映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018」9/3(月)開講!

『S高原から』公演終了後座談会(第2回/全4回)

大好評のうちに幕を閉じた、映画美学校アクターズ・コース 2017年度公演『S高原から』。

その出演者、そしてアクターズ・コース講師による座談会の模様をお送り致します。

(収録:2018/3/9)

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【座談会参加者】

加藤紗希釜口恵太神田朱未小林未歩髙羽快

高橋ルネ田中祐理子田端奏衛豊島晴香本荘澪

(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017受講生)

川井檸檬、木下崇祥(以上 『S高原から』出演者)

井川耕一郎、兵藤公美、山内健司(以上 アクターズ・コース講師)

 

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小林 いつから稽古前のラジオ体操って始まったんでしたっけ?

 

釜口 結構序盤からやっていたような気がする。

 

豊島 テンションがなかなか上がらない時があって。

 

加藤 ずっとダメ出しで「みんなテンションが低いです」って言われていて、それが何回も続いて「これ、アカンね」って話し合って、無理やりにでも上げるために、「身体が起きていないし、稽古の身体になっていないから」って始めた。

 

豊島 最初は稽古の途中でやったんだよね、確か。

 

加藤 そうそう。

 

小林 紗希ちゃんの提案ですか?

 

加藤 湯川さんとかと話して。「アップで何かやらないと」って。それで「ラジオ体操でいいんじゃない?」みたいな感じでやり始めたんだよね。

 

兵藤 そうしたら元気になったの?

 

釜口 はい、なんか、僕は元気になりました。

 

全員 (笑)

 

山内 テンションが上がらない稽古場をどう感じていたんですか、チャーリーは。

 

木下 確かに稽古初めだからみんな硬いのかなとは思いましたね。あと、よく玉田が言っていたのは「台本に引っ張られ過ぎて、ちょっとローテンションというか、悲しい感じでやりがちなのを、1回もっとフラットにやって下さい」ってこと。確かに1番最初に稽古を見ていた時は、ちょっと何かいい感じなことをみんなやろうとしちゃっているな、というか…

 

山内 いい感じなことっていうのは何?

 

木下 凄い背負った人たちが喋っているというか。

 

兵藤 死を背負って。

 

木下 それもそうですし、それよりも玉田がよく言っていたのは、その場のコミュニケーションのことで「その会話自体は凄く楽しいじゃない」っていう意味で、テンションが低いって言っていたのかな。

 

田端 言っていた。「人と喋るのって、もっと楽しいもんじゃない?」みたいな。「それをもっと楽しんで欲しいんですけど(真顔)」みたいな(笑)。それはそうだなって思った。

 

山内 (兵藤に)平田戯曲の罠だよな。

 

兵藤 そうです!

 

木下 罠?

 

兵藤 罠ですね。なんとなーく、これ、言ったら言えちゃうセリフ、って思いがち。

 

木下 ああ。

 

兵藤 結構そのセリフを言うのに、関係性だったり状態とかが凄く影響するから。言葉は割とそんなに難しい言葉で書かれていないから尚更ね。

 

山内 玉ちゃんの普段の戯曲だったらね、結構派手だから。僕には派手に見えるから、やっていてもテンション上がりそうじゃん。

 

木下 上がりますね。無理やり上げなきゃいけないんですけど。

 

兵藤 それが見えづらいところがあるよね、平田オリザの戯曲は。

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木下 確かに、ただやっちゃうと、凄いのっぺりしたシーンとかになっちゃうけど、本当だったらコミュニケーションとかって結構…いま実際に僕は喋っている時に、こういうふうに身振り手振りもしているじゃないですか。手を前に出したりだとか。わざと芝居っぽくするとか、本当はもっと豊かなコミュニケーションがあるはずなのに、やっぱりホンにしちゃうとそこがなくなってしまうっていうのが、最初は凄く難しいんだろうなと思う。「そこ、もうちょっと豊かにして下さい」っていう演出指示でも「豊かってどんなんだ?」っていうふうに、初めてやる人にはイメージがつかないのかもしれない。だから玉田がずっと言っていたのは多分そういうところで、そこに関してちょっとイメージが掴めて来ると、下らない会話でもずっと観ていられるというか…そんなイメージでやっていました。

 

兵藤 それにみんなはどうやって気づいていったのかしら。

 

高羽 やっぱり玉田さんは、度々同じことを繰り返し言っていて。当然それが出ていなかったから言っていたんだとは思うんですけれど、「そういう会話、コミュニケーション、目の前にある楽しさを楽しんで」みたいなことはずっと言っていたんですよ。やっぱり、それ故に「そこが大事なんだなぁ」とも思ったし、何て言うんですか、やっぱり玉田さんの解釈が「学校だから先生的な振る舞いもちょっと気にかけました」みたいなことを言っていたじゃないですか。そういうのもあったと思うんですけど、凄く分かりやすく教科書的な事実をパッと出してくれて。「ここはこういうことだと思うから、こういう感じで」みたいなことを渡してくれたので、一旦はそれに乗っかってみよう、身体を預けてやってみよう、それでどう見えているかでちょっとやってみよう、みたいな感じでやっていました。

 

兵藤 それは「あ、これかも」と思った?

 

高羽 思いましたね。

 

兵藤 それってどこらへんだったの? 冒頭とか?

 

高羽 冒頭とか、この場面は冒頭だからじっくり観客に見せたい、とか。あとは、なんだろう…言われたままをやるというよりかは「ああ、確かにそうだな」っていう理解があったからこそ、やれたっていうのがあったと思います。玉田さんの言うことに対して、そのまま鵜呑みにするというよりかは、「ああ、確かにそうだな」っていう感じで。

 

兵藤 自分なりのイメージを持とうとした?

 

高羽 受け売りというよりかは、自分なりに消化した上でやれたかなと思う。

 

兵藤 それがあったら、何か行動が変わって来たって感じだったの?

 

高羽 そうですね。それまではとにかくセリフを言えなければ始まらないなと思って、遅ればせながら(笑)台本を頭に入れて、セリフを言えるだけで満足しているみたいなところになって。で、何の考えもなしにとりあえず返事をするみたいな感じでセリフを言っていたのを、「このセリフがこの人にとって、この場面にとって、どこに引っかかっていてこの発言が出ているのかとか、そういうことを考えてみて」みたいなことを言われて、ああなるほどと。当たり前ですけど、言えている自分に満足して、それ以上のことはあんまりしていなかったみたいなことがありました、稽古中に。

 

兵藤 それを玉ちゃんからのアドバイスで、「ああ、ここが足りていなかったのか」っていうのがイメージ出来たんだね、きっとね。

 

高羽 なので、何て言うんですかね、最初自主稽古とかも、ただもうセリフを言えていないから、自主稽古とかにも出なきゃ自分もマズいなとか思っていたんですよ。だけど、自主稽古って、本来一般的にあるものなんですか? それとも青年団系のものとして…

 

山内 演出家による。「俺の前以外では稽古しないでくれ」っていう演出家もいるし。でも、それじゃあ演出つけようがないよ、何も提案がなかったら、っていう演出家もいるし。

 

高羽 自分とかは、家で覚えてこようと思っていても、やっぱり身体を動かしてみんなでやっている中でやるのが一番しっくり来るなと思っていたので、自主稽古に出ないとヤバいなと思って、そういう感じで自主稽古に向かっていたんですけど、一般的に他の人たちはどういう感じで自主稽古と向き合っていたのかなぁと。

 

山内 一般的に、っていうのはちょっと分からないんだけど、自主稽古を嫌う俳優もいるんだよ。演出家による、という立場を取らずに、演出家が見ていないところで稽古をするのを嫌がる人もいるし、俳優同士でお互いに何かものを言い合うのを嫌がる人もいるし。だから気風としては、「ヤバい、ちゃんと自分たちだけで芝居を作っておかないと、演出のつけようがない」っていう状況を避けるためにするのが、自主稽古。それを基本にしておけば、「ああ、この演出家はあんまり演技を作っていくのを嫌がるんだ」っていう人であれば、そっちにも対応出来るでしょ。逆に、演出家だけとの付き合いだけを考えていると、いきなり相手役と芝居を作るっていうのは出来ないような気がして。俳優の力としては、まず自分たちで芝居を作るっていう方法を基本においておいた方が、対応が広がると僕は思っているけどね。でもそれは全て演出家による………………(兵藤を見て)と僕は思いますが。

 

兵藤 はい。そう思う。

 

高羽 序盤は、とりあえずセリフがちゃんと入っている状況で動けないと、玉田さんの前に立てないなと思っていて自主稽古に取り組んだんですけど、徐々に進んでいくと、色んな場面とか色んな人と関わるようになってくると、さっき山内さんが言ったみたいに、人それぞれ自主稽古の取り組み方もどう思っているかも違うから、自主稽古をやったところで、お互いがどう意見し合えばいいかみたいな問題が出て来たりとかもして。

 

山内 おおー、あるある。

 

兵藤 そこで、コミュニケーション力ですよね。

 

高羽 割と自分は、ぼんやり自主稽古をやって、思ったことを言い合えればいいかなくらいに思っていたけど、その言い方の種類も人によってあって、どういうふうな意見が欲しいとか、反復トレーニング的にやりたいだけで意見は要らないみたいな人もいるみたいなところで、それぞれパートナーだったり、同じ場面をやる人同士でどうやるかみたいなコミュニケーションが生まれているのを眺めていて、面白いなと思っていたんですけれど。

 

兵藤 そうね。俳優それぞれによるから、そのチームで、そのチームごとにやるしかないよね。これが自主稽古のやり方っていうのは多分ないから、私はこういうことがしたかったら「こういうのを試してみたいんだけど、どう?」って考えていくとか。ポイントは、話す時に、言い方とかを、自分と相手役を分けないことかなと思って。相手だけの問題みたいに話すと難しくなるよね。「あなたのやり方がこうだから、こうするべきじゃないか」みたいなコミュニケーションは難しくて、「あなたの問題は私の問題でもあって、ここのシーンを私はこういうイメージだと思っている、こういうコミュニケーションだと思うんだけど、あなたはどう思う?」っていうようなやり方が、いまのところ私はいいのかなって思っている。「あなたのやっていることと私のやっていることは違くって、あなたのやっていることはなんか違う気がする」って言うとそれは「何が正解なの?」みたいになるから。問題を共有しているっていうコミュニケーションが取れると、意外と円滑にいけるって私は思っていますけどね。それで、自分がこういうふうにやりたいって思った時はそれを試してみたりだとか、いいと思うところはそれを反復すれば良かったりだとか、シーンによっても違うし、相手役によっても違ったりするよね。

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高羽 小屋入りした時に兵藤さんが来てくれた自主稽古、めっちゃ助かりました。自主稽古っていうか、一部で…

 

釜口 3、4人とかでね。

 

兵藤 ああ、冒頭の稽古ね。どんなことが良かったのかしら。

 

高羽 何が良かったんですかね、あれ。

 

兵藤 自信が持てたのかな。

 

高羽 「どう見えるのか」みたいな、客観的なことをパッと言ってくれた。「ここは動きながら喋り過ぎで、セリフがふわふわ浮いて、こっちに飛んで来ない」って言われて、ああなるほどみたいな。メリハリと、「ここでこういう間があれば、この間はどれだけ長く取っても見られる間だから」みたいなこととか。変に内面内面に走っちゃったので。

 

兵藤 そうだね。みんな内面を「この人はこういう人だから」とかね。「死にそうだから」とか、1個のことに囚われている感じがあったかもね。ちょっと俯瞰出来た感じだったのかな。そこに囚われるよりもっと運動的な感じ、とかね。

 

釜口 自主稽古は本当に分からなかったからね。

 

高羽 取り組み方が?

 

釜口 うん。稽古係だったけど、みんなに意見をめちゃめちゃもらって。1回玉田さんが急遽体調が悪くて来られない時があって「どうする?」みたいになった時は本当に死ぬかと思った。

 

小林 死ぬかと思ったって?

 

釜口 家で「何で俺こんなことやっているのかな」「なんで演劇なんかやっているのかな」って(笑)。

 

兵藤 そんな時もあったんだ。

 

釜口 コミュニケーションの話なんですけど、やっぱりみんなフェイス・トゥ・フェイスで話すべきだな、LINEなんかダメだなって。勉強になりました。

 

兵藤 そうだね。顔をあわせるって大事だよね。

 

小林 役作りにしてもそういうコミュニケーションの難しさにしても、「これ難しかったぜ」「アプローチするのに時間かかったぜ」みたいなことで、各々感じたことはありますか?

 

木下 なんかよく田端くんが、玉田に品がないってダメ出しが(笑)。

 

田端 品ねぇ…(花粉症で鼻をかみ)この中で圧倒的に品がない(笑)。

 

兵藤 その課題はどう向き合っていたの?

 

田端 手元を落ち着かせることを意識しようとは思っていたんですけど、なかなか上手く出来た感覚はなかった。

 

山内 写真撮られているよ(笑)。

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高橋 品がない(笑)。

 

小林 品の話をしている時にそれって(笑)。

 

木下 手元どころじゃないよ!

 

全員 (笑)

 

小林 私は特に、4人のグループでの会話とかで「どうやったらこの人たち、仲良く見えるんだろう」とパニックになりました。自分1人では全然解決出来ないし、4人でもどうやってアプローチしたら関係性が成立するようになるのかっていうことがもう分からなくて。

 

兵藤 人数多いシーンはね、なかなか集まりづらいしね。

 

小林 そうですね。どこから話をすればいいのかも分からないし、何がこのグループを良くするのかっていうのも分からないし。セリフをとにかく繰り返すことがいいのか、関係性を作ることがいいのか、何が正解なのかが分からなくて。

 

兵藤 それは演出から「仲が良さそうに見えない」みたいな感想があったの?

 

小林 仲が良さそうに見えないとか言われたっけ?

 

高橋 玉田さんから? そうとは言われていないね。まぁグルーブ感っていうのは再三言われていましたね。

 

小林 「グルーブってなんやねん」って凄い思っちゃって。

 

高羽 「全然会話が弾んでいるように見えない」って。

 

高橋 そうそう。「一番楽しい人たちだから、この4人でこの芝居の中でのテンションのマックスを出したい」みたいなことは言われていましたね。

 

小林 あと3人のシーンも、各々がてんでバラバラな、このシーンを3人で作り上げているというより、各々が役割を組んでやろうとしているっていう風に言われた時とかも、どうしたらいいんだろうなって凄く思いましたね。

 

兵藤 シーンを立ち上げるのはね、実は難しいですよ。

 

高橋 で、ちゃんとやろうと思って、3人で自主稽古を凄いみっちりやって、「じゃあ玉田さんに見せよう!」と次の日に見せたら「あ、自主稽古したんですね」って言われて、なんか凄く恥ずかしくなって(笑)。玉田さんは凄く好意的に受け取ってくれたんですけど「あ、しました…」みたいな(笑)。

 

小林 なんか家庭教師に「お、ここ、宿題やって来たんだ」みたいに言われたみたいな(笑)。

 

高橋 そうそう(笑)。

 

兵藤 それは、課題はクリアしているねっていう感じだったの?

 

田端 いや、そういう感じじゃないです。

 

兵藤 頑張り方が違うっていう(笑)。

 

豊島 前進はしたけれどっていう感じだったよね。ふわふわしていたのが、地に足が着くようになったからそれは凄くいいことだけど、ちょっと決めたことをやっている感じになっているのは変えた方がいいよねみたいな感じだった。

 

高橋 そうそう。馴れというか、「回数重ねたらもうちょっと良くなる」みたいなことだったと思うんですけど。

 

高羽 セリフが頭に入って、みんなが地に足が着き始めた頃に起きた問題が、一言一句台本通りにセリフを言いましょう問題。みんな自分なりに落とし込んで、ちょっと語尾とかテイストが変わった感じになっていたのを全部スパっ!て切り落とされて、そこでまた自主稽古での違うテーマが出てきて。

 

豊島 そうだそうだ。確かに中盤にそういう自主稽古をしていたよね。一字一句チェックするっていう。

 

高羽 みんなでセリフを言っていて、言い間違えた瞬間に突っ込まれて「あっ…」みたいな(笑)。奏衛とか、全然シーンがまとまんなくて(笑)。

 

小林 一瞬みんな棒読みになったりロボットみたいになったりね(笑)。

 

 

【第3回は3/23(金)に掲載予定】