映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018」9/3(月)開講!

総合プロデューサー暇つぶし雑記(その7)/井川耕一郎さんより

今回は映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017」主任講師である井川耕一郎による総合プロデューサー暇つぶし雑記(第7回)をお送りします!

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フィクション・コースの講師として長年映画美学校に携わって来た井川さん。

その井川さんがアクターズ・コースの主任講師として、新鮮な目で受講生を見守っていた記録──

それではどうぞ!

 

 

2月6日(火)。この日はミニコラボ四本の完成上映会。

ミニコラボというのは、映画美学校フィクションコース初等科でずいぶん前からやっている実習だ。

監督が現場でやるべきことというと、「撮り方をどうするか」をまっさきにイメージするひとが多い。けれども、「撮り方をどうするか」の前に「芝居をどうするか」がある(芝居が決まらなければ、撮り方は決まらない)。

そこで、芝居の演出とはどういうものかを学ぶ目的で、講師が監督する短編にフィクションコース初等科生がスタッフとしてつくミニコラボが始まったというわけなのである。

このミニコラボにアクターズ・コース生も参加して合同実習になったのが、2015年から(このとき、ぼくもミニコラボを撮っている。そのときのことを書いたのがこちら→ http://eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp/entry/2016/02/20/134430 )。

役者はシナリオが完成してから呼ばれることが一般的だ。だから、どういう映画にするかという企画段階から仕上げまでかかわることができるミニコラボは、貴重な体験になるのではないだろうか(2016年度のアクターズ・コース生・鈴木睦海さんはミニコラボの編集にも参加していた。そのときのことを監督の大工原正樹さんが書いたのがこちら→ http://eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp/entry/2017/02/26/180000 )。 

20時、上映開始。

菊地健雄『肉まんの味』。

高羽快くんは役者を目指して演劇学校に通っている男。神田朱美さんは高羽くんの妻で占い師。高橋ルネさんは演劇学校の学生で高羽くんの不倫相手。それから、川瀬陽太さんが演劇学校の講師役で出演している。

高羽くんと高橋さんが演劇学校の学生という設定になったのは、監督の菊地健雄さんとフィクションコース初等科生がアクターズ・コースそのものに興味を持ったからだろうか。学校のシーンでは、近藤強さん(青年団)の講義でやっているビュー・ポイントという基礎訓練が行われていた。

高羽くんはピーター・ローレ(という役者が昔いたのです。フリッツ・ラングの『M』などに出ていたひと)みたいなとろんとした目をしていて、何を考えているのか分からない感じがある。二人の女性の間で優柔不断な態度をとり続ける男を演じるには、あの目は実に効果的だったと思う。

(そういえば、高羽くんは映画美学校の学生証でもって学割で道頓堀劇場に入ったことがあるという。踊りがうまいひとじゃないとダメですね、なんて感想を言っていたが、踊り子さんから見た客席の高羽くんはちょっと不気味だったのではないか)

神田さんは第5回でも書いたようにアイドル的人気のある声優だったひと(アクターズ・コース生の中でもアイドル的存在になっている)。そんな彼女にイメージをぶっ壊すように、三角関係の果てに殺意を抱く役を演じてもらいたいという気持ちはよく分かる。実際、映画の後半では、神田さんがおっかなく見える瞬間があった。でも、あれは演技じゃなくて、意外と素に近いんじゃないか、という気もするのだ。修了公演で神田さんは湯川紋子さんと生活係をやっているけれど、このひとを怒らせてはいけない。

高橋ルネさんはメガネをかけた普段の姿がアニメのキャラクターっぽい。アクターズ・コース生たちだけで短編を撮る実習では、高橋さんは瞬間移動するなど不思議な能力を持つアニメっぽい少女を演じていた。

しかし、『肉まんの味』では、悪意を持って神田さんに接近する役を演じたのだった。高橋さんは悪女も演じられるんだなあ、と新たな一面を見た感じだ。

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大工原正樹『純情NO.2』。

TV番組を制作するプロダクションで起きるちょっと脱力系のドタバタ。

豊島晴香さんが演じるのはプロダクション社長。本荘澪さんはディレクター。田端奏衛くんはAD。加藤紗希さんはおバカな新人タレント。

大工原さんが監督するこの短編の現場には、差し入れのみかんを持って見学に行った。

昼食時、本荘さんが自分で作ったお弁当を出したのが印象的だった。彼女は早起きして鮭を焼くと、熱々のうちに身をほぐして、炊きたての麦入りごはんにまぜ、おにぎりを握ってきたのだが、それが実においしそうだったのだ。

そんなふうに日常の細々としたことを一つ一つきちんとこなしていく本荘さんが、映画では田端くん演じるADを罵倒し、蹴り飛ばしているのがおかしかった。また、後半で唐突にサムライの仮装で堂々と登場してみせるのにも、思わずぷっと吹いてしまった。

豊島さんは舞台には出たことがあるけれども、映画出演は初めてとのこと。だからだろうか、自分の出番でないときでも撮影現場にいて、監督やスタッフの動きをじいっと見て、分からないことがあると、こっちに質問してきた。映画のことをもっと知りたいと貪欲なのだ。

完成した映画では、豊島さん演じる社長が酔っ払ってADの田端くんを抱き寄せるという芝居があるのだけれども、妙に生々しくて見ていてどきどきしてしまった。こういう演技はアクターズ・コースの講義では見られないものだ。

加藤さんは映画ではおバカなタレントを喜々として演じていたが、実際には五才のときからダンスを始め、今はダンスカンパニー・ビルヂングの代表で、振付師としても活躍しているひと。もしアクターズ・コースにダンスの講義が必要になったら、講師として呼びたいくらいのひとなのだ。

映画の後半では、加藤さんが大暴れして、本荘さん、田端くん、豊島さんを次々と蹴り倒していくのだけれど、切れのある動きでしかも美しい。普段からダンサーとして体を鍛えているからだろう。加藤さんはアクション俳優としてもいけるかな、と思った。

おっと、田端くんのことを書き忘れそうになった。

田端くん演じるADが加藤さん演じるおバカタレントにからまれている場面では、適当にあしらっているように見えて、内心うれしいという感じがあって、撮影現場で見ていて楽しかった。

そういえば、修了公演のツイッターを見ると( https://twitter.com/7_Skogen/status/962279550607540224 )、田端くんはアクターズ・コース生たちに感謝状を見せたようだ(感謝状をもらう経緯は第五回に書いてあります)。

たぶん、おう、これが感謝状だよ!と見せびらかしたにちがいないが、いざ感謝状を持った姿を写真に撮るとなると、おれ、こんなもんに関係ないから、といった感じでそっぽを向いている。

その照れがちょっといいな、と思ったのだった。

 

 

井川耕一郎(映画監督・脚本家)

1962年生まれ。93年からVシネマの脚本を書きはじめる。主な脚本作品に、鎮西尚一監督『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(94)、常本琢招監督『黒い下着の女教師』(96)、大工原正樹監督『のぞき屋稼業 恥辱の盗撮』(96)、山岡隆資監督『痴漢白書10』(98)、渡辺護監督『片目だけの恋』(04)『喪服の未亡人 ほしいの…』(08)やテレビシリーズ「ダムド・ファイル」などがある。最新作は監督も務めた『色道四十八手 たからぶね』(14)。映画美学校では、コラボレーション作品として『寝耳に水』(00)、『西みがき』(06)を監督している。他、編著書として、高橋洋塩田明彦と共同編著した大和屋竺シナリオ集「荒野のダッチワイフ」(フィルムアート社)がある。

 

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映画美学校アクターズ・コース 2017年度公演
「S高原から」
作・平田オリザ 演出・玉田真也(玉田企画)

【玉田真也(玉田企画 / 青年団演出部)】
平田オリザが主宰する劇団青年団の演出部に所属。玉田企画で脚本と演出。日常の中にある、「変な空気」を精緻でリアルな口語体で再現する。観る者の、痛々しい思い出として封印している感覚をほじくり出し、その「痛さ」を俯瞰して笑に変える作品が特徴。

出演:石山優太、加藤紗希、釜口恵太、神田朱未、小林未歩、髙羽快、高橋ルネ
          田中祐理子、田端奏衛、豊島晴香、那木慧、那須愛美、本荘澪、湯川紋子
        (映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017)
          川井檸檬、木下崇祥

舞台美術:谷佳那香、照明:井坂浩(青年団)、衣装:根岸麻子(sunui)
宣伝美術:牧寿次郎、演出助手:大石恵美、竹内里紗
総合プロデューサー:井川耕一郎
修了公演監修:山内健司、兵藤公美、制作:井坂浩

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公演日程:2018年2月28日(水)〜3月5日(月)

2/28(水)19:30~
3/1  (木)19:30~
3/2  (金)15:00~ / 19:30~
3/3  (土)14:00~ / 19:00~
3/4  (日)14:00~ / 19:00~(追加公演)
※追加公演のチケット発売開始は2/22(木)お昼12時から
3/5  (月)15:00~
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。 

チケット(日時指定・全席自由・整理番号付)
前売・予約・当日共
一般 2,500円 高校生以下 500円
資料請求割引 2,000円 

※高校生以下の方は、当日受付にて学生証をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)。

チケット発売開始日 2018年1月8日(月・祝)午前10時より

<チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://ticket.corich.jp/apply/88312/

<資料請求割>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース資料請求割引申し込み専用フォーム 

会場
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅 下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00