【講師リレーコラム】オススメ作品|近藤強
映画編
「Hole-洞」ツァイ・ミンリャン監督(1998)
一番好きな映画は?と聞かれると、この映画を挙げる事が多い。
2000年まで残りわずか、雨が降り続き奇病が蔓延する台湾。団地の上と下の階に住む男女。上の階に住む男の床に水漏れ修理のために穴があき、下の部屋が丸見えになり下の階の女性と知り合い、そして……...。全編を通して、時々、台湾の古い歌謡曲に合わせて口パクで歌うミュージカルシーンが挿入される。
人に勧める時に説明がうまく出来ずにとにかく観てという事が多い。こういうのを映画的というのだろうか。
こちらは10代の頃に大好きだった映画。大人になって見直してもやはり良かった。大好きだった富田靖子主演。
言わずと知れた名作。菊千代に泣かされ、久蔵に惚れました。大学生の時に初めて映画館でちゃんと観て、今でも時々借りてみたくなる一本。とにかく良く出来た話だし、映像がすばらしい。
舞台編
「お茶と同情」 作/演出 手塚とおる (1993)
物語は全く覚えてない。ただ、この作品を観て、俳優の勉強をしてみようと決めたのは覚えている。いわゆる静かな演劇、家族の何気ない日常、その中に存在する人から見たら小さいけれど、本人にしてみると大きなドラマ。映画じゃなくて演劇で出来る事は何だろうと考えていた頃にがつんと来た作品。
サイモン・マクバーニー (演出家)
彼の作る作品は何でもいいから是非観て欲しい。シンプルな物語を独創的かつ演劇的な手法で作品に作り上げていく。 自分が死ぬまでに一度でいいから仕事をしたい演出家のダントツNO.1。物語を観客に伝える事に絶対に妥協しない姿勢にはただただ脱帽。
(近藤 強)