映画美学校アクターズ・コース ブログ

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アクターズ・コース修了生と行く、『石のような水』稽古場見学 第1回(浜田みちる/フィクション・コース第13期)

映画や演劇のさまざまな垣根を越えて活躍する人たちの集まり「劇団えいが びがっこう?」。そのさきがけとも言えるアクターズ・コースの1期生たち。卒業後もそれぞれの場所で舞台や映画に出演し、また、自主的な稽古会や作品づくりなども続けています。

1期の修了公演『カガクするココロ』の演出家は、今回の4期と同じ松井周さんでした。そんな1期生と一緒に4期の稽古場見学に行ったら、どんな感想を聞けるのか。フィクション・コース在学中から、撮影を手伝い合ったり出演し合ったり、編集を助け合ったりしてきたアクターズ・コース修了生の話を聞いてみたくて、この企画をはじめてみました。

第1回目の見学者は、茶円 茜さん。

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在学中は、舞台では、前出の『カガクするココロ』のほか、映画では、鈴木卓爾監督の『ジョギング渡り鳥』や万田邦敏監督の『イヌミチ』などに出演。
主に子ども向けの演劇ワークショップでファシリテーター(進行役)を長年つとめ、いまはテレビの連続ドラマに出演しています。

稽古場に来てみると、演出の松井さんではなく、同じくアクターズ・コース講師の山内健司さんを、4期生がぐるりと囲んでいます。
山内「みんな、どんな人に観て貰いたいか、誰に来て欲しいか、ちゃんと考えてみてね」
4期生「僕は、◯◯さんを呼べるかもしれません」
山内「それは直接連絡できるの?」
活発に意見が交わされていきます。

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――これは、何をやっているんですか?
茶円「広報ワークショップだと思います。この公演の宣伝に自分たちで関わっていくための。稽古しながらやってるんだ……大変だなあ」

――茶円さんのときはなかったですか?
茶円「修了公演の稽古しながらはなかったかな。4期のカリキュラムは、いろんなことがぎゅっと詰まっているのかも」

続いて4期生は、舞台装置を組んだり、舞台上で使うシートの素材を舞台監督の小川陽子さんに見せたり、素早くてきぱきと動いていき、広報ワークショップを終えた山内さんが、それをにこにこと見守ります。

そして短い休憩をはさみ、いよいよ松井さんによる稽古が始まりました。
ホワイトボードには「小屋入りまであと10稽古」の文字。4期生たちの緊張感が伝わってきます。
松井「では、始めましょうか。34ページの終わりからいきましょう」
4期生がそれぞれの場所に移動し、松井さんの合図で開始します。
そしてストップ。
松井「はい、じゃあここまでにしましょう」

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みんなが松井さんに注目し、次々と具体的に演出の言葉が飛びます。
松井「そこは、(椅子に)乗って、座るのはありにして。そのあとこっちに戻るのもいいんじゃないかな。もうちょっと動いてもいいです」「どのベクトルに向かって言ってるのか知りたいから、一回こっちを見てもいいと思います」「自分が思っている以上に声を出してください。話題が変わるときにはトーンを変えて」

そしてすぐにやってみて、繰り返し修正しながら、稽古は進んでいきます。
松井「はい。もっとなんでもなく始めてください。もっとぽんぽんいきたいです」「分かりました、じゃあ別の場所にいると思ってやってみましょう」「もうちょっと普通に。そこはあんまり間をあけないで、すっと俯瞰に入って」「古舘(寛治)さんの授業でやった、相手のセリフを聞いてから喋る、を練習しておいてください」「重心をどちらかの足にかけてみて。それで、足を組んで。腕も。だるそうに。要するに力を抜いて」

松井さんの言葉に、4期生たちは、みるみるうちに変化していきます。
松井「まだもうちょっと続けさせてください」
この日は、18時から22時までの予定だった稽古が23時近くまでになり、茶円さんはずっとメモをとりながら、真剣に見続けていました。

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――見学してみて、4期生はどうでしたか?
茶円「ちゃんと舞台の上にいられるようになっている、と思いました。いままでの授業や発表の様子とくらべて、今日はそれを感じました。ちゃんと会話ができるようにとか、その空間にその人がいる、というふうに、そこに存在している人として見えるようになっている、と思いました。

4期は、外部で演じたことがある人や、高校演劇出身の人や、いままで個々でやってきている人たち、そこまで経験のない人たち、それぞれのスタイルがある人たちが集まってひとつの作品を作ろうとしている『客演の人が集まっている期』みたいな印象。それは、ひとつの作品を作るときにパワーバランスは難しいかもしれないけれど、うまく化学反応が起きたらとても面白いと思うし、良い方向へ行くといいなあと思います。

表現が強すぎる人は抑えることもできるようになるといいし、弱すぎる人は出せるようになるといい。修了公演は、全員でひとつの作品を作るいい機会だし、それこそ『アウェーで闘える俳優になる』とか、自分から発信できる俳優になるには、柔軟性が必要だと思います。

結局、人に言われても、自分の脳や身体を通して理解していくものなので、松井さんがどんどん助けてくれることをとにかくやってみると、自分の中に変化が起こります。足を組むと力が抜けるとか、距離の取り方とか、相手との関係性とか、松井さんが言っていたことを通して、こうすればこうなるんだ、っていうのを自分で実感して理解して、外へ出ても活かして欲しいです。

初等科では、一年間基礎を学んで土台や引き出しを作るのをやってきたと思います。修了公演は、いままで学んできたことを、持ち玉として使う機会です。ここで使えてこそ、外に出られるんだと思います。今回初めて使ってみる技もあると思うので、あれはここに使えるんだ、って気付いて、いろんなことを試してみて欲しいです。無意識下で吸収していたものを、意識して使えるようになる、それに気付くのが大事だと思います。
この短期間にぎゅっと、こうした稽古を毎日していくので、半月後の本番には今日とはまた全然違う作品や違う人たちになっているはずです」

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――松井さんの演出を見ていて、1期のときのことを思い出したりしましたか?
茶円「松井さんは、わたしたちのときよりも細かく演出を付けているように思いました。『カガクするココロ』の群像劇とはまた違って、今回は個々に焦点があたる場面の多い作品のように見えたので、だからかなあと思います。1期のとき、松井さんからはわたしはあんまり何も言われませんでした。ただ、松井さんが青年団で出演していたときと同じ役を演じることになった古川(博巳)さんには、思い入れが強かったのか、細かく演出を付けていたのを覚えています(笑)。

松井さんは、講師の青年団の人たちをよく知っているし、アクターズ生とずっと関わってきてくださった人なので、アクターズ生がどんなことを学んできているか、どんなものを持っているか知っていて、期ごとに個性のバラバラな生徒のことを、ちゃんと見ていてくれます。だから、さっきみたいに『古舘さんの授業で、相手の話をきちんと聞いて話す、という練習をやったよね』などと言うこともできるので、みんなの理解も早いように思いました。
落ち着いているけど個性の強い4期生が、それぞれの経験と同期との共通体験をもとにして、松井さんの力も加わって、あと半月でどう変化するのか、本番が楽しみです」

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――茶円さんの今後のことなどについて教えてください
茶円「わたし自身は、もちろん舞台は面白いし、ずっと舞台をやってきました。なので、舞台はある程度全体を把握して、安心して関わることができます。映画はそうではないので、この学校に入った頃は出演するのが不安でした。でも最近は、関わっているいろんな人のフィルターを通して予想外のことが起こる映画も、とても面白いなあ、と思っています。

自分が演じているのに、監督の意図があったり撮っている人は違う画を見ていたり、そこに編集や音や光のフィルターも入って、考えていたのとは異なるものが出来上がります。『カット、OK!』って言われても、こっちは全然OKじゃなかったのに……、と心配になるときもありますが、いまは、じゃあOKだったのかな、って良しとします。自分がいいと思わなかったのにいいときもあるし、逆にいいと思ったのに全然ダメなときもありますが、それも面白いと思います」

 

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アクターズ・コース第4回公演「石のような水」

2015年4月10日(金)〜2015年4月12日(日)

作:松田正隆(マレビトの会 代表) 演出:松井周(劇団サンプル 主宰)

チケット予約は下記より

www.eigabigakkou.com

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