映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

【応援コメント!】映画監督の西山洋市さんより!

今回は映画監督で、映画美学校フィクション・コース講師の西山洋市さんより応援コメントを頂きましたので掲載致します!

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「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督であるフィクション・コース講師4名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ実習」。

今回は西山さんの作品に出演した4名について「それぞれの印象と今後に期待すること」を寄稿頂きました!ありがとうございます!

 

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「あらくれ」の芝居について 西山洋市

 歌舞伎に「時代世話」という概念がある。簡単に言えば時代劇と現代劇が入りまじった世界という不思議なものだが、異なるふたつのジャンル、過去と現在という二つの時間、その言葉遣いにも、セリフ回しにも、ふたつの世界が入りまじる。それは現在の標準的な作劇の考え方とは違う、より自在な芝居を可能にする。「あらくれ」はそういうものを狙った映画なので、登場人物はふたつの時間、二つの世界が入り交った存在となる。

 そのとき、ふたつの世界を繋ぐことができるのは音響としてのセリフだけだ。だから、時代と現代を対立させることなく融合させ、第三の新しい世界を作り出すことが役者の芝居の眼目になる。なおかつ小林未歩、田中祐理子、那木慧という三人の役者には、その人物の中に埋没してしまうのでなく、小林未歩、田中祐理子、那木慧という役者として現在進行形でそこにいてほしい。つまりそこにいるのは米八でも仇吉でも丹次郎でもない。米八仇吉丹次郎に成り代わり、その芝居を演じるものとして音声も身体も現在できる限りのグレードアップを施した役者の小林未歩、田中祐理子、那木慧がそこにいるのでなければならない。

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 江戸の歌舞伎はその悪の匂いも含めて現代のロックコンサートのようなものだったとも言われているが、一番重要だと思えるのは、演じられている人物がその役名ではなく役者の名で呼ばれていたという、その感覚だ。映画も役ではなく役者を観ている。カメラが介在するからその感覚は薄れてしまい、キャラクターが独立して存在しているアニメのように見られてしまいがちだが、映画はドキュメンタリーに近く、役と役者が紙一重のパフォーマンスをやってみせるような芝居が映画を面白くする。成りきるのではなく、成り代わってそこにいること。その姿に観客は盛り上がる。カッコよく、色気があって、挑発的に歌い躍動する「ロックスターの役」を演じるロックスターのパフォーマンスのように。それを虚実皮膜と呼びたい。

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 小林のセリフ回しには色気があり、田中のセリフ回しはカッコよく、那木のセリフ回しは挑発的だ。これらの形容は根本的に同じことを言ってるので、どの言葉を入れ替えてもいい。つまるところ彼らの音声が引っ張る「あらくれ」の芝居にはロックのスピリットが現れている。彼らが音楽の一ジャンルとしてのロックを知っているかどうかは関係ない。彼らの芝居が効果も含めたBGMの伴奏を要請し、それは彼らの音声と渾然一体となったが、それは彼らが「あらくれ」の芝居の核心部分を通奏低音として掴んでくれていたからに決まっている。

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 歌舞伎に現代のミュージカルのようなスタイルはないが、歌舞伎役者のセリフ回しは音楽的で、そこには歌と語りの入り交じりがある。「あらくれ」のセリフもそうだ。さまざまな入り交じりを小林、田中、那木が演じて見せてくれる(セリフは身体性と連動しているから結果として「見る」ことになる)。歌か語りか、ではなく、歌と語りの融合、その様々なグラデーションが新しい映画世界を作る。小林、田中、那木の芝居はその可能性の一端を示してくれている。

 

 

西山洋市 Nishiyama Yoichi
「おろし金に白い指」(91)「ホームビデオの秘かな愉しみ」(93)など実験的深夜ドラマから出発。「ぬるぬる燗燗」「ぬるぬる燗燗の逆襲」(92)は96年に劇場用映画『ぬるぬる燗燗』としてリメイク。その他の監督作に『痴漢白書劇場版II』(97)『完全なる飼育 愛の40日』(01)『稲妻ルーシー』(04)『運命人間』(04)『グロヅカ』(05)など。共同脚本作品に黒沢清監督『蜘蛛の瞳』(98)塩田明彦監督 『月光の囁き』(99)。一方、『桶屋』(00)『INAZUMA稲妻』(05)『死なば諸共』(06)を経て『kasanegafuti』(12)に至る「現代劇の皮をかぶった時代劇」や『吸血鬼ハンターの逆襲』(08)『荒野のゴーストライター』(11)などで劇映画の新しい形を模索している。最新作はフィクション・コース第18期高等科生とのコラボレーションである『瑠璃道花虹彩絵』(16)。

 

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映画美学校アクターズ・コース 2017年度公演
「S高原から」
作・平田オリザ 演出・玉田真也(玉田企画)

【玉田真也(玉田企画 / 青年団演出部)】
平田オリザが主宰する劇団青年団の演出部に所属。玉田企画で脚本と演出。日常の中にある、「変な空気」を精緻でリアルな口語体で再現する。観る者の、痛々しい思い出として封印している感覚をほじくり出し、その「痛さ」を俯瞰して笑に変える作品が特徴。

出演:石山優太、加藤紗希、釜口恵太、神田朱未、小林未歩、髙羽快、高橋ルネ
          田中祐理子、田端奏衛、豊島晴香、那木慧、那須愛美、本荘澪、湯川紋子
        (映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017)
          川井檸檬、木下崇祥

舞台美術:谷佳那香、照明:井坂浩(青年団)、衣装:根岸麻子(sunui)
宣伝美術:牧寿次郎、演出助手:大石恵美、竹内里紗
総合プロデューサー:井川耕一郎
修了公演監修:山内健司、兵藤公美、制作:井坂浩

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公演日程:2018年2月28日(水)〜3月5日(月)

2/28(水)19:30~
3/1  (木)19:30~
3/2  (金)15:00~ / 19:30~
3/3  (土)14:00~ / 19:00~
3/4  (日)14:00~
3/5  (月)15:00~
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。 

チケット(日時指定・全席自由・整理番号付)
前売・予約・当日共
一般 2,500円 高校生以下 500円
資料請求割引 2,000円 

※高校生以下の方は、当日受付にて学生証をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)。

チケット発売開始日 2018年1月8日(月・祝)午前10時より

<チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://ticket.corich.jp/apply/88312/

<資料請求割>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース資料請求割引申し込み専用フォーム 

会場
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅 下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00