映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

【講師リレーコラム】演技を味わえる場/俳優修行生活/自分の好みを知る|兵藤公美[俳優/青年団所属]

今回の講師リレーコラムは、ご出演された「ニッポン・サポート・センター」が千秋楽を迎えたばかりの兵藤公美さんからメッセージをいただきました。

「俳優養成講座について」「演劇の世界に飛び込んだ時のことについて」「おすすめ作品について」の3つのテーマでお話して下さっています。

それではどうぞー!

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演技を味わえる場

 

映画美学校アクターズコースに携わるようになって、5年間、演技のことを
じっくり考えてきました。
演劇の構造から始まって、演技をするときの俳優の状態の仕組み、
日常の中に存在する演劇的現象を検証しながら、演技についての知識を
学び、同時に、感覚と身体や言葉をつなげるトレーニングを実践して、
俳優の作業の仕方を身につけていきます。

演じるための知識と技術を装備して、
俳優という乗り物を操縦する楽しさと喜びを味わえる場にしたいと考えています。

 

 

俳優修行生活

 

私は大学の演劇科に進学して、演劇を学びました。
朝から晩まで課題をこなし、また新たな課題に追われる日々でした。
グループ課題が完成できず、誰かの家に泊まり込んで、練習したりしたこともあったり、 アルバイトもしていたので、
ともかく忙しかったことを思い出します。
あの時はなにもわからず非効率に練習していたなあ、、と振り返りますが、
あんなにやみくもに演技にトライし、考え、うまくいったり、いかなかったり、演じることにまみれまくったのは、あの時が最大風速だったと思います。

俳優養成講座は半年と、期間が短く、カリキュラムも目一杯組み込まれています。
駆け抜けるようなスピード感があるかもしれません。
半年間、演じることに明け暮れ、密度の濃い時間を過ごし、
今までとは違う、演じる景色が見えるのではないかと思います。

 

 

自分の好みを知る

 

演技について語られている書籍はたくさん出版されているので、演技を学ぶとすれば、読んでみるのは常識的なことだと思います。映画や演劇作品を観るのもそれだと思います。
ですが、演技のやり方は、私が今のところ思うには、これ、という正しいやり方が
あるわけではなくて、自分のやり方をみつけることじゃないかと思います。
まず、自分が何をおもしろいと思うか知る為に、おもしろいと思った作品と出会った
時に、何が自分に響いたのかチェックしてみると自分の好み、自分の中の基準を知ることができるかと思います。
そうなった後、今度はその基準とは別の層の作品と出会っていくことが大切だと思います。
映画や演劇以外の例えば絵画や小説、建築、スポーツなどなどさまざまなジャンルにも 演技に通じる表現や言葉がたくさんあって、ひらめきをくれたり、価値観をゆさぶられたりします。
自分のやり方をみつける為に自分の好みの外側へ手をのばしてみることを
おすすめします。

 

(兵藤公美)

アクターズ歴代TA座談会!佐野真規さん(第1期TA)、石川貴雄さん(第2期TA)、しらみず圭さん(俳優育成ワークショップTA) その2

こんにちは、広報アシスタントの川島です。

前回に引き続き、歴代TA(ティーチング・アシスタント)の座談会をお送りいたします!

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アクターズ・コースにいると顔が変わる!?
一番近くでアクターズ生を見ていたみなさんのお話は、まだまだ続きます。

それではどうぞ~!

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【講師リレーコラム】演じることについて|深田晃司[映画監督]

今回の講師は、最新作『淵に立つ』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞された深田晃司さん。
俳優養成講座では、俳優自身が創作し、撮り/撮られる「映画創作ワークショップ」を担当します。

私たちはなぜ映画を作るのか?なぜ演じるのか?なぜ表現するのか? そこには目に見える成果を得るだけではない何かがありそうです。

映画監督の目から見た「演じること」の魅力について、深田さんが語って下さいました。
それではどうぞー!

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 以前、ある映画で身体障害者の役をオーディションで募集したことがあった。  
 それは全身麻痺に近い状態、正確には遷延性意識障害というのだけど、そういった障害を持った十代の女性の役で、おかげさまでオーディションにはたくさんの応募を頂き、二日に分けて数十人の俳優たちと対面することとなった。  

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アクターズ歴代TA座談会!佐野真規さん(第1期TA)、石川貴雄さん(第2期TA)、しらみず圭さん(俳優育成ワークショップTA)その1

こんにちは、広報アシスタントの川島です。

今回はアクターズ・コース生をサポートしてくれる頼れる味方、TA(ティーチング・アシスタント)を務めて下さったみなさんにお話を伺いました!

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集まっていただいたのは、フィクション・コースの修了生であり、第1期TAの佐野真規さんと第2期TAの石川貴雄さん、アクターズ・コース第4期修了生であり、俳優育成ワークショップTAのしらみず圭さん。そして俳優育成ワークショップ修了生である私、川島を含めて、アクターズ・コースの裏話をたっぷりお話ししてまいりました。

それではどうぞ~!

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7/9俳優養成講座募集ガイダンスレポート

 7月9日、俳優養成講座第2回目の募集ガイダンスが行われました!

この日の担当講師は、脚本家・映画監督であり、アクターズ・コース主任講師の井川耕一郎さん。また、修了生として4期修了生のしらみず圭さん、俳優育成ワークショップ修了生の私・川島が登壇いたしました。

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登壇された講師は井川さんお一人だったのですが、現在、青年団第75回公演『ニッポン・サポート・センター』本番中である俳優講師の山内健司さんと兵藤公美さんからもメッセージビデオをいただき、上映いたしました。直接お話していただくことはできませんでしたが、熱い思いを感じていただけたのではないでしょうか。

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Acting In Cinema 2016 映画の演技を学ぶワークショップ 2016/7/6(水)スタート!

 7/6(水)「Acting In Cinema 2016 映画の演技を学ぶワークショップ」が開講いたしました!

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講師は西山洋市さん(映画監督/『運命人間』『kasanegafuti』『瑠璃道花虹彩絵』 )と万田邦敏さん(映画監督/『接吻』『イヌミチ』『シンクロナイザー』)です。
現役映画監督である講師の演出による、本番さながらのリハーサルと撮影を通して、「映画の演技」をクリエイティブに体得するこの講座。
どなたでもご参加いただける講座となっておりますので、すでに俳優として活動されている方や、フィクション・コースの修了生の方など様々な方々にご参加いただいております。 もちろんアクターズ・コース修了生も参加できますので、修了後、「もう少し映画の演技について学んでみたいな…」という方にも最適な講座です!
今回はその模様について、少しご紹介いたします。

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2016年度オープンスクール・体験レッスンレポート② 6/29「なじむ」松井周

6月29日(火)、映画と演劇を横断し活躍する俳優養成講座第2回目のオープンスクールが行われました。担当講師は俳優であり、作・演出家でもある松井周さん。今回のテーマは「なじむ」。なじむ、とは一体どういうことなのか?松井さんの講義を少し体験していただきました!

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お芝居は、基本的に他人の言葉をしゃべります。現代口語劇の場合、普段話している言葉に近いので、何気なく発することができるかもしれません。しかし、あくまでそれは脚本家など自分以外の誰かの書いた言葉です。では、自分の言葉であるかのように、なじませるにはどうすればいいのか。普段はどのようにして、言葉になじんでいるのか。
個性や味といったものは、もしかしたら「才能」と呼ばれる、人から教えてもらうことのできないものかもしれません。しかし、「なじむ」ということは、才能とは関係ない技術であると松井さんは話します。普段やっていることを、意識的にどれだけなじませてできるか。俳優は基本的には「なじむ」ことができていれば、技術として通用すると言います。

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言葉と言っても、セリフのことだけではありません。例えば、今この記事を読んでくれているあなたは、どんな環境にいるでしょうか?パソコンの前でしょうか?スマートフォンを持っているのでしょうか?どちらにしろ、画面から出る光を感じているはずです。キーボードやスマートフォンの固くて冷たい感触を感じているかもしれません。そのように、空間には光・温度といった五感で感じる言語が溢れています。脚本にはセリフと動作などを表すト書きが書かれているだけですが、実際はそういったあらゆる言語が訴えかけてくる中で芝居をします。もちろん、設定上の環境と実際に置かれている環境が異なることもあるでしょうから、時には邪魔になることもあるかもしれません。しかし、それらを遮断するのではなく、取り入れることで、その空間になじむ助けになることもあります。

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さて、前置きが長くなりましたが、この日最初に行ったエクササイズは、2人組になって、1人が目を瞑り、もう1人が声のみでスタートからゴールまで誘導するというもの。スタートとゴールの間には椅子をランダムに配置し、それらに当たらないように進まなくてはいけません。これ、昨年の松井さんの講義でも行ったのですが、誘導するのが思った以上に難しい。「ちょっと右」と言っても、人によって「ちょっと」の基準は違います。また、誘導される側は不安でいっぱい。視覚が使えない分、ほかの感覚が敏感になっています。誘導する側は、その不安を解いてあげられるような声がけも大切です。コミュニケーションの難しさを感じさせられるこのエクササイズ。角度などの数値で的確に指示をする人や、優しく呼びかける人など、ペアによって方法も様々でした。
すべてのペアが終わった後、松井さんがこのエクササイズにタイトルをつけるならどうする?とみなさんに問いかけました。「線になるまで」「声ラジコン」などユニークな回答がたくさんあげられます。松井さんは「親子」というタイトルをあげました。タイトルがつくと途端に、先ほどの2人のやり取りに物語が見えてきませんか?ここで何かが起きていて、登場人物が必死でコミュニケーションしている。そこにタイトルをつければ、それでもう演劇だと松井さんは言います。

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次に行ったのは、有名な古典戯曲、アントン・チェーホフの「かもめ」のテキストを、今までの人生で使ったことのある言葉に変換して話す、というもの。国籍も時代も異なるこの戯曲に書かれている言葉は、普段話している言葉とは程遠いものです。それを慣れ親しんだ言葉で話し、与えられた状況を成立させていきます。最初はぎこちなかった長い独白も、相手が相槌を打ったり、言葉を補うことで、友達同士の会話のように見えてくるので不思議です。また、抽象的な表現をどのような言葉に変換するかで、その人の解釈が見えてくるのが興味深かったです。実際の現場でこのようにセリフを変換するわけにはいきませんが、なじんだ言葉でやり取りをした時に動いた感情を、自分から遠い言葉に戻した時にも持っていることができれば、シーンを成立させる助けになるかもしれません。

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松井さんの講義では、今回体験していただいたような「なじむ」ということに加え、受講生それぞれの味や個性を引き出してあるシーンを作るといったことも行います。講義の内容について詳しく知りたい!と思った方は、ぜひ募集ガイダンスにお越し下さいませ~!

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映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座
〜演技を通じた新しいクリエーター創出を目的とする〜
募集ガイダンス7/9(土)14:00〜
受講生出演作品上映会7/9(土)19:00~
映画演出ワークショップ7/17(日)13:00〜 開催決定!
http://www.eigabigakkou.com/course/actors/outline/