つれづれなるままに〜『革命日記』日記 その1 / 那須愛美
今回は、アクターズ・コース演劇と映画を横断する俳優養成講座2018修了公演『革命日記』の制作、浅田麻衣、那須愛美が稽古場を徒然なるままにご紹介いたします!
読めばきっと、『革命日記』が観たくなる!より楽しめる!はずです。
第1回は、那須愛美がお届けいたします。
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◯2月21日
数えてみると、稽古はもう20回目だったみたい。
小屋入りまであと5日、本番まではあと二週間です。
稽古前に、福吉大雅さんがラジオ体操を始め、途中から松岡真吾さん、釜口恵太さんが合流。
3人で跳んでいる姿がすごく楽しそう。いいアップになりますね。
去年の修了公演前も、みんなでラジオ体操してたなぁなんてことを思い出しました。
さて、稽古は、先日の第1回通しを終え、4周目に突入。
まだまだわからない部分がたくさんありますが、台詞や動きもスムーズになり、細かい間の調整や、ちょっとした手の仕草などを遊ぶ演出が入ってきました。
けど、まだ余裕がない状態で急に言われたことをやるのって難しくて、悪戦苦闘している皆さん。
山内さん曰く、ギャグ的に入れているそうですが、「そうか、俺のギャグがおじさん過ぎるのかなぁ。世代を感じますね」と。
休憩中の山内さんと、演出助手の菊池佳南さん
山内さんの演出は面白いです。
まず、いろんな角度から演技を見てる。そこは壁!っていうところからも。まるで、映画のリハーサルみたいですね。
そして、よく役者の感覚を聞く。「今のはやっててどう?」とよく聞かれます。すごく役者目線の演出だな、と思う。
実際、言語化することで、自分のモヤモヤしていた部分がはっきりしたり、再現する時に役に立ったりしているような気がします。
でもやっぱり山内さん厳しいな〜とも。
芝居を止めて、演出の指示をして、「はい、もう一回」。また止めて、「もう一回」。
近藤強さんもおっしゃっていたけど、まさに千本ノック!
でも数こなして慣れて、同じものが何度でも出せるように安定させていくことが、今は必要な時期なのかもしれない。
厳しいけど、ちゃんとできた時は、「OK」「いいですね、いいですね」と言ってくださる。手で大きく◯を作ってくださる。それが嬉しかったりもします。
アジトの主人の増田武雄役、柴山さんは、姿勢が常にリラックスしている。そして、おしゃれ。
その佇まいが、このアジトに住んでいる人たらしめているのだなぁと感じます。
普段の自分とあまり変わらないテンションで演じるのって難しいなと思うけど、柴山さんは、無理してるな、と思う場面がほとんど見当たらない。
けど、外部の人間に、自分が検挙された経緯を話す場面は、その視線に恐怖さえ感じる。
その二面性がまた魅力ですね。
武雄の妻、典子役の青柳さんも、おしゃれ。センスがとても良い。
舞台美術にも、青柳さんの私物が沢山あります。本当に、おしゃれ夫婦だなぁ。
そして、私の個人的嗜好だけど、増田夫妻は声が、とっても良いんです。
けど、青柳さんは、怒る(演技をする)と、とっても怖い!
怒る時の声や視線の迫力には、いろんな苦境を生きぬいてきたという強さがあります。
篠田を演じる斉藤暉さんは、一見すると穏やかな人に見えるのですが、その口調からは、革命を遂行しようとする熱意が感じられます。
より確実に作戦を決行するために、組織の方針に反対する。
その視線の強さには、実直な活動家、という印象があります。
福吉大雅さんは、組織の戦闘員、桜井を演じています。
革命をしようという熱意があるんだけれど、口調や仕草の随所に生来の優しさがにじみ出ている。
それが、革命とプライベートとの間に揺れる姿をよく示しています。
この日、「隠蔽」という言葉が何度も使われていました。
組織の内部の人間は、外部の人間に対して組織の内情を「隠蔽」する。
私たちの間では「賛美のシャワー」と呼ばれているのだけど、外部の人間と対峙しているときは、歓迎モード全開!思わず喋ってしまう雰囲気を作り出す。
最初は苦戦していましたが、本当に外部の人間が気持ちよくなってしまうほどに手馴れてきました。
だんだんと革命家になってきているなぁと感じます。
鈴木良子さんは、OLをしながら映画美学校に通っているそうで、稽古も忙しいのに、本当に尊敬です。
鈴木さん演じる、隣人の福本は、キャラが濃い。面白い。
鈴木さんは普段から明るく朗らかな方だけど、そこまでテンション上げるのは大変そうだなと思って見ています。
自分の場面の前に、いつも脇で演技の確認をして、イメトレしている姿がとても好きです。
そして、舞台上で使われる食べ物は、鈴木さんが中心となって作ってくださっています。
これがとっても美味しそう!私は役柄的に食べられないのですが、いい匂いがするし、食べたいなぁ。
組織のシンパ、山際役の五十嵐勇さんは、とてもチャーミングな方です。
山内さんに、細かな手の仕草や音の上げ下げを指示され、おじさんらしい言動の演技に苦戦していました。
でも、演出通りやってみると、本当にそういうおじさんいるよなぁと、さすがの演技。
山際を演じている時の五十嵐さんは、すごく生き生きしている。とても楽しそうです。
山際が連れてきた杉本役のるりさんは、座組最年少ですが、本当にしっかりしている。
演技もとても安定していて、山内さんの演出にすぐに応えている。対応力がすごいです。
杉本のシーンは、私演じる杉本の同僚柳田も登場しているのですが、一緒にお芝居していてとても心強いし、楽しいです。
クリッとした目を爛々とさせて組織の人間の話を聞く姿には、組織への好奇心がよく表れているなぁと思う。
そして、日向子さん演じる立花が、組織の方針に反対し、言いがかりをつけられ、会合から帰ってしまう場面。
それまで一つの革命を遂行しようとまとまっていた集団がバラバラになっていくという、作品の中でも大きな転機にあたります。
だけど、このシーンは本当に俳優にストレスがかかるし、エネルギーを使う場面だと思う。
日向子さんは、可愛らしいのに、怒る演技などは芯の強さが感じられます。
ここの場面で彼女は、本当に誠実に役を演じています。
自分の実感にアクセスしている姿。その姿に心を打たれる。グッと引き込まれる。
という感じで、本番まで残り二週間。今は、深みを増す作業をしています。
今日はこの辺で、また次回。
(文・那須愛美)
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映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演
『革命日記』
〈出演〉
青柳美希、五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、佐藤考太郎、柴山晃廣、鈴木良子、福吉大雅、日向子、松岡真吾、るり(以上、アクターズ・コース 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018)
浅田麻衣、釜口恵太、那須愛美、四柳智惟(以上、俳優養成講座修了生)
〈スタッフ〉
舞台美術アドバイザー:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団)
宣伝美術:北野亜弓(calamar)
演出助手:菊池佳南(青年団/うさぎストライプ)、釜口恵太、四柳智惟
修了公演監修:兵藤公美 制作:浅田麻衣、那須愛美 協力:青年団
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2019年3月6日(水)~11日(月)
6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
8日(金) 14:00/19:30
9日(土) 14:00/19:00
10日(日) 14:00
11日(月) 14:00
※今公演は、2019年2月15日(金)~3月11日(月)こまばアゴラ劇場にて開催されます青年団公演「平田オリザ・演劇展 vol.6」の演目ではございません。ご注意下さい。
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前です。
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。
〈チケット〉
予約・当日共
一般:2,500円
U-26(26歳以下):1,000円
資料請求割引:2,000円(詳しくは映画美学校ホームページをご確認ください)
※26歳以下の方は、当日受付にて年齢が確認できる証明書をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います!(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)
<チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://stage.corich.jp/stage/96711
<資料請求割引>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。
〈会場〉
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
〈お問い合わせ〉
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
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