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2016年度オープンスクール・体験レッスンレポート② 6/29「なじむ」松井周

6月29日(火)、映画と演劇を横断し活躍する俳優養成講座第2回目のオープンスクールが行われました。担当講師は俳優であり、作・演出家でもある松井周さん。今回のテーマは「なじむ」。なじむ、とは一体どういうことなのか?松井さんの講義を少し体験していただきました!

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お芝居は、基本的に他人の言葉をしゃべります。現代口語劇の場合、普段話している言葉に近いので、何気なく発することができるかもしれません。しかし、あくまでそれは脚本家など自分以外の誰かの書いた言葉です。では、自分の言葉であるかのように、なじませるにはどうすればいいのか。普段はどのようにして、言葉になじんでいるのか。
個性や味といったものは、もしかしたら「才能」と呼ばれる、人から教えてもらうことのできないものかもしれません。しかし、「なじむ」ということは、才能とは関係ない技術であると松井さんは話します。普段やっていることを、意識的にどれだけなじませてできるか。俳優は基本的には「なじむ」ことができていれば、技術として通用すると言います。

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言葉と言っても、セリフのことだけではありません。例えば、今この記事を読んでくれているあなたは、どんな環境にいるでしょうか?パソコンの前でしょうか?スマートフォンを持っているのでしょうか?どちらにしろ、画面から出る光を感じているはずです。キーボードやスマートフォンの固くて冷たい感触を感じているかもしれません。そのように、空間には光・温度といった五感で感じる言語が溢れています。脚本にはセリフと動作などを表すト書きが書かれているだけですが、実際はそういったあらゆる言語が訴えかけてくる中で芝居をします。もちろん、設定上の環境と実際に置かれている環境が異なることもあるでしょうから、時には邪魔になることもあるかもしれません。しかし、それらを遮断するのではなく、取り入れることで、その空間になじむ助けになることもあります。

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さて、前置きが長くなりましたが、この日最初に行ったエクササイズは、2人組になって、1人が目を瞑り、もう1人が声のみでスタートからゴールまで誘導するというもの。スタートとゴールの間には椅子をランダムに配置し、それらに当たらないように進まなくてはいけません。これ、昨年の松井さんの講義でも行ったのですが、誘導するのが思った以上に難しい。「ちょっと右」と言っても、人によって「ちょっと」の基準は違います。また、誘導される側は不安でいっぱい。視覚が使えない分、ほかの感覚が敏感になっています。誘導する側は、その不安を解いてあげられるような声がけも大切です。コミュニケーションの難しさを感じさせられるこのエクササイズ。角度などの数値で的確に指示をする人や、優しく呼びかける人など、ペアによって方法も様々でした。
すべてのペアが終わった後、松井さんがこのエクササイズにタイトルをつけるならどうする?とみなさんに問いかけました。「線になるまで」「声ラジコン」などユニークな回答がたくさんあげられます。松井さんは「親子」というタイトルをあげました。タイトルがつくと途端に、先ほどの2人のやり取りに物語が見えてきませんか?ここで何かが起きていて、登場人物が必死でコミュニケーションしている。そこにタイトルをつければ、それでもう演劇だと松井さんは言います。

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次に行ったのは、有名な古典戯曲、アントン・チェーホフの「かもめ」のテキストを、今までの人生で使ったことのある言葉に変換して話す、というもの。国籍も時代も異なるこの戯曲に書かれている言葉は、普段話している言葉とは程遠いものです。それを慣れ親しんだ言葉で話し、与えられた状況を成立させていきます。最初はぎこちなかった長い独白も、相手が相槌を打ったり、言葉を補うことで、友達同士の会話のように見えてくるので不思議です。また、抽象的な表現をどのような言葉に変換するかで、その人の解釈が見えてくるのが興味深かったです。実際の現場でこのようにセリフを変換するわけにはいきませんが、なじんだ言葉でやり取りをした時に動いた感情を、自分から遠い言葉に戻した時にも持っていることができれば、シーンを成立させる助けになるかもしれません。

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松井さんの講義では、今回体験していただいたような「なじむ」ということに加え、受講生それぞれの味や個性を引き出してあるシーンを作るといったことも行います。講義の内容について詳しく知りたい!と思った方は、ぜひ募集ガイダンスにお越し下さいませ~!

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映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座
〜演技を通じた新しいクリエーター創出を目的とする〜
募集ガイダンス7/9(土)14:00〜
受講生出演作品上映会7/9(土)19:00~
映画演出ワークショップ7/17(日)13:00〜 開催決定!
http://www.eigabigakkou.com/course/actors/outline/