月刊 兵藤公美 with 四方智子 2・3月号(第1回/全3回)
「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。
俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。
第2回の2・3月号はトークテーマを設定せず、流れに任せて、イベリコ豚とワインを嗜みながらの楽しい収録となりました。(収録日:2/1)
※いきなり超真面目な話になったり、わけの分からない近況報告になったり、話があっちゃこっちゃ飛びまくりますが、あえてまとめず・なるべくカットせず、むしろそれを押し出しています。「ラジオ感覚」でお付き合い下さい。
【プロフィール】
兵藤公美:俳優/青年団所属。映画美学校アクターズ・コース講師。
横浜市出身。桐朋学園大学芸術科演劇専攻、専攻科卒。京都造形芸術大学、洗足学園音楽大学講師。96年、平田オリザ主宰劇団青年団入団、現在在籍。青年団に出演の他、多数の 劇団に客演参加し、近年は映像作品の他、自身でも公演の企画制作をてがけ意欲的に活動中。映画出演作として『あおげば尊し』『このすばらしきせかい』『東京人間喜劇』『歓待』『SHARING』『ふきげんな過去』などがある。
四方智子:映画美学校事務局員。フィクション・コース第2期修了生。
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四方智子(以下四方) 今年もよろしくお願いしまーす。
兵藤公美(以下兵藤) お願いしまーす。
(全員ビールを一口のみ)
四方 メニューにコースだと生ハム出るって書いてあったから、そしたらワインでしたね。
兵藤 あぁ…それもそうだね、うん。どうする? 今日は何について話します?
四方 私ね! ジョブ的に話したいことがあってですね!
兵藤 はいはい。
四方 っていうか、ニュース見ましたか?
兵藤 え?
四方 今日、芸能ニュースを見ましたか?
兵藤 見てない。
四方 キョンキョンが、独立したんです、事務所から。
兵藤 え!? そうなの? ニュースになってんの?
四方 なってたんですよ。で、ずっとバーニング(プロダクション)にいたんですけど辞めて、「自分で独立します!」みたいな。で、それと一緒に、常日頃から噂になっていた、俳優の、とよ…あれ?
──豊原功補です。
四方 豊原功補さんと、仕事上でも同士だし、プライベートでも恋愛関係にありますっていうのを言ったんですよ。
兵藤 今日?
四方 はい。
兵藤 そんな会見みたいなのがあったんだ。
四方 WEB上でメッセージみたいなのを出していて、それで「うおー!」って。でもよくよく読んでみると「豊原さんにはご家庭もありますし、私1人のことではない」みたいなことが書いてあって、「え、家庭あんの?」と思って。
兵藤 へー。
四方 でもなんか、ニュースではもう豊原さんは奥さんと別れたみたいなのが出ていて、だから「あ、じゃあ別れた奥さんとお子さんなんだろうな」と思っていたら、どうも…
兵藤 訴訟中?
四方 じゃなくて、どうもまだ離婚されていないんです。
兵藤 ふーん。
四方 だから豊原さんは結婚しているのに、そういう宣言をしたんですね、キョンキョンが。
兵藤 宣戦布告?
四方 …………宣戦布告なんですかね?
兵藤 いや…………それで?
四方 それで豊原功補さんも声明を上げて。「キョンキョンとはそういう関係です」「でも自分にはまだ妻がいます」みたいな。
兵藤 妻はどなたなの?
四方 一般の方らしいです。
兵藤 へー。なんか、最近よくそういうので世の中騒いだり叩いたりしてたけど。
四方 そう! それでびっくりしたのが、ニュースに「不倫」の二文字が出ていないんです。「恋愛関係」は出ているんですけど「不倫」って言葉は一切出ていなくて。
兵藤 へー。
四方 なんでだろーなーみたいな。
兵藤 あ、じゃあもう、誰よりも高いテンションで入ったらそうなるのかな?
四方 ……………………うん?
──(爆笑)
四方 え?(笑)
兵藤 だから自ら、もうさ、その、バレたんじゃなくて。
四方 ああ、自分で言ったらアリみたいなことですか?
兵藤 そうそうそう。
店員 ワイン熟成豚バラカルビですね。赤ワインで3日間以上漬け込んで熟成させたお肉になります。
兵藤・四方 へぇ〜。
店員 まず脂が甘くておいしいお肉なので。
兵藤 何か本当に熟成されていますね。色が独特。
四方 トマトって珍しいですね。ま、それもそうなんですけど、なんかまず、そんな状態で宣言するってすごいなって思ったんですよ。
兵藤 すごーい。
四方 で、プラス、そのニュースが「不倫」って言わないってことにも違和感を覚えて。
兵藤 なんか、ちゃんと全部、下地作っていたんじゃない?
四方 そうなんですかねぇ…でもねぇ…
兵藤 キョン様ですもん。
──キョン様とはあれですよね、『ふきげんな過去』で共演されていますもんね。
兵藤 ええ、ええ。
──カクテキですか? これは。
四方 いやーん、食べたいカクテキ。
兵藤 豊原さんはおいくつなんだろう?
四方 同い年くらいです、確か。
──52と51でしたかね。
兵藤 あーそうなんだー。同世代。
四方 うん。
兵藤 へー。でも50になってそういうさぁ、ことがあるんだなぁ〜。
──(笑)なんですかそれは。
四方 ねぇ(スマホを渡す)。
兵藤 (スマホのニュース記事を読んで)やっぱ何があるか人生分からないね〜。でも「ご家族に迷惑を掛けないように守ってほしい」って書いてあるよ?
四方 3年くらい前だっけ? 最初に報道が出たのは。
──聞かれたところで知りませんよそんなこと(笑)。
四方 結構前だった気がする。で、それを受けてですね、はい(スマホに別の記事を出し、渡す)。
──連続で読ませるわけですね(笑)。
四方 こっちが豊原さん側の声明です。
兵藤 あ、この人、ヤクザ映画に出ている人だ。(読んで)へぇー。キョン様に。ああ、住まいを別にしており…へぇー。自ら発表することで覚悟と誠実さという感じなんでしょうか。
四方 なんでしょうか。
兵藤 ええ、どんなもんなんでしょうか。
四方 だけど、なんか、凄いじゃないですか、いま。日本って不倫のことすごいバッシングするじゃないですか。
兵藤 そうだねぇ、うん。
四方 それを、これを見て私はただ単にすごいなーって思っただけだったんです。ただ、基本ミーハーなんでギャーギャーギャーギャー飛びつくんですけど。でも、なんか、これが出て、巷の評判ってどんな感じなんだろうって思って、それからツイッターで調べたわけですね。
兵藤 はい。
四方 ツイッター検索したら、やっぱり「ただの不倫じゃん」みたいな、そういうバッシングはあるんですよ。
兵藤 まぁそうか。
四方 でも、あれだけ不倫だって騒いで来たTVとかが今後どういう扱いをするのかなっていうのが、いまの私の興味なんですけど。
兵藤 うんうん。それは扱われてないの?
四方 まだ今日の昼過ぎくらいに出た話なので、まだテレビを見られてないから。
兵藤 へー。全然私知らなかった。話題になっていたんだ。
四方 話題になっていたというか、私が毎日Yahoo!ニュースをチェックしているっていうだけなんですけど。
兵藤 へー。
四方 どーなるんだろーなーと思って。だから、その感じが凄く自分の中で、気持ち悪いっていうか、なんだろう…
兵藤 でもなんかさ、芸能報道っていう枠組みの中だと、スッパ抜いたスキャンダルみたいな感じではないから、そこが違うんじゃない? 今までは本人たちは黙っていて、周りがやんややんや言って、何かこう、会見しなければいけないっていうパターンじゃん?
四方 やっぱ小室哲哉がですね、私の中ではデカいわけですよ。
兵藤 あ、引退しちゃって。
四方 やっぱり世代なので、少なからず悲しく思ったわけですよ。
兵藤 うん……………………
──全っっっ然興味ないですね(笑)。
兵藤 いや(笑)…辞めなくてもいいよね。
四方 あれは多分辞める言い訳にした感じはするんです、自分の中では。
兵藤 あ、そう?
四方 うん。辞めたかったのが、ちょうどああいう感じで出たから「やった辞められるイエー」みたいな感じなんだろうなって。
兵藤 そっか。辞めたかったのかな。まぁそうか。うん。で、どうして四方さんはそこに、小室哲哉の、何があるんですか?
四方 いや、なんか、こう、ベッキーから始まる不倫炎上がずーっとあって。
四方 そうそう。凄いんですって。ベッキーの不倫から、ここ2年くらい、ワイドショーの不倫の扱う量が一気に増えたっていう分析をされている人がいて。
兵藤 よく目にするよね。でもさ、そんなの別に普通によくある話じゃない?
四方 うん。別にいいんじゃないって思っちゃうんですけど。
兵藤 いや、ホントに、まぁ……………………別にいい。自分とは関係ないなっていうところはあるよね。
四方 そうそうそう。
兵藤 でもみんなそういうのがさ、見たいんだよね。
四方 うんうん。
兵藤 なんかでも、えげつなくなっている感じはあるよね。
四方 あと、みんななんか、妙に優等生になっている感じがするんです。
兵藤 うん。だってそんなこと言ったら昔さ、あの、松方弘樹とかさ。
四方 ねぇ。だって歌舞伎界なんてもうねぇ。
兵藤 そうそう。
──女性だからでしょうか?
四方 あー。
兵藤 あ、そっか、吊るし上げ、ほとんど女だね。
──男性で叩かれているのは淫行くらいじゃないですか? 狩野英孝とか。
四方 ああ、あった。
──あとは最近だと小出恵介ですか。
兵藤 あと…
(料理が到着)
四方 わー。トリュフですかこれは。すごーい、でも私食べられない…トリュフじゃなくてマヨネーズが、なんですけど…
兵藤 あ、マヨネーズが食べられないんだ。じゃあ食べてあげるー
──(爆笑)
店員 コースの生ハムですね。最高級のイベリコ豚のお肉をスライスしたものです。あとはコースを頼んで頂いたのでサービスになります。
四方 やったー。
兵藤 (拍手)
店員 これが、コンフィのスライスです。肩ロースの塊を、低温のイベリコ豚のラードでじっくり4時間5時間、低温をキープして作ったものなので、とても柔らかく召し上がって頂けます。豚肉だとは思えないほどです。ヨーグルトソースと専用わさび、お好みで。
兵藤 いただきまーす!
四方 これはワインが欲しくなりますね。
兵藤 そうだね、ワインが飲みたいね。
四方 でもまだビールがあるので…
──(食べて)ワインですね。
四方 (食べて)ワインですね。
兵藤 (食べて)ワインですね。
四方 これはうまい。
──美味しいですね。
兵藤 おーいしー……………………で、なんだっけ?
──(笑)男は、っていう。
兵藤 そうか。どっちかって言うと、ちょっと犯罪に片足突っ込んでいる男性は叩かれている。でもゲスの極み乙女の人(川谷絵音)は叩かれたよね、ベッキーと一緒に。でもメインはベッキーな感じだったよね、そう言えば。
四方 うんうんうん。
兵藤 じゃあ女性の不貞は許されないんだ。
四方 いやーん。
兵藤 世間的には。イメージがきれいめほど。
四方 代議士は?
兵藤 斉藤由貴?
四方 あった(笑)。あと、ほら、代議士で…
兵藤 ああ、SPEEDの人。
四方 今井絵理子もそうだし、名古屋かなんかの…名前忘れちゃった。
兵藤 え、名古屋?
四方 その後に選挙出て、当選したんですよ。
兵藤 え? あ、ごめんなさい、この豚肉、凄い崩しちゃった。ごめんね、もう全然影も形もなくなっちゃった(笑)。
四方 (笑)
兵藤 え? 選挙?
四方 あと、あの人男性、叩かれてましたよ? イクメンって言っていた人が。
兵藤 あ! そうだ、国会議員の人。
四方 奥さん(金子恵美)も国会議員で、イクメン言ってたけど不倫していて。ミヤザキなんとかって人(宮崎謙介)。
兵藤 あ、だから…ダブル不倫の場合は2人が責められて、片方が独身の場合は、その独身側が責められるってことか? ベッキーそうじゃん。
四方 (食べて)美味しい。
兵藤 (食べて)美味しいね。
四方 なんじゃこりゃ。
兵藤 なんじゃこりゃ…確かに、なんか、コンフィ…(壁の張り紙を見て)コンフィ丼があるよ。ランチ限定。
四方 あら。
兵藤 ん〜〜〜おいしい〜〜〜。
四方 わさびつけるとまた風味ががらって変わる。
兵藤 あれはでもなんか、個人的には叩かれてほしくないなぁ。
四方 ん? 何がですか?
兵藤 キョン様が叩かれてほしくはないけど。
四方 ああ、うん。でもなんかもう、キョンキョンは叩かないんじゃないですか?
兵藤 うん?
四方 みんな好きじゃないですか。ああいうことやって自分から言ったっていうのも、なんか、男気って感じしません?
兵藤 武士道みたいな。
四方 そうそうそう。
兵藤 「かっこいい!」ってなるのかな、やっぱ。
四方 ねえ…公美さん、ワインボトルで入れるとかどうですか?
兵藤 え…………あー…………どうぞー。
──(爆笑)
四方 あれ(笑)、飲まない?
兵藤 まぁ飲むけど、私多分1杯くらいかも、グラス。感じ的には。
四方 じゃあグラスにしますか…
兵藤 四方さんがグビグビいけるなら。
四方 四方さんはグビグビいくかなー。
店員 美味しいワインがありますのでよかったら。
四方 ワイン大丈夫?
──そんなグビグビは飲めないですけど…(※収録後に人生最大の頭痛に襲われました)
四方 私グビグビいく(笑)じゃあ黒ワイン!
兵藤 でもさぁ、豊原さんとのことは、いまじゃなくて少し前に報道で出てたってこと? いつ? いつ? 知らなかった私。
四方 ちなみにシンちゃんはお会いしているそうですよ。
──偶然、数年前にとあるバーで。だから付き合っているんだろうなっていうのは何となくその時に分かりましたけど。
四方 まぁでも、噂はありましたよ。
兵藤 え、それいつ頃?
四方 いつだっけ? 2、3年前でしょ?
兵藤 そうなんだー全然知らなかった。
(焼けた肉を頬張る)
四方 おいしー!
兵藤 確かに美味しい…
四方 キャンセルしてくれた人ありがとー!(注)当日雪が降ったため、キャンセルがあり私たちはこのお店に入れたのでした。
店員 こっちからすると「こんちくしょう!」なんですけどね(笑)。
四方 ですよねー(笑)。
兵藤 じゃあ別に女性だから叩かれたってことでもないのかな? 昨今のやつは。
四方 あ! 甘い! 美味しい!
兵藤 ん?
四方 ワイン凄い甘いんですよ。
兵藤 (飲んで)えーほんとだー。バルサミコみたいな。
四方 (肉を食べ)んー! 美味しい!
兵藤 イベリコ美味しいね。
四方 でも、あとなんか思ったのは、誰だったら100%叩いてよくて、誰だったら叩けないとかあるのかなって。
兵藤 なんかさ、渡辺謙が、ちょっとそういうことがあった時に、サクッと謝罪会見して済んだとか、なんかそんな言われ方あった気がした。マスコミがスルーしたみたいなこと言われてたよね。
四方 何なんだろう。
──芸能界における芸能事務所の力じゃないですか? マギーの不倫騒動の時は全くと言っていいほど何も波風立ちませんでしたし。
兵藤 芸能界大変だなー。
四方 あれ、公美さん芸能界にいるんじゃないんですか?
兵藤 いないでしょ、どう考えても(笑)。
四方 芸能界って何なんですかね。だって公美さん、芸能の仕事をしてますよ。
兵藤 芸能じゃないんじゃない? 私は。芸能じゃないよー。
四方 でも映画も出るしー、俳優じゃないですか。
兵藤 そうだけどね。芸術じゃないかなと思う。高尚とかそういうニュアンスじゃなくて、芸能と芸術、2つ分けるとしたら芸術じゃないかな。
四方 そこは分かれるんですか? 芸能と芸術って。
兵藤 分かれると思う。芸能はどうなんだろう…凄く極端な言い方だと、日本の1億人が見たら1億人が分かるものを作る。芸術は、300人が見て3人しか分かんないかもしれないけど、誰かの何かを突き詰める、みたいな。
四方 あー。
兵藤 私、やっぱそっち側じゃないかなって気はしているけど。
四方 芸能って「大衆」ってことですか?
──「大衆芸能」の方が日本の芸能界に近い?
兵藤 ああ、そうじゃない? そうかなーとは思う、私は。
──「アート」とは違うんですか?
兵藤 アートって言ってもいいのかもね。
──僕が観る演劇だと、ナカゴーとかは「アート」だとは思わないんですよ。十分「エンタメ」要素があるので。
兵藤 あ、だから、その中で細かく分かれている。作風とかテイストとかだと細かく分かれると思うけれど…でもそれはどうなんだろうね。活動の仕方じゃないかなぁ。ナカゴーは1億人が見たら1億人が分かることを大事にしている作り方はしていないと思うよ。だからそれは、活動の仕方のジャンルとしては芸術の方だと思うけどね。何が大事かって考えた時、作り手の欲望を最優先するっていうよりかは、お客様のニーズというか「あのかわいい子、なんで出なくなったの!?」ってなって、それでそういうニーズがあるから脚本変えて、その子を出そうという風に動くのが1億人に分かるもの。
──要は「TV」ですかね、昔で言うと。TV的なものが芸能界という。
兵藤 そうだね。そこは直結しているんじゃないかとは思う。でもTVでもそうじゃないやり方は…
──ありますよね。
兵藤 あるけど…だから「ネコノトピアネコノマニア」ですよ! ※前回参照
四方 (笑)
兵藤 あれはもう、バブルでカネがあったからやっちゃったんだろうね。
四方 でもNHK、いま、やっぱなんだかんだ言ってとんがってますよ。
兵藤 そっか。あ、お肉食べてー、シンスケくん。
──ありがとうございます(笑)。
四方 やっぱり、鎌田順也さん(ナカゴー)が演出をやっていたりだとか、あとこの間、玉田真也さん(玉田企画)が年末か正月番組で演出をやっているのを知って、思わず盛り上がって見ちゃったんですけど、そういうのだったりだとか、なんかああいうことを出来るのって、ある程度冒険が出来る余裕がないと出来ないじゃないですか。
兵藤 そうかもね。
四方 そういう意味でNHKは面白いんですよ。だって「ねほはほ(ねほりんぱほりん)」だって面白いじゃないですか。あれ、民放には出来ないですよ。
兵藤 出来ないの、あれは? どうして?
──仮に企画書を出しても、スポンサーが集まらないかもしれませんね。出来た番組を見ないと面白いと判断出来ないというか。
兵藤 そっかー。「そんなことより誰が不倫したとかの方がわかりやすいんだよ!」ってことか。なるほどね。だから民放はワイドショーをいっぱいやるんだ。その方がみんな見るから。
四方 そうそう。だからいま、ニュース番組がなくなっちゃったっていうのもニュースになっていて。TVは全部ワイドショーになっちゃったって。
兵藤 あ、そうなの? でも確かにそうだね。
四方 だってお相撲さんのやつって、ワイドショーでもやるしニュースでもやるじゃないですか。
兵藤 お相撲さん?
四方 暴行事件のやつ。
兵藤 あー。
──もう忘れたんですか(笑)。前回めっちゃ話したじゃないですか(笑)。
兵藤 そうだったそうだった(笑)。あれもなかなか決着つかなくて大変だったよね。
四方 そういえば貴乃花がちょっと悪者になっていたけど「結局貴乃花あっていたじゃん!」って思ったんですよね、あの事件。そのあともう1個出たじゃないですか、暴行事件。
──春日野部屋の力士が、弟子の顔を殴って味覚障害にするほどの暴行をしたのに、それを隠していたんです。
兵藤 まぁねぇ、相撲界はねぇ。
店員 続いては背骨のまわりを削いだところ、うちはセセリと呼んでいる柔らかいところです。これは焼き過ぎないで召し上がって下さい。
兵藤 じゃあもうサッといきましょう。
四方 (食べて)ジューシー!
兵藤 (食べて)ホントだー!
四方 これワインが進む…そうそう、やっぱり、ああいうの凄いんですって、ニュース。ずーっとやってるなーとも思うし。
兵藤 ねぇ。「いいネタ入った!」って感じでやっているよね。「もっと他に流すことあるんじゃないの?」みたいに思いますけど。
四方 でも一方で、やっぱり、TVって与えられるメディアじゃないですか。一方方向だから、あれをやられちゃうと結構「ああいうもんなんだな」みたいな。私、根が素直なので(笑)、やっぱりそこにこう「おかしくない?」って思うことがあんまりなくて。
兵藤 あ、そう? 本当? 私、全部やらせに見えちゃう。
四方 それは凄い。だから私、すんごい振り回されるんです。
兵藤 ……………………四方さん!
──(笑)
兵藤 振り回されるの?
四方 結構振り回されますよ。
兵藤 本当に?
四方 だってミーハーですもん。
兵藤 そっかそっか。じゃあ逆だね、私と。何も信じていないっていうね。
四方 あ、信じていないんですか?
兵藤 信じていない。かな。
──つーかどうやったらいまの日本のTVを信じられるんですか(笑)。
四方 でもね…TVで育って来ているから…もちろん「フィクションです」って言っているものを信じるわけはないけれど、でもどっかで信じちゃうみたいな時もあるし。あと、どっかで「ちゃんとしたところが言っているんだから多分あっているんだろうな」っていう刷り込みはあると思います。
兵藤 ええっ!? ちゃんとしたところ…
四方 いまはさすがにそこまではいかないですけれど、でもやっぱりありますよ。
兵藤 本当?
四方 だってテレビっ子ですもん。
兵藤 そっかー。全然見てないからなぁ、私。「ねほりんぱほりん」は見ているけど。
四方 面白い。
──そんなに面白いんですか?
四方 凄く面白い。っていうかやっぱりね、NHKは本当に、凄く中途半端な時間にやっている凄く中途半端なものが凄く面白いんですよ。
兵藤 「2355」とか。
四方 そうそう! あと、インタビューのやつがあるんですよね、Eテレでやっている。
兵藤 ああ、「SWITCH(インタビュー 達人達(たち))」?
四方 あれも大好きで。
兵藤 うんうん、面白いよね。
四方 この間、マツコ・デラックスとつんく♂の対談だったんですよ。面白くて最後泣いちゃった。
──それは番組自体が面白いのではなくて、対談している人のパーソナリティが面白いのではないんですか?
四方 でもセレクトする人が絶妙なの。
兵藤 でもあんま面白くない回もある。
──それ、「ボクらの時代」とかでも、面白い3人が出ていればそれは面白いでしょうけれど、っていうことではないんですか?
四方 そっか。それだ…
──「ねほりんぱほりん」は番組自体が面白いんですか? 例えば「ネトゲ廃人」とか、取り上げる事象が面白いだけというわけではなく?
兵藤 だからまぁ「ぶっちゃけている」っていうところが売りだよね、あれは。
四方 そうそう。どんな人でもちゃんと何かある、みたいな。
──「ぶっちゃけている」のが面白いんですよね。じゃあTVは「ぶっちゃけない」のがデフォルトということですかね。
兵藤 ああ、そうだね。そうだ。
四方 TVってぶっちゃけないの?
──ぶっちゃけていないと思いませんか? 「フィクションです」っていう雰囲気しかないような気がします。
兵藤 そうかもそうかも。
四方 そうか。
──お笑い芸人も最近はよくこういう趣旨の発言をするようになりましたけれど、お笑いや演劇をはじめ、「劇場レベル」になると、そういうリミッターとか縛りが外れるから、演出家だったり俳優・出演者の人たちの欲望が表に出るから面白い、と。
兵藤 うん。
四方 そっか。フィクションの中でも、それを超えるじゃないけれど、そういうのがあるってことか。そこに魅了されるんですね、私たちは。そういうこと?
──TVで面白いと感じるものも、多分そういう枠を少し踏み越えたものなのかもしれないですね。だから映画も含めて、劇場で観るものっていうのはそういうものなんでしょうね。
四方 そっか。TVって日常だもんね。
兵藤 そうだね。で、その、まぁ世間の常識の範囲の中で語られることっていうかさ、「不倫はいけない!」とかさ、「覚醒剤はいけない!」とかさ、そういうことじゃなくて、もっとその人の問題意識というか、常識とかと関係ないところでの考え方を知ったり、揺さぶられてしまうっていうことかな。「そんな風に物事捉えたことなかったわ!」とか「そんな考え方あったんだ!」っていうのに出会った時に「あ、明日から私、そんな感じで行ってみよう」って思うとかね。あとは「これは私だ!」って思っちゃうとか、そういう体験は多分、誰かの何かを突き詰めているものにはあるような気がする。でもTVは多分、常識の中で話すから、別に影響は受けない。
四方 「そういうふうに言っているんだ、はは」みたいな?
兵藤 そう。「へー」みたいな。でもそれは1億人っていうことだよね。
──でも「ねほりんぱほりん」は面白いんですよね?
兵藤 「ねほりんぱほりん」は面白い。でもあれを面白いって思う人、少ないんじゃない?(笑) あの時間帯だもん。
四方 そんなことないそんなことない。みんな結構見ています。
兵藤 でも1億人は見ないんじゃない、あれは。
四方 1億人は見ない。
兵藤 でしょ? 結構狭い範囲の話だと思う。
四方 だからEテレなんですよ。
兵藤 そうだろうね。でもあれ凄く仕事、丁寧だと思うよ。豚のぬいぐるみが微妙にその回のゲストに似せて作っていて、特徴掴んで豚にしているから、人間が想像出来て面白いの。
四方 お洋服とか全部変えている、毎回。来た時の格好にして。「ひょっこりひょうたん島」から続く、あの人形操作の伝統。
──NHKですからそこはノウハウがありますよね。
兵藤 凄いよ。だってあれ、たぶんその人が喋っているのを見て、動きとかをその喋りに合わせて作り直してんだろうから。人形技師が凄いよね。ホント感動する、あれ。
四方 「プロの仕事を見ている!」って思う。あれはでも本当にNHKじゃないと、教育テレビ(Eテレ)じゃないと出来ないことだなって思っちゃいますね。
(次回に続く/第2回は【3/10(土)】に掲載予定)