『S高原から』公演終了後座談会(第1回/全4回)
大好評のうちに幕を閉じた、映画美学校アクターズ・コース 2017年度公演『S高原から』。
その出演者、そしてアクターズ・コース講師による座談会の模様をお送り致します。
(収録:2018/3/9)
【座談会参加者】
(以上 映画・演劇を横断し活躍する俳優養成講座2017受講生)
川井檸檬、木下崇祥(以上 『S高原から』出演者)
井川耕一郎、兵藤公美、山内健司(以上 アクターズ・コース講師)
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高羽 皆さんよろしくお願い致します。(進行台本を読んで)『S高原から』公演終了後座談会です。
小林 あ、1回読むんだ(笑)。
高羽 1ヶ月間の稽古期間と、本番を通して経験した出来事を、皆さんで振り返りながら楽しくお話ししましょう。
木下 え、棒読み!?
全員 (笑)
高羽 「1・稽古以前」「2・稽古が始まって」「3・小屋入り」「4・本番」の大まかな流れで進行していきます。まずは「1・稽古以前」。まぁ、台本が決まる付近のざわざわした頃を思い出してみて、振り返ってもらえれば。どんな台本になるのか、配役がどうとか、ダブルキャストになるかもしれないみたいな話もあったじゃないですか。
兵藤 どうでした?
木下 台本が決まったのはいつ頃だったんですか?
兵藤 決まったのは、10月の終わりでございます。あ、違うか…
山内 11月11月。
兵藤 11月か。10月の終わりに、玉ちゃん(玉田真也)が講義をやって、その後だ。
田端 11月頃って俺ら、何していた時?
田中 山内さんの講義やん?
加藤 井川さんのゼミじゃない?
豊島 11月の末から山内さんの講義だったかな。
兵藤 11月はみんな、映画作ったりしていたんじゃない?
釜口 ミニコラボですかね。
小林 11月は…(カリキュラム予定表を見る)
木下 みんな覚えていないって凄いな、こんだけいるのに(笑)。
豊島 井川ゼミを主にやっていて、最後の方に山内さんの講義が始まったはず。
高羽 修了公演の台本が発表されたのもそのくらいでしたっけ?
田端 何か、まことしやかに囁かれていた覚えはあるよ。
小林 (高橋に)私がインスタかTwitterに上げて、それで知ったんでしょ?(笑)
高橋 そうそう、仮チラシで知った。
田端 「平田オリザらしいよ」って?
小林 『サンタクロース会議』を観に行ったら仮チラシが入っていたんですよ、確か。
高橋 それを、未歩ちゃん(小林)がTwitterに上げているのを見て「うわ、『S高原から』かい!」って思って。
小林 「知らないんだけど!」って(笑)。
兵藤 みんな何だと思っていたの?
高橋 いや、全然予想はしていなかったです。
小林 何か、岩松(了)さんの台本になる噂が…
豊島 候補に挙がっていたらしい、みたいな噂は聞いたような。
木下 誰が決めているんですか? 「じゃあこれにしましょう」って言った人は誰なんですか?
兵藤 それは玉田さん。
木下 あ、そうなんだ。もともと登場人物の多い作品をやるって言っていたから、俺が聞いていたのは、青年団の戯曲か岩松了さんの『アイスクリームマン』。多分人数の関係で『S高原から』に決めたのかな。後は『革命日記』をやりたかったらしいんだけど、さすがに無隣館の公演とぶつけるわけにはいかないって(笑)。
※4月14日(土)から公演予定の「青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館” 2017年度 三期・1年次 修了公演」の演目が『革命日記』
兵藤 玉ちゃん的には「『革命日記』の方が好き」みたいなことは言っていた。
全員 へぇ〜。
田端 『革命日記』だったら、無隣館対アクターズ。
田中 無隣館対映画美学校!
兵藤 それも面白いっちゃ面白いんだけど…………面白過ぎるかなぁって。
全員 (笑)
田端 面白さに制限をかける時が(笑)。
木下 あんまり面白過ぎるとダメっていう(笑)。
高羽 じゃあ台本が発表されたのが11月の頭くらいですかね。
木下 その頃はまだキャストとかは…
釜口 まだ全然。
小林 2ヶ月後に決まるっていう。
高羽 2ヶ月も空いたんでしたっけ?
兵藤 年が明けて1月15日に発表だったね。その間はずっと、玉ちゃんのシンキングタイムでしたね。私たち講師も全く預かり知らない。
木下 多分その頃は、普通に玉田企画の稽古でした。※『あの日々の話』の再演の稽古
川井 配役が決まる前に、みんなそれぞれ「誰がこの役になるか」って、自分の中で予想していたものなの?
高羽 いや、何かもう、自分とかは台本がそもそも手元にないし、読んだこともなかったので、全然検討もつかなかった。
木下 あ、そっか。台本は決まったし発表もされたけど、別に台本が渡されたわけではなかった。
高羽 そうですね。
釜口 でも12月の終わりくらいにはもらっていたよ。
高橋 うん、もらったもらった。
豊島 山内さんの講義の時か何かに。
山内 配った、12月のはじめだよ。
兵藤 それでみんな、予想はしなかったの?
田中 おみちゃん(本荘)が台本を読んだ時からずっと「私、この役はこの人、あの役はあの人」って言っていた。
本荘 でもそれ、ずっとそう言われているけど、私は覚えてないです(笑)。
田端 それ、当たっていたの?
本荘 覚えてないんです。
田端 覚えとけよ!
本荘 ごめんなさい(笑)。
加藤 私も豊島さんから言われました。
兵藤 何て?
加藤 私が自分で台本を読む前に「こういう役があって、これは紗希ちゃんだと思う」って。
田中 私も紗希ちゃんだと思った。
兵藤 それは前島だったの?
加藤 前島でした。※実際に加藤が演じた役
全員 えー。
加藤 だからそれを聞いていたので「前島かぁー」みたいな感じで読み始めるっていう。
田中 でも私、ワンチャン前島ありだなって思いました。
木下・高羽 自分が?
田中 (頷く)
全員 (笑)
加藤 私も祐理子かもって思った。
田中 やりたいなぁって。
兵藤 祐理子はない。
全員 (笑)
高羽 顔真っ赤やん(笑)。
山内 赤い赤い(笑)。
豊島 かわいい(笑)。
加藤 でもあるよね?
田中 ワンチャンあるよ!
木下 自分の中ではあるんだ(笑)。
田端 「ワンチャンあるよ」ってみんなが言わないと落ち着かないのね。
全員 (笑)
小林 客演も決まっていなかったし、配役が16人分あるから、田中祐理子氏は男役をやるのかみたいな話も。
木下 ああ、でもそれはねぇ。
田中 湯川さんと話していて「多分ウチら回されるよ」って言われて。
田端 (爆笑)
兵藤 なんで湯川さんもそっちに入っているの(笑)。
加藤 私もあると思った。
田中 湯川さんと紗希ちゃんの、背がデカいコンビが。「ウチら、ワンチャンあるよ」って言われて、そっかぁって。
木下 違う芝居になっちゃう(笑)。
田中 でもそれはそれで面白いと思った。
加藤 面白いと思う。
高橋 ウチらに台本が配られた時は、まだ川井さんとチャーリーさん(木下)が客演するって全く発表されていなかったから。
田端 そうだよね。(川井)檸檬さんとチャーリーさんが来た時の感じ、何か覚えている。
川井 来た時って、初めてここ(映画美学校の地下ミニスタジオ)に来た時のこと?
田端 そうそう。
兵藤 ホン読みの時じゃない?
木下 覚えているの?
田端 覚えていますね。
木下 どういう…(笑)
田端 何て言ったらいいんだろう…ねぇ(笑)。
川井 チャーリーさんの場合は、玉田企画の公演とかでよく見るから「ああ、あの人だ」って感じていたと思うけど、俺の場合はほぼ見たことないでしょ?
木下 名前が「川井“檸檬”」だしね。どういうやつなんだって。
全員 (笑)
豊島 でも未歩ちゃん、めっちゃ細かく携帯のメモにキャスティング予想をつけていたよね(笑)。
小林 でも男性陣はよく分からなくて、女性陣だけ予想するっていうことをしていて。それで、上野と前島は私の中でテレコ、逆でした。あけちゃん(神田)が前島に回ってというイメージが。
田中 それ以外は合っていたの?
小林 (考え)えーっと…
田中 携帯のメモ見たらいいじゃん。
全員 (笑)
木下 ホントに朝生(朝まで生テレビ)みたいな感じになっている(笑)。※座組が討論番組のような席だったため
高橋 もう前島じゃないから、未歩ちゃんの予想でも(笑)。
田中 気になるじゃん、他の予想も(笑)。
小林 (メモを見て)村西を奏衛くん(田端)にしていましたね。で、藤原をルネちゃん(高橋)にしていた。※実際に村西を演じたのは釜口、藤原を演じたのは小林
高橋 ふーん。
小林 全然これ当たっていない…でも風立ちぬ兄妹は、もうみんなあの2人(那木と那須)だろうって、誰が見てもあの2人だろうっていうのが9割方思っていましたね。
高橋 確かに。貴美子は絶対那須ちゃんだと思った。
高羽 みんなやっぱり予想するものなんですね。最初の3ページくらいしか自主稽古の読み合わせをするまで読んでいなくて、全然分かっていなかった。どの役がどうとか。
山内 「役決まるまでホン読む気にもなんねぇ」って言っていたのは…じゃあ高羽くんか。
高羽 いや、多分違います。ただ読んでいなかっただけなので。誰ですか、そんな血気盛んな人は。
木下 那木くんとかそういうこと言いそうだけど(笑)。「俺、読まないタイプなんだよね」みたいなことを凄く言いそう(笑)。
全員 (笑)
豊島 でも自分の役が決まっちゃうと、どうしてもその役のところに目がいっちゃうから、役が決まらない段階で全体を、小説みたいな感じで読んでみるのは、凄くいつも大事にしている。
田端 覚えているのは、役名の上にさ、大体の役職が書かれているじゃん?
釜口 ああ、「半年の入院患者」とかね。
田端 で、最初「面会人4人」って書いてあったのを見た時に「あ、俺、有象無象の1人だ」と思って(笑)。それは覚えている。
高羽 何だよ「有象無象」って(笑)。
兵藤 平田オリザの台本はアンサンブルがある、みたいな感じだったの?
田端 『S高原から』を観たことも読んだこともなかったので、最初に読んだ時に「あ、そういう感じなのかな」って。
豊島 あ、ホンを読む前にキャスティングを見たってこと?
田端 そうそうそう。
高橋 めっちゃ出るじゃん、鈴本。※田端が演じた役
田端 ね。
木下 俺は最初、本間役って言われていた。
川井 で、俺が松木だった。※本番で演じていたのはそれぞれ逆の役
(「えー」と「あー」が入り交じる反応)
木下 「稽古自体あんまり俺は行けないよ?」って最初から玉田に言っていて、「大丈夫大丈夫。本当に出るのが少しだけだから、稽古もそんなにガッツリ1日使うみたいな感じじゃないから」って言われていて、「それだったらいいですよ」ってオファーを受けたんですけど、その後に急遽「あ、やっぱ交換する」って。
全員 (笑)
山内 それ、いつ頃?
川井 本番中。※玉田企画の『あの日々の話』の再演中
木下 本番中だよね。で、「俺、あんまり出る役は多分無理だよ?」って言ったら「じゃあ別にそれでもいいけど」って。
全員 (笑)
木下 「え!? なんで!? 約束違うぞ!」と思って(笑)。あれはビックリしたね。でもその後に、ホンをもらって読んで「あ、本間役は川井くんだな」って思った。
川井 俺も松木役だったら、ちょっと荷が重いかなって(笑)。
田端 うわぁ、檸檬さんが松木だったらどうなっていたんだろう。
川井 いや、普通にやっていたよ、ちゃんと(笑)。
木下 普通にやっていなかったんですか、本番の本間役は(笑)。
豊島 『あの日々の話』の終演後にチャーリーさんに挨拶に行ったら「いや、俺、くしゃみする役だって言われていたんですけど、ホン読んでみたらめっちゃセリフ多くてー」って(笑)。それは凄く覚えている。
田端 くしゃみする役(笑)。
山内 8月の時点で玉田さんがずっと面接に立ち会っていたのは覚えています?※俳優養成講座2017受講生選考の面接
高羽 覚えています。
加藤 え、私の時はいなかったですよ?
山内 いない場合は、後で記録したビデオで見ています。だから、修了公演で何をやるのか、作品は決まっていなかったんだけど、キャスティングには関わっていたんですよ、玉ちゃん。チーム作りというか。
加藤 受講生のキャスティングっていうことですか?
山内 そうそう。面白いことが起きそうな人たちを、バランスを決めて集めようって。そういうことを考えていて、出来るだけ面白いことが起きるような組み合わせみたいなことを考えているんですよ。
受講生 へー。
山内 だから、僕ほぼ演出やってないんで作品のキャスティングっていうのはやったことがないのですけれど「この人たちがいたら面白いだろうな」「あ、こういう考え方をして人を選ぶんだ」みたいなのを、僕はむしろアクターズの選考で初めて味わいましたかねぇ。最終的にはバランスみたいなことを考えていたよね。
兵藤 そうですねぇ。玉ちゃんの意見を結構取り入れて。
受講生 へぇー。
兵藤 その視点、面白かったよね。
山内 面白かった。
兵藤 「そういうふうにこの人のこと見るんだ」みたいな。私たちと全然違う。
釜口 めっちゃ気になる。
小林 例えばどんなことを…
兵藤 まぁ私たち的には、学校の集団だし、協調性とかコミュニケーションがどういうふうに取れるのかっていうのを重点的に見つつ、芝居の質も見るんだけど、玉ちゃんはもっとパーソナルを見ていて「あの個性が面白かった」みたいな感じ。
山内 おみちゃんとかはみんな一押しだったよね。「この人、初舞台? 経験ない? でも入れましょう」って全員が。
全員 へぇー。
木下 一昨日くらい前に、玉田とたまたま飲んだんですよ。で、「本荘さん、肝座っているな」っていう話をした覚えが。だって初舞台なのに、舞台裏とかでめっちゃ落ち着いているから。
兵藤 そうなんだ!
田端 そうそう。で、俺と高羽とか釜ちゃん(釜口)とかがそわそわしていて(笑)。
兵藤 確かにね。足取りがね、「ずしっ!ずしっ!ずしっ!」みたいに出てくる感じがあったね。
山内 でも初日とかは緊張していたよね、おみちゃんは。でも初日のあのトラブルに見舞われても、高羽くんがやり切ったのがもう信じられないよ(笑)。正真正銘初舞台であれはすごすぎる(笑)。※劇の始まりは、高羽が板付きの状態で明転の予定だった。しかし、初日は照明の上がるタイミングがズレたため、高羽が所定の位置につく前に、舞台が明るくなってしまった
高羽 自分のミスだったら心が折れていたかもしれないですけど、不可抗力みたいな感じだったから「俺じゃねぇし!」って思いながらすぐに雑誌を取って芝居を始めて(笑)。
小林 緊張しないんだよね?
高羽 いや、しますよ!
小林 あんまり緊張しないってインタビューで…
高羽 いや、舞台に立ったら「あ、大丈夫だ」ってなるけど、始まる前はそりゃあ緊張しますよ。だからゲネ前とかはずっと裏でもう…まぁ自分が一番最初に舞台に出て行く役でなければあんまり緊張しないかなと思ったんですけど、一番最初だったから。ゲネが一番緊張しましたね。
山内 でもゲネの方がっておみちゃんも言っていたよね。
本荘 そうですね。
兵藤 おみちゃん、初日はあんまり緊張しているようには見えなかったんだけど。稽古の方がガッチガチだから。
木下 ああ、そうでしたね。初稽古ですもんね。
兵藤 だから稽古であれだけ緊張したら本番は緊張しないかもよってね(笑)。
山内 でも自分の初舞台を思い出したらちょっともう…今でも夢に見ちゃうくらい緊張していたなぁ。
全員 へぇー。
山内 ………………あ、ごめん。仕切り壊したよね?
全員 (笑)
高羽 まぁそんなこんなで(笑)、役も決まり、稽古に入りまして、さっきも話しましたがホン読みなどをしていったと。チャーリーさんとか檸檬さん、玉田さんもそうですけど、『あの日々の話』の公演の次の日から急に新しい舞台の稽古に入るっていうのはよくあることなんですか?
木下 『あの日々の話』の本番が終わって、翌日ここ(映画美学校)に来ると。前日に俺と玉田は朝まで飲んでたから(笑)。で、川井くんは、なんかピュッとすぐ帰ったよね?
川井 そうそうそう。「明日あるんで」って言って。
高橋 一緒なのに(笑)。
豊島 真面目(笑)。
小林 明日あるっていうか、英語のレッスンだから帰ったんだよね?
川井 まぁ、それも、そうなんですけど…
全員 (笑)
川井 英会話レッスンが入っていたから「すいません、ちょっと抜けます」って。まぁ明日もあったし(笑)。
兵藤 玉ちゃんとチャーリーがダメな人みたい(笑)。
川井 玉田企画の打上げって、大体朝までとかが多いんですよ。だから、千秋楽の打上げだったし、絶対にこの2人は朝まで残るだろうから、俺はその流れに身を任しちゃいけないな、みたいな(笑)。
兵藤 ちゃんと自覚が。
田端 エラい。
木下 エラい(笑)。
兵藤 じゃあもう朦朧としていた感じでしたか?
木下 朦朧としていましたね。しかも、電車の中で寝ちゃって、気がついたら西船橋あたりをうろうろしていて、で、朝9時くらいに家に帰って、それから寝て。
小林 西船橋をウロウロって、家、真逆じゃないですか。
木下 だから真逆の電車に乗っちゃっていた。
兵藤 何時だったっけ、初日の稽古は。
木下 午後1時とか。
兵藤 じゃあもうほぼ寝ないで?
木下 2時間くらい寝て。
兵藤 みなさんはどうだったんですか?
高羽 「ホン読みまでに当然台本に目を通して来て下さい」みたいなことだったじゃないですか。「出来ればざっくりは頭に入れて来てくれ」みたいなことを言われていて。初めて読む台本だったし、緊張して「あ、読まなきゃ読まなきゃ。頭に入れなきゃ」って思いながら、その負荷だけで、1回も読めずにホン読みに入りました。
釜口 1回も読めなかったの?(笑)
高羽 ずっと「ああ、読まなきゃ、ちゃんとやんなきゃ、ちゃんとやんなきゃ…」って思っていたら、あと3時間で行かなきゃってなって(笑)。
兵藤 台本渡してあったのに…
高羽 毎日「ああ、ちゃんと読まなきゃ。これが初舞台の台本だ…」と目の前にずっと置いたまま、手をつけないままそう思っていて。
全員 (笑)
高羽 だから最初の3ページくらい読んで「あ、西岡、凄いちゃんと出てくる」って思って。※「西岡」は高羽が演じた役
兵藤 じゃああの時に本当に初めて読んだくらいなの?
豊島 でもその前に集まって、自主稽古を兵藤さんと一緒にやらなかったっけ?
高羽 そうそう。だからそれが初めてで。
兵藤 あ、良かったぁー、あれやっといてー。あっぶなぁーい。玉ちゃん、チャーリー、川井くんとは真反対に、みんなはめちゃくちゃ緊張感が凄かったよね、ホン読みの日は。
木下 なんで? なんで?
高橋 玉田さんの空気?(笑)
兵藤 玉ちゃんの、寝ていなかったあの空気が(笑)。
高橋 多分そう(笑)。
木下 不機嫌なやつが来たみたいな?
高橋 そう! 「怖い!」って思って。「あ、ちゃんとやんなきゃ!」って思って、凄い緊張しました。
高羽 俺は本当に、ホンを読んでいないのを悟られないようにしなきゃと思っていました(笑)。
小林 だから初日が終わった後に、誰と話したのか覚えていないんですけど、「前、みんなでホン読みをやった時はもっと楽しそうに読めたはずなのに、全然会話が成り立っていない」「みんな緊張してガチガチだったね」みたいなことを言っていて。
釜口 硬くなっていましたね。やっぱり檸檬さんとチャーリーさんがいるからかなぁと僕は思っていたんですけど、凄い緊張しました。
兵藤 1回読み合わせをしたのに、何故か那木が読めていなかったりして「何故?」と思って(笑)。
豊島 え、読めていなかったって、つっかえちゃったりしていたってことですか?(笑)
田中 つっかえているって言うか、普通にホンを読んでいて、自分のセリフの番なのに読まなくて「(隣の田端の肩を叩いて1人で再現して)おい、茂樹(役名)、茂樹」「…(台本を見ていたが身を乗り出し)あ、ああ!」みたいな(笑)。
兵藤 そうそう(笑)。何を見ていたのかな?
田中 ボーッとしていたのかなぁ、みんなからの視線が凄く集まっているのに「(再び演じて、ホンを見たまま)…………」って(笑)。
全員 (笑)
兵藤 那木なりの緊張があったんだろうね(笑)。
田中 その時にちょうど那木の隣に奏衛くんがいて、奏衛くんが「(小声で)那木さん、那木さん!」って言っているんですけど「え? 俺?」みたいな(笑)。それは覚えています。
高羽 そういえば、役の名前が似過ぎていて読むところを間違えるみたいなのは最初頻発しましたよね。村西・西岡とか。
豊島 藤沢・藤原とか。
兵藤 ああー、そうだね。
木下 単純に初ホン読みって、ちょっと緊張している。
山内 え、初立ち稽古の方が緊張しない?
木下 初立ち稽古はあんまり緊張しないんですけど…
山内 本当? 俺は初立ち稽古が全てだなぁ。怖ぇ怖ぇ…
豊島 初ホン読みって「どのテンションでいく?」みたいなのが…
木下 確かに。
豊島 ホン読みの時って「どういう感じなのかなぁ」っていうのがいつもあるような気がします。
兵藤 あと、あの日が「今日からいよいよ始まる!」っていうのもあったよね。
豊島 確かに。
高羽 ホン読みから立ち稽古に変わったあたりの記憶が全くないんですけど、どういう感じで稽古って始まりましたっけ?
加藤 1日ホン読みをやって、次からは「じゃあ動いてみましょう」みたいに流れでなったような。
豊島 そうそう。1回目の立ち稽古の日に、最初に玉田さんが「そんなにすぐ立ってもアレだから、もうちょっと緩い感じで始めましょう」と言っていたんだけど、確かシーン1あたりで、ホン読みでやっていても全然シーンが立ち上がっていかなくて「これ、無理にでも立ってやった方がいいかもしれない」って玉田さんが言って、それで立ったんだよね?
釜口 うん、そうでしたね。初日にもう台本を離してやっていたよね。
豊島 で、時間差で稽古に入って来た人たちが、普通に立ち稽古をやっているからビックリしたって言っていたような気がする。
高橋 そうだそうだ。
小林 死ぬかと思った…「もうここなの!? 無理無理無理!」と思って(笑)。ホント、生まれたての子鹿みたいな感じで「立てない立てない」って(笑)。
高橋 最初から、本番のセットみたいにテーブルと椅子を組んでやっていたよね。
加藤 でも初日に「覚えてやりましょう」みたいなのは…
釜口 「理想はそういう感じで」ってメールで来ていましたね。
加藤 それで稽古に行ったら「ホン読みでいいです」って言われたから「え?」って拍子抜けしました、私は。
高羽 全然思い出せない…
兵藤 何を感じていたんだろうね、高羽は(笑)。
高羽 ただめっちゃ緊張していました(笑)。それで覚えていないです。初めてだから、何が普通なのかとか、どういうペースが当たり前なのかとかが全然分からなくて。だから、いま言われても全然思い出せないです。
小林 みおみおはどうでした?
本荘 私はもう…自分の番だから出て行く、出てきてセリフを言う、っていうだけでした。
木下 カッコいい。
全員 (笑)
本荘 (立ち上がり照れながら)そういうことじゃないです!
高橋 落ち着いて落ち着いて(笑)。
本荘 だから「本荘さん、ハキハキし過ぎです」って言われました(笑)。本当に棒読みでした。だから何も考えられていなかったです。
小林 「いきなり立ってやるんかーい!」みたいな、そういうツッコミも頭の中で生まれず?
本荘 生まれず。
高橋 そもそもどういう感じで稽古をやっていくのかっていうのが分からなかったの?
本荘 うーん…イメージはあった。でもどんどん進んで行くから、その流れに沿って私はやっていかないといけないって(笑)。だからあんまり考えはしなかったです。で、気づいたら、本番が終わっていました。
全員 (笑)
【第2回は3/21(水)に掲載予定】