映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2021、9/1(水)開講決定!

「脚本分析 〜シーンを分割する〜」那須愛美さんインタビュー

今回は「実技ゼミ」のうち、近藤強さんが講師を務める「脚本分析 〜シーンを分割する〜」ゼミについて、実際に講義を受けているアクターズ・コース7期修了生の那須愛美さんにお話をお伺いしました。

「脚本分析 〜シーンを分割する〜」(近藤さんのゼミ説明より)

脚本を読み込む過程で、各シーンを一定のルールに沿って分割し、俳優が役として行動可能なユニット(単位)にシーンを落とし込むという考え方があります。俳優はこのユニットをベースにして演技プランを考えることも可能です。この講義では、まずシーン分割の方法を紹介、実際にシーンを分割し、毎回の講義ではグループディスカッションします。今回は、1 冊の台本を全編通して分析します。
また、演技プラン作成の参考としてマイズナーテクニックに基づく演技本「俳優のためのハンドブック」を併読します。台本は現代劇を予定。日頃、現場ではじっくりと脚本分析/テーブルワークをする機会が少ないことが多々あるので、時間をかけて話すことで、脚本分析の技術習得を目指し、1つのシーンの持つ様々な可能性を探ります。  

 

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——近藤さんの「脚本分析ゼミ」についてまず教えてもらえますか?

那須 『俳優のためのハンドブック』に沿って、それを全編ちゃんとゆっくり読みながらやろう、みたいな感じで。で、それを踏まえて(平田)オリザさんの『隣にいても一人』を分析してみようっていうゼミです、ざっくりいうと。『ハンドブック』は最初アメリカで出版されてて、それを翻訳して出版されてるんですけど、途中途中、近藤さんがアメリカ特有のニュアンスを和訳しなおして。

——英語の原本から和訳したんですか?

那須 そう、全部でもないけど結構なページを近藤さんが和訳して、それでとりあえず一冊読みきって。で、『隣にいても一人』の方は、本当は最初「全編分析しよう」みたいな感じだったんですけど、だいぶゆっくりなペースだったから進まず。一場はとりあえず分析までして、でもやっぱり分析しただけだとそれが合ってるのか分からないよね、実際やってみたい、みたいな声がありまして。そういうことで、一場の部分を軽く覚えて読んで、っていうのをやってます。今。

——ハンドブックって確か、ビートで刻んで、動詞をあてはめて、ってやつでしたっけ。

那須 そうですそうです。ビートがあって、そこで人物は何をしていたのかっていうのと、あと必要なアクション。例えば、何かを「説明する」とか「説得する」みたいな。まあ「説明する」は人物が言ってることで、その裏っていうか、そこにずっと流れている動詞みたいなのが相手を「説得する」とか。目的みたいなことかな。

——ビートって塊にはどう分けるんだったっけ‥‥?

那須 塊は、新しい情報が出てきたり、人物が出てきたりするところ。大体そこで切ることが多いけど、でもそこで切ったら自分の中でうまくいかない、みたいな人はもうちょっと細かく割ってもいいよ、みたいな感じになってます、今。講義では。

——本来は違う?

那須 本来は新しい情報が出た時が、ビートの切り替わりっていうふうに本には書いてあります。でもそれだと『隣にいても一人』だとすごく長くなっちゃうから、それだと難しいってなったら、もうちょっと細かく割ったりしてます。

——その脚本の「大目的」の考え方とは一緒でしたっけ?なんか混同してるかも、色々。

那須 あ、大目的が「不可欠なアクション」みたいな。なんか1ビート1アクション、みたいな感じで。そのビートに一つの必要不可欠なアクションがあって、そのツールがいっぱいある感じ。例えば「説得する」っていう不可欠なアクションがあった時に、「今の事情を聞く」とか、「怒る」とか。「諭す」とか「宥める」とかそれがツールみたいな感じで。何が当てはまるかな、みたいな分析をしてます。今。 f:id:eigabigakkou:20210119214129j:plain「脚本分析ゼミ」講義中メモ

——近藤さん自身はそれを役者の時にやってるってことなのかしら?それとも、「このゼミでやってみよう」っていうふうに提案してこのゼミを開催したのかしら。

那須 多分あの本を取り上げたのは、アメリカだとこれが誰でもほとんど知らない人がいないくらいの方法だから。でも、近藤さん自身は結構台本がくるのが遅い座組みによくいるから、そこまで出来ないけど、って言ってました。『俳優のためのハンドブック』に書かれてる方法っていうのは絶対ではなくて、何か困った時に役に立つみたいな方法だから勉強してみようね、みたいな感じです(笑)。ふわっと言うと。

——確か、アクターズ・コースの現役の受講生の時も「動詞」のプリントを渡されてやったよね。全然できなかった思い出しかないけど。

那須 そうなんです。「動詞にしろ」って結構難しかったなっていうのは思ってて。今回講義を受けて思ったけど、なんか、何もないところからぱっと動詞の表を渡されて、「何をしてるか動詞にしよう」って結構難しくて。手順があるんですよね。本の中だと、まずステップ1で「主人公はそもそも何をしてるか書き出してみて、それをまとめると、つまり何をやっているのか」っていうのがあって、そこから導き出される目的っていうか、人物が本当は何をしようとしているか‥‥「不可欠なアクション」って本の中では言ってるんですけど、それを探して。で、それを演技として実行するために、どの動詞を選択するかみたいなのが、結構順を追ってあるから、ぱっと動詞にしようって言われてもわかんないっていうのはそういうことだなっていうのは、近藤さんの講義を受けて思いました。多分オリザさんの戯曲とか特にそうだけど、大きな話の流れの中にちょくちょく関係ない話が入るから、それでわかんなくなることはあるなーと思って。

——講義、みんな大変そうでした?

那須 みんな苦戦してます。動詞を選ぶって作業も、シビアっていうか。しっくりくる動詞を選ぶのがものすごい難しくて。なんだろう、基本的にはその人が納得できる形になればいいんですけど。例えば、『隣にいても一人』だと、男女がいて、急に朝夫婦になっちゃった、みたいな話なんですけど。その主人公の男と女の、男の方のお兄ちゃんと、女の方のお姉ちゃんが元夫婦で、ある日突然、弟、妹が夫婦だって言い張るみたいな、カフカみたいな話なんですけど。それを兄とか姉に説得するみたいな。「説明する」「納得させる」みたいなことが例えば一場だと、兄に「理解してもらう」とか「誤解をとく」とかが不可欠なアクションになるんですよ。‥‥その不可欠なアクション選ぶのにも、ただ「説明する」だと、それだと弱い、みたいな。「納得させる」とかまでいくとちょっと踏み込んだ動詞じゃないですか。そういう強さとかがシビアだし、そもそもその不可欠なアクションを選ぶのに9つルールがあるんですよ。相手を巻き込んだ動詞にすることとか、一行のセリフでぱっと言って終われるような動詞にしないとか、それを全て満たすようなアクションを選ぶのがすごく難しいっていう。

——分析は基本課題でやってきたんですか?それとも講義内で?

那須 課題ですね。課題をやって「どういう分析しましたか?」みたいな感じで。「それだとこうだねー」みたいなことを近藤さんがフィードバックして、みたいな感じですね。もうちょっと自分に近いほうがいいかな、とかそういうアドバイスをしてもらって。

——正解がある感じでもないよね。

那須 正解はない。ないんですけど、自分の中でいかに具体的に実行に、行動に移せるか、みたいなのが。自分の中でしっくりくるかみたいなのが一番大事、みたいな。

——講義が全部で8回あったんでしたっけ。

那須 8回。でも最初の2回か3回はずっとハンドブックをひたすら読むっていう。そこから分析に進みつつ。でも最初は、分析の仕方も「これで合ってるのかな?」みたいなっていうのもあったし、そもそもそのハンドブックのルールをあんまり理解しきれてないっていう部分が多かったから、結局その一場の分析も(講義)3回分くらい使って(笑)。だから全部は分析できてないんですよ。講義の中では。

f:id:eigabigakkou:20171211232536j:plainフィクション・コース第21期初等科&俳優養成講座2017 ミニコラボ実習作品『アウグスト・ストリンドベリ全集 生霊人間』(高橋洋監督)オフショット

——分析して読んだらどれくらい意識として変わるんだろう。

那須 オリザさんの戯曲って多分そうだけど、普通に読んでも読めちゃうじゃないですか。普通に喋れちゃうのを、もうちょっと明らかな目的を持って喋る、みたいなことができるから、分析すると。だから、ちょっと丸腰で相手とのやり取りだけでやるっていうよりは、武器を持った感じ?こいつを説得しなきゃ、みたいな武器を携えてやりとりができるみたいな感じなんですかね。

——武器を増やすっていう感覚、いいですよね。

那須 丸腰だとこう、向こうからきたときに自分の中の手札がありすぎて、次どうしようってなって結局無難なものを選んでしまうのを、もうちょっと絞り込めるっていうか。「いや、でも自分の目的はこいつを説得することだ!」って思ったら、「説得する」の中に、押す、引く、とか。ちょっと落ち込んでみる、とか。カードが絞られるから。じゃあ次これで、とか。出す手を絞れるから「もうわかんない!」ってならないのはあるかもしれないですね。

——このゼミはすごい「武器を見つけようぜ」って感じのゼミだよね。他のゼミは「一緒に考えようね」とか「こういう見方もあるよね」とか。このゼミはちょっと異色だよな、と思って要綱見てました。

那須 そうですね。俳優の技術的なことの訓練みたいな感じかなっていう感じですね。でもどうなんだろう?俳優レッスン受けてないからわからないけど。竹内さんのゼミ(「断片映画創作ゼミ」)とかは、とにかく作ってみよう、みたいな。俳優が作ることを考えて。古澤さんのゼミ(「映画の生成過程を観察・体験する」)はもっと大きい、「映画を作ることと俳優との関わり方」みたいなことだったから。

——この講義で学んだことは今後創作で使えそうですか?

那須 受けてよかったなって思うのは、自分の中で語彙が少ないっていうか、なんだろう‥‥「怒る」「泣く」「笑う」くらいしか引き出しがないみたいな感覚だった部分、なんとなく漠然と「引き出し少ない」って思ってた部分が、「いや、でもその原因はここだよね?」みたいなふうに考えられるようになったのはすごいよかったなと思って。ステップ1、2、3みたいなのが分析の中であるけど、今できないって思ってる部分って、ステップ2のここをもう一歩踏み込んだ動詞に変えればうまくいくんじゃないか、みたいなふうに考えられるようになったのは良かったなって思います。でもまだ全然引き出し少ないんだけど(笑)。

f:id:eigabigakkou:20210123115648p:plain高校演劇部時代の写真

——演劇は、高校演劇からでしたっけ。

那須 はい。でも色々な勉強をしてきて思うのは、高校演劇は高校生とか、演技が初めての人がやりやすいための指導だったなって思う。いや、自分の顧問の先生しか知らないからあれだけど。

——顧問が指導してたんですね。

那須 うん、してました。「”言い方”にならないように」とか、「意識を分散する」とか、そういうことを言ってて。「意識を分散する」とかは確かにそうだなって思うんですけど、「言い方にならない」っていうのは、なんか、コンテンポラリーのものを見たりしていると、一概にそういうふうに言えないなっていうのは最近すごい思う。うちは顧問が脚本を書いてたんですけど、顧問の先生の脚本の中でやるための方法っていうのを教えてもらってたんだな、って思う。だから脚本によってやっぱり、どの方法が合うとか合わないとかすごいあるなーっていうのはめちゃくちゃ最近思うことです。

——私も高校演劇からだったんですけど、高校時代は顧問に勧められて鈴木メソッドをやってて、そのせいか結構大きめの芝居になってたんですけど。大学以降は色んなメソッド、今思うとスタニスラフスキーとか篠崎光正さんとかなんだなって思うんですけど。そういうのが本当にぐちゃぐちゃになってて。それを整理したくて高等科受講したっていうのもありますね。

那須 わかります。そう、高校の時は顧問が結構青年団の芝居を好きだったのかな。わかんないけど、オリザさんの本とか結構読んでたから、相手の話を聞けとすごい言われてきたから。それを元にしてフィーリングでなんとかできてたんですけど。オリザさんの戯曲とか会話劇だったらそれでいけるけど、そうじゃない時、特に映像を始めてからすごい思うんですけど、幽霊役とかすごいぶっ飛んだのとかが多いから、そういうリアリティーラインから外れた芝居をする時に、どうやったらいいのかわかんない、みたいな。アクターズ・コース入る前はフィーリングでやってたんだなって。

——うん、アクターズ・コース入ってからわかんなくなった。確かにそれまではフィーリングで、何故かできた気でいたんだよね。今思うと全然できてないんですけど。

那須 そうなんだよな。近藤さんのゼミで使ってた『俳優のためのハンドブック』の中に、「自分がやるべきことを粛々とやればいい」みたいな。ちょっと論理が飛躍してますけど。本の中では、「自分の中にやりかたがあったらそれでいい」みたいな。他の人が違うやり方をしてても、演出家から「もっと声を大きく」みたいなざっくりしたディレクションがきたとしても、別に自分のやり方を現場に布教しにいくわけじゃないから、自分のやることを粛々とやればいい、みたいなことを書いてあって。現場ごとに違うかもしれないけど、自分がその場で信じれるものみたいなのをいくつか持っておいて、これでもない、あれでもないって試すために演技論とか勉強してるんだなって高等科に入って思った。いろんな人の話があって、納得できない話もすごいあるけど、でもこれもしかしたら今は納得できないかもしれないけど、違うところ行った時に持ち込めるかもしれないな、っていう。
 そういう意味で、本を批判的に読まないってそういうことなのかなって。山内さんの講義(「演技論演技術」)でもいいましたけど、私、全然批判的に読めないんですよね。ふむふむってなっちゃう。それがどこかで使えるかもしれないって思う。今は武器を増やす作業をしてるのかってめっちゃ思います。「演技論演技術」の講義を受けて思うのは、みんなちゃんと言語化して「何々メソッド」みたいにしてるのはすごいなって思う。篠崎(光正)さんのとか本当に思ったけど、自分が生きてる間に自分の名前のつけて、何々メソッドみたいにして、それを言語化する作業ってすごいなって。普通に感心してしまう(笑)。

——高校演劇で、その後すぐにアクターズ・コースに入ったんでしたっけ?

那須 大学2年の時でしたね。高校演劇の時、高校演劇サミットっていうのを(こまば)アゴラ(劇場)でやってて、それに出て。その照明が井坂(浩)さんだったんですけど。(修了公演が)玉田(真也)さんだったから、募集の何かを井坂さんがリツイートしてて、「井坂さんいるんだったら」と思って(笑)。

——井坂さんへの信頼度がすごい。

那須 そうなんですよね。高校時代の経験って結構強いなって自分でも思うんですけど。なんかすごい、「東京のすごい照明の人」っていう。「高校生によくしてくれる大人の人」っていうイメージがあって(笑)。

——玉田さんの修了公演どうでした?

那須 すごい面白かったですね。「演出家って‥‥?」ってなりました。こういう演出の人も東京にはいるのかって思った感じでした。

——高校の時は、うちは顧問が絶対君主みたいな感じだったから、その後演劇続けてたけどなんか変な感じがしましたね。高校演技ってすごい特殊な世界だったんだなと。

那須 うちも絶対君主とまではいかなくても、でもやっぱり、絶対に正しいとは思ってた。

——じゃあ大学入ってアクターズ・コース入って、他にワークショップとかも全然行ってなかったのか。

那須 そうですね、大学1年生の時はほとんどやってなくて。2年になってからまた始めた感じだから。

——演劇サークルも入ってないんだ。

那須 一年生の時に、見学に行って、あまりにつまらないと思って、これはもう自分でやろう、と思って入らなかったんですよ。高校の時にやってた演劇と違いすぎて、あまりその当時は受け入れられなかったっていうのはあります。「これのどこが面白いんだろう」って思ってた、当時は。まだ視野が狭いんで(笑)。今はもうちょっと広いけど。

——講師陣はオリザさんとの付き合いも長いからっていうのもあるんだろうけど、オリザさんの芝居の中でもすごい自由にやってていいなって思う。

那須 私の場合、オリザさんの本を読んでて普通にできちゃうっていうのがあって。もうちょっといっぱい動詞とか持ってたら遊べるようになるのかなって思うのはあるんですけど。

f:id:eigabigakkou:20190211114537j:plain女の子には内緒『うたたね姫 リミックス』舞台写真

——最近すごい舞台出てますよね。そんな印象を受ける。

那須 「舞台やりたい」みたいな時期があってその時にオーディションに応募しまくったっていう感じですね。それで立て続けに出てたけど。出てたけど‥‥今はちょっと落ち着いてしまって。映像もやりたいけど、なんか、古澤さんの講義を受けて、結構映像も大変だなって思ってしまったのはある。楽しいんですけど。

——竹内さんのゼミも受けてましたよね。ああいう断片的な要素でも映像作れるんだ、楽しい!みたいにはならなかった?

那須 いや、作ることに対しては、楽しいってなったんですけど。古澤ゼミで、古澤さんが悪いとかじゃなくて、映像に俳優として参加するのって結構大変だなっていうふうになったのもある。映画ができるまでの過程とか古澤さんの考えや思いを聞いて、今までの自分の関わり方は浅すぎたな、これからどう関わったらいいんだろう…と。あとなんだろうな‥‥映像に出始めたのもフィクション・コースとの関わりの中でっていう感じだったから。あまり今フィクションの人との関わりがないから、そもそもそんなに現場に行ってないというのはあります。ちょっとフィクション・コースの人と希薄になっちゃってる感じがする。

——でも、確か前自分で書いて演出して、舞台やってませんでした?

那須 作るのは、結構大変です、うん。あんまり向いてない。演出はめっちゃ好きなんだけど。高校の時も演出やってたから、学園祭とか既成の脚本やるときは演出してたからすごい楽しいし好きなんですけど。

——書く方は?

那須 書く方はからきし(笑)。私が書くものはあんまり面白くないから、やめた方がいいな。自分の欲望のために人を使うのが申し訳ないっていう…。本当に申し訳なくなる。というか、最近何が面白いのかもだんだんわからなくなってしまってる。いろんな作品に触れれば触れるほどわからなく、っていう。

——こういうの出たい、とかこういうの好き、とかは?

那須 好き、とかはあります。こういうの出たいとかもあるんですけど。あれですよ、面白くないのにお客さんがついてるのはなぜかってことですよ。自分はあまり面白くないって思うけど、もしかしたらこれはどこか面白いのかもしれないって考えてしまう。分かんなくなってきちゃって。仕事を選ぶ、選ばないの話にもなってくるけど、自分があまり納得できない作品に出ることについて本当に悩むんですよね。でもここで出ないってなると、その先の仕事につながらないかもしれない、みたいな。仕事というか、出演の機会を逃したことになるんじゃないか?でも面白くないし。でも面白いってなんだ?っていう無限ループに陥るっていう。

——高等科で今学んでることを実践したいって気持ちはありますけどね。頭でっかちになっちゃってる気がして。

那須 そう、やっぱりなんか、知識を取り入れるのも大切だけど、やるしかないだろっていうのもありますね。‥‥普通に芝居したい。普通って、マスクしたりせずにってことですよ。

——席数制限せずに、マスクせずに、終わった後にお客様と話せる世界ね。

那須 一年でまさかこうなるとは思わなかった。‥‥面白い作品に、出たい。というか、自分が面白いと思えるものにちゃんと関わっておきたいっていう気持ちは今強いですね。

那須愛美(Nasu Manami)
山梨県の高校で演劇を始め、全国大会などに出場。
上京後、映像作品にも幅を広げ、現在までフリーで活動中。
今後やってみたいことは、コントとラジオ。
次回出演:KOKOO「ドップラー」(4月20日ー25日、シアター風姿花伝

  2020/12/23 インタビュー・構成:浅田麻衣