映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

総合プロデューサー暇つぶし雑記(その1)/井川耕一郎さんより

今回は映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017」主任講師である井川耕一郎による総合プロデューサー暇つぶし雑記(第1回)をお送りします!

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フィクション・コースの講師として長年映画美学校に携わって来た井川さん。

その井川さんがアクターズ・コースの主任講師として、新鮮な目で受講生を見守っていた記録──

それではどうぞ!

 

 

 映画美学校アクターズ・コース2017年度公演『S高原から』(作:平田オリザ、演出:玉田真也(玉田企画))のチラシを手に取ってみると、裏に「総合プロデューサー:井川耕一郎」とある。

何とも偉そうな肩書だけれど、はっきり言って閑職なのだ(責任が問われるような重大事件が起きれば、話は別ですが、まあ、そんなことがないことを祈ってます)。

というわけで、修了公演の稽古のことや、アクターズ・コースのことなどを暇つぶしに書いてみようかと思う。

1月27日(土)。

13時すぎに映画美学校の地下スタジオに行く。この日は自主稽古で、アクターズ・コース生がほぼ全員そろっていた(講師の兵藤公美さん(青年団)も参加)。

そうだ、演目の『S高原から』について簡単に説明しておこう。

劇が進行する場所はサナトリウム(療養所)の面会室で、そこでの患者や見舞い客などのやりとりを描いたもの。

患者たちの病気については、まだ治療法が見つかっていないこと、突然、重症化して死に至ることくらいしか分からない。お客さんは、かつての結核エイズを重ね合わせて見ていたのではないか(劇中、感染はしない、と言っているけれど)。3・11以後の今だと、そこに被爆のイメージが付け加わるかもしれない。

ちなみに、初演は1991年だそうだが、今回使うのは2004年版上演台本。

13:20にホン読みスタート。

平田オリザさんの台本の書き方は独特だ。

稽古のときを考えてなのだろうが、内容や誰が舞台に登場しているかなどで、「1・1・1」、「1・1・2」、「1・1・3」……というふうに細かく57のパートに分割されている。

さらに、「/は、そこで台詞が断ち切られます」、「▽は、舞台そでで言い始める台詞」、「▼は、舞台そでに入ったあとに言い続ける台詞」というふうにさまざまな記号が多用される。

芝居の設計図としてはとても正確なのだが、その分、読みづらい。

一番やっかいなのは、「同じ数の☆印を同時に読んで下さい」、「★は前の台詞の途中から重なるように読んで下さい」というような複数の役者が同時に話しだすところだ。

ホン読みを横で聞いていて--というか聞き取れなくて、ええっと、今、誰と誰が何を話しているんだ?と分からなくなるときがあった。

実際、アクターズ・コース生も5、6人が同時に話すときにはうまくいかず、ホン読みを止めて、ここはもう一回、とやり直していた。過去に演じたことがある兵藤さんも、『S高原から』ってこんなに同時多発会話があったっけ、と驚いていたくらいだ。

(同時多発会話とよく似た試みをしている映画監督というと、ロバート・アルトマンになるけれど、一体、どんなふうに演出していたのだろう?)

途中休憩を入れて、14:50にホン読み終了。

アクターズ・コース生たちから、同時多発会話が難しかった、という感想が出る。それに対して、兵藤さんは、ホン読みだから難しいのであって、実際に体を動かして演じてみると、なんとかなる、と答えていた。

それから、台本を読んで疑問に思ったことを話し合い、29日(月)の稽古初日に演出の玉田真也さんに訊こうということになって、17時に自主稽古は終了。

学校に来る途中、上野のアメ横に寄って買った差し入れのドライフルーツはもうほとんど残っていなかった。一週間くらいはもつだろうと思っていたのだが……。アクターズ・コース生は恐ろしいくらい実によく食べる。

夜、恵比寿でホッピーともつ焼き。その後、スコリモフスキ『早春』をワインを飲みながら見る。大学のときに山田宏一の批評を読んでどうしても見たかった映画。この年になって、やっと見ることができた。学校を出る直前に、アクターズ・コース生の那須愛美さんが「『早春』、よかったです」と言っていたが、たしかにそうだ。

大人たちがあんなに発情している環境に放りこまれたら、そりゃ、少年は暴発してしまうだろう。切なくて滑稽。それにしても、ジェーン・アッシャーが婚約者と見る性教育映画が気になる。あまりにくだらないあの映画もきちんと見てみたい。タイトルは何というのか。 

 

 

井川耕一郎(映画監督・脚本家)

1962年生まれ。93年からVシネマの脚本を書きはじめる。主な脚本作品に、鎮西尚一監督『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(94)、常本琢招監督『黒い下着の女教師』(96)、大工原正樹監督『のぞき屋稼業 恥辱の盗撮』(96)、山岡隆資監督『痴漢白書10』(98)、渡辺護監督『片目だけの恋』(04)『喪服の未亡人 ほしいの…』(08)やテレビシリーズ「ダムド・ファイル」などがある。最新作は監督も務めた『色道四十八手 たからぶね』(14)。映画美学校では、コラボレーション作品として『寝耳に水』(00)、『西みがき』(06)を監督している。他、編著書として、高橋洋塩田明彦と共同編著した大和屋竺シナリオ集「荒野のダッチワイフ」(フィルムアート社)がある。

 

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映画美学校アクターズ・コース 2017年度公演
「S高原から」
作・平田オリザ 演出・玉田真也(玉田企画)

【玉田真也(玉田企画 / 青年団演出部)】
平田オリザが主宰する劇団青年団の演出部に所属。玉田企画で脚本と演出。日常の中にある、「変な空気」を精緻でリアルな口語体で再現する。観る者の、痛々しい思い出として封印している感覚をほじくり出し、その「痛さ」を俯瞰して笑に変える作品が特徴。

出演:石山優太、加藤紗希、釜口恵太、神田朱未、小林未歩、髙羽快、高橋ルネ
          田中祐理子、田端奏衛、豊島晴香、那木慧、那須愛美、本荘澪、湯川紋子
        (映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017)
          川井檸檬、木下崇祥

舞台美術:谷佳那香、照明:井坂浩(青年団)、衣装:根岸麻子(sunui)
宣伝美術:牧寿次郎、演出助手:大石恵美、竹内里紗
総合プロデューサー:井川耕一郎
修了公演監修:山内健司、兵藤公美、制作:井坂浩

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公演日程:2018年2月28日(水)〜3月5日(月)

2/28(水)19:30~
3/1  (木)19:30~
3/2  (金)15:00~ / 19:30~
3/3  (土)14:00~ / 19:00~
3/4  (日)14:00~
3/5  (月)15:00~
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。 

チケット(日時指定・全席自由・整理番号付)
前売・予約・当日共
一般 2,500円 高校生以下 500円
資料請求割引 2,000円 

※高校生以下の方は、当日受付にて学生証をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)。

チケット発売開始日 2018年1月8日(月・祝)午前10時より

<チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://ticket.corich.jp/apply/88312/

<資料請求割>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース資料請求割引申し込み専用フォーム 

会場
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅 下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00