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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。映画・演劇を横断し活躍する「俳優養成講座 」 2017年9月開講決定!

アクターズ・コースが超えるボーダー 〜アート系「現代演劇」をゆく修了生座談会〜【3】

9月より開講するアクターズ・コース 俳優養成講座2017。「アクターズ・コースが超えるボーダー 〜アート系「現代演劇」をゆく修了生座談会〜」をお送りしています。

最終回は、果たして俳優って何!?というところまで踏み込んでいきます。

それではどうぞ!

 

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「俳優」って何なんだろう

 

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佐藤 自分も「俳優」をやるので、創作したり演出したりするときは、どうやって俳優に楽しみを残せばよいか、っていうことは考えます。ガチガチに縛りを固めることもできるじゃないですか。生身の人間同士で演劇を作っているのに、一歩間違えると「別に君は生きてなくていいよ」「死んでていいよ」みたいなことになってしまいかねない。

 

菊地 いろんな試行錯誤をする中で、そこに一番、意識が注がれる感覚がありました。何よりも、お客さんが必要だった。モノローグなので、誰かが観ててくれないと、私たちがやっていることは成立しない。

 

横田 映像の前で、人がモノローグをしゃべっている。アップルのジョブズがやっていたような、「プレゼン」感がありましたよね。

 

佐藤 僕がやっていた役は特にそうだったと思います。

 

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山内 最近、よく聞くじゃない。プレゼン型のパフォーマンスって。その場合のプレゼンターは、目の前のお客さんと関わらなきゃいけないですよね。相当「よっこらしょ」が必要だなあと、僕は思っているんだけれど。

 

佐藤 そうだと思います。

 

山内 それが「聞き手が誰であっても構わないプレゼン」になっちゃうと、すごくどうでもいい空間になっちゃうでしょう。俳優としてそこに立つとなったら、すごい腕力が必要。

 

佐藤 そこが、課題でもあるんです。そういう意見を、言われたりもしたし。だから『レーストラック』の、ぼくがプレゼンする部分では、「正直に話す」みたいなことしかやれていないかもしれません。演技とは別次元の話になっちゃうんですけど。

 

山内 「正直」も何も、そのことをプレゼンする熱意は、そもそもどこから生まれるの?

 

佐藤 上演場所には収まりきらないサイズの風景が、昔は存在したけれど、今はここにない。それを今、ここに出現させたいんですっていうモチベーションがありました。僕の役柄にとっては本当に大切な思いなんですけど、でも、お客さんにも同じくらい、その大切さを感じてもらえるための工夫が、足りなかったと思います。

 

山内 難しいよね。お客さんとじかに向き合う演劇は、僕もよくやるんですけど、ある程度の具体性というものを無視すると、とんでもないことになってしまう。そう考えると、今、さとしゅんが言った「正直さ」というのは、すごく率直な言葉だね。

 

佐藤 「皆さんにとってはどうでもいいことかもしれないけど、僕にとってはすごく大事なので、ちょっと今だけ聞いてもらえないっすかね……」っていう感じでした。

 

――他の皆さんは、「演じる」上でのモチベーションは、どういう時に湧いてくるものですか。

 

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菊地 まだやったことのないことをこれからやるんだ、っていう時。まだ知らない自分を知れるかもしれないという期待感ですかね。

 

横田 僕らはお客さんよりも先に、その作品のことを知っていて、稽古場で試行錯誤するじゃないですか。その中で自分が選び取った選択肢を、はっきりとお客さんに提示できた時です。……いや、「提示できた」はおこがましいか。お客さんに伝わったかもしれない、って思えた時に、ちょっと気分がアガる気がします。

 

深澤 これは、今の私の悩みでもあるんですけど。私、「犬など」のあっちゃんを観ていて、ダンサーに見えたんですね。俳優とダンサーって、共通している部分もあるけど、違うと私は思っていて。俳優には、たしかに身体能力は必要だけど、じゃあ何でもできる人が「俳優」なのかって言われたら、自分は「俳優」ではない、って思ってしまう。ダンスはダンサーの領域だけど、だったら俳優の領域ってどこなんだろうと。「これができるから、私、俳優」みたいなことが、最近、わからないんですよ。みんな、何をもってして「俳優」を名乗れるのかな。

 

菊地 それは、私も気になっていることです。どんな些細な身体の動きも、「ダンス」になり得る。

 

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深澤 誰もがやっている日常的な動作の中で、何か面白い動きが発見されて、不器用ながらそれを繰り返すことをも「ダンス」と呼べるのなら、じゃあ「俳優」はどうしたらいいのかな、とか。どんな仕事が来るのかわからないのだから、ダンサーの人たちみたいにしなやかに身体を動かす訓練も積んでおかないと、「俳優」としては未熟なのかな、とか。じゃあ「完璧な俳優」になるには何を備えておくべきなのかな、とか。どうなんですかね。俳優って、何なんですか?

 

一同 おお(笑)。

 

深澤 「犬など」であっちゃんがしてたような動きは、ダンスをやっている人じゃないと難しいと思うんですよ。ダンスをやってきた人が編み出す動きと、「やったことないけど動いてみよう」っていう人が編み出す動きは、やっぱり違うと思うんですね。例えば稽古の段階で、ダンサー脳が働いている時間と、俳優脳が働いている時間が、たぶん両方あったんじゃないかと推測するんです。

 

佐藤 役柄の有無ってことではなくて?

 

深澤 最近、特に、身体の動きを求められている気がするんですよ。日常的な動作ではなくて、ちょっと抽象寄りの、「身体表現」と呼ばれるような。行動やせりふだけじゃなくて、身体すらも表現のひとつだ、というような。そういう場において、「俳優」はどう機能するんだろう。「俳優」かつ「ダンサー」な人じゃなきゃできないことなのかな。……っていうことを考え始めると、結局「俳優って何だろう?」になっちゃうんですよ。何ができたら「俳優」なの? どこからどこまでが「俳優」なんだろう。

 

山内 コンテンポラリーのダンサーは、「ソロ」をやるよね。自分で作って自分で踊る。でも俳優で「ソロ」をやる人って、あんまりいない気がする。作・演出家を、誰か立てるよね。

 

菊地 ダンサーの活動もある5期の秋元ふせんさんが、ソロ作品を作って公演していましたけど、「これはダンス公演です」「演劇です」っていう言い方はしていなかったと思います。

 

山内 すごく気になっているのは、「俳優」って、「アーティスト」なのかな 「演劇」って「アート」なのか、っていうのと同じ話なのかもしれないけど。

 

菊地 どうなんでしょう。「アーティスト」に対する憧れはあります。

 

山内 「犬など」は……やっぱ演劇なのかな。

 

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佐藤 いや、わかんないっす……まだもうちょっと模索したいかな……

 

山内 最近の私の中間報告を言うと、演出家には、客席と舞台をつなぐっていう役割が確実にあると思うんですよ。でもね、俳優が観客とどうつながりたいのかという意志を持てば、それはすでに「演出」なんじゃないか。っていうようなことを最近考えていて。自分はどうつながりたいのかと、自分がどうつながっているのか、演出家がそれを見る目は、そんなに変わりがないというか。俳優がコンセプトセッティングに関与したら、それは「アート」と呼べるのかなという気がします。

 

横田 ……そもそも、なんでダンサーってしゃべらないんですか。

 

山内 いや、今、すごくしゃべるよ。しゃべらないコンテンポラリー・ダンスの方が少ないんじゃないかな。

 

一同 へえーー!

 

山内 「しゃべる」って、誰でもやってることじゃない? だから俳優と全然違わないと思う。

 

深澤 違わないのか……違わないのかな。

 

山内 さっきしほさんが言ったように、「しゃべるのは俳優の仕事なのだから、ダンサーがしゃべっちゃいけないんじゃないか」って思ってるダンサーも、いるかもしれないよね。

 

横田 書かれたものを舞台上でしゃべったら、それはもう俳優なんじゃないですか。

 

深澤 「素人性」ってあるじゃないですか。訓練された俳優ではない人が、出たりしゃべったりする面白さ。その人は、舞台に上がった瞬間、すでに俳優なんですかね。俳優って、誰でもなれちゃうの?

 

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横田 僕は、誰でもなれると思う。

 

佐藤 「犬など」の活動をはじめた当初は、出演も仲間内でやっていました。ただ、そのときに、誰でもやれることだけど、その人がやるとその人でしかありえなかったようなことをやる人はいて、――言葉の選び方が難しいけど――「この人、出れるな」っていうのはあって。「観れるパフォーマンスができる人だな」というような。

 

山内 「観れるパフォーマンス」(笑)。

 

佐藤 そのときその人は、「俳優」だと言えると思います。作ったものは、やる内容よりも「見せ方」があまりにも前面に出すぎで、「巧さ」が重要ではなくなっていたけれど。深澤さんが今、俳優とダンサーについて考えていることって、「俳優の技術とは何か」っていうことのように聞こえたんですけど、僕も横田さんと同じで、誰でも俳優になりうると思います。「巧さ」を求める現場もある一方で、「巧さ」が作品特有の、その作品以外では「巧く」もなんともなくなってしまう現場がいっぱいあるから困っちゃうよねっていう話というか。

 

一同 (笑)。

 

菊地 作る側にいても、困っちゃいますか。

 

佐藤 作ってる時は、どういうモチベーションで参加してもらえるかなっていうことに迷います。「巧さ」が問いづらい価値観をこれからここに持ち込みますが、皆さん楽しめますかねっていうような。もちろん、楽しいと思ってるんですけど。

 

深澤 ああ、でも今、話を聞きながら、私は何か、つかまりどころが欲しかったのかもしれないです。俳優としての自分の存在を裏付ける何か。それは「誰かに認められたい」っていう欲求なのかもしれない。

 

山内 ……よし、じゃあ、そろそろ未来の話をしようか。

 

一同 (笑)。

 

――映画美学校での経験は、皆さんのこれからの日々に、どう作用していくでしょう

 

菊地 映画美学校を修了してから「犬など」に参加するまでの年以上、私はずっと自主映画などに出ることが多かったんですね。ここで出会った、フィクション・コースの人たちとか、他のコースの人たちとも、ご縁がずっと続いていたんです。なので今後も、そのご縁は大事にしていきたいですね。

 

山内 今は一番、何がしたいの?

 

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菊地 演劇をやりたいです。生のパフォーマンスを見直したい。「犬など」の初日に「あっ……人前で演じるって、こんな感じだったか」っていう衝撃があったんですね(笑)。私自身は、自分の「フィールド」みたいな感覚はなくて、ご縁があったところや気になっているところに向かって動いている感じだったんですけど、その初日の体感があまりにも強烈だったので、もう一度取り戻したいという思いがあります。

 

佐藤 僕は、続けていきたいことが3つあって。まず、「犬など」でやっているような創作活動。それと、面白いと思えるものを作っている人の作品に、出演しながら関わりたい。3つめは、演劇とかパフォーマンスの記録映像の仕事ですね。一度きりの出来事をどう記録するかということと、自分がやっている創作活動とは、とても関わりがあるので、その3つを重ねていきたいという感じです。

 

――その3つが明確になったのは、映画美学校での日々より後ですか?

 

佐藤 そもそも、大学に入学した時に僕は、映画を作りたいと思っていて。東京に出てきて、友だちの自主映画に参加したりするうちに「演技ってどういうことなんだろう」ということを考え始めた。「作りたい」という気持ちと「演じるって何だろう」という気持ちの両方を抱いていたんですね。それで、この学校に入ったのが、2011年。それ以降、ここで出会った人たちとのつながりが、ずっと残っているんですよね。こんなに残るかと思うくらい。

 

山内 あなたがつなげているんですよ(笑)。

 

佐藤 このつながりの先で、3つの活動を続けていきたいなというのが、現時点での未来予想図という感じです。

 

横田 僕は、海外公演のある演劇に出たいですね。

 

――なぜ?

 

横田 「なぜ」??

 

山内 考えてなかったか(笑)。

 

深澤 でも確かに、海外、行きたいですね。単純に。海外の空気とか、触れてみたい。

 

横田 そう。日本語を知らない人の前で、芝居してみたい。

 

深澤 私は今、映像の方に興味があるんです。最近は舞台出演が多かったんですけど、フィクション・コースの方からお声がけいただいて、ウェブCMに出たんですね。そこで、舞台公演との、空気の違いをすごく感じて。しかも出来上がってきたものを拝見したら、現場の空気とはまるで違って、すごく素敵に出来上がっていて……いや、現場の空気が悪かったわけではないんですけど。

 

一同 (笑)。

 

深澤 この夏は、演劇みたいに作られたお芝居をVRカメラでワンカットで撮るっていう企画に参加することになっているので、これからも相変わらず、変な企画にいっぱい出たいなと思います(笑)。

 

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菊地 ここにいると、「自分は演劇の人」「映像の人」みたいな感覚が薄れていきますよね。

 

深澤 そうそう。映画美学校に在籍していたのは半年間という短い期間でしたけど、ほんっとうに来てよかったと思っているんですよ。今までずっと疑問に思っていたことの、答え合わせができたというか。

 

菊地 現場で迷った時に思い出すのも、映画美学校で学んだことです。

 

深澤 あと、外の現場で感じるのは、「あ、ビガッコーの人だ」「ああ、アクターズの人か」っていう認識が、だんだん周知されていっている気がして。これがこのまま、広がっていけばいいなあと思いますね。

 

山内 今、つながりたい人、気になってる人はいる?

 

菊地 私は、清原惟さんですね。

 

佐藤 僕もです。『わたしたちの家』も『ひとつのバガテル』も、めっちゃめちゃいい映画だった。出たいな、って素直に思いました。

 

深澤 私は、「サンプル」を終えた松井周さんがこれからどうなっていくのかがとても気になります。

 

山内 気になるねえ! 劇団を休止して、いよいよガチでポストモダンが始まる、そんな予感がするね。

 

佐藤 あと、濱口竜介さんの新作もすごく気になります。『寝ても覚めても』。

 

山内 気になるねえ。くやしいね、ああいうところにキャスティングされないと(笑)。

 

横田 僕は……(長考)……すみません、思いつかないです。すごいプレッシャーだ。

 

一同 (笑)。

 

深澤 私は、横田さんがお芝居で、正面切って「君が好きだ!」とか言ってるところをすごく観たい。

 

横田 うん。正面切って、ちゃんと人に何かを言ってみたい!

 

一同 (爆笑)。

 

山内 今日は、とてもうれしかったです。話したかった人たちと、話したかった話ができて。また、どこかで会いましょうね。会うでしょう、きっと!(2017/07/06)

 

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全3回、お楽しみいいただけましたでしょうか?

アクターズ・コース 俳優養成講座2017、申込締切は7/31(月)映画美学校必着となります!

オープンスクール、7/23(日)松井周さんの回も間もなく定員に近づいてまいりました。お申込みは下記よりどうぞ。

そして、最終の募集ガイダンスが、いよいよ7/22(土)14:00から!

当日は講師の井川耕一郎さん、古澤健さんが登壇予定です。講師陣から直接カリキュラムの説明をいたします。予約の必要はありませんので、ぜひふらりとご参加くださいませ!

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アクターズ・コースが超えるボーダー 〜アート系「現代演劇」をゆく修了生座談会〜【2】

9月より開講するアクターズ・コース 俳優養成講座2017。「アクターズ・コースが超えるボーダー 〜アート系「現代演劇」をゆく修了生座談会〜」をお送りしています。

第2回目は、俳優の「居場所」に関して。修了生たちは稽古場にどうコミットしているのか、実感を存分に語ってくれています!

それではどうぞ!

 

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俳優が「個」であるということ

 

菊地 私は最近、気になり始めていることがあるんです。「俳優」はどのように稽古場に存在したらいいのか。それってなかなか難しいなと思い始めていて。

 

山内 うん。そこだよね。

 

菊地 テキストを渡されて、「こういうことをやってみて」って要求される、いわばテクニックみたいなものをこなすのに精いっぱいになると、どう見えているだろうか、っていうことにまで、なかなか気が回らなくなる。でもたまにスタッフさんが観に来てくれて、そこで言ってくれる新鮮な意見も、演出家には何かが響いているようだけど、こちらまで届かないと焦る。もちろん、作品は演出家のものではあるんですけれども、でも私は俳優として、もっと一緒に作っていけるようになりたいです。

 

山内 俳優の学校って、普通はあまり「個」を求めずに、「俳優という役割」を求められることが多いと思うんだけど、菊地さんは現場で「個」を求められたりはしないの?

 

菊地 「個」……その感覚は薄かったかもしれないです。私は大学生の時、映画論のゼミにいたんですね。「作る」とか「出る」とかではない。そこで私は、もちろん俳優さんの演技も観てるんですけど、それよりも、監督の作家性に反応したし惹かれたんです。だから俳優という役割に対しても素材の一つという認識が強かったし、自分もそうなりたいと思っていた。でもそれがすべてじゃないかもしれないって思うようになったきっかけの一つが、実は、「犬など」なんです。

 

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一同 へえーー!

 

菊地 私にとっては「犬など」の公演が、『友情』(映画美学校アクターズ・コース2015年度公演。作・演出:鎌田順也)以来初の舞台出演だったんですね。自分は演者として出るんですけど、みんなで意見を交わしあいながら作っていく現場で。

 

山内 そこって、さっきの「横ちゃんはなぜあんなにいろんな芝居に出られるのか」に少し響き合うかもしれないね。

 

横田 「新聞家」は、テキストを喋る時間よりも、話し合う時間の方が長いんですよ。稽古を6時間やるとして、2時間はテキストを喋ってテキストを聴く、残りの4時間はみんなで、テキストのこととか、今思ってることとか、近況報告とか、喫茶店で話すような会話をしてるんです。でも全員が全員、同じ言語や思いを共有してるかというと、それも違う気がする。どこの舞台もそうじゃないですか。演出家と俳優の信頼関係が目に見える場合もあれば、それが見えない場合もある。

 

――「違う筋肉を使い分けてる感」はありますか。

 

横田 それは……うん、ありますね。

 

山内 あるんだ。

 

横田 そもそも、「自分の筋肉はこれだ」っていうのを、特に持ってないので。

 

山内 かっこいいなあ!

 

横田 まず言葉を組み立てる人もいれば、先に身体から入る人もいたり。言葉を重んじる人たちの中にも、モノローグを重視する人がいれば、対話を重視する人もいる。「新聞家」は基本的にモノローグ芝居なので、普通の会話劇なんてもうできないんじゃないかなって、実はこっそり思ってます。怖い怖い。怖いです。

 

一同 (笑)。

 

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山内 横ちゃんは、どっちかというと念力型なんだよ。他の人が見ると「ちょっと大丈夫……?」って思うくらい、ぐおーーーーって入っていくでしょう。公演の合間に、気晴らしにスマホいじったりしないでしょう。

 

横田 しないですね、できないです。でもそれ、やりたいんすよ。本番前に、マンガとか読んでたい(笑)。

 

佐藤 逆に、どんなタイプの芝居にも、共通して使えてる筋肉ってあるんですか。

 

横田 「人前に立つこと」かなあ。お客さんと関係を作るっていうスタンスは一緒ですね。現場によって、その度合が違う感じ。あとは、テキストに隠された秘密をひたすら検証する。……すっげえ抽象的だ(笑)。

 

――筋肉を使い分けるというよりは、その都度ゼロから没入しなおす感じ?

 

横田 うーん……たぶん僕が、ジャニーズとかと共演するような仕事をして、そのすぐ後に「新聞家」に出たら、「ゼロ」から「没入」することになるんだと思います(笑)。でも『友情』からの「ヌトミック」っていうのも、それこそすごいギャップじゃないですか。

 

菊地 そうですね。自分で意識的に変化しようとしなくても、現場へ行けば否応なく変わってしまうという感じでした。

 

深澤 私は、映画美学校に来るまでは、鎌田さんの作品を観たことがなくて。みんなでDVDで作品を観た時に「……これやるんだ……」っていう感じがありました。

 

菊地 独特の空気が流れましたよね(笑)。

 

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深澤 うわあキツいな!って最初は思ってたんですけど、でも稽古が始まって、世界観がわかってくると、どうにか面白い方向へ持っていきたいから、自分でシフトチェンジするんですね。ある時点で「面白いじゃん、これ」って思えた瞬間があって、そこからは、すっごい楽しかった。めっっっちゃ楽しかったです(笑)。「面白くない」と思っていたものを「面白い」と思えたという経験というのが、その後もずっと心にありますね。とにかく、否定的になるのはやめようと。今の自分にはわからない世界も、違う方向から見たら絶対面白いし、その可能性を捨てたくない。そう思えるようになったのは、あの修了公演があったからだと思います。自分の近辺では絶対に出会えなかったであろう人と出会って、一緒にお芝居を作る。そういう機会をいただけて、考え方が変わりましたね。

 

山内 そのへん、「犬など」の現場はどうなんですか。

 

佐藤 どうなんでしょう……僕、去年の11月頃に「バストリオ」に出たんですけど、作り方としてすごくリスペクトできたんです。語弊を恐れずに言うと、「こういう作り方をすれば一生作れる」と思いました。稽古場で、俳優にテーマを与えて、そういう場面を作ってもらう。それを組み合わせたり、間にテキストを挟んだりするのって、僕から見ると「編集作業」に近いなと思って。撮影素材を俳優から集めて、演出家がそれを編集している――なんて言ったら今野裕一郎さんは心外かもしれないんですけど――。今野さんは、ずっと作り続けられる作り方を選んでいるなと思ったんです。なので、その現場に影響をうけています。

 「犬など」が始まった時点では、大学の仲間同士の集まりで、「俳優」を専門とする人はいない状態でした。なので稽古場は、全員が舞台の外側から考えてしまって、舞台上から考える人がいないという感じで。それで、このフォーメーションだと煮詰まっちゃう感じがあったので、『レーストラック』では「俳優」として関わってくれる人がいた方がよいと思い、菊地さんも含めて二人の方に声をかけました。

 『レーストラック』の現場は、最初にテキストがあるんじゃなくて、まず「図」というか、このお話が扱う出来事の「構造」があって。誰々さんは、ここからここまで向かいます。誰々さんは、回りながら登場します。その、ここからここまでを舞台上でやります。っていう説明をみんなにまずしました。それから、それに応じたテキストを渡していくんです。

 で、菊地さんとの稽古場での作業としては、テキストを身振りに起こしてもらいます、その身振りからもう一度テキストを起こします、ということをやっていました。この動きに沿った、別のテキストを作っていくという。

 

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山内 そのテキストは、どうなったの。

 

佐藤 もう一度、さらに別の動きにしてもらいました。

 

山内 おおっ……(笑)。

 

佐藤 そういう翻訳を何パターンか繰り返したら、どうなるんだろうみたいな興味があって。それを試しながらやっていると、良し悪しを保留にしたまま次へ進むみたいなことが、往々にして起きるんですね。

 

山内 「良し悪しを保留」っていうのは、もうちょっと具体的な言葉になる?

 

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佐藤 そのテキストに対してその動きが合っているかどうかの判断が難しい、という感じです。テキストを書く時に、ある程度の予想があって書いている部分もあるんですが、それをそのままやらせることが得策なのかどうかは、別問題で。だから稽古場では、みんなにいろんなことを遠回しに言っていたと思うんですけど。

 

横田 遠回しに言うっていうのは、俳優から出てくるものを待っていたということですか?

 

佐藤 「これから30分間で、このテキストを一度、動きに起こしてみてください」みたいな。

 

横田 ちっちゃなギブアップみたいな(笑)。。

 

菊地 たぶんここでは「私から出てくる動き」が求められているんですよね。「佐藤さんはこういう感じを望んでいるだろうからそのようにする」っていうことは、していなかった。そして、私たちが作ったシーンを発表すると、佐藤さんはそれを映画のように観ているんです。カット割りとか、編集点を探している。

 

佐藤 俳優に動きを作ってもらう理由として、「テキストが語っている情景がバラバラなので、それを動きでつなぎに行ってください」っていうオーダーをしていました。もはや、意気込みの次元なんですけど(笑)。そしてそれがつながっているかどうかの判断と、微調整をさせてもらうっていう。

 

山内 演出家からそういうオーダーをされたらさ、あっちゃん(菊地)の中でも何らかの言葉が働くよね。

 

菊地 動きの根拠みたいなことですか。それは、ありますね。

 

佐藤 僕も、なぜその動きになっているかを、なるべく聞くようにしてました。いい悪いの判断にはならないんですけど、知っておかないと何も言えなくなるので。

 

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菊地 そこを共有するために、自分の中でもなるべく言葉にする習慣がつくので、それが舞台に立つ時の骨になっていました。

 

横田 お客さんからどう見えるか、っていうのはどんなふうに作用しているんですか。

 

佐藤 うーーん……つまり、菊地さんの中ではある理由があってその動きをしているんだけど、お客さんから見たら、そう見えない。っていう場合についてですよね。

 

菊地 たぶん、そこが一致することを、ゴールにはしていないんだと思います。

 

佐藤 公演をした目黒という土地には、昔、競馬場があったんですよね。その跡地に、今も一本だけ残っている木があるんです。その状況を借りて、別々に出てくる登場人物が、それぞれ違った方法で木と関わっている、みたいなことをやろうと思いました。最初に僕が、目黒駅から木までの道のりを演じたり。かつて目黒競馬場で行われていたレースを引き継いだ、府中競馬場についての描写を演じる俳優もいたり。だから、みんなモノローグなんですよ。会話劇ではないんです。

 

横田 僕は公演を観ましたけど、同じ空間に人の登場人物が存在するシーンもありましたよね。あれも、会話ではないんですか。

 

佐藤 「会話劇にも見えるかも」ぐらいの感じです。

 

菊地 そう見えても、いい。っていうことですよね。

 

佐藤 でも、違うかもしれない。……くらいの感じにする必要はあった。かつて存在したけれど今はない場所を描くので、それぞれが別々の場所や時間にいる感じは残さないといけないと思ったから。

 

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横田 映像作品を観ている感じがありました。それぞれの情景に、同じ木が出てきて、これらは同じ場所なのかなあって、だんだん感じさせるというか。

 

山内 面白い! 観たような気持ちになっちゃった。

 

一同 (笑)。

 

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アクターズ・コース 俳優養成講座2017、申込締切は7/31(月)映画美学校必着となります!

オープンスクール7/17(月・祝)の玉田真也さんの回は定員のため締め切りましたが、7/23(日)松井周さんの回は絶賛受付中です。お申込みは下記よりどうぞ。

そして、最終の募集ガイダンスが、いよいよ7/22(土)14:00から!

当日は講師の井川耕一郎さん、古澤健さんが登壇予定です。講師陣から直接カリキュラムの説明をいたします。予約の必要はありませんので、ぜひふらりとご参加くださいませ!

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アクターズ・コースが超えるボーダー 〜アート系「現代演劇」をゆく修了生座談会〜【1】

9月より開講するアクターズ・コース 俳優養成講座2017。今回は現在修了生にスポットを当ててお届けします。

講師の山内健司さんが「なんか最近修了生たちが面白い動きをしている!」と、気になっているご様子。特に気になる動きをしている修了生を招いての座談会を行いました。全3回に分けてお届けします! 聞き手は映画美学校非公式ブログ「映画B学校」編集長である、ライターの小川志津子さんです!

それではどうぞ!

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映画美学校のアクターズ・コースの修了生たちが、なんだか不思議な動きを見せているという。物語展開や何らかのカタルシスで魅せるスタンダードな芝居ではなく、ある小さな動きやせりふ、独自の仕掛けなどを観客の前に提示する、現代アートインスタレーションみたいな作品群に出演する修了生が続出しているのだ。映像でも演劇でも、どんな現場でも力を発揮する俳優を育ててはきたけれど、講師陣としても、この展開は想定外だった様子。気になる動きを見せている面々に、講師である山内健司が聞いた。

取材・文小川志津子

 

【登壇者プロフィール】

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佐藤駿:第1期生。映画美学校修了後、CM制作会社に勤務。退社後、2016年ごろより「犬など」という名前でパフォーマンスを創作するユニットをはじめる。また、出演活動も継続している。最近の主な出演に、映画『ジョギング渡り鳥』(監督:鈴木卓爾)、演劇『人間と魚が浜』(演出:三野新)、演劇『私たちのことを知っているものはいない』(演出:今野裕一郎)など。

 

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横田僚平:第4期生。芝居をはじめた次の年に映画美学校に通い、無隣館にも通い、いまにいたる。オフィスマウンテンや新聞家の舞台に出演。7/20~25まで北千住アートセンターBuoyで新聞家「白む」上演します。

 

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菊地敦子:第5期生。多摩美術大学美術学部芸術学科卒。在学中からダンスパフォーマンスを始める。主な出演に、映画「サロメの娘 アナザサイド remix」(監督:七里圭)、「シンクロナイザー」(監督:万田邦敏)、演劇「それからの街」(演出:額田大志)など。この夏は犬など「レーストラック」、ヌトミック「何事もチューン」に出演。kikuchi atsuko

 

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深澤しほ:第5期生。実践女子大学人間社会学科卒。卒業論文で書いた『まばたきの演技-役者の意図的な瞬目による印象操作-』は日本心理学会まばたき研究会で発表される。2016年サンプルの地方滞在型WS「わたしたちの発明」参加。近年の出演作品は新聞家「揃う」2016、ヌトミック「SaturdayBalloon」(2017)、はらぺこ満月「食べたい記憶」2017、市原幹也×市原佐都子「手紙プロジェクト」参加。月、ヌトミック「何事もチューン」の出演を控えている。

 

ほんとは「巧い」って言われたい

山内 映画美学校のアクターズ・コースで教えていることは、青年団の俳優が講師をしているせいでもあるんですけど、演劇としてはごく普通の、スタンダードな演技で、つまり舞台やカメラの前での振る舞い方を伝授するというよりは、「そもそも演技って何なんだろうね」ということを追求してきたわけです。修了生たちはその後も、映画や演劇、商業的なものも、そうでなくても、それぞれいろいろな形で頑張っているんですけど、ふと見回してみたら、不思議な結びつきを見せている人たちがいて。まず、佐藤くんが主宰する「犬など」に、菊地さんが出演したんだよね。

inunado.wixsite.com

佐藤 菊地さんとの直接の出会いは、「バストリオ」のワークショップでした。何人かでグループになって、みんなで発表するっていうワークショップだったんですけど、菊地さんたちの発表を見て、素敵な役者さんだなと思っていました。それで、今回の『レーストラック』をつくる際に、誘おうかな、と思っていたタイミングで、「飯島商店」で開催された映画の上映会でばったり会ったので、「企画書だけでも送らせてください」ってお願いしたのが始まりでした。

iijimashouten.com

菊地 私は「バストリオ」のワークショップに参加した時点で「犬など」の名前は映画美学校を通して知っていて気になっていたので、「映画美学校の方ですよね」というところから、お話するようになったんです。

 

山内 それで今回は、この人たちが話したい相手をそれぞれ指名してお話ししようということで、こういうメンバーになったわけですが、まず菊地さんは、深澤しほさんをご指名したわけだよね。

 

菊地 しほさんとは同期なんですけど、今のところ、一番ご縁がある方なんですよ。まず、「ヌトミック」という団体でのつながり。私は映画美学校在籍中に、「ヌトミック」という団体になる前の、額田大志さんの作品『それからの街』に参加していたんですけれど、5期のカリキュラムが終わってから、しほさんが「ヌトミック」の公演に参加されたんです。次の作品では共演します。他にも、映像系のワークショップで偶然会ったりとか、自主練習会みたいなことを試みたときに、お声がけしたりとか。それで今回、指名させていただきました。

nuthmique.com

深澤 私は5期の時から、あっちゃんに興味がすごくあったんですよ。私も飯島商店の雰囲気や空間がすごく好きで行くんですけど、そうすると必ずあっちゃんもいる。だから妙に安心感があって。他にも、あっちゃんが関わっている作品や現場が、何だかいつも面白いなとずっと思っていて。あっちゃんはどうして、こんなにいろんな場所を知っているんだろうっていうのを聞きたくて来ました(笑)。

 

山内 いやいや、あなたもでしょう(笑)。

 

深澤 まあいろいろ行ってますけど(笑)、あっちゃんを取り巻くコミュニティーが面白くて。だから逐一、「あっちゃん最近何してるの」って聞くようにしてます。うっとうしいくらい(笑)。

 

山内 さとしゅん(佐藤駿)は今回、横ちゃん(横田僚平)をご指名したわけですが。

 

佐藤 舞台に出ている姿を観ていて、すごいなあって思っていたんです。出演作を2本続けて観たんですけど、それぞれ、全然違ったんですよ。ほんと、頭がこんがらからないのかなってすごい不思議で。全然違うお芝居を、頭の中でどうやって切り替えているんだろうというのを聞きたくて、指名しました。

 

横田 「新聞家」の公演の時に、話しかけられたんですよね。

sinbunka.com

佐藤 終演後に話しかけました。あまりにも、すごくて(笑)。お芝居が始まる前、お客さんが客席に入ってくる間に、役者がうろちょろしている時間があったじゃないですか。

 

横田 うろちょろ(笑)。

 

佐藤 そこでの横田さんがすごく気になって、「あれは何をやっていたんですか」「普通に、自由演技です」みたいな会話をした記憶があります。というか、横田さんとはまだ、そういう会話をした記憶しかないです(笑)。

 

菊地 「新聞家」は次の公演の稽古を公開しているんですよね。見学じゃなくて、参加型の。それにこの前参加して、そこで私は横田さんに初めてお会いしました。

 

山内 え、行ったら参加できるの?

 

横田 2000円、かかっちゃうんですけど。

 

山内 2000円、結構するね(笑)。

 

佐藤 僕も1回だけ、「新聞家」の公開稽古に行ったことがあります。なんか、会議っぽいですよね。

 

山内 それは、俳優同士はやりとりになっているの?

 

深澤 やりとり……とは、違うような。それぞれがしゃべっている感じ。

 

横田 そうですね。顔を見合わせて「だよねー」とかはないです。

 

深澤 映画美学校のカリキュラムで、「わからない言葉をわからないまま言うことはできないよね」っていう山内さんの講義があったじゃないですか。その点で言うと、「新聞家」の村社祐太郎さんが書くテキストって、ひっかかるところがありすぎるんです。日常会話では使わない、すぐには理解できないような言葉で。私は去年「新聞家」で、横田さんと二人芝居をしたんですけど、せりふのひとつひとつを、普通に発話できないんですね。だから、確かめ合って、自分と対話するみたいな感じです。ここにあるのはテキストと自分だけ、っていう世界観。

 

横田 よく「朗読を聞いてるみたい」って言われます。

 

深澤 「絵画を見てるみたい」とも。

 

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――皆さんはいろいろな作品を観たり読んだりする中で、何に反応して「これ面白い」って思いますか

 

横田 僕は、俳優です。俳優が、面白そうな作業をしていれば、それをずっと観ちゃいます。作品がどうこうっていうのは、あまり関係ないかも。

 

深澤 最近、そういう作品はありましたか。

 

横田 演劇じゃないんですけど、ダンスの、関かおりさん。初めて観たんですけど、とにかくずっと静寂なんですよ。見たことのない、人間のような形をした彫刻がいっぱい出てきて、それが折りたたまれたり引っぱり合ったり、ぶらさがったりしている様を見る。動物園みたいな感じがして。

www.kaoriseki.info

山内 ほおー。

 

横田 あと、なんか、匂いがするんですよね。香りを担当してる人がいて。天井を見たら巨大な――あれは何ていうんだろう、急須でお茶を淹れる時に、お茶っ葉を入れるゾーンがあるじゃないですか。

 

佐藤 アミアミのゾーン。

 

――「茶こし」ね。

 

横田 そう、茶こしゾーン(笑)。あれが劇場の天井にセットしてあって、そこから香りがしてくるんですよ。合わない人は咳き込むだろうな、っていうくらい。でも、咳き込むことすらはばかられるほどの静寂。すごい緊張感でした。

 

佐藤 僕は作品を観るとき、いろんなところを観ちゃうから一概に言えないのですが、「役者さんすごいな」とも思うし、「こんなやり方があるんだ」っていうことに心が動くこともある。「新聞家」の公演には、その両方があったから驚きました。

 

――自分もやりたくなったりはしますか。

 

佐藤 ああ、「この作品に出たいか出たくないか」は、頭によぎります。「ここに自分は出られないな」と思いながらも「面白い」って思う作品もあるし、その逆もあります。

 

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深澤 私も同じ感じです。自分にはわからないことをしている作品に、興味が向きますね。「わかってしまう」ことへの安心感に、すごく危機感があるんですね。「わからない」けれども作品として成立していて胸を打たれる。これって何なんだろう? っていう興味を頼りに、私はいろんな作品を観ていて。「これがこうなったからこう着地した、よかった」っていう感じより、「……なんだこれ??」っていう方に興味が働くし、それを解き明かしたいから「参加したい」って思う。

 

横田 ああ、「解き明かしたい欲」はありますね。ワークショップに参加する動機は、だいたいそれです。

 

深澤 そして、「出られるか出られないか問題」も確かにあります。自分で「出られる」なんておこがましいけど、でもこの舞台の上に自分が立っている図が思いつかないことってあるじゃないですか。観客としての距離感で、得られるものを得たいなと思う作品もある。でも、「これやりたい」って思ったらもう、すぐにワークショップへ行きますね。

 

佐藤 「やりたい欲」、僕もある。ありますね。

 

菊地 「バストリオ」さんは、それが大きいですね。「これ、やってみたい」って思わされます。

 

横田 「バストリオ」のワークショップって、こういう類の人が多い気がする。「やれ」って言われたことだけをやりに来てない感じ。「いろんな自分がいる」っていうことを自分で発見して、それをみんなで見合う感じ。

 

一同 ああーー。

 

横田 と言いながら、物語の内容も俳優の巧さも判然としない作品に惹かれつつも「この俳優、巧いなー」「この作品、よくできてるなー」みたいなものに、いつか出たいんですけどね僕は。「巧いなー!」って言われたい。

 

一同 (笑)。

 

深澤 その「巧い」は何の巧さ?

 

横田 技術。「ワザがあるなーー!」って言われたい。

 

佐藤 いぶし銀な感じだ(笑)。

 

横田 そう。なんか、「そのままでいいんだよー」みたいな人が出てきて、「何だかよくわからないけどイイなあー」みたいな芝居は、曖昧すぎてちょっと……。

 

菊地 私は、見たことのないものを目の前にした時に、「私もこの人たちも同じ人間なのだから、私にもこれと似た部分があるんじゃないか」って思うことが多いですね。自分の記憶を掘り起こしたり、想像をめぐらせる感じ。

 

――山内さんは、どんな眼差しでお芝居を観ますか。

 

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山内 演出家と、俳優と、観客の関係。それに尽きるな。最近、ますますそうだね。強権的な演出家の作品って、観てるだけで息が詰まっちゃう。

 

菊地 それは、作品に表れますか。

 

山内 もろ、表れるよ。俳優に抑圧がかかっているのが、はっきりとわかるよね。あと、お客さんと舞台そのものとの関係もすごく気になる。そこに発明があるかどうかが一番気になる。お客さんが楽しませてくれるのをただ待ってるような公演よりは、お客さんが能動的に、同じ目線で参加しているものを僕は観続けている感じです。

 この前、柴幸男くんが多摩美術大学でやった『大工』って作品がすごく良かったんだよね。学生にとって、演出家って、普通だったら「先生」じゃん。「演出家」と「俳優」が同じ目線になるのも大変なことなのに、「先生」と「学生」が同じ目線になるっていうのはさらにすごいことで。でもその舞台は、明らかに学生と一緒に作られていた。そうはっきり断言できる舞台だったんだよ。僕は、そういうことに感動しがちです。

www.mamagoto.org

 「演劇ってこういうものでしょ」っていうところに依って立つ割合が多くなっちゃうと、しらけちゃう感じが僕にはあるんですよ。お客さんにはお客さんのポジションが約束されてて、舞台上は舞台上の掟みたいなものが約束されている、そのことにあまり疑いがない舞台を観るなら、俺は山登りをする方が楽しいって思っちゃうんだよね。

 

一同 (笑)。

 

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アクターズ・コース 俳優養成講座2017は現在募集中!

本年度の修了公演を担当される玉田真也さんのワークショップや講師の松井周さんが担当されるオープンスクールが開催されます。お申し込みは下記より。アクターズ・コースで行われている講義を是非体験してみてください!

eigabigakkou.com

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【オープンスクールレポート第2弾!】6/15(木)しゃべり言葉を調べる


今回は6/15(木)に行われましたオープンスクールのレポートをお届けします!

ご担当は講師である俳優の山内健司さん。青年団を創成期から支える山内さんが行うワークショップは、自分たちが発している「言葉」を、リズムやタイミングでどう受け止められるかを分解してみよう!というというもの。

レポートを書いてくださったのは、脚本コース受講生の後藤貴志さん。「言葉」を扱うというワークショップということで、演技未経験だけれども勇気を出して飛び込んだとのこと。

さて、どんなワークショップだったのでしょうか?

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【オープンスクールレポート!】5/21(日)動く・俳優~ビュー・ポイントって?

今回は5/21に行われましたオープンスクールのレポートをお届けします!

ご担当は講師である俳優の近藤強さん。近藤さんはアメリカでの留学を経て、現在青年団の公演を中心に活躍されています。今回のオープンスクールでは実際の講義でも行っているビューポイントの体験として、3時間みっちり行われました。

レポートを書いてくださったのは、映画美学校フィクション・コース修了生である、映画監督の内藤瑛亮さん。内藤さんは現在ワークショップを行いながら映画を作るプロジェクトを行っています。

www.yurusaretakodomotachi.com

内藤さんもこの映画のためのワークショップを行う際、近藤さんにご相談され興味を持たれたそうで、今回参加していただきました!

それではどうぞ!

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「動く・俳優~ビュー・ポイントって?」 近藤強

2017年度アクターズコースは9月より開講いたします。

募集にむけて、いよいよ様々なイベントがはじまります。その第一弾として講師の近藤強によるオープンスクールを開催します。

もちろんこれらのイベントは募集のための体験する機会なのですが、私たちは、これらを、学校の中で行われていることを外にひらいていく、学校が社会に直接関わっていく機会として、充実した場にしたいと願っております。
毎年、たくさんの方に楽しんでいただいております。「演技の授業ってものを体験してみたい!」という、アミューズメント的な興味、知的好奇心、あるいは社会科見学的な興味など、大歓迎です。
お気軽にご参加ください。(アクターズコース講師 山内健司

「動く・俳優~ビュー・ポイントって?」 近藤強[俳優/青年団
5月21日(日)14:00~17:30
会場:映画美学校ミニスタジオ

映画美学校 | アクターズ・コース オープンスクール【体験講義】5/21(日)開催決定!

さて、近藤さんが、授業でおこなっていることの解説を書いてくれました。ぜひお読みください!

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映画美学校アクターズコース講師の近藤強です。このブログはツイッターでメソッド演技とビューポイントについて書いた文章を少し補足したものです。限られた字数制限では書ききれない事もあったので、まとめてみました。 書きながら自分の考え方が整理出来ていろいろと面白かったです。当たり前ですが、これは個人的な見解であり、どういう意味においても僕の言っている事が正論/正解であると主張して他の人の考えを変えようという意図はありません。あくまで僕にとってはこう見えるという程度の話です。

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『Movie Sick ムービーシック』をご覧頂いた皆さまへ

こんにちは!ムビシク応援隊のSです!
昨日は無事、多くのお客様とともに千秋楽を迎えられました!!
ご来場頂いた皆さま、応援頂いた皆さま、このブログを覗いて頂いた皆様、誠にありがとうございました!!!

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