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【本番直前スペシャル対談!】佐々木透 × 松井周【前編】

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
本番に向けて数々の豪華記事をアップして来ましたが、今回も特別対談企画をお届け!
今回の修了公演を担当する佐々木透さんと、劇団「サンプル」主宰・松井周さんのスペシャル対談の前編です!

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それではどうぞ!

 
「通し稽古を見学したのちに」 佐々木透 × 松井周

佐々木透
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

松井周 1972年、東京都生まれ。1996年に平田オリザ率いる劇団「青年団」に俳優として入団。その後、作家・演出家としても活動を開始、2007年に劇団「サンプル」を旗揚げ、青年団から独立する。2011年『自慢の息子』で第55回岸田國士戯曲賞を受賞。2011年『聖地』(演出:蜷川幸雄)、2014年『十九歳のジェイコブ』(演出:松本雄吉)、2016年『ルーツ』(演出:杉原邦生)など脚本提供も多数行う。


:::::以下対談本文(前編):::::


—本日は松井さんも通し稽古をご覧になりましたが、いかがでしたか?

松井周(以下松) 実は映像で事前に通し稽古は観ていて。今日実際に観て改めて思ったのは、作品の世界に関しては凄いチャレンジングだし、最初はちょっと訳分からないんですけど、途中から海にまつわるあれこれが入って来るので、僕はあの韓国の船が沈む事故(2014年韓国フェリー転覆事故)を…

佐々木透(以下佐) ああそうそう。あれはかなり参考にはしていますけど、まるっきり同じというわけではない。

松 そうですよね。だから色々な、捕鯨に関してもそうだし、いくつかの船が沈没していくというようなイメージが重ねられていくというところ、それと、ここで演技というものを勉強している人たちが「演技と演技じゃないことの境目」を行ったり来たりするみたいな感じ、その世界も多分含まれていて、そこは凄く面白かったですね。 一方で、彼らの「演技」のことについては通し稽古が終わってからつい口出しをしてしまったんですけど(笑)。

佐 (笑)

松 まだまだだなぁという感じはして(笑)。それは彼らがやっぱりまだこの台本に、いい意味で翻弄されているというよりは追いつけていないというか、そういう感じがちょっとまだしていて。でもなんとか食らいつこうとしている感じはあった。

佐 そう、へこたれないんですよ、あの人たち。

松 そこがアクターズ6期生の好きなところなんですけど。

佐 「なんだったらもうへこたれろ!」くらいに思ってやっているんですけど意外にへこたれない(笑)。演技の部分も、松井さんが仰ったところは本当に重々分かっているのですけど「とりあえず身体で馴らす」と。もちろん理屈でも本当は追いつかないといけない。身体で覚えることなんて、本当はもっと時間が掛かることじゃないですか。ただ、両方同時にやらなければいけないという中で、まぁどちらかというと今はひとまず身体の方を重視して。だから結構様式的なアプローチでやっているのですけれども、それも「こういうアプローチだってあるし、形だけで入っても演技の本質は変わらないから、それは生かしてね」って、演技的なことは割と彼らに任せているんですよ。

松 そんな感じはしましたね。

佐 で、結構ね、分かってないなりにも彼らの中からどんどん出て来るんですよ。

松 うんうん。

佐 それがやっぱり良くて。特にシーン5なんてリオン(米川幸リオン)が長ゼリフを言っていますが、僕はほとんど何もしていないんです(笑)。何もしないでも彼らが何かを立ち上げて来るのがあったので、もうそのまま。もちろん今のままでいいというわけではなくて「もっと探ってね」と。「探ってね」というところぐらいで留めているんですけど。

松 そうですよね。いくら「こうしてほしい」と細かく注文しても、俳優自身が気付いていかないと視野が狭くなって身体が固くなっちゃうみたいな感じになると思うのでね。だから「開きそうでまだ開いていないという状態」がもどかしくて。

佐 あと何日だ…あと何日なんだ…

二人 (笑)

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松 でもね、彼らは積極的だし、講義をしていても分からないことはしっかり聞いて来るし、「今どう考えているの?」と聞いたら自分で説明する。だからそういうところがもっともっと演技に出てくればなぁという感じはしていますけどね。今回の舞台は、世界が入れ子状態だったりするじゃないですか。それは最初から意図していたのですか?

佐 いや、僕が最初にキーワードとして「クジラ」とか言っちゃったから「クジラかぁ…」って途中からなっちゃって(笑)。

松 そうなんだ(笑)。

佐 「クジラ、要らねぇなぁ」と途中から思っちゃって。でも、クジラで他の方々が「クジラ!?」と考えているのを裏切るわけにはいかないと思って「じゃあクジラは残そう。クジラを残して「映画美学校で演劇をやること」「演技ということ」にどう言及が出来るのかなぁ」と。
で、「映画」に関して最初に出て来たモチーフがドキュメンタリー。演劇で扱えそうな性質とかを考えたら「ドキュメンタリーはちょっと扱えそうかな」ということで、ギミックとして持ち込んだんです。それを成立させようかなぁと思うと、「精神病」という本当によくあるレトリックを持ち込んで、お話として最終的に完結させるため・納得させるために今みたいな形になった。

松 なるほどねぇ。ドキュメンタリーというのは「演技しているのか、演技していないのか」という部分の「演技していない」側のことですよね。

佐 そうです。「メタのメタのメタ」くらいな感じで(笑)。それが「今僕たちはアクターズ・コース6期生です」みたいなことにまで及べば、観客が観ている今のこの芝居自体がそのままドキュメントになるのかなぁと。

松 それがもの凄くチャレンジング。その意図を俳優が分かってやるとしたら、一回忘れた方がいいと思うんですね。回想の部分とか。

佐 ああ(笑)。

松 いくつかのメタのレベルのことを単純に…(突然スマホを取り出し)ごめんなさい。あ、もしもし?

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佐 ?

松 とかって。

佐 (気付き)ああ。

松 例えばウソだけどこういうことをやっている時間とかってあるじゃないですか。

佐 本当に着信があったのかと思いましたよ。

二人 (笑)

佐 さすがだなぁ。僕は俳優時代から松井周のフアンですからね(笑)。

松 (笑)。夜道を歩く女の人が電話を取り出して「あ、もしもし」とウソでやっていることもあるじゃないですか。

佐 夜道が怖かったり色々な状況でね。

松 そうそう。あれって演技なのか本当なのか分かんないじゃないですか。だからそういうふうに見えたらいいと思うし、そういうふうに見せたいのかなと。

佐 見せたいですけどね(笑)。

松 そのためには自分が「ウソでもこうやって電話で話しているんだ」って信じている俳優がいないと、次のレベルが設定出来ないと思って。

佐 ただそれだと「鶏が先か卵が先か」みたいな話になってしまって。例えば、仏像をこれから彫ろうとなった時に、僕はいきなりガンガン眼からディテールを作っていく・彫っていくっていうのはちょっと出来ないなと。どちらかというと「じゃあこれくらいの仏像を彫りましょう」となんとなく大きさを決める、みたいな順序でやりたいなって思っちゃうタイプなので。「眼から彫っちゃったからこんな変な仏像になりました」っていう出来上がり方もあると思うんですけどね。僕はやっぱり大きいものから順々に細かくなっていくっていう、割とベタなタイプなので。

松 作品世界のこと・メタレベルのことを演出家は絶対知っている方が良いのだけど、俳優は自分の演技を考えていく時に、どっちも知りながら、でも演じるとなったら自分がいる世界をもっと信じていいのになぁと思うんでよすね。だから俳優はもうちょい自分のいるところを信じてやんないと(笑)。観ていて最初からメタレベルのことをちょっと予測しちゃうんですよ。

佐 はあはあ。

松 今はいいと思うんですよ。演出家がそういうふうにするということと、俳優がいまウソを信じていること、それは両立するというか。だから「ミスリードしてくれよ」っていうか。そういう感じというのはどうしても起こるし、全体像が見えるから面白いと思えるんだけど「でもまだ粗いよね」っていう(笑)。「彫っている仏像の眼は眼の形、なのかな?」くらいの感じというか。もっとその解像度が上がって来た時にどうなるのかなぁというのが凄く楽しみですよね。

佐 松井さんだったら作品を作る時って何から入るんですか? 作る過程というか。

松 僕はそこが…佐々木さんも俳優をやっていたでしょ?

佐 はい。

松 僕は完全に俳優の目線なんですよ。全体像が見えなくて(笑)。

佐 でもそれは「初めから台本がある・ない」ということにもよりますよね?

松 僕はないですね(笑)。

佐 そういうことか。

松 後から「ああ、こういうふうになってきたら、じゃあこうするか」みたいな感じで。

佐 それって台本を書く時に「俳優に当てる」とかそういうことですか? 

松 そういう場合もありますけど、そうじゃないことも多いですね。

佐 そう、松井さんの作品を拝見していても当てている感じはしないんですよ。進行具合でこういうふうなことが起こったらいいなっていうことをまた起していって、仮縫いと言ったら変ですけど、行っては戻ってちょっとずつ、という…

松 そうですね。ちょっとずつ進める。で、どう行くか、最終的には分からないんですけど、僕の場合まとめる時に困るんですよ。

佐 (笑)

松 「やべぇ、まとまんねぇ」ってなって(笑)。

佐 僕は今回、大人の事情で「この日までになんとか通してくれ」って言われて、稽古2日目で通しましたから(笑)。

松 すげぇな!(笑)

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佐 だから台本を渡して、稽古の初日までに時間があったから「覚えられるよね? 覚えてね。そんなのはもう、プロだったら全員出来ますから」って(笑)。

松 そう言ったんだ(笑)。

佐 そこから10日くらい時間があったんですけど、そこそこセリフをしっかり入れて来ていたんですよね。絶対覚えていないと思っていたんですけど「あ、こいつらやってきたな」みたいな(笑)。意外とやるんだと思って、何かちょっと安心しちゃって。「大丈夫だ。時間あるし」と思っていたら、何でしょうね、演劇あるあるで、あると思っていたらなくなっていって。

松 割と迫ってくる、みたいなね。

佐 そうですね。考える時間もたくさんあったと思うんですけど、考えれば考えるほど悩んじゃう劇構造ではあるから(笑)。本当は「いまのこれ、芝居なの? ドキュメントなの? どっち?」みたいなことももっと面白くなるはずで、ある程度演出効果で補助は出来ますけど、それを純粋に俳優の演技だけで出来たらスリリングというか。

松 そうそう。凄く矛盾するんだけど、俳優がまだ使える魔法を使えていないというか「ちゃんとウソをつけばいいのに!」というか、もうちょい行けるなという感じがする。それが出来たら、この戯曲の構造ならもっと「あれ、いま、自分こそどこにいるんだっけ?」っていう状態になっていくと思うんですよね。

佐 そうなんです。で、どっちかはっきりさせたくなくて。だから観ている側も「これどっちなの?」と。観客も出演者も「どっち?」みたいな状態になって最後に向かう、というのが理想と言えば理想なんです。

松 そうですね。僕は6期の人たちに講義をして、そのポテンシャルみたいなものは割とあると思っていて。まだ「どうこの舞台の世界に入っていいのか」というのを悩んでいる時期で、これからグッと変わる可能性は感じる。
「虚構なのか現実なのか、本当に自分たちがそこまでちゃんと追い込まれているのか?」というか、俳優が今そういう「問い」を自分で持っていればね。「自分たちが虚構か現実かが分からない」くらいの状態になってないと、観客だってその疑問に乗っていけない、みたいな(笑)。

——後編に続く(構成:スズキシンスケ)

 

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2017年3月2日[木] - 3月5日[日]
アクターズ・コース2016年度公演
『Movie Sick ムービーシック』

作・演出:佐々木透(リクウズルーム)
リクウズルーム代表。ク・ナウカシアターカンパニーで演出家・宮城聰のもと俳優として活動。退団後、執筆活動に取り組む。「日本の劇」戯曲賞2013最優秀賞受賞、第5回泉鏡花記念金沢戯曲大賞受賞。 文学への深い知識、鋭い感性と美意識を持ち、”戯曲構造”と”物語の可能性”を探る事をテーマに創作活動を行う。

出演:浅田麻衣、太田英介、大西美香、金岡秀樹、
   鈴木睦海、鈴木幸重、外崎桃子、仁田直人、
   塗塀一海、四柳智惟、米川幸リオン
  〔アクターズ・コース映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座〕
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公演日程
2017年3月
2日(木)19:30〜★
3日(金)19:30〜★
4日(土)14:00〜/19:00〜
5日(日)14:00〜/18:00〜
★=終演後アフタートーク開催〔30分程度を予定〕

※未就学児童の入場はご遠慮ください。 
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の20分前 
※演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場:アトリエ春風舎
〒173−0036 東京都板橋区向原2−22−17 すぺいすしょう向原B1


チケット料金(日時指定・全席自由、予約・当日とも)
一般:2,300円
学生:1,800円※公演当日、受付にて要学生証提示

予約受付はこちらから!
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