修了公演『革命日記』公演終了後座談会(第2回 / 全5回)
大盛況のうちに幕を閉じた映画美学校アクターズ・コース 2018年度公演『革命日記』。
その出演者、そしてアクターズ・コース講師による座談会が2グループに分かれて開催されました。今回は前半グループの座談会の様子をお届けします。
[座談会参加者]
青柳美希、奥田智美、佐藤考太郎、柴山晃廣、鈴木良子(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2018受講生)
釜口恵太(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座修了生)
兵藤公美、山内健司(以上 アクターズ・コース講師)
(収録日2019/03/17)
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(前回の続き→キャスト陣に俳優としてどんな準備をしてきたか。)
柴山 佐藤さんは?
佐藤 自分は何をやってるのかわかんなくて。ただほとんど終わり際に気づいたことがあって、正解じゃないかもしれないけど。自分は父親の役を与えられててんだろうなって。
兵藤 いやぁ、英夫のシーン初めてあんなにエモーショナルなの観たわ。
全員 へぇー!
兵藤 (佐藤さんを見て)にやっとしてる。(笑)
全員 (笑)
佐藤 知り合いが驚いていました。僕がそういうのやらないから。はじめみんな篠田をやったのは英夫だって思われてたみたいで。
柴山 そんな風に見えるんだ。(笑)
兵藤 最初入って来た時すごい目つきではいってくるから、やべーやつ入ってきたって思ったもん。
全員 (笑)
兵藤 えっなになにこのステージどこ!?って最後持ってかれて。
佐藤 やぎちゃん(青柳美希さん)とか那須さんとかが共演者だったから存在が大きかったんですけど、1番大きかったのは俊介で。めちゃくちゃ苦しかったですね。すごく辛かった。
兵藤 あれめっちゃ俊介見えたわ。やぎちゃんとか若いしさ、子供いないでしょって思ったんだけど、英夫とのシーンになってから...あれいるか?ってなって。
青柳 おぉ〜。
佐藤 完全に自分の中で俊介は1人で育ててるって設定になってて。
山内 そうだねぇ。
兵藤 あそこのシーンやばかったもん、「絶対チョコとか食べない」のシーン。
佐藤 そこは割と山内さんに言われたこととかをやろうと思ってる脳みそが働いてて。
兵藤 それがスケールを広げたんだねぇ。分んないままでやったがいいんだよね、きっと。
佐藤 山内さんが今結構ドライ。(笑)
山内 いやいや泣きそうだよ、今。衣装合わせの時LINEで2人(英夫と晴美)のツーショットを送られてきた時はこの2人で育ててるって思ったのよ。(晴美が)ジージャンと(英夫が)革ジャンでさ。
奥田 (衣装)何の打ち合わせもしてなかったんですけどね。
山内 あれはね、目に焼き付いてますね。子育てしたイメージっていうのをもっとアプローチすればよかったかもしれない、晴美に。あの時点ではガッツポーズ出てたんだけどね。
佐藤 そっか...夫婦役だったのか。(小声)
全員 (笑)
兵藤 今まで見えなかった革命が見えたよねって感じだった。例えば篠田の役とか、今ここにいないけど。
奥田 斉藤君ですね。
兵藤 今まで、篠田ってこういう人かって、キャラクターをあんまり意識して観てなかったんだけど...そっかこの人明日死ぬかもしれないんだって初めてみて思った!
全員 へぇ〜
釜口 それはどこあたりですか?
兵藤 冒頭のあたりから...青年団だとテンポがはやくてちょっと置いてかれる作りになっていて、何が起きてるのか分からないまま始まって、あの議論が2回、3回って繰り返すから段々問題を理解するんだけど。今回は冒頭で「あ、こういうことでもめてんだ。」って何が起きてるのかが分かってからの典子に「そういう言い方はやめてほしいなぁ。」って理不尽に怒られるじゃん、明日死ぬのに!(笑)
全員 (笑)
兵藤 その後の説明のシーンでおもむろに立ち上がってさ、どん!ってやるじゃん。
釜口 2回床を蹴るやつですね。
兵藤 それで「あ、この人死ぬかも。」ってわかったの。
青柳 へぇー。
兵藤 で、その前提で急に見始めるのね。そしたら全員が同じ強度で見えてきて。革命ってやっぱり叫んでる人のが目立つじゃん。だけど説明してるこの2人(篠田と桜井)...明日死ぬ可能性が高いことと絶対捕まることを知っててやってるってわかった時にその2人の見方が全然変わってくるというか。その上で島崎にさされたかぁ〜ってなって、そっか明日の決行なくなったからって考えたりして、強度が出た感じがして。
釜口 すごい。
兵藤 今まで知らなかった情報がはいってきたなって思った。まぁあくまで比較するとなんだけど。あの一手はすごい効いてる表現だと思った。あれって斉藤君が勝手にやったことなのか、演出なの?
青柳 あれは...演出でしたよね?
釜口 はい。
山内 あれ考太郎くんがやってたやつ。
青柳 稽古前とかに。
釜口 多分兵藤さんの授業の時もやってた気が...。
全員 (笑)
兵藤 浅田さんがさスンって立ってさ、やぎちゃんがあぁん!?ってなるところあるじゃん?
青柳 立花と言い争って典子が戻ってきたところ!
奥田 千葉と典子の対面。
兵藤 そう!あれ、急に海外ドラマみたいになってさ、あれやりて〜!ってなった。(笑)
全員 (笑)
青柳 あそこめっちゃ楽しいです。(笑)
兵藤 そこの共演者の演技も「どうぞ2人の演技をご覧ください。」って感じで。え、何の時間!?みたいな。
全員 (笑)
山内 いやぁ、あれは浅田さんだな。
兵藤 そうだね〜
青柳 たしかに、浅田さんに乗せられた感じします。(笑)
佐藤 裏で控えてるから見れないんだよなぁ...。
奥田 あ、そっか。次出番だもんね、めっちゃ面白いのに。
山内 考太郎君の作品いい加減に見せてよ。
(佐藤さんは映画監督としても活躍されています)
佐藤 ...嫌ですよ。
全員 (笑)
山内 まぁこの間の革命日記の予告が最新作だよね。
(予告編は最後にリンクが貼ってありますのでご覧ください。)
柴山 あれ良かったですよね。佐藤節でてますよね。
佐藤 ...福吉君。
山内 あれは結構びびったけどね、かーんって世界観が出てきて。でも大丈夫と思ってたけどね、リンクするとは思ってたし。
佐藤 でも自分たちの1番やりたいことをやれて良かったって福吉君と話してて...福吉君と超やりやすかったですね、ただ2カットしか撮ってないですけど。
奥田 あの〜そろそろ時間が...
柴山 そうですね。そろそろ時間が迫ってきたので...
では最後に兵藤さんと山内さん一言ずつ...(進行台本をみて)あっアクターズ生からだ。ではその後にってことでお願いします。...じゃあこっちから。
青柳 あ、私(笑)?今日なに話そうって考えてたんですけど1週間じゃ整理つかなくて。あの時間って本当に何だったんだろうって思ったり。今普通に働いてるんですけどまだ熱が冷めきらなくて。働きながらシーンのことを考えたりしちゃって「あぁもう!終わった終わった!!」って。今すごいやりたいって気持ちがあふれてて、昨日もワークショップに行ったりしました。もうとにかく行動したいっていう気持ちがすごく溢れてます。すごく楽しい...けどもっともっともっとやりて〜ってなってます。上手く言えないけどそんな感じです。(笑)
釜口 僕は初めて演出助手をやって、稽古場とか小屋入りしてから環境に気を遣うって山内さんが言ってて。時計を掛けるとか、毛布で隙間風を防ぐとか。ケータリングとか、小道具をどこにしまおうとか。考えてるうちに自分の部屋も「あ、こうやったら住みやすくなる!」ってそういう脳みそになってきて...最近引っ越したばかりで僕。部屋を整理しながらやってるんですけど、100均で出来る収納とか超楽しいです。全然演技とか関係ないんですけど。
全員 (笑)
奥田 初めての舞台で人と同じ目線で立ったあの時の情景は忘れられないなぁっていうのがあって。終わった後にまた何年後にこのメンバーでやれないのかなぁって考えたりしました。...楽しかったです。本当に楽しかったです。この気持ちを忘れずにとりあえず今は生活を立て直しつつ冷静な自分とお芝居やりたい熱い気持ちの自分と2人いる状態でふわふわしてます。上手く言えないんですけど、とにかく楽しかったです。
佐藤 舞台の終わりでもあるんですけど学校の終わりでもあって。今は学校に入る前の自分に戻ってきてるなってもともと強烈的に内向的な自分に。それが結構今恐怖で...。学校いる間にお芝居やめるつもりだったのに...やりたりない、全然足りない、物足りないです。
鈴木 私はすごく楽しかったです。『革命日記』だけじゃなくてこの機会を与えてもらったことにすごく感謝をしています。自分の人生の中でこういう時間を過ごせるとは思ってなくて、普通の日常生活の中で生きてはいるけど何のために生きているんだろうって。色々と動いたときにたまたま出会えて...くさいんですけど今まで見たことのない景色を見れたし、すごく尊敬できる仲間にも出会えたし感謝です。今さっき考太郎くんが言ってたとおりこれから先やり足りないって思うんですけど、やれる場所はどこなんだろうってすごく困ってるので個別に相談に乗ってほしいです。(笑)以上です。
柴山 『革命日記』もう一回やりたいなっていうのはあるけど、それは仮にできるとはしてもしばらく先だし、多分できないだろうしっていうのはあるんですけど。例えば準備しとけば良かったなぁとか本番でこうだったなぁっていうのを次でするしかないのかなって思いますね。僕はうまくいかなかったことをうまくいくようにしたいっていうのはあるんですけど、それはもちろん理解できるけどもそういうフラストレーションをもって次に、次にっていくしかないのかなって思いましたね。...まぁ次何があるか分かんないけど(笑)あとは学校は終わるって佐藤さんも言ってましたけど、あぁ終わったんだぁっていう感じです。何か機会があったらちょくちょく映画美学校にくることはあるんでしょうけど、佐藤さん寂しくて僕のバイト先にきましたからね。(笑)
全員 えぇー(笑)
〜ここからはしばらくの間柴ちゃん(柴山さん)のバイト先のお話〜
柴山 ふらっとみんなで会えればいいですよね。学校が終わったから会わないとかじゃなく、そういう風にバイト先に来てくれるだけでいいし。お茶いこうとか、酒飲もうとかでいいし。その流れでこういうワークショップやらない?ってなったらいいし、映像でも舞台でもこういうのつくろうとかなったらいいなと思いますね。はい。
佐藤 待ってます。
全員 (笑)
柴山 最後に兵藤さんと山内さんからお願いします。
兵藤 皆さんの俳優誕生に立ち会ったっていう感じでした、修了公演は。デビューおめでとうございますっていう...そう焦らず俳優って長く続けていけるから、もうわかってると思うけどこういうことが俳優なんだとか、こうあるべきだとか、こうじゃないと俳優じゃないとかそういう固定概念は持ってないと思うんだけど。柴山くんが言ってた次みたいな感じで続けてってもらえたらなって思います。もう鈴やんがね、しまっちゃってしまっちゃって。
鈴木 しまる?
兵藤 なんだろ...輪郭がね物凄くはっきりしちゃってね。
釜口 引き締まる。
鈴木 あ、close のしまるかと思いました。(笑)
全員 (笑)
兵藤 入学と1番違う。役者になっちゃったなって...みんなそうなんだけど。それにまた立ち会えたな今年もって。嬉しいっすただただ。いずれみんなとやることがあるかもしれないし、修了生もどんどん出てきてて思いがけないところで再会して一緒に仕事したりするから...そんな日がくることを楽しみに、そしてこの仲間を大事に続けてってもらえたらなと思います。おめでとうございます。
山内 上々の首尾といいますか。終わっちゃう終わっちゃうって言ってますけど始まったことを喜んだが良いと思うんですけど...(笑)
全員 (笑)
山内 まぁキックオフにしたいっていうのが1番の目標だったんで、みんながもっとお芝居したいと思ってくれて良かったなってのがまず、上々の首尾だったと思いますね。あと作品自体としては終わってずっと考えてるんだよね、やぎちゃんも言ってたけどふっと「あああ、あそここうすればよかった。」ってずっと思ってて、、、演出やって自分という人間もまた少し見れた感じがするし、自分が人生の中でもっと演劇を楽しめるなって思えて嬉しいなとか。あとこういう学校的な場所って、いる時に良い演技をみせた人が将来どうなるのか昔は分かんなかったんですけど、大学ですけど、昔は成績をつけられなかったんですよ。どうやって成績つけたらいいか分からなくて。で、たくさん見てきて、こういう人がその後活躍するんだっていうのがわかってきて。それは、あっちこっちに顔を出す人が強いんだなって。八方美人ってことじゃなくて、みずみずしい好奇心と意欲であっちこっちに顔を出す人は確実に演劇を楽しんでいくっていう。...だから皆さんも好きなものを見つければ良いと思います。例えば憧れの現場とかに入っていくのもいいし、好きな作品を撮ってる監督に一言好きですって言うだけでも良いと思うし、出してくれとかじゃなくて。で『革命日記』...ずっと考えていますけどね、上々の首尾ではあったけど。もっとすごいものを作れたはずだったんじゃないかって思うし。でもそれは後付けだよな、最初から狙わないとできないもんだよって...ずっとぐるぐるしてます。えーっと始まっておめでとうございますっていうことをここにいる皆さん全員にお伝えしたいなって思ってます。はい、以上です。
柴山 ありがとうございます。以上で革命日記公演終了後座談会を終了します。次回は3月22日別メンバーで行います。
山内 わ〜これ2回やるのか〜(笑)
全員 (笑)
ありがとうございました〜(拍手)
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話題に上った、この公演の予告編ですが、とても面白いので是非見てください!
次回は、3月31日18時更新予定です。
(構成・奥田智美)