映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

【講師リレーコラム】俳優養成講座開講に向けて|井川耕一郎[脚本家・映画監督/アクターズ・コース主任講師]

俳優養成講座開講に向けて、講師リレーコラムが復活です!
今回はアクターズ・コース主任講師の井川耕一郎さんからメッセージをいただきました!

脚本家であり、映画監督である井川さん。
俳優が、監督の視点から、「いい演技」「いい現場」とは何か?を考えることができる講義を計画中のようです。楽しみですね!
それでは、井川さんからのメッセージをどうぞ~!

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今年からアクターズ・コースの主任講師を、という話が来たとき、引き受けてみようかな、と思った理由は二つあります。

一つ目は、ミニコラボの監督をしたこと。映画美学校には、フィクション・コースとアクターズ・コースが合同で短編を作る「ミニコラボ」という実習があります。その実習に参加したアクターズ・コース生がとてもよかった。現場で真剣に演技を探っていく姿が見ていて実に気持ちよかったのです。こういうひとたちとまた出会えるのならば、主任講師をやるのもいいかなと。ひとの可能性を発見し、それを応援することほど、楽しいものはないでしょうから。

二つ目は、演技の基礎訓練とはどのようなものか知りたくなったこと。ふりかえってみれば、ぼくは自分の映画に必要な芝居についてしか考えてこなかった。それはそれで別に問題ないのですが、主任講師の話が来たときに、どんな表現にも対応できる演技の基礎とは何なのだろう?という疑問がふとわいてきたのです。そのとたん、これはどうしても演技の基礎訓練を間近から見てみたい、と思った。なので、主任講師をやるといっても、ぼくの場合、半分くらいは教える側というより学ぶ側のそばにいることになるでしょう。


俳優養成講座では、俳優講師による演技の基礎訓練がカリキュラムの中心となりますが、主任講師も講義をやらなくてはいけない。さて、どんな講義をやればいいのものか? 
まっさきに思ったのは、自分たちで映画を撮ってみる講義をやってみようということでした。映画に出るのはもちろん楽しいだろうけれど、撮るのだって楽しいかもしれないよ、と誘うような講義にしたらどうかと。

そこまで考えると、本棚から一冊の雑誌、『SWITCH 映画監督ジョン・カサベテス特集「アメリカに曳かれた影」』(扶桑社・九〇年)を取り出した。ジョン・カサベテスは俳優で監督でもあったひと、アメリカのインディーズ映画の父と呼ばれたひとです。そのカサベテスについて、俳優のシーモア・カッセルがこんなことを語っています。

「ジョンは役者のために凄く時間を割いてくれた。普通、映画の仕事をすると、照明なんかのセットに凄く時間をかける。二時間もライティングに時間をかけた挙げ句、よしと言って役者を入れてリハーサルもそこそこに撮影して、もう一テイクやろうとせかす始末だ。彼らは照明やセットが、いい演技を撮るためだということを忘れちまうんだ。そんなのフェアじゃない。ジョンはそんなことをしなかった。彼はいつも演技が一番重要な事だと信じていた。彼はリハーサルを見て、役者にとって脚本に問題がある事を感じとれば『わかった。心配するな。君のせいじゃないよ。酷い脚本のせいだ。一〇分程時間をくれ』と言って書き直すか、あるいはあなただったらどう言うだろうかと尋ねるんだ。それは役の大小にかかわらずだ。彼は出会った人皆を自分は重要だという気分にさせた。セリフが五つくらいしかない役であっても、ジーナの役と同じくらい大きな役だというような気分になるんだ」

ひさしぶりにこのくだりを読み直して、ああ、いい現場だなあ、と思った。俳優には俳優としての経験を生かした映画の撮り方があっていいはずだ。俳優養成講座の講義では、そんな新しい撮り方を学生諸君と探してみたいと思います。
(井川 耕一郎)

 

「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」9月2日(金)開講決定!

昨年より生まれ変わったアクターズ・コースの半年間のカリキュラム、
「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座」が今年も開講することが決定いたしました!

かっこいいチラシもできてまいりましたよ〜!

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表面を飾るのは、実際にアクターズ・コースで制作された映画の一幕です。
生き生きとした笑顔、驚いた表情、切なげな表情…。
作品の中で、普段見せない表情を見せる受講生たちの姿を
映画美学校試写室の大きなスクリーンで何度も目撃しました。

私、こんな表情するんだ。
私、こんな声出るんだ。
私、こんな時こんな気持ちになるんだ。

俳優であるということは、
自分以外の何かであろうとすることであるとともに
自分自身を見つめ直すことでもあります。


あなたの知らない、あなたの才能に出会ってみませんか?


まずは一度、ガイダンスやオープンスクールにお越し下さい!
私たちも、あなたとの出会いを楽しみにしています。

 

映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座
〜演技を通じた新しいクリエーター創出を目的とする〜
2016年9月2日(金)開講
概要はこちら

★募集ガイダンス[入場自由/無料]
・6/18 (土)14:00〜
・7/9(土)14:00〜

★講義を実際に体験してみよう!オープンスクール
[無料/定員あり(予約優先制)/ミニガイダンスあり]
・6/11(土)14:00~近藤強[俳優/青年団]「動く・俳優~ビュー・ポイントって?」
・6/29(水)14:00~松井周[演出家・俳優/サンプル主宰]「なじむ」

フィクション・コースとのコラボレーションワークショップ!
・7/17(日)
13:00~万田邦敏[映画監督]「映画演出ワークショップ」
17:30~作品上映(フィクション・コースガイダンス内にて上映)

 

『友情』をご覧頂いた皆さまへ

こんにちは! 『友情』応援隊のSです!

昨日は遂に千秋楽を迎え、入場出来ない方が出てしまうほどの超満員札止めの大入り!!

『友情』改め『とんかつ大戦争』(笑)にご来場頂いた皆さま、応援頂いた皆さま、誠にありがとうございました!!!

(ご入場頂けなかった皆さま、大変申し訳ありませんでした)

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これで出演者の皆さんも一段落…と思いきや!

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【『友情』3日目!】公演レポート + 楽日に向けて…

こんにちは! 『友情』応援隊のSです!

昨日は公演3日目で、初の1日2回公演でしたが各回ともに大盛況! 本当に大感謝です!

 

日替わりゲストは、映画美学校アクターズ・コース「映画・演劇を横断し活躍する俳優育成ワークショップ」のTA(ティーチング・アシスタント)で第4期アクターズ・コース修了生のしらみず圭さんと、青年団の俳優で本公演の制作も務めて頂いた鈴木智香子さんが務めました!

しらみず圭さんは先輩の貫禄を見せつけ、鈴木智香子さんはさすが百戦錬磨の圧倒的なパフォーマンス! 会場を多いに湧かせておりましたね。

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さて、いよいよ本日は楽日! 早いものですね…
楽日公演直前の今回は、「映画・演劇を横断し活躍する俳優育成ワークショップ」のはじまりから本公演までの様子と思い出を、『友情』応援隊のわたくしが少しだけ綴ってみたいと思います。

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【『友情』公演レポート】アフタートーク Vol.2:松井周/山内健司/近藤強/鎌田順也 + 深澤しほ/綱木謙介 + トニー・ウェイ

こんにちは! 『友情』応援隊のSです!
昨日の『友情』公演2日目は初日の超満員を更に超える、本当にキャパシティギリギリの超満員札止め
皆さま、本当に本当に、ありがとうございました!!

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初日に引き続き、2日目もアフタートークが行われたのですが…

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【『友情』公演レポート】アフタートーク Vol.1:九龍ジョー/古澤健/鎌田順也

こんにちは! 『友情』応援隊のSです!

いよいよ昨日から『友情』の公演がスタートしました!
超満員でのスタート、本当にありがとうございました!!

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昨日は公演後、ライター・編集者の九龍ジョーさん(写真左)と日替わりゲストとして出演を果たした映画監督・脚本家の古澤健さん(右)を迎え、本公演の作・演出を務める鎌田順也さん(真ん中)と3人でのアフタートークも行われました。

今回は写真を中心に、トークの様子を振り返ります!

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スペシャル鼎談!「古澤健/松井周/佐々木敦」【後編】

こんにちは! 『友情』応援隊のSです! 今日はいよいよ本番初日!

本番直前の今回は映画監督・脚本家の古澤健さん(写真左)、サンプル主宰の松井周さん(右)、批評家の佐々木敦さん(真ん中)による鼎談の後編をお送りします!

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言うまでもなく全員必読!!

刺激に満ちあふれた脳を揺さぶる言葉をご堪能あれ!!!

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〜特別鼎談・後編〜

 

佐々木敦(以下佐々木) 『ジョギング渡り鳥』(以下『ジョギング〜』)は試写とか結構やっているじゃないですか。評判的には悪くないんでしょ?

 

― ダメな人は本当にダメですね。

 

佐々木 ダメな人は最初の5分くらいでもうダメなんじゃないの、あの映画は。

 

古澤健(以下古澤) 『ジョギング〜』は今の編集バージョンになる前から色々な映画祭に応募しては落ちていたという意味では、映画プロパーの人ですら受け付けないおいうことがある映画なので。やっぱり見方が分からないと思うんですよね。それでいいんだと僕は思うんですけどね。どうもそういう野蛮人の姿がドンドンなくなっているのだなという。

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