映画美学校アクターズ・コース ブログ

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映画美学校アクターズ・コースの公式ブログです。アクターズ・コース俳優養成講座2021、9/1(水)開講決定!

「演技論演技術」/言葉を仕分ける、根拠を探す

 

演技論、演技術の書籍・テキストをひたすら読むゼミです。毎週課題テキストを10 数ページ読みこみ、事前に簡単なレポートを提出。それを元にディスカッションをします。大学のゼミのイメージです。ゲストに若手の研究者、関係する演劇人をできるだけ招きます。現代演劇のテキストについては出演歴のある修了生を招きます。(高等科要綱から抜粋)


山内健司さんが担当する基礎ゼミ、「演技論演技術」。

先日、11月30日に第9回目の講義が終わったところである。講義回数としては全16回予定と、このゼミが回数としては高等科のゼミの中で一番多い。
ゼミの内容的に、数回積み重ねた上でレポートを書いた方が理解が深まるのではないか?と思ってここまで寝かせていたのだけれど、実は回を重ねるごとに古今東西様々な演技論・演技術が頭の中を巡り巡って頭の中がより混乱を来している気がしてならない。
というわけで、自分の頭の整理も兼ねつつ、これまでの講義を追っていくこととする。
(文:浅田麻衣 )

 


講義前の準備について

講義に際して、次に取り上げるテキストの指示部分をまず「レジュメ」に起こす受講生が1人決定しており、その者がレジュメを締め切り日までにSlackに投稿。そして、受講生それぞれも読み込んだ感想を締め切り日までに投稿する。それを各自読んだ上で、講義を迎える。


これまでに取り上げた人物は以下となる(敬称略)

1)リー・ストラスバーグ/『メソードへの道』(第1回講義/第2回講義)
2)
コンスタンチン・スタニスラフスキー/『俳優の仕事』
3)アンドレ・アントワーヌ/『現代の俳優術』
4)平田オリザ/『現代口語演劇のために』
4)杉村春子/『演技ノート』

5)田中千禾夫/『物言う術』
6)山崎努/『俳優のノート』
7)安部公房/『安部公房の劇場』


私自身は大学などの教育機関で演劇を学んでいない。高校演劇から演劇を始め、その後大学の演劇サークル参加、そして関西の劇団に入って活動という経歴。現場を渡り歩いて「この本参考になるよ」ということを漏れ聞いたら「じゃあその本読もうー」というノリで読んできたのだが、それはあくまで「その当時の座組みで必要だから」読むという意識だったのだと今になって思う。だから色々な演技論、演技術が頭の中で整理されることなく沈殿していた。
山内さんが先日のインタビューでおっしゃっていたのだが、「演技についての言葉が、日本では混ざっている」ということ。これは講義の最初ではわかっていなかったけれど、ようやくそれが実感としてわかるようになってきた(これについては後述する)

 

レジュメ/講義の進行について

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レジュメは各回違う人が担当するのだが、個性が滲み出ていて面白い。
それぞれのレジュメを見て常に思うのが(人によってやり方は異なると思うけれど)「?」と思ったところをそのままにしない。例えば、著者の生きた時代背景を調べるだとか、当時同じく活動していた演劇人を紐解いてみるだとか、様々なアプローチを行ってみる。それが「素敵だな」と思うのは、無理に現代の私たちの今の言葉で「要約を」しようとせずに、引っかかったところをなぜ引っかかったのか丁寧に救い上げているところにある。

講義は、まずレジュメを担当した者の感想を聞き、その後その人自身がレジュメの説明。そこから山内さんとレジュメ担当者のディスカッションを経て、ディスカッションは全体へと移行する。


全体でのディスカッション

これは、既に書き込んだ感想を基にしても良いし、当日の流れ、レジュメを聞いて改めて考えたことを話しても良い。
この場は決して「正解」を探す場ではないので、話す言葉がまとまらずとっ散らかってしまっていていいし、ただ疑問を話してもいい。

印象的だった回が、平田オリザさんの『現代口語演劇のために』を読んだ回。そして、そこにまさしく青年団初期から参加している山内さんがいるということ。これまでが海外の演出家/俳優だったからというのもあるけれど、目の前にその演出を受けてきた俳優がいるということは妙に心がざわついた。

言葉を仕分けること、その言葉が発せられた「根拠」とは

これまで取り上げられてきた人物は、演出家だったり、俳優だったりとそもそもの出発点が違う。そして語る言葉も「演技論」「演技術」、はたまた「芸談」であったりと、きちんと紐解いてみると、あれ、違うな‥‥ということに気づく。

そして、その人物の一人語りで語られるその書体には、あまりその人自身のコンテクスト(文脈)がないことが多い。私自身の癖で「教科書のように読んでしまう」というものがあったのもあり、講義当初は「そういう考え方があるんだ、成程」とただ享受する姿勢が強かった。
だが、皆の感想を読んだり聞いたりするにつれ、その言葉が持っている重層的な部分を自然と頭の中でレイヤーで分けていったり、「?」と感じた部分、「なんだか圧力として感じてしまう重い文章だけど、なぜ自分はそう感じたんだろう」と考えるようになってきた。まだまだ私は出発点に立っただけだと思うけれど、この講義で脈々と繋がっている「演劇」という壮大なスケールなものに対して敬意を払い、それを紐解く作業が面白いなと思えてきたのはとても楽しい。
(まだ頭は混乱状態だけれど、詰め込むだけ詰め込んでおくのは良い気がしてきた)

 

蛇足(つけたしです)

今後さらに、より現代に連なっていくけれど、今度はその演出を受けた「アクターズ生」がゲストで参加するのも非常に楽しみ。個人でやると「わからん!」とただ放り投げてしまうだろうなと思った本に取り組めていることは非常に嬉しい。そして、この講義を受けると、必然的にいろいろ稽古で試したくなる(舞台やりたいですね!)

 

先日山内さんにインタビューした内容で私自身整理できた部分も多かったので、よろしければ是非読んでみてください。

eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp

 

文責:浅田麻衣