、そのくせどこか心ここにあらずというか、居心地はたしかに悪そうなのだけれど、それをあまり苦にしていない佇まいというか……。といっても役者を志すくらいですから、きっと秘めたる欲望はあるはずで、それを表に見せるのは今ではないと機会を伺っているのかもしれません。大学で神主の勉強をしているという彼がなぜアクターズに入ったのか、最初の方で訊いた気はするのですが、いま覚えていないということはきっと上手くはぐらかされてしまったのでしょう。なんとも捉えどころのない不思議な人です。金岡くんの役は劇中で唯一心の安定した人物だからこそ、その振る舞いが難しくもありました。陰できょんを支える優男ながら、包容力も必要な役です。ラストで安男(松下仁くん)に真実を告げる時の短いセリフが、この拓平という役の見せ場だったのですが、そこは一発OKでした。リハの時からそのトーンが的確だったので、金岡くんには役を捉える潜在的な直感力があるのだと思います。これからの課題としては、普通の歩き方と相手の目を見て芝居ができるようになってほしいなと思います。

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たしか「映像の演技」を志望してアクターズに入ってきた鈴木さんと金岡くんですが、3月の佐々木透さん演出の本公演でどんな芝居をしているのか、また、本気の舞台を経験した二人の「映画の演技」がどう変わっていくのか、とても興味があります。

 

大工原正樹 Daikuhara Masaki
1962年生まれ。高校時代から自主映画を作り始め、大学在学中に中村幻児の雄プロダクションに所属。廣木隆一、石川欣、鎮西尚一らの助監督を務める。その後廣木らが設立した制作会社フィルムキッズに所属し、89年、ピンク映画『六本木隷嬢クラブ』でデビュー。以降は『もう・ぎりぎり』(92)、『未亡人誘惑下宿』(95)、『のぞき屋稼業 恥辱の盗撮』(96)、『同・夢犯遊戯』(96)、『風俗の穴場』(97)などのVシネマを監督する。テレビドラマでは「真・女神転生デビルサマナー」(00)、「七瀬ふたたび」(00)、「ミニチカ」(06)などを監督。他に音楽ビデオ、CF、TV番組、VP等の演出作は数百本に及ぶ。映画美学校では、『赤猫』(04)、『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』(10)、『坂本君は見た目だけが真面目』(14)を監督している。新作『ファンタスティック・ライムズ!』(仮)が2017年に公開予定。

 

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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

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『Movie Sick』稽古見学日記(第2回)/井川耕一郎さんより

@『Movie Sick ムービーシック』

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
今回は映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」主任講師である井川耕一郎による稽古見学日記(第2回)をお送りします!

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フィクション・コースの講師として長年映画美学校に携わって来た井川さん(写真中央)。

その井川さんが今期からアクターズ・コースの主任講師として、新鮮な目でアクターズのみんなを見守っていた記録——
それではどうぞ!

 

『Movie Sick』稽古見学日記(第2回)

2月1日。
稽古初日。13時スタート。
Scene1は、鈴木睦海さんが仁田直人くんにムービーカメラの前で事件のことを語るように求めるが、仁田くんが抵抗するという芝居。
1回目では、睦海さんと仁田くんが自分たちでどうしたらいいかを探りながら演じた。
それを見て佐々木透さんが言う。「演出家によって考えはちがうと思うんですが、ぼくはリアルふうなものはリアルじゃないなと思ってます。そのひとの切実さが出るのがリアル。ニュアンスじゃなくて、相手に届けるように演じて下さい。相手役のために、相手を助けるように」
また、アクターズ・コース生全員に向けて次のようにも言った。「みんなでクリエーションしましょう。いっぱい迷って、いっぱい悩む。とにかく元気にやって下さい」
2回目をやる前に佐々木さんは四柳智惟くんに、舞台にあがって睦海さんと仁田くんの二人を見るように、と指示。四柳くんは腕組みをして二人を監視するようににらみつけた。
睦海さんが仁田くんにいきなり「騒いで」と無茶な要求をするあたりで、佐々木さんは四柳くんに「騒いで」と指示を出した。四柳くんが何事かわめく。びっくりするほど声が大きいので、何を言っているのか分からない。普段はもの静かなやつなのに。
2回目のあと、佐々木さんが言う。「今の段階ではよっつん(四柳くん)が必要。よっつんは途中でしゃべってもいいです。むー(睦海さん)はもっと言葉を大切に。自分の生理だけでものを言うのは日常。相手との呼吸を大切に」
このあと、Scene1が2回くりかえされる中、睦海さんの「騒いで」という要求に応えるのは仁田くんではなく、他の9人全員ということになった(客席から見えないところで騒ぐ)。
4回目のあと、佐々木さんが仁田くんに言う。「直人はずっとふらふら動いているけれど、動いている理由が分からない。止まるのを若いひとは恐がるんだけど、動く・止まるをきちんとしてほしい。何もできないから突っ立ってますという方が、ふらふら動くより潔い」


Scene1をもう一度やったあと、Scene2に移る。
Scene2では、事件当時の混乱がフラッシュバックのように舞台上に出現する。
佐々木さんは「ひとの波が来た。直人は波に飲みこまれる。むーはカメラの前でそれを見つめている」というふうにねらいをアクターズ・コース生に説明する。11人全員の気持ちが一つにならないとうまくいかない部分だろう。
2回演じていくうち、混乱の中、誰がムービーカメラとイスを持ち運ぶかが決められる。
「セリフだけやってみる?」と佐々木さん。
セリフだけを2回読んでみる。「もっとよどみなく。間がない方がいい」「疾走感がちょっと出てきた」
このあと、佐々木さんは「ワークショップふうになってしまうんだけど」と前置きしてから、まずは5人のアクターズ・コース生に、横一列になって足をそろえて舞台を往復するように、と言った。
「カズ(鈴木幸重くん)、途中から列に入れる?」「カズが入ったら、リオン(米川幸リオンくん)、列からぬけて」
同じことを残りのアクターズ・コース生も行ったあと、全員で舞台を往復することになった。
「今度はセリフを言いながらやってみよう。自分のセリフを言い終えたひとは列からぬける。でも、往復の波は消さないように注意して」
列から一人ぬけ、二人ぬけ……、最後に浅田麻衣さんと睦海さんだけが舞台に残った。立ち止まって、Scene3の浅田さんと睦海さんのやりとりが続けられる。
二人の芝居が終わったところで、休憩となる。14:30。

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14:45に稽古再開。
三脚の上のカメラがビデオカメラから16mmカメラに変更される。
Scene1からおさらい。
「Scene2が難しい。ここをがんばれば、このあとは転がる」と佐々木さん。
全員でScene2のセリフだけを二回読んでみる。
「もう一回やろう。みんなのチームワークを信じています」
動きながらScene2を再度やってみる。11人全員の芝居からScene3の睦海さんと浅田さんの二人芝居になる。浅田さんは舞台上にある物や空間の広さを有効活用して演じようとしている。佐々木さんが浅田さんに言う。「イスの使い方が面白いね」
その後、Scene2がくりかえされる。11人を役に従ってグループ分けし、セリフだけを3回。動きながら3回。演じているうちに、混乱している感じから様式化された動きへと変化していった。
今さっき「様式化」と書いたけれども、これをネタバレにならないように説明するのは難しい。佐々木さんとしては、声は混乱を演じているのだけれども、身体の動きは別の何かを連想させるというふうにしたいのだろう。
動きが見えたところで、Scene2からScene3までやってみる。
次にScene4をやってみる。舞台に登場しない重要人物から事件の再現を記録するように命じられた睦海さんが、被害者10人を何とか説得しようとするシーン。佐々木さんは被害者の間でさまざまな意見が飛び交う部分を書き足したいとのこと。


それから、稽古はScene2に戻った。6回くりかえされ、そのたびに一人一人に具体的な指示が出る。
7回目はScene2の続きでScene3も演じられた。
Scene3だけを3回。1回目のあと、佐々木さんは台本には書かれていない指示を睦海さん、浅田さん以外の9人に出した。
Scene4を1回やってみたあと、10分休憩。
休憩のあとは、Scene1からScene4までをおさらい。
佐々木さんはScene2の混乱からScene3の静寂へとメリハリをつけたいようで、浅田さんに次のように言った。「Scene3の出だしは、長い間のあと、セリフをぽつんぽつんと」
また、Scene4では鈴木幸重くんと四柳智惟くんのやりとりの面白さを見せたいとも言った。
この日は、米川幸リオンくんの長い独白があるScene5をためしにやったところで稽古終了(17:30)。


(第3回に続く)


井川耕一郎
1962年生まれ。93年からVシネマの脚本を書きはじめる。主な脚本作品に、鎮西尚一監督『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(94)、常本琢招監督『黒い下着の女教師』(96)、大工原正樹監督『のぞき屋稼業 恥辱の盗撮』(96)、山岡隆資監督『痴漢白書10』(98)、渡辺護監督『片目だけの恋』(04)『喪服の未亡人 ほしいの…』(08)やテレビシリーズ「ダムド・ファイル」など。最新作は監督も務めた『色道四十八手 たからぶね』(14)。本年度より映画美学校アクターズ・コース主任講師。


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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
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  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

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