映画美学校アクターズ・コース ブログ

映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース2018年度公演「革命日記」2019/3/6(水)〜3/11(月)上演!

【応援コメント!】映画監督の池田千尋さんより!

今回は、映画監督で、映画美学校フィクション・コース講師の池田千尋さんより応援コメントを頂きましたので掲載いたします!

 

「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督であるフィクション・コース5名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ実習」。

 

今回は池田さんの作品に出演したアクターズ・コース受講生についてご寄稿頂きました!ありがとうございます!

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 松岡さんと組むことになった日、まあまずは人と成りを互いに知り合おうということで、スタッフであるフィクションコース生たちと共にいつもの中華料理屋で食事をしながら彼の話を聞いた。それは例えば、これまでどんな芝居をしてきたのかとか、何が好きで何が嫌いなのかとか、家族構成はどんなかとか。なんでもない会話になるはずだった。が、なんでもないなんて、とんでもない。彼の口から語られたのは、ドラマティックと言っていいほどの困難に満ちた稀有な半生だった。淡々と客観的に、時には笑顔を交えて語る松岡さんに惹きつけられた。過去を冷静に分析しながら、目を背けずに生きていること、受け入れようと努力し続けていること、だからこそ芝居をしているということ。起きたことを誰かのせいにするのではなく、自分の一部として乗り越えようとしている。覚悟のある役者だなと思った。

 

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松岡さんは真面目な人だ。言っておくと、私もよく真面目だと指摘される人間で、それって褒め言葉じゃないよなと複雑な感情を抱くのだが、事実は事実として、やはり彼も真面目な人だ。そして、思慮深く、優しい、故に多くを語らない。だが、それらが芝居をする上で弱点にもなるということを、ワークショップやリハーサルを通して互いに確認していたように思う。彼は何と言っても受けの芝居が上手い。相手の芝居をキャッチして、繊細に反応し、相手を生かそうとする。だが、一方で投げる側に回ったとき、どうしても今一歩のところで芝居が止まってしまう。もしくは作り込み過ぎて彼自身の身体を失う。さらけながら強く発することへの躊躇と葛藤。それはもしかしたら過去の経験にも起因するのかもしれない。でも、過去は過去、今は今、どうしたら自分自身を乗り越えていけるのか。それは彼の課題であり、私自身の課題でもあった。

脚本作りはこの課題について考え続ける時間だったように思う。そして、生まれたのが小山田という役だ。過去に囚われている男が、ある女子高生と出会う。今しか知らずやみくもで暴力的に他者に踏み込む女子高生に触れた時、小山田はどう変わるのか、変わることができるのか。それは私から松岡さんへの挑戦でもあった。受身から投げ手に変化する小山田を演じながら、松岡さんは松岡さん自身を乗り越える瞬間を生み出せるのか。それを見たい、一緒に作りたいと切に願いながら脚本を完成させた。実はこの思いについては今日の今まで松岡さんに直接は伝えていない。そう、実はそうだったんです、松岡さん。でもことさらに伝えずとも松岡さんは理解していると確信した出来事がある。撮影直前、唐突に不安にかられた私は松岡さんと話す時間を設けてもらった。確かインの二日前、直前も直前。突然呼び出された上に、グダグダと演出方針について話す私を前に、松岡さんはいつものように落ち着いていて、シンとした覚悟に満ちていた。出会った時に思ったことを思い出した。“覚悟のある役者”。そっか、まあ何にしろやるしかないもんな、と妙に安心したのを覚えている。

撮影はそうしてただ真っ直ぐに進んだ。一緒に乗り越えていこうと、ただそれだけで良かった。松岡さんはとても素直にその場に存在して、物語の中で生きていた。強く、生きていた。私はただそれを見ていれば良かったのだ。さて、では最終的に私たちは乗り越えることはできたのか。どうだろう。今分かっていることは、私たちは確かに前に進んで、でもまだ道の只中だということだ。そんな只中にいる松岡真吾という役者を、彼の今を、多くの人に目撃して欲しいと心から思う。そんな“今だけ”の彼が、『革命日記』という私史上上位3位に入る舞台で観られるなんて、楽しみで仕方がない。

 

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池田千尋・いけだちひろ

1980年生まれ。映画監督、脚本家。高校在学時から自主映画制作を始める。早稲田大学第一文学部卒業。映画美学校修了制作作品である『人コロシの穴』(02)が2003年カンヌ国際映画祭・シネフォンダシオン部門に正式出品される。助監督として幾つかの現場を経た後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域を2007年修了。主な劇場公開作品『東南角部屋二階の女』(08)、『先輩と彼女』(15)、『東京の日』(15)など。最新短編映画作品は、HKT48×48人の監督たち『48』内『遠ざかって、消えていく』(松岡はな主演)。他に監督として、NHKBSプレミアムドラマ『プリンセスメゾン』(16)、テレビ東京×Netflix『Re:Mind』(けやき坂46主演)スピンオフ特別版など。脚本家として、黒沢清監督と共同脚本をつとめた映画『クリーピー~偽りの隣人』(16)がある。2018年秋以降、2本の新作映画公開待機中。

 

 

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映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演

『革命日記』

作:平田オリザ 演出:山内健司

〈出演〉

青柳美希、五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、佐藤考太郎、柴山晃廣、鈴木良子、福吉大雅、日向子、松岡真吾、るり(以上、アクターズ・コース 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018)

浅田麻衣、釜口恵太、那須愛美、四柳智惟(以上、俳優養成講座修了生)

〈スタッフ〉

舞台美術アドバイザー:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団

宣伝美術:北野亜弓(calamar)

演出助手:菊池佳南(青年団/うさぎストライプ)、釜口恵太、四柳智惟

修了公演監修:兵藤公美 制作:浅田麻衣、那須愛美 協力:青年団

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2019年3月6日(水)~11日(月)

6日(水) 19:30

7日(木) 19:30

8日(金) 14:00/19:30

9日(土) 14:00/19:00

10日(日) 14:00

11日(月) 14:00

※今公演は、2019年2月15日(金)~3月11日(月)こまばアゴラ劇場にて開催されます青年団公演「平田オリザ・演劇展 vol.6」の演目ではございません。ご注意下さい。

※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前です。

※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。

〈チケット〉

予約・当日共

一般:2,500円

U-26(26歳以下):1,000円

資料請求割引:2,000円(詳しくは映画美学校ホームページをご確認ください)

※26歳以下の方は、当日受付にて年齢が確認できる証明書をご提示ください。

※未就学児はご入場いただけません。

※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います!(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)

 <チケット取り扱い>

CoRichチケット! https://stage.corich.jp/stage/96711

<資料請求割引>

映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!

下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース2018年度公演 資料請求割引

〈会場〉

アトリエ春風舎

東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅下車

4番出口より徒歩4分

東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1

tel:03-3957-5099(公演期間のみ)

※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

〈お問い合わせ〉

映画美学校

〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F

電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507

受付時間(月ー土) 12:00-20:00

 

 

【応援コメント!】映画監督の万田邦敏さんより!

今回は、映画監督で、映画美学校フィクション・コース講師の万田邦敏さんより応援コメントを頂きましたので掲載いたします!

 

「映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018」受講生が出演、映画美学校フィクション・コース受講生がスタッフ、そして現役の映画監督であるフィクション・コース5名がそれぞれ監督し、短編映画を創り上げた「ミニコラボ実習」。

 

今回は万田さんの作品に出演した3名について、「それぞれの印象」と「今後に期待すること」をご寄稿頂きました!ありがとうございます!

 

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五十嵐勇くん、柴山晃廣くん、鈴木良子さんとは、たった15分の短編映画に出演してもらっただけのお付き合いなので、彼らについてはその範囲でのことしかわかりません。なので、あまり多くをコメントできません。悪しからず。

 

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五十嵐くんは一生懸命に役を探り、とても丁寧に、真面目に、演じてくれました。一生懸命、丁寧、真面目は、ひととして最も大切なことですが、それが徒となって演技が小さくなることもあるかもしれません。役によっては、手抜き、雑、不真面目な印象(あくまでも印象ですよ)が必要かもしれません。

 

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芝山くんは演じる自分が格好いいことをわかっているひとだと思いました(あくまでも演技をしている自分であって、普段の自分が、ではありませんよ)。これは役者さんにとって大事なことだと思います。でも、その自信が徒になるときがあるかもしれません。ときには、自信なげに、おどおどと、びくついた印象が必要かもしれません。

 

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鈴木さんは演技の経験が浅いひとだと聞きました。映画は一つの芝居を細切れに演じなければならないし、シーンとシーンの間にも時間経過があります。それを一貫した感情で、あるいは物語の流れに沿った感情の変化で繋がなければならないのですが、映画に不慣れな鈴木さんにとっては難しかったかもしれません。しかし、鈴木さんにぴったりの役柄があるはずで、それを見つける、あるいはそれと出会うことがきっとあると思います。  

 

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万田邦敏・まんだくにとし

 

1956年生まれ。黒沢清の『神田川淫乱戦争』に美術として、また『ドレミファ娘の血は騒ぐ』では共同脚本、助監督として参加。その後、関西テレビ・ドラマダスで『極楽ゾンビ』(90)『胎児教育』(91)を演出。96年、押井守総合監修による実写SF『宇宙貨物船レムナント6』で監督デビュー。2001年『UNLOVED』がカンヌ映画祭エキュメニック新人賞、レール・ドール賞をダブル受賞。04年に『The Tunnel』(脚本=井川耕一郎)がカンヌ映画祭監督週間に招待された。他の監督作に『ありがとう』(06)、『接吻』(07)、『面影』(10)、『シンクロナイザー』(16)。自主製作作品としてナンセンスコメディ『夫婦刑事』シリーズなど。映画美学校では、コラボレーション作品として、『夜の足跡』(00/シネマ GOラウンドの一本)、『う・み・め』(04)、『×4』(08)、『イヌミチ』(13)、『波濤』(17)を監督している。

 

 

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映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演
『革命日記』
作:平田オリザ 演出:山内健司

〈出演〉
青柳美希、五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、佐藤考太郎、柴山晃廣、鈴木良子、福吉大雅、日向子、松岡真吾、るり(以上、アクターズ・コース 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018)
浅田麻衣、釜口恵太、那須愛美、四柳智惟(以上、俳優養成講座修了生)

〈スタッフ〉
舞台美術アドバイザー:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団
宣伝美術:北野亜弓(calamar)
演出助手:菊池佳南(青年団/うさぎストライプ)、釜口恵太、四柳智惟
修了公演監修:兵藤公美 制作:浅田麻衣、那須愛美 協力:青年団

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2019年3月6日(水)〜11日(月)

6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
8日(金) 14:00/19:30
9日(土) 14:00/19:00
10日(日) 14:00
11日(月) 14:00

※今公演は、2019年2月15日(金)〜3月11日(月)こまばアゴラ劇場にて開催されます青年団公演「平田オリザ・演劇展 vol.6」の演目ではございません。ご注意下さい。
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前です。
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。

〈チケット〉
予約・当日共
一般:2,500円
U-26(26歳以下):1,000円
資料請求割引:2,000円(詳しくは映画美学校ホームページをご確認ください)
※26歳以下の方は、当日受付にて年齢が確認できる証明書をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います!(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)

 <チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://stage.corich.jp/stage/96711

<資料請求割引>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース2018年度公演 資料請求割引

〈会場〉
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

〈お問い合わせ〉
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00

 

 

 

 

『革命日記』演出家インタビュー:山内健司氏

こんにちは!

アクターズ・コース2018年度公演『革命日記』の制作を担当します浅田です。このブログでは、今後アクターズ生の情報や、応援コメントなどを掲載していく予定です。どうぞよろしくお願いします!

『革命日記』1月28日より稽古が始まりました。シーンが少しずつ積み重なり、丁寧に、そして微細に、この作品の全容が作られていっています。

 

今回は、『革命日記』の演出である山内健司氏へのインタビューを掲載します!

 

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〈プロフィール〉

山内健司(俳優/青年団所属/アクターズ主任講師)

84年、ICU在学中に劇団青年団に参加、演劇をはじめる。平田オリザ「現代口語演劇」作品のほとんどに出演、代表作『東京ノート』はこれまでに15カ国 24都市で上演された。演劇を劇場の中だけのものとしないように、多彩な俳優活動を継続中。ワークショップなども積極的に行なっている。

映画出演作として 『歓待』など。平成22年度文化庁文化交流使としてヨーロッパで活動。

 

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—今回山内さんが演出になった経緯を教えてください。

去年話して、アクターズ講師が演出をやってみよう、ということになりました。それは演技を学ぶ人達により近い立場でやってみよう、ということです。やはり演技って学んですぐにうまくなるようなものじゃないじゃない? アクターズ・コースが半年になって、これで4年目なんですけど、昔高等科まであったのが半年になっちゃって。そんな半年で演技がうまくなったりするようなもんじゃないっていうこともあって。逆に言うと、これから俺たちは演技をがっつり学んでいくぞっていう、キックオフなものにしたいなと。これからの志を示すのに、修了公演が大きなきっかけになれば、と思いますね。

 

—『革命日記』は、初演から見られてますか?

『Fairy Tale(※注1)』から大体見てます。
※注1:1997 年、平田オリザ氏が書き下ろした作品。『革命日記』の元になった。

 

—『革命日記』は若手公演という印象があるのですが、『Fairy Tale』も若手公演というものだったんでしょうか?

いやいやいやそんな、『Fairy Tale』は「P4」といって、山の手事情社と、ク・ナウカ花組芝居と、青年団の4つの合同公演です。

 

—全然ガツガツでした(笑)

白塗りしてたかな? 当時の山の手事情社のテイストだったと思います。

 

—2008年に、現在アクターズ講師でもある近藤さんが出演されていた『革命日記』はどんなものだったんでしょう?

若手公演として、初演は春風舎ですね。評判も良くて、座組みの雰囲気もすごくよかった。これで更に回れたらいいねって話になって、本公演になり、海外を周り、いわば出世魚のような作品だなと。
面白かったよ。平田作品は「日本人の姿」みたいなものを描く作品がすごく多いんですよ。どの作品もそうっていえるかもしれない。この間の『ソウル市民』もそうだし、『日本文学盛衰史』もそうだし。『革命日記』も正しくその系譜ですね。日本人の集団の姿ってものを描いた作品ですね。
平田の作品の再演って面白くて、息の長いものがすごく多いです。20年前の作品でも、今上演すると、鏡のように日本人の姿を写すってことがあります。最近でびっくりしたのが、『南へ』っていう作品がありまして。1990年初演なんですけど、それを3年くらい前に若手公演でやったときに、2010年代半ばの日本の姿がそのまま映るっていうのがすごい不思議な感じがして。もう2、30年前の作品なのに。『革命日記』も、きちんと丁寧に上演したらおそらく2019年の日本人の姿がやはり映る・・そういうことは感じてます。・・どうだ、立派なインタビューだろう?(笑)

 

—立派ですよ(笑)

できるんだよ、こういうことも(笑)

 

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—あれ、演出ってこれが初でしたっけ?

正確に言うと、1987年に一回だけやってます。青年団の上演履歴のHPにも載ってるんだけど、『欲望という名の林檎』を青年団の若手公演でやってますね。

 

—それはオリザさんが書いた?

書いた。『南へ』の基になった作品ですね、実は。アルチュール・ランボーの『酔いどれ船』っていう詩があって、それをモチーフにした作品です。

 

—ではそれ以降の、満を持しての2019年演出ということで!

満を持さないよ(笑)まあその時以来ですから、ほとんど初めてじゃないの?その時は現代口語演劇の影も形もない・・いや、影くらいあったか。

 

—現代口語演劇は90年入ってからでしたっけ?

そうね、その翌年くらい、僕が若手公演やったその次の作品くらいからかな。『光の都』って作品があったんですけど、その時初めて、「普通の声でお芝居しようよ」っていう。要するに、普通の声で芝居しなかった最後の時代に演出やりました。

 

—からの、2019年に演出を。

32年ぶり!イェーイ。

 

—ずっとオリザさんと一緒に活動している、っていうのもあると思うんですが・・今回オリザさんの『革命日記』を作品に選んだっていうのはどういった理由からですか?

一番のモチベーションは、平田戯曲をやりたいっていうのがありましたね。それが大きくて。あと、僕が『革命日記』に出てないっていうのも一つあります。考えたんですね、僕が出演していて隅々まで知ってる戯曲か、そうじゃない戯曲にするかってことを。で、一応、出てないものを選ぶのも面白いかなっていうのがあって。
ただ、やはり、平田戯曲を一回演出としての立場でやってみたいっていうのが、僕の個人的な欲望であります。
あと、この4、5年、俳優っていうことにこだわらず、自分でやったらいいじゃんっていうことをすごく思ってて。いい歳して今さらなんですけど。別に誰に怒られるわけじゃない、自分で書いてやったらいいし、誰に怒られるわけじゃない、自分で演出して自分でやればいいっていう、なんでも自分でやろうっていう気持ちが強くなって。その一環として、演出をやってみようっていうことです。

 

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—オリザさんの演出、俳優の山内さんはどういったものを感じていますか?

平田がやってる演出っていうのは、言葉の振付に近いものがありまして。有名な「そこで2秒間を空けて」とか、あるいは「そこで語尾を上げてください」みたいな。
俳優の作業としては、「なんだろう? なんか言われてる・・・」みたいな、あとは自由にやっていいんですが。言葉がなんていうかな・・・「見える化」といいますか、聞こえるようにするといいますか。「見える化」のほうがイメージに近いかな。言葉を正確に「見える化」していけば、今回の作品も2019年の日本人が映るんだろうなっていう確信はあります。アクターズ2期の修了公演でも松井くんが『革命日記』をやってる(※注2)んだけど、その時松井くんの演出の方針としては平田演出のコスプレをする、みたいなことを言っていたのね。それの前にも、アクターズ1期の修了公演が『カガクするココロ』で、これも平田オリザ作品を松井くんがやったんだけど、その時は更にすごくて「平田のように演出をやってみよう」っていうのが松井くんの一つの演出のモチーフだったね。あれ面白かったね。
ただ、今、松井版『革命日記』をビデオで見てみると、やっぱり、松井演出だなあっていう感じが実は大きいですね。主にその言葉を一回肉体化、自分のものにしていくっていうときに、言葉を身体になじませていくっていう過程が、当時の松井くんの演出を強く感じました。守られた振付のように動く、喋るってこととは全然違う。まあ、青年団もそうなんですけどね、松井くんの場合はさらにそれが進んで、非常にノイジーに、一度正確に言葉とか台詞を入れた上で、俳優の演技をなんていうか、身体になじませるって言い方でいいのかな・・・・いや、俳優がなじむかもしれませんね。ちょっと抽象的なんですけど。それが松井くんっぽいなって今見ると非常に思います。

※注2:2013年、アクターズ・コース第2期初等科修了公演として『革命日記』が上演された。演出は、松井周さん(サンプル主宰)

 

—では、今回山内さんはどのように『革命日記』及び受講生にアプローチしようと考えてらっしゃいますか?

演技の基本的なこと、そのシーンは一体なんなのか、このシーンは一体何が起きているのかっていうことをちゃんと考える。で、何が起きているのかっていうのを起こすために、どういうふうな構造、仕組みを作って演技をすれば起こせるのか、っていうことを丁寧につくっていく。演技をする構造を丁寧につくっていくっていう、割と基本的なことを強力にやりたいと思っています。そこはなんとなく熱くやって、とかさ、そこはなんか挫折感をにじませて、とかさ、雰囲気みたいなことではなくて。もっと演じるための言葉ってあって。演じるのに役に立つ言葉というか。
例えば、「その瞬間マウンティングしてるんだよ」とか、じゃあそのマウンティングするっていう言葉であなた自身はモチベーション持って演技できますか?っていうのを丁寧に探っていくみたいな。割と地道なことを基本的にやっていく。そういうことが作業の大部分を占めることではあります。それをやっていけば、おそらく、平田の戯曲は今の時代を写すんじゃないのかということも思うんですけども・・・あともう一つ考えることがないでもないです。
やっぱり今のアクターズ生だと、20代〜30代で、平田とは2〜30歳年が違う。そういう言葉を喋るにあたって。たとえばコスプレのように昔の学生運動の人達に手を伸ばしていく、演じるのか、そういうことでもないような気がしていて。『革命日記』っていう作品を2019年にどうやって成立させるかっていうときに、今であること、その人達そのものであること、今の「革命する身体」みたいな、直接性ですね。それを見つけたいっていうことは考えますね。本当の意味でのアップデート。今の出来事にしていこうって、思ってます。

 

 

【了】
(インタビュー・構成:浅田麻衣)

 

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映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演
『革命日記』
作:平田オリザ 演出:山内健司

〈出演〉
青柳美希、五十嵐勇、奥田智美、斉藤暉、佐藤考太郎、柴山晃廣、鈴木良子、福吉大雅、日向子、松岡真吾、るり(以上、アクターズ・コース 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018)
浅田麻衣、釜口恵太、那須愛美、四柳智惟(以上、俳優養成講座修了生)

〈スタッフ〉
舞台美術アドバイザー:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団
宣伝美術:北野亜弓(calamar)
演出助手:菊池佳南(青年団/うさぎストライプ)、釜口恵太、四柳智惟
修了公演監修:兵藤公美 制作:浅田麻衣、那須愛美 協力:青年団

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2019年3月6日(水)〜11日(月)

6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
8日(金) 14:00/19:30
9日(土) 14:00/19:00
10日(日) 14:00
11日(月) 14:00

※今公演は、2019年2月15日(金)〜3月11日(月)こまばアゴラ劇場にて開催されます青年団公演「平田オリザ・演劇展 vol.6」の演目ではございません。ご注意下さい。
※受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前です。
※記録撮影用カメラが入る回がございます。あらかじめご了承ください。

〈チケット〉
予約・当日共
一般:2,500円
U-26(26歳以下):1,000円
資料請求割引:2,000円(詳しくは映画美学校ホームページをご確認ください)
※26歳以下の方は、当日受付にて年齢が確認できる証明書をご提示ください。
※未就学児はご入場いただけません。
※資料請求割引:チケット購入時に映画美学校の資料を請求してくれた方に500円の割引を行います!(申し込み時に資料の送付先となる連絡先の記入が必須となります)

 <チケット取り扱い>
CoRichチケット! https://stage.corich.jp/stage/96711

<資料請求割引>
映画美学校の資料を請求いただきました方は当日2500円のところ、2000円で鑑賞いただけます!
下記よりお申込みください。お申込み後、映画美学校より随時学校案内などの資料をお送りいたします。

映画美学校アクターズ・コース2018年度公演 資料請求割引

〈会場〉
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線副都心線西武有楽町線小竹向原」駅下車
4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

〈お問い合わせ〉
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00

 

月刊 兵藤公美 with 四方智子 12月号(最終回/全3回)

「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。

俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。

第5回の12月号は「私、野菜が不足してる」という公美さんの一言から紆余曲折あって、何故か台湾料理屋さんで鍋をつつきながらの収録となりました。演劇・映画の10年先の話やら、デジタル化の影響の話やら、全然関係ない話やら……今回も毎度のごとくのフリートークです。 

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──で、話を戻しますと、フィルムだったらまた新たに作り直すのに、編集の修正も含めると、ものスゴいお金と時間が掛かるんです。だから「試写も、昔は劇場と同じはずだった」ってことですよね?

 

四方 当時はそもそも「その後で直す」っていう概念がないわけですよ。「もうフィルムに焼くよ!?」っていうところで最後の調整は終わっているはずなんです。

 

兵藤 それがいまは?

 

四方 いまはデジタルだから……

 

兵藤 ああ! そういうことか!

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月刊 兵藤公美 with 四方智子 12月号(第2回/全3回)

「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。

俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。

第5回の12月号は「私、野菜が不足してる」という公美さんの一言から紆余曲折あって、何故か台湾料理屋さんで鍋をつつきながらの収録となりました。演劇・映画の10年先の話やら、デジタル化の影響の話やら、全然関係ない話やら……今回も毎度のごとくのフリートークです。 

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 ──好き嫌いとかありますか?

 

兵藤 う〜〜〜〜ん、ほとんどないけど、いまちょっと揚げ物は食べれないかな。当たったばっかだから。

 

四方 (笑)

 

兵藤 でも、だんだん揚げ物食べれなくなってきた。

 

四方 そういえば私、牡蠣を食べたんですよ、誕生日の次の日に60個くらい。

 

──60個!?

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月刊 兵藤公美 with 四方智子 12月号(第1回/全3回)

「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。

俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。

第5回の12月号は「私、野菜が不足してる」という公美さんの一言から紆余曲折あって、何故か台湾料理屋さんで鍋をつつきながらの収録となりました。演劇・映画の10年先の話やら、デジタル化の影響の話やら、全然関係ない話やら……今回も毎度のごとくのフリートークです。 

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【プロフィール】

兵藤公美:俳優/青年団所属。映画美学校アクターズ・コース講師。

横浜市出身。桐朋学園大学芸術科演劇専攻、専攻科卒。京都造形芸術大学洗足学園音楽大学講師。96年、平田オリザ主宰劇団青年団入団、現在在籍。青年団に出演の他、多数の 劇団に客演参加し、近年は映像作品の他、自身でも公演の企画制作をてがけ意欲的に活動中。映画出演作として『あおげば尊し』『このすばらしきせかい』『東京人間喜劇』『歓待』『SHARING』『ふきげんな過去』などがある。

四方智子:映画美学校事務局員。フィクション・コース第2期修了生。

 

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(注文を終え……)

兵藤公美(以下兵藤) 子音を繋げると伝わりやすいんだって。「フーターリーマーエー(二人前)」みたいな感じで言ってあげると伝わりやすいんだよ、台湾とかアジア圏の人には。

 

四方智子(以下四方) 「(真似して)フーターリーマーエー」

 

兵藤 そういう風にすればスゴく伝わりやすいって私の女優仲間が言っていて。彼女はいつもそうやって喋るって言っていたから、私もそうしようと思って。

 

四方 ……で、疲れてますか?

※『ソウル市民』『ソウル市民1919』の東京公演中で、この日も2ステージをこなしてからの収録だった。

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月刊 兵藤公美 with 四方智子 8月号(最終回/全3回)

「ラジオのようなブログ記事」──それが『月刊 兵藤公美 with 四方智子』。

俳優・兵藤公美(映画美学校アクターズ・コース講師)が、映画美学校事務局の四方智子と共にお話する企画です。

第4回の8月号は、公美さんが「歯の治療直後」でお酒NGということもあったので、デザートを食べられるデニーズでの収録となりました。「もっと真面目な話をして、どうぞ」というお声を頂いたということで、今回は『日本文学盛衰史』の振り返りから、「演技について」「上手い演技とは?」という真面目なテーマを、長い枕の後にしっかりお送り致します(収録日:7/23)。

※いきなり超真面目な話になったり、わけの分からない近況報告になったり、話があっちゃこっちゃ飛びまくりますが、あえてまとめず・なるべくカットせず、むしろそれを押し出しています。「ラジオ感覚」でお付き合い下さい。

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兵藤公美(以下兵藤) じゃあ四方さんとシンちゃんが、この人の演技は好きだっていうのはないの?

 

四方智子(以下四方) 私、いまもう根本として分からないんですよ、それが。「上手い演技って何?」みたいな。好きな演技・嫌いな演技はあるかもしれないけど。

 

兵藤 じゃあ例えば好きな演技は?

 

四方 ………………(長考)。 

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