映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2023、9/1(金)開講決定!

修了生トーク(3)藤井治香さん(3期修了生)

アクターズ・コース出身の俳優をたくさん紹介したいので続けてます、の企画です。

今回は3期修了生の藤井治香さんにご登場いただきました!
劇団贅沢貧乏「ヘイセイ・アパートメント」出演、世田谷パブリックシアターで上演されたSWANNY「ゴミ、都市そして死」ではスタッフワーク、はたまた昨年の映画美学校映画祭では舞台の演出をしたり……。がんがんつくるステキ女子です、藤井さん。ということで、どうぞ〜。

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(3期生出演・鈴木卓爾監督「All Night」より。左:吉岡紗良さん、右:藤井治香さん)

 

先日、劇団贅沢貧乏の「ヘイセイ・アパートメント」にご出演されていましたね。感触はいかがでしたか? 個人的な気づきや、作品として面白いと思ったところなどをお聞かせください。

 劇団「贅沢貧乏」は初めて参加させていただいた劇団でした。この作品は、一軒家をそのまま舞台として使用した公演で、その点がインパクトがあり話題性のあった部分も大きかったかもしれないのですが、企画倒れになることなく、一軒家をうまく生かす作・演出の山田由梨さんの才能溢れる舞台でした。お客様には最初の場面以外は指定がなく自由に家の中を観ていただくスタイルで、演技自体も複数の部屋、また一階と二階で同時進行する場面も多々あったのですが、どこの部分を見ていても最終的に話が分かるように情報が小出しにされていました。その情報も、観ている部屋によって少しずつ異なるのですが、どこを観ていても話においていかれないよう工夫されており、最終的にそれとなくお客様を最終場面の部屋に誘導するような展開になっていました。

 家の利用法も然ることながら、台本自体がしっかりしており、お話としても面白いものでした。女性ばかりが居住者のアパートが舞台の、少し未来の日常(少し非日常)を描いた作品だったのですが、様々な問題を抱えつつ一緒に暮らしている女性達の日々と、その女性達の力の及ばない彼女らを取り巻く状況を捉えた作品でした。私がいただいたのは、土田という熱狂的なインディーズバンドのファンの役でした。バンドを応援しているのではなく、そのバンドの成長と自身の姿を同化させ、自身も頑張っているつもりになってしまっている女性で、そのバンドが解散したときに茫然自失となっているところを「しかし土田さんはなにもしてないでしょ?」と言われてしまいます。作品としてはそのあと救いがあるシーンが入るのですが、私は「土田は何をしていたのだろう」と長らく土田を理解できずにいました。本当に受け入れられたのは最近ふと私にもそういうところあるな、と思ったときかもしれません。この役は当て役だったのですが、演じている最中は土田を好きになれず、ただ理解しようと努めていたように思いますが、少し離れて考えると自分の中にも土田の要素は多分にあると気づきました。本番が32回あり、稽古から本番中も私が一番役がぶれてしまい、山田さんにも何度も稽古を付けてもらいました。山田さんを始め共演者の方もみなさん初めてご一緒させていただいたのですが、本当に成長させていただきました。

 

また、世田谷パブリックシアターファスビンダー作品ではスタッフでも入られていましたね。俳優以外の部門でも現場に入られているようですが、今はどのようなペースで活動しているのでしょう? また、最近気になっている人・団体、アプローチしたい場所とかありますか?

 今回お手伝いさせていただいた「SWANNY」は、2月に公演を拝見して、その際も海外戯曲だったのですが、演出の千木良悠子さんが演技もされていたので、どのようにして公演をされるのか拝見できればなと思い参加させていただきました。実際、世田谷パブリックシアターでは千木良さんは演出のみで、また私の都合で参加日数が少なく、ほとんど本番の制作スタッフ補助だったのですが、大学時代に役者の他に作・演出をしていたことがあり、作・演出もできればな、と思っているところがあったので、今回はそうして参加させていただいた感じです。しかし、元来私が怠け者というか、行き当たりばったりなもので、今後どうしていくか本当にふんわりしているのが現状です(笑)。

 最近という訳ではないのですが、私が最初に舞台作品で一番インパクトを受けた作品がNODAMAPの「オイル」という作品でしたので、野田秀樹さんの描かれる世界への憧れは常にあるかと思います。

 

美学校を経て1年。少し時間が経った今、自分に生きてるなーと感じるところはありますか?

  演じる上で「自分がいて、その自分を生かす」しかないのだな、と感じたことがあり、それは今でも感じていることだと思います。何かになろうとしていたのですが、そういうことじゃないんだな、というか。山内さんの話し言葉の授業だったと思います。何になろうとしていたのかわかりませんが(笑)。

 

俳優としてご自分の特徴やもし今の悩みがあれば。ご自分にキャッチコピーつけられるようならぜひ聞かせてください。

  とても難しいですね。悩みはたくさんありますし……。キャッチコピーも難しい(笑)。

 

では最後に今後の野望を一言で!

 作・演出・出演がしたい。自分が納得できる作品を作りたいです。

 

藤井さん、ありがとうございました!

髪切ってからぐっとステキ度あがったんだよなあ、藤井さん……(ごめんなさいただの趣味、つかおっさんですな)。藤井さんは他のコースの映像作品への出演や、自分でつくりたい!と同期を演出して舞台をつくったり、とてもアクティブです。展開の早さというか、この貪欲さがクールビューティとのギャップでまたいいんです。野田さん好きというのは別のところでも聞いたことがありましたが、今後どんな作品つくられるんでしょうか。
ますますのご活躍、楽しみにしてます!

 

 (広報アシスタント・中川ゆかり)