批評
2015年04月12日の14時。アトリエ春風舎の中で補助席に座って開演を待っています。劇場内を見回すと座席は関係者席以外が埋まっているのが分かります。最後列には松井周さんが座っていて、その隣にはマニピュレーターが置かれています。狭い。とても狭い。そ…
※掲載が遅くなりましたが、2週間前に行われた「石のような水」本番に向けての連続批評その1となります。是非ご一読ください。(編集担当) 2015年04月05日の15時。映画美学校の稽古場で、アクターズ・コースの修了公演「石のような水」の稽古が行われました…
4月10日から4月12日の間でアトリエ春風舎にて上演された映画美学校アクターズ・コース第4回公演『石のような水』について、劇評というかレビューを書こうとしながら、今までどの演劇を見たときよりも書くのに戸惑っている。それというのも、私が参加…
映画監督であり俳優の太田信吾さんによるレビューが、ドキュメンタリーカルチャーマガジンneoneoのwebに掲載されました! 太田さんは稽古見学と本番前日に行われたゲネにお越しいただきました。 ボーダレスに活躍される太田さんから観た「石のような水」レビ…
松田正隆の戯曲『石のような水』は2013年、FESTIVAL/TOKYOの主催プログラムの一本として維新派・松本雄吉の演出で上演された。松田正隆と言えば、近年は同じくFESTIVAL/TOKYOで上演された『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』(2012年)など、マレビト…
他者を演じる演劇の可能性 劇団サンプル主宰の松井周さんが松田正隆さん原作の戯曲『石のような水』を映画美学校のアクターズ・コースの修了公演として演出すると聞いて、心がざわついた。なぜならば、誤解を恐れずに言えば、「大きな物語」に対して慎重な態…
『美学』は映画美学校アクターズ・コース第3回公演として上演された。映画美学校アクターズ・コースは俳優を養成するコースであり、今回の公演はその初等科の一年間の総まとめとして位置づけられる。『美学』で描かれるのは漫画専門学校の最終課題たる集団…
『美学』は漫画家養成塾に集った漫画家志望の若者たちが「早乙女式」と呼ばれる漫画創作メソッドを使い、さまざまな困難を乗り越えながら、共同作品をつくりあげるまでの物語です。そのため共同作品の漫画を、演劇内でどのように表現するかが作品の質を左右…
今年の映画美学校アクターズコース修了公演では田上パルの田上豊が脚本を書き下ろし、演出も手がけています。アフタートークで聞いた限りでは10人の俳優たちが自然に演じることが出来る配役の脚本になっているとのことでした。しかし、そういった配役で書き…
『美学』の舞台はプロの漫画家を目指すための専門学校。この公演は映画美学校アクターズ・コースに通う生徒たちによるものであり、並行性はスタート地点から明らかだ。公演中、彼らは修了創作に取り組むことになる。それは漫画コンクールに応募する作品の制…
批評家養成ギブス×アクターズ・コースのコラボ企画として、アクターズ・コース第3回公演『美学』の稽古場見学をさせてもらっている。稽古場の見学はもちろん初めての経験であるが、率直な感想として、シーン1→シーン2→…と通していく本番とは違って、順序とは…
コトバ・プレイで、なんと演劇のプロの皆々様とお話しさせていただいた。 役割という枷を付けて、革命日記や議題について語るという面白い設定でのトークイベントであったのだが、まず感じたのは、「役柄によって言葉の使い方が違う」ということ。批評家役は…
コトバ・プレイで喋っていて、いちばん気になっていたのは、俳優、もしくは俳優志望のかたが、どれぐらい批評に関心をもっているのだろう?ということでした。それは俳優の批評が出にくい日本の状況のこととか、現場の俳優にそのかたに対する絶賛の批評をみ…
先日の「コトバ・プレイ」にはじまる、アクターズ・コース第3回公演『美学』批評ブログ。この企画の今後といいますか、今のところの全体像をお知らせします。 1)「コトバ・プレイ 〜批評と演劇の関係は何を生み出すか?」2月23日開催 【ここより批評ブログが…
松井さんの「『コトバ・プレイ』で試したいこと」への応答として、当日に司会をつとめていただく、山崎健太さん(ギブス第1期)から文章を寄せていただきました。ぜひに。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「コ…
大学に入学したてのころ、文字どおり「右」も「左」もわからなかった私は、とある勉強会に出入りしていた。いまになって振り返れば、あれは学生運動の組織だったのだとわかる。当時は自衛隊のイラク派遣や格差社会がことごとく非難されていた。そういった主…
公演終了後、打ち上げがあるということで、ほとんど部外者のくせに参加させてもらいました。最近そういう「飛び込む」機会のあまりない、寂しい人間だったのだけど、行くことにした。見た目から何からてんでバラバラそうな人たちが集まって、一つの芝居を作…
「革命」の日記であるはずのこの作品を見た人の多くは、実際のところ、この先に「革命」があるなどとはとても思えないのではないだろうか。世界はさまざまな価値観の並列とその軋轢によって出来上がっている。この軋轢をなし崩し的にないものであるかのごと…
2013年から演劇を見始めたにも関わらず、たまたま複数回見ている演出家がいて、そのうちの一人が松井周さん。 一本目は彼が率いる劇団サンプルの「地下室」。二本目が映画美学校アクターズ・コース第2期初等科修了公演の「革命日記」でした。 そしてこれも…
やや遅れてしまいましたが『革命日記』のレビューを順次アップしていきたいと思います。以前の記事で触れたように、このブログは映画美学校アクターズ・コースと映画美学校批評家養成ギブスの交流の場でもあります。今回は4/28(日)の文学フリマでの発売を…
革命という言葉を聞いても、大貧民しか浮かばない私ですが、ゲネを拝見してから一週間が経とうとしていて、それでも、あの日、目にした「革命日記」が、その間ずっと頭の中に座り込んでいます。 革命っていうのは、実は自分が思っているより生活と密接で、す…
初日、終演後のことだ。 劇場内に、缶ビールやつまみを持ち込んで、軽い乾杯をしていた時。初舞台の面々も少なくないから、当然ある種の高揚感が場を満たしており、だから思わず心配になってしまった。 この高揚が原風景になっちゃったら、これから先の俳優…
四角いテーブルを囲む、赤橙色のソファー、大きなクッションがあって、テーブルの上にはワイングラスとビアグラス、ボトル、ビン、クラッカー、チーズなど それらはテーブルを埋め尽くす程である。 革命家たちは、クッションにもたれたり、ソファーに座って…
稽古を見学させていただいてから、ずいぶん時間が経ってしまいました。すみません。その間考え続けていたのは、アクターズ・コース“修了”公演という、この作品の位置づけのことでした。わたし自身、学生時代にずっと演劇サークルにいたこともあって、久しぶ…
今回、稽古場を見学していて「新鮮さを失わないように」「もっと周囲を利用して」という松井周の言葉を繰り返し耳にした。それはつまり、稽古は周囲への反応の調整としてあるということなのだろう。もちろん、より具体的なダメ出し(例えば「もう少し早くセ…
I strongly believe that as an actor if you can successfully pull off one of Hirata Oriza’s plays then you can achieve anything. Although I do not specifically know much about The Film School of Tokyo’s curriculum, I assume that most of the…
3月21日(木) 小竹向原にある「アトリエ春風舎」。 そこはマンションの地下で、その周囲は実にフツーの静かな住宅街である。 「春風」という名前にピッタリな時期、その字を見ただけで爽やかな気持ちになる。 といった、そんな少し不思議な場所で、アク…
前日、ほとんど寝てないまま向かった稽古場。アトリエ春風舎についたら、大学の大先輩である山岡先輩の照明に皆さんが照らされていて、その瞬間に眠気とか、なんだか、忘れさせられて。温かく包んでくれるのに、突き放してもくる照明。ちょっと怖くもある。…
なかなかたどり着けなくて、交番二箇所と道端のインドカレー屋のおじさんに道を尋ねていたら遅刻してしまった、30分も遅れた、13時半になっていた。 私は、舞台や批評の勉強をしている訳でもなんでもない観劇初心者の高校二年生で、だから何に気づけて何をか…
劇場に着いたら、制作嬢が豆ごはんを炊いていた。別のボウルには、できたて混ぜごはん。劇場入りしてからの皆の食事は、ここで、炊き出しされているという。「ここは青年団の、もの作り工房なんです」と山内健司。ここで煮炊きしながら、腰も腹も据えて芝居…