映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

月刊 兵藤公美 with 四方智子 5・6月号(第1回/全3回)

「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。

俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。

第3回の5・6月号は、つい先日突然の閉店で衝撃を与えた、映画美学校の渋谷移転以来「受講生・修了生・講師ご用達の店」として愛された「興和軒 渋谷店」にて収録しました。

テーマは「仕事外の時間の過ごし方」から始めたのですが、いつの間にか「男女差別について」「ハラスメントについて」などにまで話は広がっていきました(収録日:4/22)。

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※いきなり超真面目な話になったり、わけの分からない近況報告になったり、話があっちゃこっちゃ飛びまくりますが、あえてまとめず・なるべくカットせず、むしろそれを押し出しています。「ラジオ感覚」でお付き合い下さい。

 

【プロフィール】

兵藤公美:俳優/青年団所属。映画美学校アクターズ・コース講師。
横浜市出身。桐朋学園大学芸術科演劇専攻、専攻科卒。京都造形芸術大学洗足学園音楽大学講師。96年、平田オリザ主宰劇団青年団入団、現在在籍。青年団に出演の他、多数の 劇団に客演参加し、近年は映像作品の他、自身でも公演の企画制作をてがけ意欲的に活動中。映画出演作として『あおげば尊し』『このすばらしきせかい』『東京人間喜劇』『歓待』『SHARING』『ふきげんな過去』などがある。

 

四方智子:映画美学校事務局員。フィクション・コース第2期修了生。


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四方智子(以下四方) あのですね、今日、観劇に行って来たんですが、たまたま大石さん(大石恵美:アクターズ・コース第4期修了生・第7期TA)がいて。で、大石さんに「この後、私、月刊の収録に行くんだ」って言ったら、「じゃあ是非、大石家でやって!」って。

 

兵藤公美(以下兵藤) ありがとうございます。

 

四方 「全力で、家、空けます」って言ってました(笑)。

 

兵藤 大丈夫かな(笑)。パワーじゃない?

 

四方 パワーじゃなかった。だって、私、別に、無理矢理「空けなさい!」とは言ってない。

 

兵藤 ノーパワー?

 

──パワーってパワハラのことですか(笑)。

 

兵藤 私がそう言ったらパワーだよね。

 

四方 私たちがそういうふうに言うとパワーになっちゃうから気をつけましょうね。それで、大石さんと話している時に「いや、今日も本当に話すテーマ決まってなくて」って言ったら「確かに、前回はとっ散らかっていましたよね」って言われて(笑)。「1回目は一応テーマがあったから、一応そのテーマに戻るんですよね。だけど2回目、マジでとっ散らかってましたよね」って言われて、彼女としては軽く言っているんだけど、実は私、ちょっとショックで…

 

兵藤 (爆笑)

 

四方 「やっぱりそうなんだ……」と思って。

 

兵藤 繊細!

 

四方 というわけで、色んなところにとっ散らかるけど、テーマを一応決めたいなと思うわけです。

 

兵藤 ですね。

 

四方 で…何にします?(笑)

 

兵藤 …………どうですか、シンスケくん。

 

──最近色々な人に聞いてみたいなぁと思っていたのが、おそらく私も含めてなんですけど、お二方とも「好きなもの」だったりそれに限りなく近いものやことを仕事にしているじゃないですか。公美さんは演劇をずっとやって来ているし、四方さんは映画だし。で、それ以外の時間って、何をしているのかなぁって…

 

兵藤・四方 ああ~。

 

──やっぱり芸能人の人とかでも、例えばタモリだったら、坂に異常に詳しかったり色々なことに博識だから街ブラの番組だとか「タモリ倶楽部」みたいな番組をやっているとか、あとは鉄道に詳しい芸能人はそういう番組に呼ばれるだとか、全部が「仕事」に繋がってしまうじゃないですか。で、多分公美さんは演じる人だから、普段誰かと話している時でも自然と人間観察になっていて、自分が演じる時の糧に直接繋がっていくと思うんですけれど、そういうふうに仕事に繋がらない、全然関係のないオフの時間で楽しんでいることを持つのが結構重要なんじゃないかと最近思っていて。

 

四方 私、その話すると多分…

 

兵藤 駅伝だよね?

 

四方 駅伝もそうなんですけど、ほぼアイドルの話になるよ(笑)。

 

──別にいいんじゃないですか(笑)、アイドルが好きなんだったら。

 

四方 アイドルの話を延々するっていう…

 

兵藤 うん、アイドル知らないから聞きたい。

 

四方 う~ん、いいんですか? でもこれは、一応主役は公美さんなんで。

 

兵藤 そんなことないそんなことない!

 

四方 え? そうなの?(笑)

 

兵藤 「月刊兵藤公美 “with 四方智子”」だから。

 

──フィーチャリング、みたいな(笑)。

 

兵藤 そうだよ、フューチャリングして…………フィ、フュ、違う、フィーチャリングしているわけだから。

 

──それを今日、収録外でもいいからちょっと聞いてみたかったんですよ。僕の映画まわりの人たちって、そういうものがある人とない人がバッサリ分かれていて。

 

兵藤・四方 うんうん。

 

──俳優さんとかだと、知っている人の中でも釣りが趣味の人とかって何人かいるんですよ。映画監督でも釣りが趣味の人がいたり。多分釣りであれば、あんまり映画とか演技とは関係ないはずだから、単純にボーッと糸を垂らしている時間だったりだとかがあるなと思っていて。

 

四方 なんかリセットしている感じがするよね、そういう時って。多分普段から凄い頭を使うから、何も考えない時間を作るっていう。釣りにハマるっていうのはなんとなく分かる。

 

──それがまた仕事にもプラスになるんでしょうね。で、そういうのが全くない人の方が、僕のまわりには多いような気がするんです。それはその人が言っていないだけ、僕が知らないだけなのかもしれないんですけど。例えば、音楽が好きだとかマンガや小説をよく読むとかになると、それはやっぱりちょっと映画に近い領域というか、全部仕事である映画に還元されてしまう要素が強いと思うんですね。だから、そういう領域でない、それ以外のものの時間を多く取るのということが、いま自分が意識的にやっていることなんですよ。

 

四方 凄い覆すようなんですけど、全部仕事に直結はしているよなと思っていて。変な話、アイドルも、直結まではいかないにしても何か繋がっている感じがしていて。「見せ方ってこうだよな」とか「ビジネス的にこういうふうにやるとこういうふうに人は動くんだな」とか。それは無意識なんだけど、その時は心から楽しんでいるんだけど、何かアイディアを出す時に、ふと他ジャンルだったり他分野のそういうものから考えることもあるし、それをしようと最近心がけている気がしますね。

 

──勉強しようとしちゃっているってことではなく?

 

四方 勉強まではいかない。結果的にそれが仕事に繋がるみたいな感じ。見ているものとかやっていることとかがすべて無駄ではないなっていうのがいまの感じかなぁ…………凄い! 真面目だ! どうしよう、大丈夫かな?(笑)

 

──真面目だ!ってまとめるってこういうことでしょ?(笑)

 

四方 そっかそっか。

 

──全然関係ないことが、結果的に自分の仕事に繋がるのは全然プラスですよね。釣りをやっていて、ボーッとしている時にアイディアがまとまるだとかでもそうだし。

 

兵藤 散歩していたりだとかね。

 

──散歩はいいですね。アイディアを練る時は、PCの前にいるよりも歩いている時の方が絶対にひらめきが多いです。

 

四方 公美さんはあります?

 

兵藤 私はね…う~ん、そういうふうに意識してやっていたことはないけど…………でも、植物が好きだよね、私は。

 

四方 おー! ガーデニングってことですか?

 

兵藤 ガーデニングっていうほどのことではないが、植物を作るの、好き。まぁ、バジルとかだけど。ハーブか。

 

四方 プチトマトとか?

 

兵藤 プチトマトはまだちょっとやったことないけど、ミントとかさ。ハーブだね。そろそろ5月になったらバジルを蒔くんですよね。あと、切り花とかも結構好きだし。根が入っている鉢植えの花も好きだし。地植えされている花とかを見るのも凄い好き。道端とかのつつじとか普通に見ちゃう。

 

──それはずっと前からですか?

 

兵藤 あー、ここ数年だね。なんかね、母親が死んだ時に、母親が世話していた花っていうのを世話しなきゃいけなくなったっていうのがあって。結構処分したのもあるんだけど、なんかそれきっかけで「あ、こういうふうにするとこんなふうに伸びるんだ」とか、世話の仕方で植物もそれなりの反応をするっていうことを知った時に「おもろい」って思ったの。

 

四方 へー。

 

兵藤 それまではそんなに興味なくて、まぁでも嫌いではなかったけど、演劇の舞台だと結構お花とかもらったりする機会もあるし、それはもう凄い、なによりも私は嬉しいの。花・植物が好き。

 

四方 あ、そうなんですね。じゃあ次回からお花にしますね。

 

──ああ、差し入れ。

 

兵藤 えーいいんですかー。

 

四方 いつもお酒とかお菓子とかにしていたから。

 

兵藤 もう、一輪の花も好きだしぃ、雑草も好きだしぃ。

 

四方 へぇ~。

 

──四方さんも知らないですよね、その情報は。

 

四方 シンちゃん、今日のテーマ、正解だよ。

 

兵藤 花が好きなんですよ、私。花っていうか植物。私、バジル作ってますから。アレンジメントとかも好き。

 

──へぇ!

 

兵藤 そんなにやったこともないけどね。

 

四方 私、言っていいですか? 中学の時、華道部でした(笑)。

 

──華道は和ですよね。フラワーアレンジメントとは違うんですよね?

 

兵藤 でも結局一緒。剣山に刺すのか、グリーンのスポンジみたいなのに刺すかの違いで、洋花と和花ってことになっているね。

 

四方 実は華道部だったんですよ。なぜなら週1回しかないからっていう理由で(笑)。

 

──ああ、絶対に部活に入らなきゃいけないところだったんですね。

 

四方 そうそうそう。

 

兵藤 いま私が中学生だったら華道部に入ってるね。なんで私、ソフトボールやっちゃったのかなぁ…それはね、未だに人生の後悔として持ってます、私は。めちゃくちゃ運動部だった。

 

──それは単純に運動能力が高かったんじゃないんですか?

 

兵藤 うーーーーん…

 

四方 でもソフトボールって感じする。

 

兵藤 ヤダヤダヤダぁー! ヤダぁー! 消したい過去なんですよ。

 

四方 それこそ公美さんがピッチャー…キャッチャー? 投げる方がピッチャー?

 

──投げる方がピッチャーです(笑)。

 

四方 公美さんがマウンドで帽子をピュッっとやって、すごい早い球投げているっていう印象が(笑)。

 

兵藤 本当に脳みそまで筋肉みたいな、いまブラック部活が問題になっているじゃん? もう正にそれ。

 

四方 でも時代がそうですよね。

 

兵藤 うん。もう本当にしごきしごきで。ボール1個失くして、校庭20周とかしてたの。いやぁ、いま私が入るなら華道部か吹奏楽部。

 

四方 ああ~。

 

兵藤 本当に音楽やっておけばよかった。

 

四方 吹奏楽部はなかったなぁ。ピアノやってたんですけど、すっごい合わなくて。

 

兵藤 うん、合わなそう。

 

──(爆笑)

 

四方 音楽好きなんですけどね、本当に…

 

兵藤 (遮り)四方さんはエレクトーンだよ。

 

──ちょっと待って下さい(笑)。

 

四方 分かんない分かんない(笑)。ピアノとエレクトーンの差が分かんない(笑)。

 

兵藤 電子。

 

四方 電子は分かるけど(笑)。

 

兵藤 あと下にベースがいっぱいあるから。足の。

 

四方 …うん、違う。エレクトーンとピアノの違いは分かるんだけど。

 

兵藤 「結局一緒じゃね?」ってこと?

 

四方 そうそう、なんで私がピアノじゃなくてエレクトーンなのかが分からない。

 

兵藤 …………なんか、ピアノって古典って感じじゃん。エレクトーンの方がなんかさ、現代な感じしない?

 

四方 …………ってことは現代人ってことになりますか?

 

兵藤 …………うん。

 

四方 …………褒められてるかな?(笑)

 

──………………クラシックな感じじゃないってことかな(笑)。

 

兵藤 うん、そうだね。

 

四方 あ、でもクラシックでは絶対にないかも。クラシック知らないもん。

 

兵藤 いやでもホントね、直接仕事に関わりないみたいなことをね、やった方がいいんだろうね。結局仕事にも関係するっていうことになるんだろうけど。なんか、ある会社で、この前ニュース見たら、広告の会社だったかな? 午前中は全員読書の日があるんだって。

 

四方 へぇー。

 

兵藤 いわゆる普通の仕事をしないで、全員デスクで好きな本を読む。全然仕事に関係のない、自分の好きな本を読んで、でもそれが仕事に関係するからっていうことで、そういう時間を取っているんですって言ってた。どこの会社か忘れたけど。そういうのが結局還元されるんだろうなとは思うけれど、植物が還元されているかは分からない。

 

四方 私も鉄道が還元されているかどうかは分からないですね。

 

兵藤 え、何が?

 

四方 鉄道と駅伝は還元されているかどうかはちょっと分からない。

 

──鉄道?

 

四方 私、鉄道も好きなんですよ。

 

兵藤 え、知らなかった。鉄子

 

四方 うーん、そこまで本当に世に言われる鉄子ほど鉄道に詳しいわけではないけども、昔から好きです。

 

兵藤 何の鉄道が好きなの?

 

四方 結局やっぱり地元の京急なんですけど。

 

兵藤 …………ふっ、うん(笑)。

 

──笑われていますよ(笑)。

 

兵藤 京急ですね(笑)。あの荒々しい運転の。

 

四方 あれにずっと乗っていたので。

 

兵藤 1駅で酔うっていう京急ですね。

 

四方 でもあれにずっと乗っていると、あれが普通だと思うわけですよ。

 

兵藤 うんうん。

 

四方 あと私は、路線図を見るのも好きだし。京急から入ったからだと思うんですけど、京急って凄い種類がいっぱいあるんですよ。4種類あって、快特・特急・急行・普通、で、最近だとエアポート快特とか、あとウィング号とか色々あるんですけど、それが当たり前だと思っていたから、まずJRの普通と特急しかないことにビックリするわけですね。

 

兵藤 う、うん(笑)。

 

──四方さんの地元、全然田舎じゃないのになんでそうなるんですか(笑)。

 

四方 (笑)。高校生の時とか京急とJRを乗り継いで通っていたんだけど、それは各駅しかなくて「え、なに? 各駅って」って感じで、ちょっとバカにしていたんですよ。「ビューンって飛ばせや!」みたいな。それこそ映画美学校に入った頃は、鉄道が好きだっていうことを別に明言はしていなかったけど、何人かにはバレていて。未だにおちょくられるんですけど。

 

兵藤 それは何をするの? 鉄道を好きな人は。

 

四方 乗りに行ったりだとか、率先してはやらないんですよ、出不精だから。だけど、例えば箱根に行きますみたいな時に「やっぱりロマンスカー乗りたいよね」みたいな感じになったりだとか、車よりも電車で行きたいだとか。あと、例えば小田急だとやっぱり種類がいっぱいあるから。

 

兵藤 ありますね。

 

四方 京王・小田急とかはちょっとそこで盛り上がったり、自分ひとりで。

 

兵藤 間違って八王子行っちゃったり橋本行っちゃったり、結構ね。

 

四方 ああいうのを間違えないで乗れる自信がある。

 

──それ、普通だと思うんですけど…

 

兵藤 いや、私、結構間違えちゃうの。ホントは橋本行きたかったのに八王子行っちゃったりして。

 

四方 最近そのセンサーが弱くなってきているんですけど、基本1回見たら大体全部分かる。こうやってこう行けばここ着くね、とか。昔はそれこそ携帯で調べられなかったじゃないですか。だから、初めて行くところにはどうやって行くのがいいんだろうみたいなのを考えたりだとか。

 

兵藤 そういう脳内シミュレーション。シュミレーションが好きってことね。

 

四方 強いて言うなら乗り鉄だと思うんですよね。だから、電車に乗っているのが好きなんですよ。風景が好きとかじゃなくて。

 

兵藤 ああ、じゃあもう、新宿から箱根まで普通の急行に乗っても平気?

 

四方 うーーーん…平気なんですけど、出来たら乗ったことのない電車に乗ってみたいと思います。乗ったことない車両に乗ってみたい。だからロマンスカーとかもそうだし、用事がないと行かないから乗ったことはないんですけど、レッドアロー号とかはやっぱり乗ってみたいなぁとか、あとはいまはもうないですけど北斗星とか乗ってみたかったなぁとか。

 

兵藤 ああ、寝台車ね。

 

四方 というわけで電車が好きなんです。

 

兵藤 え、ローカル線とかは? 地方のローカル線に乗りたいとかあるの?

 

四方 わざわざ行くことはないんですけど、行ったら盛り上がります。行って乗ったら「フェーイ!」ってなってます。

 

兵藤 近江鉄道とか?

 

四方 …………ん?

 

兵藤 関西にあるんですよ。

 

──なんで知っているんですか、そのローカル線。

 

四方 いま公美さん京都に行っているから。

 

兵藤 滋賀県の鉄道なんだけど。

 

四方 素敵。でもいいですよね、第三セクターとかも好きですよ。

 

兵藤 はぁ。第三セクター

 

四方 第三セクターは、元々国鉄だったのが民間に売られた鉄道の営業形態で。「あまちゃん」の電車があるじゃないですか、釜石から通っている。あれとかも第三セクターで。

 

兵藤 ローカル線。

 

四方 私、昔時刻表の校正のバイトが大量募集で出ていたので、応募して。やっぱり時刻表の会社って、大体そういう鉄熱がだいぶ強い方がいらっしゃるので、そういう人をことごとく切るんですよね。

 

兵藤 ああ、逆に。それ、「コイツ好きそうだな」っていうのがなんで分かるの?

 

四方 ぽい感じが出ているのとか、あとは喋っていたりだとかでアピールを絶対しちゃうんだと思う。

 

兵藤 ああ~、オタクでしか知らないようなワードが出てくるとかなのかね。

 

四方 とか、もうどうしてもそこで働きたいからっていうアピールをしちゃうのかな。時刻表の会社って、お宝の山なんですよ、鉄にしたら。だってJRから、当時は手書きだったんですけど、手書きの時刻改正の紙とかが郵送で送られてきて、それを手打ちで全部パソコンに打ち込むんですけど、そういうのとか普通に生きていたら見ることないじゃないですか。世に回らないので。そういうのとか色んなお宝がそこにはあって、もう鉄の方々はそれはそれはそこで働けたら光栄みたいな感じだったんでしょう。私はその頃22とか23歳だったので、まぁ普通の格好をして面接に行ったわけですよ。そしたら合格しまして。

 

兵藤 ほぉ(笑)、ちゃんと隠せたんだね。

 

四方 隠せたというか、別に自分が隠したつもりはないんですけど、何にも言わなかったんですよ。

 

兵藤 ああ、鉄っぽくは見えなかったのかな。

 

四方 うん、そうだし、アルバイト募集なのになんでこんなしっかり面接なんてあるんだろうと思ってたくらいで。集団面接で。

 

兵藤 へぇー。で、何をするの、そのバイトは。

 

四方 システムを新しくするためにデータを全部入れ込まなきゃいけないから、そのデータをひたすら打ち込む。で、そのデータが間違っていないかを全部校正するっていう凄く疲れるバイトだったんです。で、働き始めて初日に、まず時刻表の読み方を教えますという時に、私がペラペラペラーって読めちゃうから、教えてくれた人が「あれ、もしかして四方さん、鉄道好き?」って。「まぁ…時刻表は読めますよね」みたいに答えて。「マジかぁー!」「全然そういうふうには見えなかった!」みたいなことを言われて。

 

兵藤 あの小さいやつでしょ? 読めない読めない。

 

──普通はスラスラ読めません(笑)。

 

四方 え、ウソ? 楽しいですよ。「あの電車がここまで行って、ここから次に乗り換える時はこの電車でこう行って」みたいなのが楽しい。

 

兵藤 じゃあ、あれって毎年毎年更新されているの?

 

四方 路線に依りますね。ちなみに時刻表は毎月出版されています。

 

──あれ、知らなかったですか?

 

兵藤 知らなーい。

 

四方 交通新聞社が出している『JR時刻表』っていうのと、JTBが出している『JTB時刻表』っていうのがあって、2社が出しているんですよ。

 

兵藤 すんごい分厚いやつでしょ? それは知ってる。毎月なんだ。だって時刻表、結構一緒じゃ…

 

四方 と、思うじゃないですか。

 

兵藤 そっか、しょっちゅう変わるもんね。

 

四方 JRとかは特になんですけど、季節電車とか臨時電車とか、結構あるんですよ。だからそれを反映させていくらしいです。例えば平日だったら11時6分着・11時8分発とかなんですけど、土日になると11時7分着・11時8分発とかそういう違いがあったりするんですよ。そういうのが全部反映されている。

 

兵藤 で、「この車両はクレヨンしんちゃんですよ」とかそういうことも書いてあるの?

 

四方 そういうのも書いてある。

 

兵藤 すごーい。

 

四方 細かいところまで。

 

兵藤 だ・か・ら、みんな駅で構えてんだ! 分かってんだ、この時間にクレヨンしんちゃんが来るって。

 

四方 調べてるんですよ。ちなみにこの間「タモリ倶楽部」で京急120周年記念で特集していて。タモリさん、京急大好きなんで。そしたら、普段通らないところから通っていたりだとかもして。凄いなと思ったのが、通常だったら京急って地下から来るんですね、泉岳寺って駅が地下にあって、そこから上がって行って品川に行くんですけど、品川って結構品川停まりの電車とかあるじゃないですか。だから複線みたいな感じで、地上に1個、新品川駅っていう小さい駅があるんですよ。で、そこから乗って行って、上から入って行ったんですよ、電車に乗っている状態で。そしたら、絶対誰も知らないだろうにと思ったのに、ホームにもうタモリさんたちが乗っているっていうことが分かるのか、ホームが凄い騒ぎになっていて「ウワーっ!」みたいになっていて「いいなぁ〜その場にいたかったぁ〜」とか凄い思っちゃいました。(四方註:ちなみにタモリさんが乗っているかどうかは時刻表には載っていません。)

 

兵藤 タモリさんに会えたのに~。

 

四方 ねぇ~。まぁすれ違うだけですけどね。

 

兵藤 そっか。タモリさんも京急が好きなんだ。

 

四方 そう。やっぱり「タモリ倶楽部」はデカいですね。そこで、あそこの鉄の方々が熱く語ってくれるから、まだまだ私は足元にも及ばないとは思いつつ、凄い面白さを伝えてくれるし。しかも京急好きって言ってくれているからもう尚のこと「ありがと~」と。

 

兵藤 いいなぁ。「タモリ倶楽部」で取り上げられたら、サブカル要素も入るけど、やっぱりステータスだね。

 

四方 そう。やっぱりステータスですよ。

 

兵藤 なんか、ちょっと京急、ただの電車じゃなくなっちゃってんじゃん。ただの暴走する電車じゃなくなっちゃってんじゃん。「船酔いですか?」っていう電車じゃなくなっちゃうわけじゃん、それ。

 

四方 でも京急はそんなに酔います?

 

兵藤 京急はもう常に酔っている。もう波乗りですよ。

 

四方 横浜から上大岡、あそこが一番ポイントとして凄くって。でも私、いっつも乗っていたのでもう慣れました。

 

兵藤 そこらへんはいまは乗らないかな。でも私、中学時代はソフトボール部だったじゃない? だから上大岡とかの中学校に遠征に行った時に、結構京急とか乗っていて、その時に「吐きそう…」と思ったのは覚えてる。

 

四方 でも横浜・上大岡間は一番急カーブだし、横浜出てから日の出町まで、トンネルとか入っていくんですけど、あそこは凄く色々なポイントがあって面白いです…何か食べる?

 

(次回へ続く / 第2回は6/6(水)に掲載予定)