映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

2012年度修了公演『革命日記』

【メンバー募集】私たちと一緒に革命を起こしませんか?―『革命日記』PENETRAクロスレビュー5

大学に入学したてのころ、文字どおり「右」も「左」もわからなかった私は、とある勉強会に出入りしていた。いまになって振り返れば、あれは学生運動の組織だったのだとわかる。当時は自衛隊のイラク派遣や格差社会がことごとく非難されていた。そういった主…

自分という土壌を耕すこと 〜「俳優」という存在について(2)

◆言葉とどう付き合うのか 古澤 僕は公演を2回拝見したんですが、まず謎だったのは、このマンションはどの街にあるのだろう、ということ。僕の勝手な仮説で言うと、大宮だ、というのが結論なんですが。松井 (笑)古澤 「典子」の妹が「今からなら終電に間に…

 ―「 actor」 ―  『革命日記』PENETRAクロスレビュー4

公演終了後、打ち上げがあるということで、ほとんど部外者のくせに参加させてもらいました。最近そういう「飛び込む」機会のあまりない、寂しい人間だったのだけど、行くことにした。見た目から何からてんでバラバラそうな人たちが集まって、一つの芝居を作…

自分という土壌を耕すこと 〜「俳優」という存在について(3)

◆俳優に問われるのは才能より努力 古澤 もうひとつ、お聞きしてみたいんですが。今回は平田オリザさんの既存の戯曲があったわけですが、「まるでアテ書きみたいだった」という感想を、多く耳にしたんです。僕もそう感じました。これは、どういう現象なんでし…

自分という土壌を耕すこと 〜「俳優」という存在について(1)

とにかく、しゃべろう。熱が冷めないうちに。そんなふうにしてこの対談はセッティングされました。アクターズ・コース第2期修了公演『革命日記』から約1週間後の3月30日、演出を手がけた松井周と同コース主任講師の古澤健による対談です。観客の多くが息を呑…

―『革命日記』PENETRAクロスレビュー3

「革命」の日記であるはずのこの作品を見た人の多くは、実際のところ、この先に「革命」があるなどとはとても思えないのではないだろうか。世界はさまざまな価値観の並列とその軋轢によって出来上がっている。この軋轢をなし崩し的にないものであるかのごと…

『革命日記』アフタートーク 松井周*山内健司*近藤強

3/22(金)〜3/24(日)に上演されましたアクターズ・コース第2期初等科修了公演「革命日記」の、上演後のアフタートークの採録です。 3月22日に行われたのは、演出を担当した松井周、アクターズ・コース講師で俳優の山内健司、近藤強の回です。 3名はみな、…

革命と宗教 日常の違いのあり方から見える生活―『革命日記』PENETRAクロスレビュー2

2013年から演劇を見始めたにも関わらず、たまたま複数回見ている演出家がいて、そのうちの一人が松井周さん。 一本目は彼が率いる劇団サンプルの「地下室」。二本目が映画美学校アクターズ・コース第2期初等科修了公演の「革命日記」でした。 そしてこれも…

革命と日常 ―『革命日記』PENETRAクロスレビュー1

やや遅れてしまいましたが『革命日記』のレビューを順次アップしていきたいと思います。以前の記事で触れたように、このブログは映画美学校アクターズ・コースと映画美学校批評家養成ギブスの交流の場でもあります。今回は4/28(日)の文学フリマでの発売を…

革命日記  あるゲネの日から一週間

革命という言葉を聞いても、大貧民しか浮かばない私ですが、ゲネを拝見してから一週間が経とうとしていて、それでも、あの日、目にした「革命日記」が、その間ずっと頭の中に座り込んでいます。 革命っていうのは、実は自分が思っているより生活と密接で、す…

『革命日記』の観察日記 最終回

初日、終演後のことだ。 劇場内に、缶ビールやつまみを持ち込んで、軽い乾杯をしていた時。初舞台の面々も少なくないから、当然ある種の高揚感が場を満たしており、だから思わず心配になってしまった。 この高揚が原風景になっちゃったら、これから先の俳優…

My革命日記

四角いテーブルを囲む、赤橙色のソファー、大きなクッションがあって、テーブルの上にはワイングラスとビアグラス、ボトル、ビン、クラッカー、チーズなど それらはテーブルを埋め尽くす程である。 革命家たちは、クッションにもたれたり、ソファーに座って…

修了の先を見て

稽古を見学させていただいてから、ずいぶん時間が経ってしまいました。すみません。その間考え続けていたのは、アクターズ・コース“修了”公演という、この作品の位置づけのことでした。わたし自身、学生時代にずっと演劇サークルにいたこともあって、久しぶ…

平田オリザと松井周について

今回、稽古場を見学していて「新鮮さを失わないように」「もっと周囲を利用して」という松井周の言葉を繰り返し耳にした。それはつまり、稽古は周囲への反応の調整としてあるということなのだろう。もちろん、より具体的なダメ出し(例えば「もう少し早くセ…

稽古場レビュー

I strongly believe that as an actor if you can successfully pull off one of Hirata Oriza’s plays then you can achieve anything. Although I do not specifically know much about The Film School of Tokyo’s curriculum, I assume that most of the…

『革命日記』で『笑っていいとも!』

3月21日(木) 小竹向原にある「アトリエ春風舎」。 そこはマンションの地下で、その周囲は実にフツーの静かな住宅街である。 「春風」という名前にピッタリな時期、その字を見ただけで爽やかな気持ちになる。 といった、そんな少し不思議な場所で、アク…

ある稽古

前日、ほとんど寝てないまま向かった稽古場。アトリエ春風舎についたら、大学の大先輩である山岡先輩の照明に皆さんが照らされていて、その瞬間に眠気とか、なんだか、忘れさせられて。温かく包んでくれるのに、突き放してもくる照明。ちょっと怖くもある。…

感想文

なかなかたどり着けなくて、交番二箇所と道端のインドカレー屋のおじさんに道を尋ねていたら遅刻してしまった、30分も遅れた、13時半になっていた。 私は、舞台や批評の勉強をしている訳でもなんでもない観劇初心者の高校二年生で、だから何に気づけて何をか…

『革命日記』の観察日記 その3

劇場に着いたら、制作嬢が豆ごはんを炊いていた。別のボウルには、できたて混ぜごはん。劇場入りしてからの皆の食事は、ここで、炊き出しされているという。「ここは青年団の、もの作り工房なんです」と山内健司。ここで煮炊きしながら、腰も腹も据えて芝居…

稽古場見学日記―俳優と観客が出会うことについて

7年くらい前から演劇を見続けているが、この度初めて稽古場というものに行った。15日金曜日、18時半頃に映画美学校を訪ねたとき、ちょうど休憩中だったようで、床に服やカバンや飲みかけのペットボトルが散乱する中、俳優たちは食事をしていた。 まずこの状…

ある世界の構成

演劇の稽古なるものを見るのはほぼはじめての経験だった。いろいろ新鮮なおどろきはあったのだけれど、ぼくがもっとも強く感じたのは自分が文章を推敲する感覚にきわめて近い作業が行われていることに対するなるほどという感情だ。自分がふだんしていること…

『革命日記』稽古場見学 ~秘密基地に入る~

小学校の体育館裏には、ほとんど誰も通らない狭い一本道があって、意外にも丹念に手入れされているその細道は、体育館と、学校敷地の内と外を隔てる背の高い金網とのあいだに挟まれていた。金網には一か所、大きく破れた部分があった。 よく晴れた春のある日…

My革命日記

昨日は平年より10日も早くサクラが開花した。革命日記スチール担当の下江隆太です。 映画美学校での稽古も昨日が最後。14時から始まっていたが、少し遅れて見学させて頂く。演出家の松井さんと、アクターズ・コースの俳優たちの台詞と動き、交わされる言葉と…

『革命日記』の観察日記 その2

この日の稽古は妙に緊張していた。演出・松井も、前回と比べると、悩み悩み稽古をつけている。「なんでかな、なんかここが、スムーズに行かないよね……」少し遡って、もう一度やってみる。そうやって芝居を遡るうちに、俳優たちの芝居も自然と変わってくる。…

演劇と批評について

このブログは映画美学校アクターズ・コース初等科第2期修了公演『革命日記』(作・平田オリザ、演出・松井周)の公演に先駆けて、関連するさまざまな情報を発信していくための場として設置されました。同時に、ともに映画美学校の講座であるアクターズ・コ…

『革命日記』の観察日記 その1

この日が、最後である。翌日から、稽古開始は13時。朝から晩まで彼らはみっちり『革命日記』に向き合うことになる。そうなる前の、最後の1日に、えいやと押しかけてみた。 稽古開始は19時。 三々五々集まってきた出演陣が話していたのは「ごはん問題」だ。…