映画美学校アクターズ・コース ブログ

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修了生トーク(7)古内啓子(1期高等科修了生)×中川ゆかり(1期高等科修了生)その3

その2から続いています。

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(脚本コース実習撮影中の一コマ。右は2期初等科修了生・栗田学武さん)

魅力の俳優、2

中川:私演劇の、1〜2か月稽古して公演する経験が少ないからか、稽古を積み重ねて準備していく俳優に憧れがある。

古内:熱量というか、蓄えられたエネルギーは見てるとわかるよね。

 

中川:そうそう。でもその一方でさ、違う強さの発揮の仕方もあると思う。例えば、 映画美学校映画祭で上映した『ゾンからのメッセージ』(鈴木卓爾監督/アクターズ・コース2期高等科修了製作)では俳優の魅力が一人一人すごく見える。多分技術的なこと以上に、有機的にその世界の中で生きてたことが存在感として映ってるように見えた。共演者だけじゃなく、とにかくそこにいる人たち、街とか人とか、あらゆるものと関係を結び続けることをしていたからだと思ったの。だからその場所にちゃんと存在できている。あともう一つ、一人ひとりが世界観をちゃんともってるように感じられて、それが強さとして見えたのかな。世界観っていっても大げさなことじゃなくて、自分が日常的にどう過ごしてるか。同じ出来事に対してもどう見るのかは一人一人違うじゃない? それがはっきりしてると説得力があるというか、言い過ぎかもしれないけど、生き様が映るというか。

古内:なるほど。

中川:逆に技術的にはしっかりしていて各部署が頑張ってても、それぞれのジョイントがうまくいってないと、全体でのダイナミズムとか映画自体の感情みたいなのがあんまり動いてないように感じるときがある。すごい感覚的な話だけど。プロジェクトそのものへの関わり方、俳優ができる領域ってカメラの前だけじゃなくて、その裏側や手前のことでもいくらでもあるよなって思う。

古内:絶対そう。全てとの関わりだよね、映画って。人もそうだし、環境に開いていくこともそうだし、ほんとにね。変わらないもんね、風も、物も、人も。つい俳優は自意識過剰になっていくけどさ、変わんないよなって。

中川:そうそうそう。

古内:絶対そうだよね。

中川:私もその感じがね、映画の好きなところなの。風景の中にたまたま動く人もいるだけでしかない。あらゆるものを均等に捉えるカメラがあることがすごく好き。

古内:うんうん。舞台で俳優が担う存在感との違いはある気がする。舞台の俳優が自意識過剰というわけではなく。

中川:時間感覚の違いもあるのかな。舞台では、俳優がリアルタイムで嘘をつくじゃない? 観客と、共演している人と嘘を一緒に持つというか。映像だとさ、見る人はその場で共演者やスタッフとついた嘘を後で受け取るじゃん。そのちょっと距離感がある感じも面白いよね。約束事が違う。最近は映像の現場で、その時間に一緒につくってる人(共演者、スタッフ)と同時に、まだ見ぬカメラの向こうの人(観客)を意識して嘘つくことをよく考える。ともあれ、舞台の、ダイナミックにお客さんと一緒に嘘をついていく、相乗効果みたいにその場にいる全員で嘘に乗っかっていく感じも楽しいんだろうなあって思いながらも、ひたすら均等に無慈悲に映される映画の感じもやっぱり好き!って。

古内:そうだよね。

中川:その前ではもはやどうしようもできない、みたいな。

古内:そうそうそう。

中川:あれ、たまんないわ。映っちゃう。

古内:そう、どうせ映っちゃうんだから何もしなきゃいいのに、何かしちゃうんだよ(笑)。

中川:その感じもね、面白い。何かしようとすることと、どうしようもできないことの狭間の感じの面白さ。あ、なんか乗馬みたいなものなのか。乗りこなす、乗りこなせない込みでそこにいる、みたいなのがやっぱり俳優やってても、見てても面白いとこなのかな。

古内:さっき言ってた舞台のワークショップでは、演出家さんが「俳優は危ないとこにいないと面白くない」って言ってた。

中川:危ないところ。言わんとすることは想像できるけど、そこに行くのってすごい怖いね。しかも、そこにはどうやっていくんだろう。

古内:どういうことなんだろうね。

中川:でも分かる気がする、言いたい感じは。そこ行きたいって常に思ってて、でも行けてないな。

古内:守りに入るなとかよく言うけど、守りってなんなんだろう。隠すことなのかな? 閉じてくことなのかな。

中川:無防備で、自分をそこにぶつけられるか。自分の体を投げ出せるのかみたいなことかな。この間、俳優として出演してる卓爾さんへの感想で「生き物みたい」って言ってる人がいたけど、それは無防備にそこにいるってことかね。

古内:いるんだよ、きっとそれは。

中川:そうだ、私前に卓爾さんに聞いたことあるんだよね、俳優の時ってどんなことをやってるんですかって。酔っ払いの会話だけど(笑)。一つには、与えられた状況を「今その状況だ」ってすごい必死で思うんだって。もう一つは、今まで自分が見てきた映画のシーンの記憶を引っ張ってくる、とか。

古内:なるほどね。

中川:山内さんが講義で言う、「他者を訪れる」みたいなことは考えたことないって言ってた(笑)。

古内:へー。そうなんだ。

中川:山内さんが出てるのを見ると、この人アブないなって思うよね(笑)

古内:何それ(笑)。

中川:サンプルの『地下室』で見た時の狂気が半端じゃなかった。そういう役だったけど、なんかそれ以上に一瞬にして場に緊張が走る感じが。山内さんもだけど、卓爾さんも危なさ常にあるよね(笑)。

古内:そうそう。どっちの言ってることもわかる気がするしなあ。どっちも危なくて魅力的(笑)。

 

今後の展望

中川:次に出演が決まってるものはあるの?

古内:脚本コースの実習撮影に出るよ。やっぱさ、何に出るかって難しいよね。

中川:出演作はどうやって決めてる?

古内:来た話全部やってた時期もあるんだけど、でもやっぱり脚本読んでやってみたいか、好きだなとかどっかで思えるものかな。ただ、そもそもの自分が楽しめる範囲の狭さも感じてて。その度に悩む。

中川:でも啓子ちゃんとか、出したいじゃんか。可愛くて芝居普通にできる女子には出て欲しいよ。

古内:なにそれ(笑)。

中川:語弊あるか(笑)。いやでもね、真面目に俳優として気にしてるよ。同期には良い仕事してほしいし、それで自分も驚きたいし、自分もそう思われたい。果敢にチャレンジする同期に刺激と喜びをもらう。

古内:そうだよね。フィクション・コース18期の『4:45 2nd chance』(三宅唱監督)、小田さんと由里恵ちゃんがいいよ。三宅さん、小田さんの魅力をすごく引き出してる。

中川:あ、見たよ。あれすごい面白かった! 小田さんかっこよさ発揮してたね。古川さん(古川博巳/アクターズ・コース1期高等科修了生)も「Acting in Cinema」って万田さん(万田邦敏監督)と西山さんのワークショップ出てたね。脚本コースの本読みとか貪欲に頑張ってるね。同期に無隣館に行った人たちもいる。啓子ちゃんはどこかに所属しようって欲はないの?

古内:あるある。そうしてかなきゃだめだよね、と思う。ゆかりちゃんは事務所に入ってやってこうっていうのはないの?

中川:ご縁があれば。私の場合は事務所に入る発想が最初になかったからなあ。あと、例えば川瀬陽太さんや木村知貴さんみたいに映画中心でもフリーランスの俳優さんたちに憧れと共感がある。強さや、自立して動くこと。大変さはもちろんあるんだろうけど。

古内:あー、なるほど。それもわかるなあ。

中川:そろそろまとめようかな。じゃあ、最後に展望をどうぞ!

古内:これからの展望は、演技したいし、映画でたいし、なんだろう、あと、喜びを持って生きていきたい。漠然としてるけど。

中川:楽しくいきたい、と。啓子ちゃんは何で喜べるの?

古内:やっぱり演技することじゃないかな。とにかく楽しい。

中川:それなんだね。じゃあ、どんどん機会を増やしていって。

古内:そうだね。

中川:いろんな人と会って。楽しみだね、これから!まずは『新しき民』と朝倉さんの新作が早く見たいな。

古内:ぜひ。ゆかりちゃんの今後は?

中川:危ないところに立つ(笑)。

古内:課題だね、それ。危ないところに立つ(笑)。

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(2015年7月渋谷某所)

 編集・構成:中川ゆかり 協力:古屋利雄