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革命と宗教 日常の違いのあり方から見える生活―『革命日記』PENETRAクロスレビュー2

 2013年から演劇を見始めたにも関わらず、たまたま複数回見ている演出家がいて、そのうちの一人が松井周さん。

 一本目は彼が率いる劇団サンプルの「地下室」。二本目が映画美学校アクターズ・コース第2期初等科修了公演の「革命日記」でした。

 そしてこれもまた、たまたまですが、松井さんが演出を行ったこの二つの作品は扱っている対象がとても近いように思います。扱っているのはコミュニティについてで、それもカルト的なコミュニティがどう機能していて、その一方で脆いものであるのかといったことです。ただ、この二つの作品は似たような対象を扱っているにも関わらず、当然のことですが全く違う作品になっています。

 「地下室」は、水を作り、販売することで自給自足生活を営む自然食品会社の事務所が舞台で、今まで状態としては落ちついていたコミュニティの中に、新たな人が入り込むことでそこから徐々にバランスが崩れていく様子を描いています。描かれる期間としてはとても長い話です。その一方、「革命日記」の舞台は、テロを企てる過激派が、アジトとしているマンションの一室。そこで空港でのテロの打ち合わせをしている一夜に起きるやり取りによって、潜在的に抱えている内部の不協和が描きだされていきます。

 過激派といえども、逮捕の危険性から通常の生活を送らなければならず、アジトとなっている過激派夫婦のマンションにはご近所さんから、表向きに行なっている活動の支援者、彼らの義理の妹・弟が次々と訪れます。用件は様々です。地域で出している会報の責任者になってほしい、活動の見学をしたい若者を連れてきた、夫婦喧嘩をした等々。

 マンションの一室から人が数人出入りすることで、その場での人間関係が再構築され強弱が生まれます。ひとつ前の場面では強く振舞っていた人物が、部屋に新たな人が入る(もしくは数名が去っていく)ことで、新たな序列が生まれ、立ち位置が変わっていきます。

 例えば、増田夫妻の旦那さん。過激派のメンバーがいる場面では年長ということもあり、強い立場にいますが、奥さんと二人になるとある事情により一気に立場が弱くなります。また、奥さんの妹が来ると奥さんとはもう少し対等な立場に変わっていきます。こういったその場所にいる人によって、関係性や序列が次々と再構築されるのが魅力的で、また非常にリアルです。

 最後にこれがアクターズ・コースの生徒によって演じられたことについても触れたいと思います。場面場面によって関係性が構築されるため、一人の役を演じているにも関わらず、まるで現実世界でキャラを演じ分けるようなことを劇中でも行う必要が出てきます。このような難しい要求にも関わらず、場面場面でキャラを分けることについても違和感がないだけでなく、一人一人の役者として強烈に主張していました。まるで最初からこの戯曲を演じるために集められたかのようにキャスティングがなされたことは魔法のように感じられました。

 

(このレビューは4/28(日)に開催される文学フリマに合わせて発行予定の批評同人誌PENETRAへ掲載されます。twitter: @gibs3penetra)

河埜 洋平 
批評家養成ギブス3期生。批評同人誌PENETRAの末席を汚したり。映画、音楽がメイン。最近、演劇。twitter:@yhey0711

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