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特別座談会!「古澤健/永山由里恵/前原瑞樹/土田有未」【後編】

こんにちは! 『友情』応援隊のSです! 今回も特別編!

過去にナカゴーに出演したことのある古澤健さん(写真一番左)、永山由里恵さん(右から二番目)、前原瑞樹さん(一番右)、土田有未さん(左から二番目)による座談会後半戦の模様をお送りします!

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演劇初心者も玄人も唸るナカゴーの世界を、登壇者がご案内します!

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〜特別座談会・後編〜

 

永山由里恵(以下永山) 観客側で観ていた『ミッドナイト25時』の話になってしまうのですが、俳優の待つ場所ももう見せてしまうというのが…あの劇場の作りも…

 

古澤健(以下古澤) あそこ(331 Arts Chiyoda)は元々建物自体が学校で、その廃校を改造してギャラリーとかそういうのをやっている場所なんだよね。そう、それはだから言っていたよね、作る時も別に見えちゃっても大丈夫なようにというか、そういう様なことも言っていたし。

 

永山 見せてしまう。わざとじゃないけど、見せてしまうというのも面白いなと思って。

 

古澤 永山さんが出た『ノット・アナザー・ティーンムービー』の時ってさ、超能力使える役だったっけ?

永山 私は超能力をかけられて「あぁ〜」って失神するビッチな女子高生役でした(笑)。だいたいやっぱり超能力っていうキーワードは…

 

古澤 超能力と、あとスローモーション。

 

永山 そうそう、ありますね。「ナカゴーワード」というか(笑)。

 

土田有未(以下土田) スローモーション、そうですね。確かに。あと何がありますかね?

 

前原瑞樹(以下前原) でもこの間はスローモーションなかったですよね、僕が出た時。

 

土田 それはなかったですね。多分その時その時で鎌田さんがやりたいことっていうのがありますよね。 

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前原 この間は3本の短編をやって、1本目があって、2本目が全く違うやつをやって、3本目でその2つがくっつくみたいな。だから、凄く世界が急に広がるみたいなのがありましたよね(笑)。

 

土田 そうですね、確かに。全然短編といっても別物じゃないんですよね。

 

前原 そういうのも凄く面白かった気がします。

 

土田 全然違う役で出たりだとか。

 

前原 でも同じ役で出ている人もいるという。

 

前原 キャラクターがあり得なかったので(笑)。土田さん、『コーキーと共に』のキャラクターがもう。全員の印象が土田さんみたいな(笑)。町長という役で。

 

土田 顔がはじめて筋肉痛になって、鍼を打ちに…

 

古澤 それは変顔をして?

 

土田 そうなんですよ。ずっと変顔をして、ずっと眼を開けていて、コンタクトなんか取れちゃうんですけど(笑)。そんなことをやっていましたね、確かに。1本目は割りと普通の女性の役だったんですけど、その3本目でそもそも男性だし、おじさんの役で。

 

前原 おじいちゃんみたいな。

 

土田 あれは何て言ったらいいか分からないけれど、そうですね。でも鎌田さん、アテ書きをよくされるから、この人はよくこういうことを言っているとか、そういうのがセリフになったり。この人がこの顔をしているのがよくある、とかそういうのがありますよね。だからああいう顔をしているのかもしれない私、って思いました(笑)。

 

前原 僕も稽古中にずっと「前原くんホント面白い顔している」って言われていて、3本目の最後が出来上がった時に、急に俺の顔面白い設定が出てきていて(笑)。急に出てきてましたよね? 僕は1本目と3本目が同じ役だったんですよ。1本目は全く面白い顔とか言われていない。でも3本目で急に「この子面白い顔しているでしょ?」みたいなことを言われて。「お前ホント面白い顔しているぜ!」とか言われるという(笑)。

 

古澤 アテ書きね。そこで不思議だなと思うのは、『牛泥棒』を観に行った時にセリフか何かで「誰々に似ている」みたいな設定…

 

前原・土田 蒼井優

 

古澤 そうだ! あれが蒼井優に似ているっていう設定で、「この人をアテ書きしたのかな」と思っていたら、元々は初演の時は別の役者さんでやっていて、でもセリフはそのままでと言っていて。そういう不思議さっていうか、多分アテ書きはしているんだろうけど、でも他のキャストで再演しても出来ちゃうというか。

『ベネディクトたち』っていう演目があって、それを一昨年だったかな、ENBUゼミナールの修了公演だか中間発表だか、そういうENBUの子たちとやるというのがあって。主人公のベネディクトっていうのはナカゴーの篠原さんがいつもやっている役で、何回もナカゴーでやっている演目。本当にあれが好きで何回も観ているんだけど、ちょっとこれは篠原さん以外出来ないでしょ? と思っていたんだけど、「あれ、違う人がやってもベネディクトがいる!」と思って。f:id:eigabigakkou:20160221211735j:plain

古澤 篠原さんって身体ががっちりしてガタイの良い人で、正直ENBUの子、ひょろっとしていて、この子はベネディクトじゃないだろ! と思ったけど(笑)。でもちゃんと超人の役をやっていてね。あれは超人だったね(笑)。こんなにひょろっとした子を超人に仕立て上げられる演出家としての力が鎌田さんにあるんだなと。客として観てしまうと、ちょっとナンセンスな設定とか怒鳴っているとか、そっちの印象が凄く強いけど、細かく観ていくというか、だから役者として参加するとそこが体験出来るから面白いのかなという気はするかな。

 

永山 結構群像劇が多いじゃないですか。それでもやっぱりそれぞれの個性がちゃんと引き立つようにされている感じが、観ていても、実際やってもそう思いましたね。

 

土田 あとは自分が話したエピソードとかが。私『堀船の友人』で、凄いお酒の失敗をしたりだとか「私ホントダメだなー」みたいなセリフがあったりだとかして、で「アテ書きです」って言われて。

 

全員 (笑)

 

土田 結構鎌田さんと何回かやらせて頂いて、お酒の失敗談とかもよく話したりだとか。で、私は凄く根が暗いので、本当によく「ダメだ」とか言っているらしいんですよ。

 

古澤 うん、言ってますよ(笑)

 

土田 それをセリフにしたって言っていたのですけど、でも稽古中は「それじゃないよ。いつも言っているやつ」と言われるけど、凄く難しいのですよね。いつもの自分って分からないし、正解がよく分からなくなっちゃうというか。

 

古澤 もしかしたら、それがさっき言った鎌田さんが言う「描写じゃなくて」っていうのは、どうしても人が見ている土田さん像を自分で描こうとして、そうすると多分違ってきちゃうんだろうね。

 

土田 そうなんですよね。

 

古澤 本当にダメな気持ちで「ダメだ…」と言っている時の土田さんが見たかったんだろうね、きっと(笑)。

 

土田 「ほらよく言っているやつだよ」って言われても本当に難しかったですね。

 

古澤 だから見ているんだよね、やっぱり。こっちのことをいつも。

 

土田 凄く観察していますよね。

 

古澤 一緒に飲み会に行っても鎌田さん、ほとんど喋らないというか、黙ってお酒飲んでみんなのことを見ているよね。

 

土田 そうそう。凄い観察力だなって思います。

 

古澤 あと、鎌田さんが口立てで言う時とかしぐさとか、一番面白いんですよ(笑)。

 

永山 本当に鎌田さんの見本が一番面白い(笑)!

 

前原 悔しいですよね(笑)。だから頑張ろうと思いますよね。

 

土田 それはいつも思いますね。

 

古澤 鎌田さんがやると「ああ、そうなんだ」と思うけど、やろうと思っても出来ないよね。

 

前原 だからさっき言った、ゲロがないのにそれを踏む、みたいなやつは最初鎌田さんがやっていて凄く面白くて、それを女優の人がやろうとしたら出来なくて。この人全部難なく出来るんだ! と思って(笑)。

 

永山 でもそれが自然なんですよね。

 

前原 そうなんですよ。「ここ段取りだよ」みたいなことを言っていて。天才だと思いました(笑)。

 

古澤 そうね。あんまり心情のこととかは言わずに結構段取りで「こうしてこうして…」みたいな感じはあるよね。

 

土田 本人の見本が一番面白い説はありますよね。

 

古澤 ちなみに今度の『友情』って、『堀船の友人』のリメイクと言うかそういう作品になるのだけれど、『堀船の友人』をやった時の思い出とかってあります?

 

土田 これは30分くらいのやつだったんですけど、前半15分が私と川崎(麻里子)さんというナカゴーの女優さんの2人でずっとしゃべっているのですけど、最初大体台本通りにやっていたんですけど「セリフ、全部アドリブでいいから」と言われて。そこから逆に大パニックに陥ってしまって。同じ様なことを永遠喋っているんですよね。だから今はどこの部分だっけ、とか。セリフ通りじゃなくてアドリブで、と言われる方が非常に難しくて、もうゲネプロで飛んじゃって大パニックになっちゃって(笑)。もうあと1時間で本番ですよ、となって「ヤバい!」って思った…

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古澤 でもアドリブって『ミッドナイト25時』の時も確かあったけど、台本のここからスタートしてここに辿り着くみたいなのがあって、その中のある部分は特に台本に書いていなくて(アドリブで)埋める、みたいなのがあったじゃない? そういう感じのアドリブだったっていうこと?

 

土田 いや、一番最初の本当に10ページくらい、待ち合わせしてからのセリフはちゃんと全部あって、それ通りにやっていたら「多分アドリブでやっていた方が面白いし、僕が演出しない方が面白いから」と言われて、そこは二人でひたすら自主稽古して。同じセリフでも言い回しを自分の言い易い方に変更したり。で、気になったところだけ直してもらうとか。例えば決まった段取りとかは飛ばさないようにだとか。

 

古澤 段取りは凄く大事だけど、ある種のフレッシュさみたいなのが…

 

土田 それは凄く言われますね。ずっと「とにかく新鮮さを」ということで。凄く緊張しました。セリフ通りじゃなくても大丈夫って意識すれば意識するほど緊張しちゃって。そこが大変でした。後は、早替えですかね。前半終わって後ろにはけたら二人ぐらい待機していてもらって、一回全部脱いでやって、その間に転換のシーンがあるんですけど、転換のシーンもちゃんと作り込まれていて。でも「土田さんが来るまで永遠にやらなければいけない、何かあったら」ということだったので、そういうプレッシャーもあって結構緊張しましたね。

 

古澤 今思い出したけど、本番はじまってから、その時のダメ出しっていうか、返す(返し稽古をする)じゃない、その当日とか。その時に直していて、その時に「今のが70%くらいだから、本番はこれを絶対に下回らないように」みたいな言い方をするよね。

 

土田 「これが最低ラインだから」というのは。

 

古澤 「それより落とさないように」ってね。

 

前原 「常に今以上にやってもらわないと、絶対なあなあになっちゃうから」みたいな。「絶対それを追い越して行くつもりでやらないと毎回このクオリティにはならないですよ」みたいな。

 

古澤 その言い方が、凄く託されている感じがあって安心出来たかな。他の演出家がどうしているのか分からないけれど、ステージに上がる前に、はじまったら演者がやっていかなければならないから、託されているんだなという感じは凄くあった。

 

永山 さっきの新鮮さを保つという意味でも、本番中も返し稽古をして、それでセリフを変えたりとか無くしたりとか動き足したりとか私の時は結構していたんですけど、やっぱり皆さんの時もされていましたか。

 

古澤 だから、さっき言った土田さんのアドリブじゃないけれど、僕の時は何でもない絵をトリックアートだと言い張って、で、トリックアートじゃないんだよっていうところは、あそこは「言いやすいように言って」って言われていて。でも本当に舞台とかやったことないから台本通りに覚えた方が安心だけど、喋っているうちに「あれ、俺何か今全然関係ないこと言ったな。どう着地させよう?」と思ってドキドキしながら毎日毎日舞台に立っていて。あれは凄く怖かったけど、求められたらやるしかないなって。

 

土田 よく「お客さんに負けないで下さい」とか「怯まないで下さい」とか鎌田さんは言いますね。あとは回が重なるに連れて「評判とか、それを聞いて期待値が上がっていくとか、そういうのは一切気にしないで下さい」っていうのは言いますね。

 

古澤 稽古場の時に鎌田さんがOKを出した時のこっちのテンションとか、それをちゃんとそっと本番にも持ってくるようなのは感じられたかな。でも、舞台立つと本当に見えるんだね。俺が出た時はさ、一番最初の回に知り合いが最前列に座ってて。

 

永山 見えたんですか?

 

古澤 見えたというか、俺がとちった時に「あ、とちった!」という声が聞こえて。

 

全員 (爆笑)

 

古澤 「聞こえてんだよ!」と思いながら。

 

土田 特にまた小さい所でやるから、客席と距離が近くて。桟敷席とかも、もう本当に当たらないように気をつけて、という。凄く緊張しますよね。そう、分かるんですよ、なんか。

 

古澤 でも、自分なりにやり切ったから。

 

全員 (笑)

 

― 私(四方/映画美学校事務局、本インタビューに同席)も『ミッドナイト25時』を観させてもらったんですけど、古澤さんがトリックアートのことを言っていたじゃないですか。あれは毎回変えていたのですか?

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古澤 大体言っていることは、細かいのは忘れたけど「これ見て何か感じる?」とか言って、それに返って来たセリフに(指をパチンと鳴らし)「それがトリックアート!」ってところまでは大体決まっていて。その後は「山があるように見えてどうのこうの」「しかしそんなことはない」あそこのところはアドリブっていうかいい加減なことをずっと言っていたかな。

 

永山 それは台本に、それこそここからここまで、とか書いてあったんですか?

 

古澤 いや、一応最初はセリフが書いてあったんだよ。多分、さっきの新鮮さの話じゃないけど、何回か稽古をしているうちに鎌田さんなりに「あ、こいつセリフ覚えたらその通りにやってくるな」って思われたんじゃないかな。だからそういうプレッシャーというかハードルを設けられたのかなという気はするかな。

 

土田 そうですね。セリフ通りにやると面白くないだとか、演出つけない方がここはいい、とか凄くはっきりしていたりしますね。だから凄く細かい所は細かいけれど、全然つけない所も結構あるから、役者としては逆に怖い。

 

永山 ああ、確かに。つけられなくても怖いし。

 

土田 そうそうそう、そうなんですよ。

 

古澤 四方さんはなんでそこが気になったんですか?

 

― 私も一番最初に観た時に、凄くアドリブっぽく見えるけど、この人は凄く緻密な人なんだというのは思っていて。緻密だからこそアドリブを、というのは結構ビックリしたんですよ。全部さっきの叫ぶ所とかじゃないけど、このタイミングでこのセリフを言ってとか、そういうことを作っている人がいきなりポンっとここはアドリブで、と任せちゃうことって、結構凄いじゃないですか。

 

古澤 でも、なんだろう、トータルで役者のテンションを、どうしたらこの人のテンションは維持出来るかなっということは凄くあって。自分の場合はよく言われたのは「もっと前に出て」みたいなことを言われて。どうしても自分では大きい声を発しているつもりでも「もうちょっと広い空間のつもりでやって下さい」とか。

あと後々分かったことなんだけど、最初会った時どういう印象でした? と聞いたら「古澤さんて眼を合わさない人ですよね」って言われて。しょっちゅう稽古の時も本番の時も言われたのが「古澤さん、ちゃんと眼合わせてます?」って。「ちゃんと相手の眼をしっかり見てセリフを言って下さい」って。そういうところは、この人は放っておくとそういう風になって内に籠りがちだから、ちゃんとそこを修正しないとテンションが上がっていかない、みたいな、そういう所をきちんと見ていたりするから、そういう意味でこの人にはそういうハードルをちょっと上げて、緊張感を与えないと芝居全体のテンションが、そのシーン・お芝居だけじゃなくて、全体のテンションとかも落ちるからこうしなきゃとか、そういうのもあるのかという気はしたかな。

だから、ね、俺もこう、芝居上で土田さん持ち上げたりだとか、ああいう肉体的なことは結構要求されるのかなっていう。寝転がっているのをそのままお姫様抱っこしたりだとか。あそこは見ていた友達はみんな緊張してたって。出来るのかって。

 

全員 (笑)

 

土田 あれ考えましたよね、結構。どうしたら持ち上げやすくなるかとか。

 

古澤 ある種の、劇作全体としては緻密だけど、同時に役者それぞれにどう負荷を与えたらその人が一番ベストを尽くせるのかっていうことはよく見ている人なのかなって気はするかな。

 

― それって他の演出家はどうなんでしょうか?

 

古澤 それはみんなに聞いてみて。俺は鎌田さんくらいしか知らないから。後は千木良(悠子)さんしか知らないから。

 

永山 でもご自身も俳優をやっていて、役者としてもたまに出られるっていうのもあるんですかね。役者はどうしたら動きやすいかとか、どう言ったら動きやすいかとか、普通に考えていらっしゃるのかなって。

 

前原 (平田)オリザさんは、役者へのダメ出しは、全部役者がこうしたいだろうという気持ちを汲み取ってやっていると言っていて、言われたらみんな「ああ、凄い、そうだったんだ」みたいになるのですけど、それに似たことですよね。役者がどうやりたがっているかとか、どういう方向で行きたいかをちゃんと鎌田さんなりに多分考えてやっていて、その人に当てはまることをやろうとしている。でも多分違ったら「違う」って言えるというか。そこが凄く潔いし、しっかり信頼出来るなって。 

 

古澤 そうね。最初に言ったでんぐり返しが出来なかった時は、もしかしたら計算で言ったのかなって今の話を聞くと思うけれど。「すみません、古澤さん普通のおじさんなの忘れてた」って言われて、それでももの凄く「絶対にやってやる!」って思って(笑)。

 

全員 (笑)

 

土田 やっぱりそれも観察して、この人はこういう人だからこう言ったらやる気が、とかあるんだと思いますね。他の演出家さんと違う所は…あんまり気持ちのこととかは言わないですよね。感情論とかそういうところはないですよね。

 

前原 どう見えるかを凄く大事にしている気がしますよね。

 

土田 その鳥の話とかも「鳥だから鳥らしくやらなくていい」っていうのとか、「鳥だとかそういうことは、鳥は気にならないわけだから」とか。

 

古澤 そうそうそう。だから、そこはね、本当に難しいよね。さっきの割れたガラスとかもそこでガチャーンっていう効果音とお芝居だけでやるんだけど、そこは凄く丁寧に、方向性とか、ここは構造がこうなっているからこういう動線で行かなきゃダメとか、そこは凄いダメ出しみたいなのがある。家の中の構造とかも。

 

永山 壁がなくてもってことですか?

 

古澤 そうそう。ドアノブをガチャッと開けて、閉めて、でもその閉め方とかはどうでもいいのだけど、ここは壁があってこう行ってこう行かなきゃいけないから、ここまでは絶対に向こう(側にある物・人)に気付いていないから、お客さんにはただの素の舞台なんだけど、やっているこっちはここではじめてリアクションをするとか、それは何回もやったし、あとは逆に、下見をして実際に舞台の寸法を計ってそれに合わせて稽古場でバミったら思っていたよりもその空間の感じが違っていて、ちょっと悩んでいたんだよね、鎌田さんが。布団の位置とかがちょっとこれだとアレだからみたいなのを凄く悩んでいたし。鎌田さんなりにそういうところをきちんと積み重ねるとお客さんからはこう見えるんだという計算が非常に細かくあるんだなっていう。

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― 前原くんがナカゴーに出た時に、アクターズで習ったことを思い出した、みたいなことを言っていたというのを聞いて。それって具体的にどういうことだったんですか?

 

前原 この間兵藤(公美/青年団)さんと話したんですけど、もう兵藤さんは映画美学校でやっていないらしいんですけど、不条理みたいな、ナンセンスの台本を一回だけやったことがあって。翼が生えているみたいな。もちろん生えていないんです。でも、二人芝居で「あれ? どうしたの? 急に生えて来てるじゃん!」「おお、生えてきた!」みたいな台本があって、それをやった時のウソを楽しむっていうか。

でもこっちはそれを凄く細かく作っていってもの凄く大きなウソを作っていくし、その作っていく過程っていうのを兵藤さんの講義で2回くらいやったことがあって、それが凄く面白くて。今までやってきたことはリアリズムっていうか、いわゆるオリザさんの台本とかそういう演劇を講義でずっとやって来たけど、それも全然違う台本に生かすことが出来るっていうか。そういうことをやっていたのを思い出しました。忘れていたけど(笑)。

 

全員 (笑)

 

前原 こういうことだったんだ、みたいな。偏ってないというか、全部使えるというか。やっぱり細かさなのかなっていうか。

 

古澤 きっとそれは演出家との出会い方が幸運というか。分からないよね。自分が、学校だけじゃなくて培って来たものって本当に応用出来るのかどうかって、やってみないと分からないことがあるし。後から色々な局面でパッと思い出すことっていうか、そういうのがあるから。だから最初からこれはこういう場面で役に立つから、という風に勉強するわけじゃないんだけど、やっておくと後で「ああいうことやっておいて良かった」って。

 

前原 ふと思い出しましたね。楽しいですよね、その、楽しみ方とか。あり得ないことをあるっていうこととか。それを作り上げることが面白かったですね。兵藤さんもその講義、忘れていたみたいですけど。「そんなのやった? もうやってないわ〜それ〜」みたいな。

 

全員 (爆笑)

 

前原 小さいことだけど、思い出しましたね。確かに、別にいつ役立つとかのために勉強しているわけじゃなくて、いつかふと思い出す瞬間があったら楽しいですよね。

 

古澤 それは凄い感じるかな。逆に俺はもう思い出せないから。映画美学校で何を勉強したんだっけなって。もう覚えてないからさ。

 

全員 (笑)

 

古澤 そう言えば『堀船の友人』の出だしって、最初観た時ナカゴーぽくないっていうか、ちょっとあるあるコントっていうか、女子二人のこういうのあるよねという会話劇、みたいなのをやるのかなと思ったら、店長出て来たら、あ、安定のナカゴークオリティっていう(笑)。

 

土田 多分やっぱりそれはアドリブだったから「いつも土田さんと川崎さんが喋っている距離感をやりたい」ということだったのでそれで。あれは確かに後でビデオ撮ったものを見ても、何かいつもと違う感じがするなと思って、凄く恥ずかしかったです。

 

全員 (笑)

 

土田 今回の『友情』を観ても多分落ち込むんだろうなと思って。

 

古澤 あ! それはちょっと聞きたいんだけど。

 

土田 もうダメ過ぎさ加減というか、川崎さんとも「これ絶対観たいよね」と言っていて「でも観たら観たで自分のポンコツ具合に落ち込むんだろうね」みたいな話をしていて(笑)。

 

古澤 自分のやった役を人がやるのってどうなの?

 

土田 だからそういうのがはじめてなので、ちょっと観てみてどういう気持ちになるのかなって。でも多分9割落ち込むんでしょうね。

 

古澤 その時の「ダメだ」っていうのが、鎌田さんが聞きたい「ダメだ」なんだよ(笑)。

 

土田 そうか! そうですね(笑)。楽しみですね、凄く。30分が70分になるって凄いですよね、2倍だから。

 

― 稽古は、叫び声をはじめエラいことになっていました。楽しそうでしたよ。85~90分くらいになりそうみたいで。

 

土田 凄い。

 

― みんなもつのかしら…

 

古澤 そうね。この間の舞台で前原くんは叫んだ?

 

前原 でも意外に叫ばなかったかも、ですね。殴られたりする時に「ああ!」とかはずっと言ってましたけど。

 

古澤 永山さんは叫んでたっけ? 大丈夫だった、喉?

 

永山 叫んでました。喉は全然。私は超能力をかけられて「あぁ〜!」って失神するだけなので(笑)。

 

全員 (笑) 

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永山 でも、本当に度胸はつきました。ちょっとやそっとのことは大丈夫、みたいな(笑)。下ネタも白眼剥いて叫ぶのもどんっと来い!みたいな(笑)。

 

古澤 今思い出したけど、前に映画美学校で『イヌミチ』という映画を作ったんだけど(2014年公開のフィクション・コース、脚本コース、アクターズ・コースの3コース合同で制作された、万田邦敏監督作品)、現場に一回行った時に永山さんが凄く落ち込んでいて。

 

永山 そうでしたっけ?

 

古澤 2回か3回目くらいでOKが出たカットがあって、合間に永山さんを見たら凄く落ち込んでいた。「どうしたの?」って聞いたら「絶対万田さんに妥協させちゃった…」って答えて。

 

永山 そんなことありましたっけ(笑)。

 

古澤 あぁ、やっぱり、人って図太くなっていくんだな。

 

全員 (笑)

 

永山 やっぱりそれがあったから、ナカゴーに出たからなんですかね。それも忘れるというのがまた更に図太くなってますね。

 

全員 (笑)

 

永山 でも本当にナカゴーに出られたのはいい経験でしたね。

 

― ちなみに今回の『友情』は日替わりゲストがいて…

 

古澤 俺はいつ出るの?

 

全員 え!

 

― 3/3(木)の初日です。

 

古澤 じゃあ出て、そのままアフタートークもやるってことね。

 

全員 古澤さん、出るんですか!?

 

古澤 日替わりで、四方さんも出るんだよ。

 

全員 えぇー!! どういうことですか!?

 

前原 じゃあずっとあの裏で待機しているってことですか。それが一番キツいですよ。

 

古澤 (笑)

 

永山 (アトリエ)春風舎の。

 

前原 トイレとか行けない(笑)。

 

― あとは松井(周/サンプル主宰)さんと、鈴木智香子(青年団)さんと、しらみず圭(アクターズ・コースTA)くんと、市沢(真吾/映画美学校事務局員)さん。

 

永山・前原 面白そう!

 

古澤 チョイ役が一番実は難しいんだよ。難しいというか、この間今回出演する受講生と短編映画を撮っていて(※カリキュラムの一環として短編映画の監督を古澤は担当している)、どうしてもカフェの店員が必要だったから「じゃあ俺、出るわ」と言って出たんだけど「かしこまりました」が言えなくて。

 

全員 なんで(爆笑)

 

古澤 自分の人生の中で「かしこまりました」なんて言ったことがないから(笑)。バイトもずっと肉体労働だったし、人と話すのがイヤだったから、そういう用語ってあるじゃない。「いらっしゃいませ」とか。そういうこと一回も言ったことがないから、軽い気持ちでやるよと言ったら「かしこまりました」で詰まって、最後水を置いて黙って頷くでいいかなって。まぁ自分が監督だから「うん、いいよ」と自分でOK出してやったんだけど(笑)。ああいうのはね、ハードル高いというか、難しいなぁってね。

 

全員 ああ。

 

古澤 ちゃんと世界観があって…

 

永山 そこに入って行かなければならないわけですからね。

 

古澤 ね。「役」だったら、例えば友人とかそういうのだったらアレだけど、喫茶店の店員で「いらっしゃいませ」って水を置いて「かしこまりました」っていうあれが言えなくてね。みんなOKなんだけど自分のせいでずっとNGで。

 

全員 (笑)

 

古澤 大変だなと思ったな。

 

永山 じゃあそれも楽しみですね。

 

古澤 いやいや、そこは編集でカットしているから大丈夫だよ。絶対俺、後ろの方にいるだけだからさ。

【了】

 

2016年3月3日[木] - 3月6日[日]

映画美学校 アクターズ・コース 2015年度公演 『友情』

作・演出:鎌田順也(ナカゴー) 原案『堀船の友人』

 

出演 秋本ふせん 奥崎愛野 川島彩香 菊地敦子 佐藤 岳 綱木謙介 戸谷志織 トニー・ウェイ 豊田勇輝 深澤しほ 渕野実優  的場裕美 連 卓也 山田雄三 (映画・演劇を横断し活躍する俳優育成ワークショップ)

【NEW!】<日替わり出演>
古澤健(3/3 19:00) 松井周(3/4 19:00)
しらみず圭(3/5 14:00) 鈴木智香子(3/5 18:00)
四方智子(3/6 14:00) 市沢真吾(3/6 18:00)

 

【NEW!】応援コメント随時アップ中! 

映画美学校 | アクターズ・コース2015年度公演『友情』応援コメント

 

公演日程 2016年3月3日[木] - 3月6日[日]

3日(木)19:00★

4日(金)19:00★

5日(土)14:00/18:00

6日(日)14:00/18:00 ★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

*受付開始は開演の40分前、開場は開演の30分前。

*演出の都合上、開演後は入場をお待ちいただくことがございます。

 

【NEW!】アフタートークが決定しました!
★:終演後に、作・演出の鎌田順也とゲストによるアフタートークを開催いたします。〔30分程度を予定〕

3月3日(木)19:00
トークゲスト:九龍ジョー(ライター/編集者)、古澤 健(映画監督)
3月4日(金)19:00
トークゲスト:松井 周(演出家/サンプル主宰)、山内健司(俳優/青年団)、近藤 強(俳優/青年団

 

チケット

予約・当日共

一般 2,300円 学生 1,800円

*日時指定・全席自由

*未就学児童はご入場頂けません。

 

チケット予約 ⇒ 友情 予約フォーム

会場:アトリエ春風舎

〒173-0036 東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1

東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原駅」下車 4番出口より徒歩4分]