映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

修了公演『革命日記』公演終了後座談会(最終回 / 全5回)

大盛況のうちに幕を閉じた映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演『革命日記』。
その出演者、そしてアクターズ・コース講師による座談会が2グループに分かれて開催されました。今回が最終回です!


[座談会参加者]
五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、日向子、福吉大雅、松岡真吾、るり(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018受講生)
浅田麻衣、那須愛美、四柳智惟(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座修了生)
山内健司(以上 アクターズ・コース講師)
(収録日2019/03/22)

 

 

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(前回の「好きなシーン」についての続きからです)

 

るり 私は「小坂ステップ」って勝手に呼んでたんですけど、出ていっちゃった千葉を小坂が追いかけるところ、足をズッズってするやつ。あれが好きでした。

 

全員 (笑)

 

山内 階段登るスピードすごいよね。ビューンって、あんな早い人見たことない。

 

松岡 そのあと、上でスクワットしてたよ、汗かくために。

   (小坂の次の登場シーンが、倒れている篠崎を見つけて急いでアジトに戻ってきたシーンだった)

 

山内 あれは誰のサジェスチョンなの?

 

日向子 あれ、斉藤くんが言ってなかった?

 

斉藤 でもなんか、息だけ戻っちゃったって言ってた、汗かいただけで。シャワー浴びてきたみたいになっちゃったって。

 

全員 (笑)

 

福吉 あれっていつからやり始めたんだっけ?

 

那須 最後の二回、とか

 

浅田 うん、一緒に退場して、何するかと思ったら始めたから(笑)

 

那須 そうそう、「全然息上がんないー!」って言いながらずっとやってた。

 

福吉 だから出てきた時めっちゃびっくりした。え、めっちゃ汗だくって思って。

 

全員 (笑)

 

福吉 滝のように流れてたから(笑)

 

那須 そうだよね。うん、釜口さん、一生懸命やってました。

 

福吉 逆に一番悩んだシーンとかあります?僕、豚のところ(桜井が、立花との結婚を武雄に迫られたあとのシーン)結構悩んでた。これはどうしたらいいんだ、って。

 

日向子 うん、わかる。私もあのシーン結構後半までしっくりきてなかった……だから、人がいろんな話をしてるのを聞いて、ああ、なるほどなって思ってた…

 

福吉 ……四柳さん寝てる。

 

四柳 寝てない寝てない!

 

全員 (笑)

 

福吉 なんかありますか?好きなシーン、大変だったシーンとか。

 

四柳 好きなシーンで言ったら、僕は佐藤さんの最後の、典子と子どもの話をするシーン。僕も、ああいうことができるようになりたい。

 

全員 (笑)

 

松岡 最後のそのシーンからの柳田のシーン、あそこいいですよね。佐々木たちが去った後、いいんですよ。台本読んでても泣いちゃうもん。

 

四柳 あそこは、いいっすよね、構成としてもすごくいい。ああいうのが意外と好きです。

 

福吉 確かに。

 

四柳 (田中英夫のような)ああいう役は一生俺には回ってこない役柄だろうなぁと思って。

 

山内 自分でやっちゃえばいいのに。

 

四柳 ああそっか、自分でやっちゃえば…いや、ダサくないですか(笑)

 

山内 ダサくないよ〜

 

松岡 人が見たら、あ、こういう役もできるんだ、ってなるよ。

 

山内 そう、待ってても来ないよ!

 

 

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松岡 全然テーマ変わっちゃうんですけど、この場だから聞いてみたかったのは、みんなどうやって役にアプローチしてたんですか?1人ずつ聞いてみたくて。多分人によって違うから。じゃあ…(福吉さんに)

 

福吉 僕ですか?アプローチねぇ…恥ずかしいですね、こういうの。

 

松岡 そんなおっきなことじゃなくてもいいから。盗めたら盗もうと思って。

 

福吉 僕はいつも、さっき四柳さんが言ってたみたいに、ここはこういう読み方、みたいに固定しちゃって、そっから動けなくなるのがすごく怖くて。だからやっていく中で、ここはどういうシーンなんだろうって見つけていけたらいいなって思って。なるべく台詞に自分で意味をつけすぎないで、フラットな状態で相手から受け取って自分がどう感じるかを積み上げていくようにしたいと思ってたんだけど、今回全くそれがうまくいかず、最初の頃だいぶ苦労して。今までやってた時は、相手も同じようにそれをやってたんですけど、今回全然経歴も違う人たちが集まってる中で、

 

松岡 演技方も違うしね。

 

福吉 うん。もっと自分で持ってきて色々試していかなきゃいけないんだなって気づいて。だから、すごい試行錯誤してました、『革命日記』の稽古は。持ってきてから、やっと篠田ともハマってきた感じがしたというか。そんな感じでした。

…どうでした?

 

日向子 私、一番思ったのは、革命家っていう存在が遠すぎて、なんか自分の中にそういう熱みたいなのがあんまりないし、台詞も遠すぎて。だから今までで一番やったなって事は、リサーチを、『アフター・ザ・レッド』とか本とか読んで、革命家の思いとか、そういうのを知ったら近づけるんじゃないかって信じて、やりました。

 

山内 『アフター・ザ・レッド』読んで、ノれた、ところとかあるの?

 

日向子 あっあります!……あ、なんだっけな。

 

松岡 あの印ついてたとこ?

 

日向子 あれ私じゃない!でもあれはすごい思った。

 

斉藤 あそこはやぎちゃん(青柳さん)がチェックしてたんだよ。

 

日向子 …あっ、そう!「正しいと思ってやった事なんだろう」っていうのを、捕まった人がお父さんに言われてて、

 

浅田 あぁ、あったね

 

日向子 それとか、「(闘争は)ただ日本を良くしたくてやった事なんだ」とか。

 

松岡 ひなちゃん(日向子さん)めっちゃリサーチしてたもんね。

 

日向子 でも本当にそれが、その思いがすごい、うっ、ってきました。『レッド』とか読んだら。今までそんなにリサーチとかして来なかったから。自信にもなるし、リサーチってめちゃくちゃ大事なんだなって思いました。

 

全員 うん

 

斉藤 やっぱり「2019年の革命する身体」っていうのは、山内さんの言葉を聞いて、興味があったから、面白かったんですけどね、アプローチするのが。確かに革命とか全然わかんなかったんですけど、『レッド』とか読んだら、難しいことを考えて難しいことをしようみたいなところはあるんだけど、でも内実は、なんかカコイイと思っていることを、人を集めて組織して、自分たちカッコイイぜみたいになってやり始めちゃって、後に引けなくなった、みたいな。そういう内側の意識の流れみたいなものは全然理解できるなぁと思って。『レッド』も6巻くらいあるけど、もう1巻の途中ぐらいからずーっと逃げてるじゃないですか、闘ってるというよりも。だからそれがすごくリアルだなぁと思って。自分は、チームを組織してイベントするとか、やりたいって思うけど、行動したりできるタイプじゃないから、だからそういうところに、何か探れるんじゃないかなっていう楽しみはありました。

 

山内 できた?

 

斉藤 うーん…実際にその手触りを手に入れられたかどうかって言われたら、手に入れたとは言えないけど、すごい、演劇って楽しいんだなぁって思った。

 

全員 (笑)

 

山内 結構、ガチの革命家みたいに取り組もうとしたじゃん、僕たちが。そのことが、劇場で一体何を起こしたのかなってことをずっと考えてて。元々のさ、『革命日記』の原作の題名が『Fairy tale』っていってさ、日本語訳だと「おとぎ話」。Fairy taleって、妖精の話って意味じゃん。元々書かれた戯曲がそれで、どうやって出現させることができるのかって考えて。これは前の座談会でも言ったけど、「革命する身体」の意味っていうか、フェアリーのテールをどうやって出現させるのか、そういうテキストをどうやってこの世にもう一回召喚させるのかって考えて。一応考えたのが、「3つの風穴」で、晴美と柳田と俊介。この3つの風穴が一瞬空いたっていう「おとぎ話」にしたかったんだけど。さて、それが客席に届いただろうか?ってことをずっと考えてます。

 

全員 うん

 

斉藤 さっき2期の映像観たんですけど、晴美のシーンが全部、間を取ってて。これは狙ってるな〜って思った。

 

全員 (笑)

 

奥田 近藤さんとかも言ってたけど、晴美のシーンは本当はもっと長い、って。短かったね、って。

 

斉藤 でもやっぱり、僕らの晴美の軽い感じというか、そっちの方が、ズドンって風穴開けた感は、上手くいったときはあったと思います。

 

山内 でもやっぱり演劇って、劇場で観た人と何かが起きるっていうミーティングみたいな感じで。ただその風穴に清涼感を感じて欲しいとかそういうことじゃないんだけど。風穴あいてるよね、っていうことをちゃんと提示できたのかしらってことをずっと自問自答してます。

 

全員 うん

 

山内 あ、俺あと10分くらいで出ないと。これから授賞式なんですよ、『日本文学盛衰史』の。

 

福吉 それでスーツだったんだ。じゃあなんか山内さんに質問あったら…

 

斉藤 演出のイメージが変わりました。山内さんの演出は、これって演出なのかな、講義の延長線上をずっとやってるんじゃないか、これで作品ができるのかなって実はずっと思ってて。でも昨日「演劇1」を観て、山内さんは僕らに、プロの俳優たちと同じようにやってたんだなって思ったんですよね。僕が見てきた上手い演出家って、俳優にわかりやすように、作品の全体像に向けて俳優を仕上げていく、みたいなイメージがあって。けど「演劇1」観たら、オリザさんの演出も、「俳優に作らせてる」って感じがあったんですよね。細かい間のこととかは言ってるんだけど、でも核になるというか、面白い部分は俳優に作らせてるっていう感じがして。それを山内さんもやってたんだなぁと思って。オリザさんが「戯曲に真実が全部書かれてるわけじゃなくて、演出家は方法を提示して、俳優は戯曲で実験する」って言ってて。俳優が演劇を作るっていうのはこういうことなんだなって思った。でも山内さんは演出もしっかりしてて、よくよく考えたら。付け足した部分とか、生き生きとしてたりしてて。やっぱり演劇って面白いなぁって思いました。

 

山内 俳優として稽古場でオリザを見てても、どういう仕事してるのかわかんないの。自分と全然違う仕事をしてるーってのはわかるんだけど。逆に、全然俳優と違う作業って一体何なのかって考えて、僕は、場を組織するというか、「出来事」が起こるような人(観客)の集まり方を作るというか。どうやって、劇場で「出来事」を起こすかっていう、その視点がね、いろんなレイヤーがあって。僕が一番、もっとできたなって思うのは、春風舎であること、なんですよね。

 

斉藤 山内さん的には、8期でこういう『革命日記』を作ろう!みたいなのは無くて、一人一人をこうやって動かしたらこういうのになるんだー!みたいな感じだったんですか?

 

山内 うーん。浅田さん(千葉役)なんかはそうだよね。佐々木はちょっと違うかもしれないね。でもこういうことを意図してやった訳じゃなくて、結果的に人によって対応が変わっちゃったんだよね。演出家は人によって言い方を変えるなんて言うけど、俺そんないやらしいことやるのやだよー、とか思ってたんだけど、俺やってるわって思ってびっくりしちゃって。

 

斉藤 『革命日記』って前にもたくさん上演されてるじゃないですか。そういうの全部見てやったんですか?

 

山内 見てないのもあるけど、それらを観た上での、このアプローチです。どうしても僕はガチでやりたかったんで。カリカチュアする側面が大きかったんで、今まで。

 

斉藤 カリカチュア

 

山内 戯画化するってことです。僕、戯画化する芝居っていうのは、自分がやるときにあんまり自分の仕事って思えなくて。でもお客さん的には、あまりにも笑いがなくて窒息したんじゃないの?って。俳優としてやってると、客席がウケなくても僕全然怖くないんです。

 

四柳 僕は超怖いです。

 

全員 (笑)

 

山内 俳優の時は、あぁ今日は客席はこういう感じなんだなって思うだけなんですけど、演出家の時はウケないと、どうしよう、どうしようって思っちゃったり。

 

福吉 「2019年の革命する身体」って強調されてたじゃないですか。それは実現できてたと思いますか。

 

山内 うーん、実現って、それを演じるとかじゃなくて、作品としての志とか違うアプローチというものが、劇場でドカンと出来事として起きたかっていうと、意外とやっぱり演劇は演劇として観るから、お客さんは…。実現したかどうかはわからないけど、ある回のある客席の何割かには実現してるし…ってな感じかな。本当に客席含めてなんだなって実感してます。

 

日向子 …じゃあ一旦こんなところで、

 

山内 はい、ありがとうございました!

 

(山内さん、授賞式へ!)

 

 

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福吉 じゃあ、先ほどの続きで皆さんのアプローチについて。五十嵐さん。

 

松岡 久しぶりだもんね、舞台。7年ぶり?

 

五十嵐 そうですね。台詞が覚えられなくなりましたよね。

 

全員 (笑)

 

五十嵐 言葉が簡単に出てこないの!もっと簡単に出力できてたはずなのに。でもアプローチ自体はそんなに変えてなくて。それこそ資料漁ったりとか、自分が腑に落ちるポイントがどこなのか探したりだとか。僕が前いた劇団は立ち稽古がすごく多かったんで。でも今回は、一週間に一回回ってくるかくらいだったから、すごい不安ではありましたね。だからこそ、るりちゃんと一緒にいる時間を多めに取ったのかもしれないですね、拠り所を作らないとなって思って。

 

福吉 でも山際も、生活的に考えると、いがちゃん(五十嵐さん)とだいぶ違う役じゃないですか。アプローチするのは大変だったんじゃないですか。

 

五十嵐 うん、(組織の)何に魅力を感じたんだろうってずっと思ってた。それくらいかなぁ。

 

全員 へ〜

 

日向子 じゃあ、次四柳さん。

 

四柳 アプローチね…僕アプローチってことをあんまりしないんですよね。台本読んだ時点で大体芝居が決まってしまうっていう。まあそれが短所でもあるんですけど。その人物の実態がどうかっていうことにあまり興味がある方ではないんです。資料を読むことによって阻害されてしまうこともあるかなって思ってて。ちょっと固定概念にとらわれやすいんですよ、自分が。嫌っていうか、敬遠してるっていう、一旦は。とりあえず台本では何が起こってるんだろう、って台本を読む中で発見していって、それの反証を探すのにリサーチをする、みたいな。後付けで、台本を読んでこう思ったけど、これは正しかったんだ、みたいな感じで探していくっていうのが多かったですね。じゃあ坂下はどうかっていうと、構造としては対比じゃないですか、革命家と町内会と。それぞれ自分がいいと思ってることをやってるっていう。だから芝居のアプローチとしては、革命家の芝居が強くなればなるほど、こっちもそれに合わせて「俺らだってこうだぜ」みたいに擦り寄せていく、みたいなアプローチはしましたね。

 

斉藤 良子さん(福本役)との町内会はどうでしたか?(町内会で)どういう企画が上がってるとか…

 

四柳 そこらへんあんまり考えないんですよね…そう、これは良子さんに不義理を働いてしまったと思っているのが、「どういう町内会なんでしょうね?」って聞かれた時に、なんかその時すんごいとんがってたんでしょうね(笑)「台本に書いてないこと考えてもしょうがないでしょ」みたいなこと言っちゃって。

 

全員 (笑)

 

四柳 俺、最悪だったなぁって。単純にその日寝不足でとんがってただけなんですけど(笑)すごい先輩としてあるまじき…それは、本当にすまなく思ってます。えー、良子さん。あの時は、本当にすみませんでした。

 

全員 (笑)

 

福吉 じゃあ、次はるりちゃん。

 

るり 私でもちょっと四柳さん傾向あるかも…私の役が、外部の人間で小学校の先生っていうこともあると思うんですけど、革命家の役だったらリサーチちゃんとしないと、革命っていうものが全然イメージできないからリサーチしてたと思うんですけど。小学校の先生だからイメージが付きやすいなっていうのもあって、そこまでリサーチはしなかったんですよね。私のやり方としては、舞台裏で待ってる時って結構緊張してるじゃないですか。それを、杉本が新しい場所に出てくるときのドキドキにすり替えるっていうのをどんどんどんどんやっていくっていう。あとは、なるべく新鮮にやりたかったので、ここにこういう物があって料理があってっていうのをなるべく忘れて、毎度毎度何があるかを見る。あと、繰り返す時に、一回一回忠実に、なるべく同じタイミングでここを見ようとか決めてて。だから私の演技は、台詞がスラスラ言えるようにするのとおんなじように、なるべくおんなじタイミングでやるっていうのを染み込ませた上で、そこから気持ちをつける、っていうのが自分に合ってるなって思ったんで、だから動作でもおんなじことをおんなじようにやるっていうのは意識してました。だから私は、山内さんの「ここで前に出てください」っていう演出は、自分にはしっくりきて。自然に動作ができた上で生まれてくる感情っていうものが私の中にはあって。こんな感じのことをうまく組み合わせた上で、演技をしてたかなって感じです。

 

松岡 明確だね。

 

福吉 じゃあお二人(浅田さんと那須)…

 

浅田 もともと『レッド』は読んでいたので、ああいうの好きだし(笑)あとマスコミを大学でやってたから、結構権威に対して闘う人が多いんですよ、そういう人を見てきたから、こういうことかなっていう感じはしてて。山内さんにインタビューした時も、「昔に手を伸ばすんじゃなくて、今、革命する身体」みたいなことをおっしゃってたから、アプローチとしては山内さんと相違ない感じでいけるわとは思ってて。リサーチは、昔の報道の本を結構持ってるので、闘ってきた人たちの手記とか読んで。割といつも私は身体から入るので、この人はこういう歩き方かなとか、こういう体格かなとか、そっからまず入って。私、2期の『革命日記』を観ちゃってて、2期の千葉は結構ほわわんとした可愛い感じだったので、私はこういうのはできないし、山内さんが持っていきたいのは多分こういうことじゃないから。で、私が1回目に持ってきたものを全部出してみて。鞄ドーンみたいな(笑)そしたら山内さん特に何も言わないから、こっちでいいんだなぁと思って。あとは、佐々木とか小坂とかと作らないといけないなと思ったから、積極的に喋ろうっていうのはあったかな。なるべく普段からグルーブ感を作っておいて、稽古場でそれをやる、みたいな。でも千葉は行間(しゃべっていない時間)が長すぎて何やったらいいのかわかんなかったから、とりあえずアンテナを広げとこうと思って、釜ちゃん(釜口さん)いっぱい食べてるなぁとか、こぼれてる、拭こう、みたいな感じでやってましたね。

 

斉藤 2期とぜんっぜん違いますよね。

 

松岡 ぜんっぜん違う。あそこ3人(佐々木、小坂、千葉)出てきてからぜんっ全違う。

 

斉藤 僕は8期の見慣れてるから、8期のすごい面白いと思ったんですけど、初めて観たら、(2期の方が)わかりやすいのかなぁとは思う。

 

松岡 パッケージはされてるよね。

 

斉藤 (2期は)大学生のサークルの企画会議みたいな雰囲気があって、それはそれでわかりやすい。

 

浅田 そう、2期のイメージを消そう消そうって思ってたから、ひよこをチューさせてみたり。そしたら山内さんに「鳴らしていいよ」って言われた。

 

福吉 それで鳴らしていいよってなったんだ。那須さんは?

 

那須 私は、このシーンはなんでこの戯曲のこの位置にあるのかとか、この人が出てくる前に何をしてたのかとかを考えるのがすごい好きで、めっちゃ考えるには考えるんだけど、でもそれを演技にどう反映させるかっていうのがいつも具体的に思いつかなくて。だからいつも、「とりあえずやってみよ!」ってやってみてから色々考えて、変えていくっていう感じだから。今回もそんな感じでやってみて。それが最初山内さんも「その表情面白いね」って言ってたんだけど、結局なんか違うなぁって言われ続けて、最終的に自分が持ってきたものと全く違うものが出たなって感じがあったから、あんまりどうこうアプローチしたっていう感覚がないんですけど…あとはまあ、入ってきた時に見えた景色を具体的にイメトレしましたかね。客席のところの壁にはどんな絵がかかってるのかな、窓かな、でも地下だから窓はないか、みたいな。あとは、最後のシーンで出す写真、3枚手帳に挟んでたんですけど、1枚は出すやつで残りの2枚を私の心のあったまるものを入れてて。写真出す時にパッと目に入ったら、ポッと心境が変わるかなって思って(笑)あんまりガツガツリサーチしてとかは無かったかな、って思います。

 

松岡 そのあったかい写真は影響しましたか?

 

那須 あ、でも、私の10歳くらい年下のいとこの写真を入れてたんですけど、一瞬素に戻るというか、直前でガーッて前のめりになってたところから離れて切り替えにはなったから、それは自分ではよかったなって思います。

 

福吉 じゃあ最後…松岡さん。

 

松岡 色々聞いてみて、改めて正解はないし、良いなって思いました。僕もアプローチを具体的に言えば山ほどあるけど。けど今回、山内さんも言ってくれてたけど、全部一回捨てようと思って。捨てるって言ったらおかしいけど、いろんな舞台に関わってたら毎回違うじゃないですか、方法論とかアプローチって。今までやってきたことに頼ると楽しくないしって思って、なるべく全部捨てて臨もうと思ってたから。逆に今回、人のことすごい見ようと思って。自分のことを考えちゃいがちなことを知ってたから、稽古場来たら自分のことを置いといて、みんなが今日やろうとしてることを見たりとかしてて。やっぱり今日色々聞いてて思ったのは、結局自分が信じれたらなんでも良いんだなって。だから映画美学校入ってよかったなって思うのは、色々考えることができるっていう。まあ山内さんの演出がそうだから。答えを出さないっていう。山内さんもわかってない時もあるし、あえて出さない時もあるし。考えなきゃそこにたどり着けないから。みんなのいろんなアプローチを見れて良かった。僕も今回みんなのアプローチによって変えていこうって思ってたから、自分のやること捨てて、人の見てとりあえず試す、みたいな。人のいいところとりあえず真似てみるとか。でもこれが万能かって言ったらそうじゃないから、それでみんなの聞いてみたくて。僕はそんなんだったから安定しなくて不安だったけど。でも人の見て安心したのもあるし。

 

斉藤 松岡さんって結構本番ギリギリまで台詞言ってましたよね。

 

那須 松岡さんと日向子さんはいつも言ってた。

 

松岡 言う日もあるし言わない日もあった。それはその日のコンディションによって変えてた。台詞言って負荷かける、みたいな。

 

るり 私は逆に台詞言っちゃうと緊張しちゃうので…

 

松岡 ひなちゃんはもうずーっと言ってたもんね(笑)

 

日向子 言わなかった日もあるんですよ。でもダメだってなって。

 

松岡 相手の台詞も言ってたもんね。

 

日向子 だって相手の台詞がないと反応できないじゃないですか。相手の台詞の方が大事なんじゃないかってだんだん思っちゃいました。でも後半は相手の台詞言いすぎて、気持ちぐちゃぐちゃになっちゃって、出たら最悪だったっていうのが一回あって、これどうしたらいいんだっていうのはありました。難しいなって思いました。

 

福吉 逆にいっぱい言って本番新鮮じゃなくなっちゃうのが怖くて、直前はあんまり考えないようにしてたんですけど、でも1番最初の場面を本番直前にやるってなったじゃないですか。それが最初すごい嫌だなって思ってたんですけど、でもやったら、やっぱりルーティーンなんだなって。ずっとやってたら逆にやらない方が怖くなっちゃいました。

 

松岡 だから、逆に毎回新鮮にしたいから、動きとか動線とかめっちゃ正確にしてた。食べる動作とか、一ミリでもそっちに意識向けたくないから100回練習しとく、みたいな。

 

るり 何も考えなくてもできるように一回しちゃうと、逆に新鮮にできる気がしました。

 

福吉 (進行台本を見て)…じゃあ、まだまだ話し足りませんが、そろそろ時間が迫って来ましたので。皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました!以上で、『革命日記』終了後座談会を終了させていただきます。ありがとうございました!

 

全員 ありがとうございました!

 

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ここまで全5回お読みいただきありがとうございました!

 

(構成・那須愛美)