映画美学校アクターズ・コース ブログ

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【講師リレーコラム】山田太一の脚本作品を観たことありますか?|松井周

アクターズ・コース講師陣によるリレーコラム企画、始めてみました。
現役作家である講師の方々に、今から始めたいあなたに何を渡しましょうか?というお題をお渡ししてみました。この道に入ったきっかけ、影響を受けた作品、ターニングポイントに必ず見ちゃうあれ、今すっげー気になるこれ!などなど、還ってきたボールを順番にご紹介しちゃいます。

初回は劇団サンプル主宰、演出家・劇作家・俳優の松井周さんです。ではでは、さっそくどうぞ〜!

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高校生の頃、山田太一のドラマを観て、その独特の文体というか、セリフのリズムにはまってしまった人は僕の世代やその上の世代の人たちにたくさんいると思います。あるいは、主題歌となるフランソワーズ・アルディジャニス・イアンの歌のアンニュイでダークな感じにやられた人も。

 

 ちょうど、脚本集も出ていたので、次から次に買っては何度も読み返したことを覚えています。口に出してみたりもしました。すごくしっくり来る、ほどよい噛みごたえの言葉たちなのです。『ふぞろいの林檎たち』『岸辺のアルバム』『早春スケッチブック』『沿線地図』『今朝の秋』『男たちの旅路』等他多数。

 なぜそんなに惹かれたのか?きっと、登場人物たちがかっこよくなかったからだと思います。一家の大黒柱ゆえの苦悩を抱えていたりとか、時代にあらがう反骨精神とかを持ち合わせている人はほとんど出てこないで、どちらかというと、大黒柱たろうとふるまいつつも失敗する父親や、時代にうまく乗れないでくすぶってる若者の茫然自失状態が描かれていることに惹かれたのです。

 誰もがどうふるまっていいのか、つまり、どう生きていけばいいのかわからずにオロオロしながら、時には良い方に、時には悪い方に傾いてしまうさまを描ききっているような作品ばかりなのです。高校生の僕は「え?大人もこんなに弱いの?こんなに困ってんの?」と勇気づけられました。

 まあ、だから、観たらいいのにと思います。そこから今の自分がやっぱりつながってると僕は感じるので。「どうふるまっていいかわからない→演技とは一体何だろう?」みたいなざっくりしたつながりです。あ、それと、山田太一の大学時代の親友が寺山修司だったということも僕には結構、衝撃でした。何かがビシッとつながったような気がしたのです。「演劇をやるべきではないのか?」という自分勝手なサインを受け取ったというか。そういうことをたよりにやっていくことってありませんか?
(松井 周)

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