映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

演劇シロートによる「ムビシク 通し稽古レポート」

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
実は昨日、スタッフ・関係者立ち会いのもと『Movie Sick ムービーシック』の「通し稽古」がありました。
今回はその「通し稽古」のレポートを、わたくし”演劇シロート”のSが書き綴ってみたいと思います!

f:id:eigabigakkou:20160305154037j:plain

 

画像は映画美学校の地下ミニスタジオ。通称「ミニスタ」「地下スタ」です。
昨夜はここで「ムビシク」の「通し稽古」が行われました。
「通し稽古」とは読んで字のごとく「本番と同じように、最初から最後まで、ぶっ続けで演じる」稽古です。
この日はメインの制作スタッフが一同に会し、本番に向け「骨格の出来上がった状態のもの」を披露してもらいました。

 

「今日は見学者の方が多いです。(笑って)せいぜい緊張して下さい。そして楽しんで下さい」

作・演出の佐々木透さんは優しく、そう出演者に投げかけました。
「はい!」
大きな返事を通称・アクターズ6期生が返した後
「よーい、はい」
佐々木さんは指をパチンと鳴らし、芝居が始まりました——

 

話は遡り、「通し稽古」の1時間前のこと。

わたくし・Sは、とある実力派ベテラン俳優の方と雑談しておりました。
先日その方が出演された演劇を観に行き、その感想などを伝えていたのですが、エラソーにも”演劇シロート”のSが投げかけた
「とても面白かったんですけど、演出の方が「若い」というか、出演されている経験も実力もある役者の皆さんに助けられている印象が正直言ってありました」
という言葉に、その俳優の方がこう反応してくれました。

「演出家が「こう演出したい」「こう演じて欲しい」という欲望を明確に示せないと、役者側から積極的に色々と「こうしましょうか?」と提案していかなければならないんです」

その舞台は実力ある俳優たちの力によって見事成立しておりましたが、この言葉は「演劇シロート」のSにとって非常に印象に残るものでした。

 

「通し稽古」を観ている時に思い出されたのも、正にその言葉でした。

しかしそれは、全く逆の意味で、です。
役者の「出ハケ」・立たせ方・配置の仕方、セリフを言うタイミング・ニュアンス、所作のディティール、そして戯曲そのものの圧倒的な面白さ……
その全てが「ああ、これは凄い演出家の方が自分の欲望を基に明確に演出を施した舞台なんだ!」と思わせるものだったのです。
(「通し稽古」にも関わらずマジで笑ってマジで鳥肌が立っていたのは内緒の話)
”演劇シロート”のわたくしでも、そんなことが1分観れば分かってしまう——
作・演出の佐々木さんの「圧倒的な実力」を垣間見たような気がしました。
これ、個人的な「本音の感想」なので全く誇大広告ではありません、本番は本当に歴史に残るようなどエラいことになるんじゃないか……

 

でもでもでも! これだけではないんです! さらに、です!

驚いたのは、6期生たちが、それぞれ本当に立派な「俳優」だったことです。
今まで映画美学校のロビーですれ違った時には「気のイイお兄ぃちゃん」「おてんばな女の子」だった彼らが、正に「俳優」だったんです。
あの佐々木さんに、負けていなかったんです。
佐々木さんが作り出す世界の中で、それぞれが「個性的な一人の俳優」として立ち上がっていたんです。
しかも「演出に隷属した操り人形」などではなく「演出家の世界観の中で自由に遊ぶ、魅力的な才能」だったんです。
全員が、ですよ? これ、ヤバくないですか?

 

今回の修了公演に出演するアクターズ6期生とわたくし・Sは、今現在でもほとんど会話を交わしていません。

前期の5期生の場合は、修了公演以前に色々とコミュニケーションを取っていたので、公演中にはすっかり「チームの一員」のような感覚がありました。
向こうがSのことをどう思っていたのかなんて知りません。嫌われててもいいもん! 冗談ですよ(笑)。
今回の「通し稽古」は、より客観的に、言葉を選ばなければ「他人」として、「一人の観客」として、ただ観劇に来ました。
その場でお金を払ってもいいと思いました。それくらい『Movie Sick ムービーシック』には大いなる可能性を感じました。

 

「はい、お疲れ様でした」

あっという間の「通し稽古」は、佐々木さんのあっさりとしたその言葉で幕を閉じました。
「今日はみんな緊張していたと思うけれど、よくやったと思います。概ねこれでいいと思います」
その言葉はおべっかではなく、本音だったと思います。
だって、「通し稽古」中に一番楽しそうだったのは、真剣な眼差しで芝居を見届ける佐々木さんだったのですから。
「◯◯さん。前回言った修正が良く出来ていた。素晴らしかったと思います。これ、地味だけど役者にとっては本当に難しい部分なのによくここまで持って来たね」
通し稽古の直後、佐々木さんは場面場面で諸々に修正点や意見を伝えていきました。
稽古が終わった後に演出家から演技の修正点を伝えることを、日本では「ダメ出し」と言います。
しかし佐々木さんのそれは、その言葉が持つネガティブな印象は何一つなく、むしろハリウッドなどで同じような意味で使われることもある「リクエスト(REQUEST)」に近いのかなぁと思いました。
つまり、演出家と役者の間に信頼関係がしっかりと成り立っていたのです。
「通し稽古」を終えた6期生たちも、笑顔でした。笑顔の裏で、それぞれが感じている「さらに良くするための課題」を本番までにしっかりとクリアしてくれることでしょう。

 

「通し稽古」では、舞台装置など本番で使用する大きなギミックはまだ使われておりませんでした。
本番では演出のキモとなる舞台装置に加え、鮮やかな照明、より正確で質の高い音響、そして満員の観客の皆さんが待っています。
これ、マジで必見ですよ。皆さんの「演劇」、そして「映画」の固定観念、その全てをぶち壊して、新たな幕開けに立ち会えると本気で信じています。
本番本当に楽しみだなぁ。


「ムビシク」応援隊・S

 

+++++++++++++++++++++

2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
======================

公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
→ 映画美学校アクターズ・コース2016年度公演『Movie Sick』 予約フォーム