映画美学校アクターズ・コース ブログ

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【オープンスクールレポート!】5/21(日)動く・俳優~ビュー・ポイントって?

今回は5/21に行われましたオープンスクールのレポートをお届けします!

ご担当は講師である俳優の近藤強さん。近藤さんはアメリカでの留学を経て、現在青年団の公演を中心に活躍されています。今回のオープンスクールでは実際の講義でも行っているビューポイントの体験として、3時間みっちり行われました。

レポートを書いてくださったのは、映画美学校フィクション・コース修了生である、映画監督の内藤瑛亮さん。内藤さんは現在ワークショップを行いながら映画を作るプロジェクトを行っています。

www.yurusaretakodomotachi.com

内藤さんもこの映画のためのワークショップを行う際、近藤さんにご相談され興味を持たれたそうで、今回参加していただきました!

それではどうぞ!

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近藤強さんによるアクターズ・コースのオープンスクールに参加しました。

僕は役者ではなく監督なのですが、『許された子どもたち』という新作のワークショップを行った際に、近藤さんから有益な助言を頂き、興味を持ちました。オープンスクールを開催すると聞いたので、受けることにしたのです。

今回体験したのは、「ビューポイント」という俳優/パフォーマーのトレーニングです。詳しい解説は下記をお読みください。

http://eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp/entry/2017/05/10/162050

 

ここでは実際にどういった体験をしたのか、綴っていきます。

先に感想をお伝えしておくと、とても楽しかったです。演技トレー二ングといっても、言葉は用いず、ひたすら体を動かし続けたので、演技が出来ない自分も取り組みやすかったです。内面を考えず、外面的な動きを試行錯誤していくことで、発見も多くありました。

ビューポイントの正しい解釈になっているかどうかは自信ないですが、いち体験者のレポートとしてお読みください。

まず決められた空間を数名が歩きました。空間内を等しい距離感で埋めることがルールとなります。隙間が空かないように、周囲を意識しながら歩かなければなりません。ただし、慌てて走るのはNGで、客観的には「ただ歩いているだけ」と受け取れるように動かなければいけません。「自然に歩く」というアクションは単純ですが、非常に難しく感じました。

「2人の間をすり抜ける」というアクションも加えたパターンも行いました。

 

次に空間内を歩きながら、「近づく」「離れる」「等間隔に位置する」というアクションを行いました。参加者が対象を自由に設定し、「その人に近づく」「その人から離れる」「ある2人と等間隔の位置にいる」という動きをします。近藤さんが手を叩くたびに、対象とアクションを変更していきます。即時に決定することが迫られます。

アクションとしては難しくなかったのですが、すぐに決めなければいけないのが大変でした。近藤さんは「決めること」の大切さを説明しました。俳優はどの対象に、どんなアクションを起こすのか、即時に決定しなければいけません。これはその瞬発力を養う訓練になっているのです。

 

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続いて5人が一列に並び、1人ずつ好きなテンポで歩きました。そして5人が同時にゴールラインに達することを目標としました。

ゴールラインに達すると、引き返し、スタートラインとゴールラインを往復します。ですが、自分の好きな時に引き返すこともできます。最初に決めたテンポは決して変えずに歩きます。5人のテンポは異なるので、「どこで引き返すか」が重要になります。他者のテンポを意識しながら、その決断しなければいけません。他者の動きを受けて、「反応すること」が求められます。

体験していて、感じたのは自分の視野の狭さです。自分以外4人のテンポを把握することがなかなかできませんでした。演じているときに、複数の他者の芝居を把握することの困難さを体験できました。

結局、すべての組が成功しませんでした。

 

今度は5人が歩くことで一つのパフォーマンスをつくりました。テンポを変更することは各自の自由とし、「止まる」「倒れる」というアクションを加えました。

例えば5人のうち、2人が同じテンポで歩くことも一つのパフォーマンスとなります。5人がⅤ字型に止まったり、誰かが倒れることをきっかけとしてテンポを変更したり、様々なアプローチが試みられました。

事前に打ち合わせすることはできません。各自が動きながら、他者の動きを意識して、自分の動きを決定します。ここでも「決めること」「反応すること」ことが重要となってきます。動きによって他者とコミュニケーションする場となっているのです。

5人が演者となり、それ以外の参加者は観客となります。演者は観客の視線も意識しながら、動くことになります。

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印象的だったのは、5人が全員止まった場面です。「最初に誰が動き出すか」ということに演者も観客も意識が集中します。全員が止まり、沈黙している「間」は、演者と観客で体感時間が異なりました。観客より演者のほうが長く感じます。演者には「こんなに止まったままでいいのか」という緊張があります。演者が制止を解除して動き出すと、観客は「もっと長く止まっていても良かったのに…」と感じることが多かったです。

演者同士のコミュニケーションだけでなく、観客とも無言のコミュニケーションが行われているように思いました。

 

碁盤目をイメージして歩くことでも、パフォーマンスをつくりました。

碁盤目は各自がイメージして歩きます。歩くテンポは委ねられています。参加者もだいぶ慣れてきたので、動きによるコミュニケーションもだいぶ活発に行われてきました。

あるグループでは一人が「すり足」をすると、それが伝染していくように連鎖していきました。動きの一体感は気持ち良く感じられ、またその一体感が崩されることも別の気持ちよさがありました。

別のグループでは一人を除く演者が壁際に一列に並びました。壁と演者によってトンネルが形成されました。残り一人がそのトンネルを通過した動きが非常に気持ちよかったです。これは観客側の期待が高まり、それを演者が受取ったような動きでした。

 

最後に演技も行いました。しかし言葉は用いません。動きだけです。

Aが椅子に座っています。その部屋へBがドアを開けて入ってきて、座ります。するとAは立ち上がり、ドアを開けて部屋を出ていきます。

非常にシンプルな動線が与えられます。この動線で歩くテンポは演者が自由に決定していいです。

またAとBはそれぞれ好きなタイミングで相手を一度だけ見なければいけません。

「テンポ」「視線」のみで演じます。座り方や表情といった部分で演じることはNGです。

限定された動きしか与えられませんが、この2点だけでもさまざまなバリエーションが生まれます。

演技が終わったあと、観客に意見を求めます。二人はどのような関係性に見えたか。「ダブル不倫している夫婦」「憎しみ合っている姉妹」「ストーカーと狙われた相手」「暗殺者とマフィア」といった意見がありました。演者は役作りをしていないのですが、「テンポ」と「視線」だけでも関係性は浮かび上がってくるのです。

外面的な動きだけで、内面が生まれているように感じられて、はっとしました。

 

以上でオープンスクールは終了しました。

短い時間でしたが、非常に充実した体験をすることが出来ました。

近藤さん、ありがとうございました。

 

内藤瑛亮(映画監督/『ライチ☆光クラブ』『ドロメ』)

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アクターズ・コース 映画と演劇を横断する俳優養成講座2017 9/4(月)開講!

講師による詳細なカリキュラム説明を行う募集ガイダンス:7/22(土)14:00からです。7月もオープンスクールを予定しておりますので、決定次第ご案内いたします!

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