つれづれなるままに〜『革命日記』日記 その6・最終回 / 那須愛美
さて、稽古場日記も最終回となりました。
当初は4回のつもりだったのに、お互い色々と書きたいことがあって増えてしまいました。
最終回は、那須愛美が写真多めでお届けします。
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2月26日に無事に小屋入りし、春風舎で舞台づくりと稽古の日々です。
稽古場は、ちょっとピリピリしているかなと感じます。
まだまだやることがたくさん。やれることがたくさん。
そんな、もうちょっとで、あと一段階上の形になりそうな雰囲気が春風舎には漂っています。
山内さんはよく、「劇場に住んでください」とおっしゃっています。
それは、劇場で自らを最適な状態に持っていけるように、各々快適な環境を作ってくださいということなのだけど、今回はそれ以上に、この場所に「住む」意味があると思っている。
まず、地下の黒い小屋が、反社会集団のアジトという舞台の設定にぴったりの空間だということ。
そして、アトリエ春風舎自体が、元々は、アングラ劇団の劇場だったこと。
劇場自体に染み付いた年月。それを感じずにはいられません。
稽古前。
役者たちは、やっと場所を上手く使えるようになってきたという感覚が出てきました。
例えば、部屋にいる人から階段にいる人に声をかける時のその距離感。
これまで稽古場で想像しながら埋めていた部分と、実際の空間を使った感覚をなじませる作業が完了しつつあります。
階段の降り方1つ、背中を向けた人物からの姿勢のちょっとした変化で、心情を色々と想像できる。
観ている人がたくさん想像できるということは、とても豊かな芝居だと感じます。
身を乗り出して俳優の演技を見つめる山内さん。
山内さんは、よく「耳人間になってください」と言う。
これは、周りの音をただ、じっと聞いている状態にしてくださいということだ。
そうすると、人物の聡明さが表面にスッと出てくる。
アトリエ春風者は、地下にあるということで、地下水が外壁を伝う音や、上のマンションで水を流した音がよく聞こえます。その日ごとに違う音が聞こえるのが楽しい場所です。
その音にじっと耳を澄ます俳優の姿を見ると、見ているこちらもその人物に、スッと意識が集中される。
不思議な感覚です。
小屋入りして、毎日13時から22時過ぎまで劇場に籠って、疲れも溜まって来ました。
みんな空き時間でよく寝てる。
そしてこの日は、鈴木さんがカレーを作ってくださいました!
ものすごく美味しい!あったかいご飯。沁みる〜。
さらに、はちみつレモンまで!
沁みる〜心に沁みる。
本当に8期の皆さんは、誰とでも分け隔てなく仲が良いし優しいな、と思う。
その印象は、初めて接した時から全く変わっていない。
この関係性と信頼は、演技の中にも見られます。
例えば、日向子さん演じる立花と、福吉さん演じる桜井のアドリブのシーンで、周りの人物が野次を飛ばすのだが、その野次で、自然と「頑張れ」「負けるな」という声が聞こえた。
身内の人間としては、その姿を見てとても温かな気持ちになりました。
厳しい稽古の中でもここまでこれたのは、互いに気遣いあったり、遠慮せず悩み、相談しあったりできる環境が自然とあったからだと思う。
それって、一緒にモノを作るときに、大事なことだけど、難しいことだなと思っているので、やっぱり、ここは良い稽古場だなと思うのです。
さて、稽古に戻ります。
ここまで積み上げてきた段取りを生き生きとやる。これが今の段階での目標です。
どうしても、同じ動作を繰り返しできるようになると、たるんできてしまう。
段取りにならないように、毎回毎回の感覚に敏感に反応する。
また、「再現性」の話ですね。
山内さんの演出は、俳優としての取り組み方をとても丁寧に教えてくださいます。
そう言えば、先日、私が釜口さんと話していて、「でしょ!」と言ったのを聞いて、日向子さんが「本物の『でしょ!』だ!」と。
彼女の台詞に「でしょ、でしょ」というのがあるのだが、それがうまく言えなかったらしい。
そのあと、色々と試行錯誤していました。
こんな風に、普段の生活の中にも演技のヒントになることっていっぱい有りますね。
残り5日、 いろんなところにアンテナを張って、演技に反映して良い舞台を作りたいです。
さて、これで稽古場日記は終わりです。
ここまで全6回、お読みいただき、本当にありがとうございました。
3月6日(水)〜3月11日(月)、アトリエ春風舎でおまちしております。
(文・那須愛美)
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映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演
『革命日記』
作:平田オリザ 演出:山内健司
〈出演〉
青柳美希、五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、佐藤考太郎、柴山晃廣、
浅田麻衣、釜口恵太、那須愛美、四柳智惟(以上、俳優養成講座修了生)
〈スタッフ〉
舞台美術アドバイザー:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団)
宣伝美術:北野亜弓(calamar)
演出助手:菊池佳南(青年団/うさぎストライプ)、釜口恵太、四柳智惟
修了公演監修:兵藤公美 制作:浅田麻衣、那須愛美 協力:青年団
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2019年3月6日(水)〜11日(月)
6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
8日(金) 14:00/19:30*
9日(土) 14:00/19:00*
10日(日) 14:00
11日(月) 14:00
*終演後アフタートーク有*
3月8日(金)19:30 松井周(劇作家・演出家・俳優)
3月9日(土)19:00 深田晃司(映画監督/アクターズ・コース主任講師)
◯ご注意◯
※今公演は、2019年2月15日(金)〜3月11日(月)こまばアゴラ劇場にて開催されます青年団公演「平田オリザ・演劇展 vol.6」の演目ではございません。ご注意下さい。
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前です。
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。
〈チケット〉
予約・当日共
一般:2,500円
U-26(26歳以下):1,000円
資料請求割引:2,000円(詳しくは映画美学校ホームページをご確認ください)
※26歳以下の方は、当日受付にて年齢が確認できる証明書をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います!(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)
<チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://stage.corich.jp/stage/96711
<資料請求割引>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。
〈会場〉
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
〈お問い合わせ〉
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00