映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース2019年度公演「シティキラー」2020/3/5(木)〜3/10(火)上演!

[特別企画]本橋龍さん×生西康典さん対談【後編】

2月21日(金)、演出の本橋龍さんと、美学校講師である生西康典さんとの対談が行われました。今回は対談の後編です!

 

 [プロフィール]

生西康典 
1968年生まれ。舞台やインスタレーション、映像作品の演出など。
作品がどのようなカタチのものであっても基本にあるのは人とどのように恊働していくか。
美学校 実作講座「演劇 似て非なるもの」講師。
https://bigakko.jp/course_guide/mediaB/engeki/info

インスタレーション作品:『風には過去も未来もない』『夢よりも少し長い夢』(2015、東京都現代美術館山口小夜子 未来を着る人』展)、『おかえりなさい、うた Dusty Voices , Sound of Stars』(2010、東京都写真美術館『第2回恵比寿映像祭 歌をさがして』)など。空間演出:佐藤直樹個展『秘境の東京、そこで生えている』(2017、アーツ千代田3331メインギャラリー)。書籍:『芸術の授業 BEHIND CREATIVITY』(中村寛編、共著、弘文堂)。

 

[対談参加者]
橋龍、生西康典 、瀧澤綾音

秋村和希、星美里、百瀬葉、山田薫
小駒豪(『シティキラー』美術・照明)浅田麻衣(『シティキラー』制作)

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生西 ご自分で集められたんじゃない役者さんというか、今回って映画美学校の生徒さんですよね。

本橋 そうですね。

生西 そういうのって初めてですか?

本橋 初めてですね。

生西 自分が選んだんじゃなくて、むしろその生徒さんたちが先にいて、そこに選ばれてつくられた、みたいな。

本橋 初めてです、かね。一応なんか、3日間ワークショップやって1日本番みたいな企画のものが一回あって。(※)それはあったんですけど、そのときはすごい短期間だったんで。こんな長期間こうやって関わるのは初めてですね。
※20190728 同時代劇作家ワークショップ・プログラムvol.2リーディング公演『ごめんなさいの森』

生西 やっぱ全然違いますか?

本橋 うん、全然違う・・かなあ。違うのかなあ。うん、違う気がしますねなんか。なんなんだろうなあ・・少なくとも僕は、関係性がフラットに感じれてるなあっていうふうには思っておりますね。

生西 そうかあ・・・・

本橋 うん・・・。どうなんだろう。えっフラットじゃないんでしょうかね、絶対ね。だって俺、ギャランティもら・・お金もらってやることになってるからなあ(笑)
うん・・なんか・・そうですね。個人的には心地よくものづくりというものをさせていただいてるって気がします。

生西 そこの違いってどういう感じなんですか?自分で出演者選ばれる場合って、自分が書かれた戯曲に対して、この役はこの人がベストっていうか、いいだろうと思って多分頼まれるんですよね、きっと。今回の場合って出演される方が決まってから戯曲を書かれたんですか?

本橋 一応入学試験みたいな、入学オーディションみたいなものがあって。その時点から参加させていただいて。その講師の人たちと、どの方に入学してもらって、みたいな会議をしたんですけど。
その時点からいて、意見も言わせていただいてるっていうのはあるんですけど。でも普段も、この役はこの人がぴったりだ、っていうよりはもうちょっと関係性というか、この人とだったらお互いノーストレスで作品つくりできるんじゃないかっていう人を選ばせていただいた上で、あとで作品のことを考えて、っていうことではあるんですけど。

生西 あ、そっちが先なんですね。

本橋 でもやっぱりそうですね。自分からお願いして出てもらうっていうことがあるから、どうしてもなんか・・・

生西 そうですよね。製作的なことも兼ねてってことですもんね。自分の。

本橋 あ、はい。ですね。今ここでやってることと状況は根本が違うような気がしますね。

 

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生西 当て書きみたいなことって今回ってされてるんですか?

本橋 当て書きっていうのかわかんないですけど、昔から書くときに出るっていう人を考えて、うん・・・その人がこういうことをしゃべったらいきいきするんじゃないかな、みたいなことを考えながら書いてるって感じではありますね。

生西 セリフ書かれてるときに、その人の声で再生されることってあります?

本橋 勝手にどんどん喋り出す、みたいなときはありますね。それで僕としてはこういった流れで考えてたのに、どんどん関係ないことを喋り出しちゃって、っていう。できるだけそれはそのままのっけて、っていう。
そういう時が書いてて楽しいなとは思いますね。どんどん邪魔されちゃう、っていう。で、そこにのっかっちゃって。そしたら自分の思ってた方と全然違う方にいっちゃって、っていう。

生西 登場人物が語り出すみたいな。

本橋 そうですね。今回の脚本もすごくそういうところがあって。当初なんとなくこういう話になるだろうって考えていたところから、書いてるうちに全然なんか・・自分のやってる感覚としては、できるだけどんどんなんか、自分がこういきたいなって思うところと違う危険地帯にどんどん進んでいくようにっていうようなことで書いてはいて。なので、全然思ってたものと違う感じにはなりましたね。

生西 作・演出をされてるじゃないですか。書かれてる段階で、登場人物が自分の思考からぐっと外れて語り出すみたいな、動き出すみたいなことがあって。なおかつそれが生身の役者さんでやるときって、そういう状況って起こるんですか?

本橋 あるんじゃないかな。あると思います。

生西 もしくは極端に言えば、自分のイメージ通りに動いてもらうみたいなことは、たぶん本橋さんにはないだろうなって気はするんですけど。

本橋 そうですね。それはそうだと思っています。といいつつ・・・脚本の所在みたいなことは、必要なのかみたいなことはその都度毎回考えて。これ、ないほうが・・

生西 脚本が、ですか?

本橋 はい。でもやっぱり、短い期間で演劇をできるだけシンプルな時間でつくるって考えると、脚本というものがあったほうが圧倒的に効率がよいなとは思ってるんですけど。

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生西 さっき稽古拝見してる時、結構セリフ直されるんだなと思って。

本橋 セリフを直す・・どういったこと・・

生西 そこ(のセリフ)はまたちょっと考えたいみたいなことを結構おっしゃってたんで。

本橋 はいはい、そうですね。

生西 やってみて、セリフをまた変えられたりって結構するのかなって思って。

本橋 特に作家の僕の意図が強く出てるところはどんどん削いでいきたいっていう思いがあって。というのはありますね。

生西 そこはやっぱり戦いなんですね。劇作家の本橋さんと、演出家の本橋さんっていう。

本橋 そうですね。回路は全然違うなって思います。演出をしながら、「なんでこれこんなこと書いたんだろう」みたいに思ったりしながら。生西さんって脚本みたいなものを書くことはあるんですか?

生西 稀。ほとんどないんですけど。

本橋 あ、あるはあるんですね。

生西 はい。セリフっていえるかわかんないですけど。

本橋 それは、文章みたいなものを書いて、

生西 それを言ってもらう。

本橋 脚本ってどうしても構造上、言葉が強くなっちゃうなって思って。脚本っていう形式を本当はもっと解体してやれたらいいんだろうなって思いつつ。ずっと現状、人の名前が書いてあって、セリフが書いてあってっていうことの連続を形式上やってるんですけど。もっと豊かな脚本のありかたってある気がするなって思ってたりするんですけど。なんか・・

生西 セリフってどう書くのか全然未だにわからなくて。喋り言葉ってどうやって書けば書けるのかって思いますけどね。

本橋 書けないっていうことですか?

生西 書けない、ですね。

本橋 へえ・・・逆にでも書けないってその感覚がちょっと・・

生西 そうですよね。

本橋 興味がありますね。自分のしゃべったようなことをたとえばこうやって書いてみたら、一応書けるじゃないですか。それはまた違う?

生西 あ、自分がモデルなんですか。そういう場合って。

本橋 僕はそうですね、喋る内容だとかは人のことで考えたりするけど、脚本でわりと細かく言いよどんだりとかっていうのもテキストで書いてあるんですけど。それは自分が喋ってる感覚で。まあ半々かなあ。自分とその人と半分。でも口元・・喋ってる感じは結構自分の口の感じで書いてますね。でそれで、それをやる人に言い方とかは全部言いやすいように変えちゃっていいんでっていう。

生西 あ、そうなんですね。

本橋 ただ、なんとなくその空気感を読み取っていただけると、みたいなことで。自分の喋り口調でテキストにしてるって感じですね。

生西 (瀧澤に)結構直したりするの?

瀧澤 私できるだけ本当は(正確に)読もうとしてて。「あっ」とかがすごくいっぱいあって、「あっ」「あっ」「あっ」とかがいっぱい書いてあって、とか「・・・」がめっちゃ多くて。「あっ」なんとか、「・・・」とか、点、句読点がすごく多い。
だからできるだけセリフに合わせて言おうとしてやってるけど多分違うこと結構言ってる。言いよどみ方は結構自分の言いよどみ方で結構言ってるかなって。

 

生西 言っていいのかわからないけど、瀧澤さん、今回の役が自分の持ってる自分のイメージからすごい真逆っていうか遠い?

瀧澤 自分の嫌な部分っていうか・・なんだろう、自分が自分の中で「こうある自分はあまり好きじゃない」ってところが、「あっ」ってところにいっぱい出てて。「これは、私は俯瞰するときなんだな」って思って。

生西 まだつくられてる途中だから、もしかしたら勘違いかもしれないけど。舞台上でしゃべってる瀧澤さんってのが、普段の瀧澤さんにすごい近いなって思って。

瀧澤 うふふ。

本橋 さっき生西さんがおっしゃったのは、瀧澤さんが思ってる瀧澤さんの・・・

生西 セルフイメージと。

本橋 ああ。

瀧澤 セルフイメージっていうか・・・

生西 ああ、違うんだ。

瀧澤 こういう部分もあるってのがすごいわかって。自分がありたくないなって部分がすごく前面に出てる(笑)

生西 そうなんだ、すごいな。本橋さんすごいですね。

本橋 えっ、そうなんですか?

生西 ばれてるんだ。

瀧澤 ばれてますね。

本橋 実際どうなんですか?脚本書いて、実際出演する人が「あ、私のこの部分をなんで知ってるんだ」みたいなことをおっしゃったりとか

生西 あ、あるんですね、やっぱり。

本橋 かなりあって。ただ僕、それは全部占いみたいなものだと思っていて。

生西 ああー。当てはまっちゃう。

本橋 そうそうそう。多分、ぼやかして書いてるから、なんとなく沿ったことで言ってて。だから自分でそう思ったりとか、人が「あ、これ本当あなたっぽいね」って思ったりするのかなあ、なんてことを思っていて。実際そのへんが・・・僕は少なくとも自覚的に人のことを読み取って書いてる感覚ではないので。

瀧澤 それも思いました。同じようなセリフがやっぱり散りばめられてて、別の役でも。だけどそれを読み取ってるのは自分だから。ってすごく最近思って。

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本橋 それで思うのは、やっぱり人ってそこまで大きくは変わらないのかなみたいことも考えたりとかして。自分が問題意識があって、なんとなくこうやって書いたことを、「あっ私ちょうどこのこと考えていて・・・」とかおっしゃってくださる場面があったりして。やっぱり共通でそういうことって思っているのかな、とか感じたりします。

生西 話が全然変わるんですけど。本橋さんが九龍ジョーさんの雑誌(Didion)で飴屋(法水)さんと対談されたのを前読んだんですけど。

本橋 あ、恐縮です。

生西 (本橋さんの)兄弟にでしたっけ?なんかあの、赤ちゃんが生まれて。会いに行った時に自分中心じゃない世界があるっていうふうに感じられて泣いてしまったって言われてて。それがすごく印象に残ってて。

本橋 あ、ありがとうございます。

生西 僕、昨年の10月に子供が生まれたんですけど。

本橋 あ、そうなんですね。おめでとうございます。

生西 だからいま(生後)4ヶ月半くらいなんですけど。自分がそういうタイミングだったのもあって。あと、結婚を2年くらい前にしたんですけど。そのときにもそういうことを思ったんですね。自分が中心じゃない、というか。それですごい楽になったんですけど。

本橋 うんうん。

生西 だから、すごい、ああって思って。

本橋 はいはいはい。

生西 あと、さっきの・・「バブみ

本橋 バブみ

生西 バブみってうまく言えないんですけど。今赤ん坊が目の前にいる生活なんであれですけど。赤ん坊って甘えてるんじゃなくて、いつも必死っていうか。だって自分が何にもできないから。だからあれはもう全力なんで。

本橋 なるほどね。

生西 甘えてるのと全然違うなっていうか。だってミルク飲まないと死ぬみたいな状況だから。

本橋 ああ、そうか、そうですよね。

生西 全力っていうか、あんなに懸命な生き物っていないなって思って。

本橋 はあ、なるほど・・・

生西 だって、適当ってのがないじゃないですか。

本橋 そうですね。

生西 だって・・人間の子供くらい本当に無力な存在ってないんじゃないかなっていうくらい。普通動物の子供って、(生まれてきて)ちょっと経ったらもう立てるし、動けるし。完全な無防備って逆にすごいなって思ってて。赤ん坊ってじいっと相手の顔見るんですけど。

本橋 みますよね。

生西 あの見られてる感じもすごいなって思ってて。だってあんなに人から見られないし、見ることもできないですよ、大人になると。そんなことしたら「あんたどうしたの」って言われるだろうし。
でも演出家って、基本的に見ることだなって思ってるから。見ることくらいしかできないというか。

 

本橋 ちょっと話変わるかもしれないけど。人をじっと見ることができるって、演劇で起こるなって思うんですけど。

生西 そうですよね。

本橋 お客さんが。

生西 観客もそうですよね。

本橋 僕、自分の実質6畳のお部屋の中で演劇公演をするときがあって。演者の人とお客さんの距離感がすごく6畳なんで近いんですよ。結構・・・(生西さんに近づいて)これくらいの距離の時もあって。多分演劇が始まるまではやっぱりずっとこうやって(生西さんをじっと見つめて)見れないんですけど、始まった途端にもちろん演じる側もそんな目を合わせないんで、こうやって(生西さんを見つめて)見ることができるっていうのがすごく面白くって。

生西 そうですよね。見ることもないし、見られるってこともないし、そんなに。

本橋 それ、面白いなって思いましたね。そのときすごい考えたのが、居酒屋とかで集団で飲み会みたいになったときに、たとえばそのなかにカップルがいて、痴話喧嘩みたいなものを始めた時って、結構みんな興味を持って聞いてたりするけど、目線はなんか上のメニューをじっとみたりとか、手元でこうやったりして、こうやって、こうやって(生西さんに近づいて見つめる)みることはできないじゃないですか。でもそれを見えてる状態だな、みたいな感覚が演劇やっててあって。すごく不思議だなって思ったのを、今の赤ちゃんの話を聞いて思い出したんですけど。でもそうですね、赤ちゃん・・・赤ちゃんの必死っていうのはそうですよね・・・

 

生西 でも、居酒屋の話と電車の話ってすごい近いですよね。本橋さんの中に、そこになにかあるんでしょうね。

本橋 確かに、それはそうかもしれませんね。居酒屋、電車・・そうですね。

生西 (全体をみて)そういう感覚ってあります?本橋さんみたいな感覚って。

本橋 電車と居酒屋・・

生西 そんなに意識します?

星 めっちゃみちゃいます、私。

生西 あ、むしろガン見しちゃう?

星 ガン見しちゃうタイプの人間。

本橋 それでさ、パッって目があったらそらす?

星 そらします。

生西 あ、そらすんですね。

星 そらしますね。

生西 見てないよ、って?

星 うん、・・・逃げますね。

本橋 このあいだ、電車乗ってる時に向かいの高校生かなんかが、めっちゃ俺のことこうやって(下から覗き込む)見てて。でも別に、不良とかそういうタイプではなくて。ずっと見てて。「あっ見られてる・・・」って思って、
で、一回パッと目合っちゃったんですよ。そうしたら向こうもスッとそらして、俺も、ああって思ったら、またずっと見てて。

一同 (笑)

 

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本橋 あっ、見られてるーって思って。あまり目を合わせると申し訳ないから、ずっとこうやっとこうって・・・(下を向いて)ちょっと今それを思い出したんですよ。

生西 なんで申し訳ないんですか。目を合わせてるのはあっちなのに。

本橋 そうなんですよ。でも合っちゃったらね、お互い、なんかこう・・・でも、目が合うってなんなんですかね。なんで目が合う、のか・・

生西 お互いに見てるんでしょう(笑)

本橋 まあ、意識してってのは、お互いがピンって繋がった瞬間、コミュニケーションになっちゃうっていうか・・

生西 そうですよね。そうだと思います。

本橋 そうですよね。それもなんか、考えてみると不思議な感覚でしたね。人の目って結構じっと、話す時とかってよく見られます?

生西 どっちかといえば(見ます)。僕電車の中でも向かいの人見ちゃう方なんで。すごい嫌がられてると思います。

本橋 あ、本当ですか?なるほど。

生西 なんか面白いじゃないですか、だって向かいに座ってる人って、いろんな人がいるし。顔見てるだけですごい面白いっていうか。

本橋 僕あんまり、話す時もずっと目とか見てられないタイプですね。

生西 あ、そうですか?

本橋 うん。そんなに・・・。でも一時期よりは見れる様になったんですけど。ちょっと前まではかなり見れなかったですね。

生西 まったく見ない人いますよね。

本橋 いますね。目合ってる感じなのに、合ってない気がする人もいますよね。

生西 それ怖い(笑)

本橋 いません?焦点がなんか・・定まってない?あれ、どういうことだろう・・

生西 いや、いる気しますよ。

本橋 形式として合わせてるのか・・・。いますよね。

生西 なんなんでしょう。興味ないんでしょうねきっと。

本橋 あ、うん、たぶん。そうなんでしょうね。生西さん、僕、Twitterのあのアカウントのあのアイコンだけすごく知っていて。僕の作品って観に来ていただいたり・・・

生西 あ、『さなぎ』を。

本橋 あ、そうですよね。それで、感想を書いていただいてたのかな・・・それでなんか意識して。僕も細かく覚えてないんですけど。なんかすごい、優しそうなおじさんのアイコンのイメージがめちゃくちゃあって。あ、『さなぎ』を観に来ていただいてたんですね。

生西 あのアイコンは飴屋さんに、「生西さんはあんなに可愛くない」って言われましたね。

本橋 あれすごく可愛い。

生西 滅多に僕に何も言わないのに、たまにいうことそれか!って。すごい嬉しそうに言ってましたね。「生西さんはそんなに・・そんなに可愛くないよね」って。そりゃそうだろうけど。

本橋 飴屋さんとはなんか、関係性というか、どういった・・

生西 自分の作品に結構参加していただいてて。

本橋 どういったタイミングで出会われたというか・・・

生西 いつだろうなあ・・。なんか「動物堂」をされてたときに、

本橋 あ、そのタイミングで。

生西 その時はほとんど接点なくて。宇川直宏さんって、今DOMMUNEやってる人が友達で、彼が雑誌の広告の撮影で動物を借りにいく時に、ついていったんですよ。

本橋 うんうん。

生西 その時に飴屋さんに初めて会って。なんかふくろうのちっちゃい、なんか・・置物みたいなやつもらったんですけど。その後もずーっと会ってなくて、みたいな感じで。

本橋 えっ、何もらったんですか?ふくろうのちっちゃい?

生西 なんだろうなあれ。なんか、陶製の、陶器の。

本橋 えっ、置物?

生西 置物なのかな・・なんかよくわからないですけど。

本橋 へえー。なるほど。動物堂の・・・

生西 飴屋さんが一番太ってた時。

本橋 あっ、太ってたんですねそのとき。

生西 太ってましたね。

本橋 そうなんだ・・・

生西 なんか、なんだっけあれ・・・美少年みたいにデビュー(東京グランギニョル)の頃から言われてたのがすごい嫌だったらしくて。

本橋 あ、それで。

生西 わざと太った(らしいです)

本橋 意図的に。そうなんですね、確かにそういう流れがありましたよね、空気がね。動物堂の話、飴屋さんの『君は珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?』をみて、すごくみてみたいなって思いました。もう知ったタイミングでなかったんで、跡地だけみにいったんですけど

生西 そうみたいですね。

本橋 その対談の時に知って。

生西 東中野でしたっけ?

本橋 そうですね・・・。対談、お互い喋ってる感じですけど、結構そういう空気でもなかったり。僕が特に全然喋らなくて、間に九龍さんがいて、九龍さんが回してくれるっていう感じで。それで、九龍さんが「お前いっぱい質問考えてきてくれー」みたいなことを言われて。でも俺全然思い浮かばなくて。

生西 あ、そうなんですか。

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本橋 聞きたいこと・・・なんだろう・・・そんなないなあ・・とか思って。でも一応無理矢理考えていって。で、行ったら、「本橋くんがいっぱい質問 用意してくれるみたいなんで」とか言って(笑)で、「言ってくれ!」って感じで。
俺自分でも、「これそんなに聞きたいことじゃないけど・・」ってとりあえず喋っても、飴屋さん答えなかったりとかして。「こういう質問なんですけど・・・」って言ったら飴屋さん黙ってるんで、「ん、まあ、これは大丈夫です」って感じで引き下げたりとかして(笑)
で、絶妙なやり取りをしているうちに、突然飴屋さんが「僕と本橋君の違いは本橋君がすごく大切にしてる青春という概念が僕にはないんだよね」ということをおっしゃってくださって。僕それにすごいハッとしたんですよね。なるほどー、っていうか。僕は確かにそういうところにすごい執着があるというか。恋愛、というか、異性とのコミュニケーションにすごく意識があるなあと思って。「青春という、概念が、ない」・・!

生西 言い切るのもすごいですよね。

本橋 そう。そういった人と僕はこれからコミュニケーションをとっていけないかもしれないと思って。すごく貴重な時間でしたね。

生西 結構長いこと話されたんですか?

本橋 えっと、そんなに長くは。時間としては1時間半とか2時間とか。飴屋さんのお家に行ってって感じだったんですけど。飴屋さんも確かそのとき、展示やってて、あの、ずっと美術館に座ってらっしゃって。それですごい疲れてて。

生西 その時なんですね。

本橋 そうですね。そのタイミングでした。

生西 僕見れてなくて。

本橋 僕もちょっと行けなかったな。・・・・瀧澤さんなんか、聞きたいこととか。

瀧澤 えっと・・通しみてどうだったか?

生西 あ、通しですか?通しの感想って難しくないですか?すごく面白かったですよ。

本橋 あっ、ありがとうございます。『さなぎ』はどんな印象でした?

生西 『さなぎ』も面白かったですよ。

本橋 あっ、ありがとうございます、すいません、なんか。

生西 こういうのって何言えばいいのかな。

本橋 そうですよね。それはそうですよね。

瀧澤 私今日見てて、モリコ(※)とマコト(※)のシーンとかどう見てたのかなーって、生西さん。
※『シティキラー』脚本中に出てくる人物

生西 そこがポイントなんですか?(笑)

瀧澤 なんかそのシーンの時ふと気になって。

本橋 あ、でも、なんか気持ちはわかる。

生西 僕、飴屋さんみたいに青春の概念がないわけじゃないけど、もう中年だから、あんまり関係ないよね。結構遠いですよね。わかんないけど。あの、オペラみたいな歌を突然歌われた時はハッとしましたけど。すごいいいシーンだなと思って。

本橋 (秋村を見て)彼は元々オペラをやっていて、っていう。

生西 すごい失礼な言い方なんですけど、オペラを歌いそうには全然見えてなかったんで。その方がいきなりオペラを何の文脈もなく歌い始められたから、ドキッとしたというか、シーンが引き締まるというか。空気がバッて変わって。その後もなんか、首を切るシーンに繋がってて。それがすごいドキッとしましたね。

瀧澤 歌の名前なんていうんだっけ?

秋村 ドン・カルロってオペラがあるんですよ。僕が歌っている役の人が、あなた(ドン・カルロ)のために死ぬからっていう歌なんです。

生西 へえー。エピソードの中にありましたよね、女性二人の。

本橋 ありましたね、「チミ」っていう人と「タイラ」っていう人が(※)
※『シティキラー』脚本中の役名。

生西 片方は、自分が死ぬかもしれないけど助ける、みたいな。自分の命よりも大事だ、みたいなことを言ってて。そういうのとも繋がってたんですか?

本橋 その意識あったんですかね・・あれ(オペラの選曲)は秋村君が自分で。

秋村 元々違う歌を、全力で、裏で歌う予定だったんですけど。表で小さい声で邪魔しないように歌うっていうテイストに変わった時に、もっとふらっと歌えるやつがいいなってなって。僕が音大出る時に、卒業試験と卒業演奏会で歌った曲があの曲で。それなら頭で全部覚えてるから、パッと歌えるなってなって。

生西 そうなんですね。・・邪魔しないっていうか、、、すごい空気作ってましたけど。完全に。

秋村 だから、一種の・・なんだろう。強い色になって覆いかぶさって、見えないようにしたら嫌だなって思ったのはあります。

生西 すごい合ってましたけどね。本番でなくなっちゃったら嫌だな(笑)それはないか。

 

本橋 生西さんは、演劇を見ようと思う時って、どういった演劇を見られるんですか?

生西 どういった演劇・・

本橋 生西さんがやられてることって、パッと演劇っていうよりは、どちらかというとインスタレーション寄りということを伺っていて。演劇に対して興味があるとしたら、どういう部分なんだろうなって思ったりするんですけど。

生西 倉田翠さんって、演劇とダンスをやってる方のカンパニーの名前・・なんでしたっけ。アキアカネ、でいいんでしたっけ。

浅田 akakilike(アカキライク)。

生西 いつも呼び方名前間違えちゃって。僕、倉田さんの名前ずっと知って気になってたんですけど、京都ですよね、倉田さん。だから見たことなくて。去年だっけ、薬物依存だった人たちの施設、なんでしたっけ・・・

浅田 ダルク(※)ですね。※京都ダルク

生西 ダルクの人たちと、倉田さんがつくってる舞台があって。それはダンスというか演劇で、倉田さんは踊ってましたけど。その時初めて倉田さんの観たんですけど。
冒頭のシーンが、会議用の長テーブルを舞台の前っつらに出してきて、、出演者10人以上いたのかな。だーーって前に並ぶんですよ。そういう人たちだから、元ヤクザだったりだとか、結構いい顔したおじさんたちがほとんどなんですけど。
ほんとこれくらいの距離で、だーーって顔が並んで。それがすごい迫力あってよかったんですけど。そのあともふわーっと後ろでみんなが雑談しながら料理をしてて、一緒に。そのなかで一人一人が自分に起こったエピソードみたいなのを語ってく、みたいな感じで。
重々しくはやってないんですけど、すごく重くもあって。たとえば、自分が依存してそれで家族に迷惑かけて、申し訳ないと思って自分が死ぬしかないって思って、ドアノブにタオルかなんかをかけて死のうとしたみたいな動作をやるんですけど。反復して。その人の存在が斬り込んでくる、みたいな感じで。
あのときの、人の顔が見えてくる感じがすごく面白くて。別に本人がやってるからどうこう、とかじゃなくて、なんか出ちゃうものというか。そういうやり方が一番いいかどうかっていうのは別の話なんですけど。
あとあの、さっき、自分が役者を選ぶかどうかみたいな話をしてたんですけど。僕が最初につくってた時って、自分がやっぱりつくりたいと思って、あまり役者じゃなくてミュージシャンだったり、いろんな(ジャンルの)人に出てもらって声かけてやってたんですけど。
演出してるっていうより、今考えたら、誰と誰が出てくれるか、っていうか組み合わせみたいなのがすごく大事で。自分はむしろ何もしてなくて。場だけつくってて、そこで何が起こるかみたいなのを自分が見たいみたいな感じだったんで、一公演しかやらないっていうのもそういうことだったと思うんですけど。(小駒豪さんに)あれ、『日々の公演』(※)っていつでしたっけ? 美学校・ギグメンタ2018『日々の公演』

小駒 えーっと・・・2年前の・・・

瀧澤 おばあちゃんが亡くなった時だから、2年前だ。

生西 豪君にも照明で付き合ってもらってたんですけど。『日々の公演』で、ワークショップ形式の公演をやったんですけど。台本だけ(事前に)鈴木健太くんに書いてもらって、7枚くらいの台本があるんですけど、7つのシーンがあって。1シーンがペラ1枚みたいな感じで。申し込んでくれた人とつくるってやつで、(当日の)昼過ぎに集まって夜公演、みたいな、毎日。それを10日間くらいやったんですね。で、(参加者が)何人来るかも当日にならないとわからなくて。来ない人もいるし。

本橋 え、その来ない人って・・・

生西 申し込んではいるけど、来ない、とか。初日はゼロだったんですよ。誰も来なくて。

本橋 えっ!

生西 申し込んでた人いたんですけど来なくて。鈴木健太くん、その台本書いてくれた子が一人芝居でやってくれたんですけど。
セリフもだから、あまり役名で割り振られてなくて。参加者には、台本はなるべく全部丸暗記してきてくださいってお願いしてて。それでどこでどう切るかみたいなのも、その日ごとに全部変えてたんですけど。(参加者は)1人の日もあれば、3人の日もあれば、5人の日もあるみたいな感じで。その日会ってその日作るみたいな感じだったので、(あえて)何も準備してなくて。とにかく来た球を打ち返すみたいな感じで。すごい鍛えられたんですけど。
そういうほうが最近面白くて。自分が知ってるすごい人、とかそういうんじゃなくて、全員どういう人かもわからない人たちとパッとやって、その時間を共有してつくる、みたいな。本当に自己紹介も何もしないでいきなり作りはじめて。自己紹介する時間もなかったんで。その人をただひたすらじっと見て、この人このセリフっていうのを割り振っていって。なんとなくその中で動きをつけたりとか、任せたりとか、その場で全部判断して。

本橋 この人はちょっとあまりにも、自分と考えることと違くて、一緒にやるの難しいかも、みたいに思うような人が来られることはなかったですか?

生西 それはなかったですね。

本橋 そういう可能性ってあるんですかね。

生西 そういうっていうのは・・・作れない場合?

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本橋 なんだろう、なんか・・・考えが根本的に違うから、みたいな・・。あ、でも今想像するのは、たとえば、わりかししっかり演劇というものを考えていて、そういう人はそもそも来ないと思うけど。「あなたのやり方はわからないから、もうちょっと具体的に組み立ててください」みたいな。それもまたちょっと違うのかもしれないけど。ちょっとこの人僕あまり好きな気持ちになれないな、みたいな人と・・・

生西 そうですね。でもあとで考えたら、やってることってその人のいいところを必死で見つけるみたいなことをずっとやってて。あっこの人は声がいいなあ、とか佇まいがいいなあとか。とにかくその人のいいところをみつけるみたいなことだけやってた気はするんですけど。
その、合わないっていうか、そういうのも昔あって。一番初めに、自分が選んでない人とやったのって、ダンスの公演だったんですけど。7日間ワークショップやって、7日目は発表みたいなやつでやったんですね。山崎広太さんっていうダンサーの方に頼まれて、そのフェスの中でやったんですけど。宇波拓さんって音楽家の方がいて、彼を巻き添えにして、2人でやって。
初日、ダンスっていっても色々あるから、いろんな出自の人がいて。その中の一人の女性が「私はリアリティがないと踊れません」みたいなことを言って、場が凍りついたみたいになって。で、そのとき宇波さんが映画音楽の作曲もされてて、一睡もしてないみたいな状態でそれまで一言も喋らなかったんですけど、突然パッと目見開いて喋り始めて。「じゃあ、舞台上に死体があったらリアリティありますか」みたいなことを言い出して。さらに場の雰囲気が最悪になっていって、泣き出す女の人とかもいて。それを広太さんが近くで見て、「生西さん面白い、今もう面白い!」とかって大喜びしてる主催者がいて。最終的には面白い作品をつくれたんですけど、そんな状態でも。
(最初は)すごい険悪な雰囲気でしたけど。だからやっぱり、(どんな人とでも)一緒につくれると思ったんですよね。でもだいたいなんかね、自分から舞台に立ってやりたいって人って我が強い人が多い印象ですね。

本橋 集団で何かするってね、そういうやっぱ、ありますよね。

生西 自分が舞台に立って人に見られたいってすごい感覚じゃないですか?

瀧澤 私あまり見られたくないなって。

生西 そうなんだ。

瀧澤 見られてるっていうことも知ってるんですけど、前に一人でやったときに、『演劇 似て非なるもの』の講座の元受講生の竹尾さんが見に来てくれて、わたしのことを見てたってことをすごい真摯に感想を言ってくれて。あ、私って、ここにいたんだ、こんなに真摯に見てくれてる人がいるんだって感動して。それがすごい自分の中で大事な記憶で。うん。

生西 でも、見られることで存在するみたいなのあるんじゃないですか?もともと「自分」なんて言ってても、人を反射みたいにして自分が見えるわけだし、そんな確固とした自分なんて。一人で・・・ロビンソン・クルーソーみたいになって、自分ってあるかっていわれたら、あんまそんなことないですよね。だから見てくれる人がいて存在するみたいな感じがあったんですかね。

瀧澤 なんか、すごく感動して。今思い出しました。

生西 観客の存在ってすごく面白いですよね。だってちゃんと見てない人もいっぱいいるわけだし。そういう人が一人いるだけで全然空気変わっちゃうから。

 

瀧澤 (時計を見て)と、いうところで、いい感じに・・・

本橋 でも演劇・・カラオケとかってどうなんですかね。

生西 カラオケですか。

本橋 舞台に立つのが結構すごい特殊な感覚だよねって、でもカラオケとかって多くの人が行かれるじゃないですか。あれと実はそんなに変わらないのかなって。

生西 でもカラオケって自分が歌ってるだけで、誰も見てなくないですか?

本橋 でも、見るってことは、そっか、確かにねえ

生西 だって一緒に行ってる人とかも、自分が歌う曲選んでて、聞いてる人なんてあまりいないでしょ。だからただの発散ですよね。

本橋 (笑)

瀧澤 発散(笑)

生西 だから本気で皆が見てたら違うんでしょうね。

瀧澤 でもみんなにすごくじーっと集中して見られてたら、それはそれでカラオケってなんなんだろうって・・・(笑)

生西 でも、ヨーロッパとかのカラオケって舞台みたいになってて、って結構ありますよね。きっと。カラオケっていうか、バーみたいなところでお客さんも歌っていいみたいな。あれだときっと違うんでしょうね。でも日本人だときっと厳しいですよね。

本橋 でもそっか・・・楽しかったです。

瀧澤 私も、面白かった。

生西 宣伝になるのかわからないですけど

瀧澤 いや本当に、ありがとうございました。

本橋 ありがとうございました。

生西 こちらこそ、ありがとうございました。

 (了)

 


収録:2020年2月25日 構成:浅田麻衣